トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
遥か遠くにまで広がる、澄み渡る大空。
そこは――異界の空であった。
我々の宇宙、地球世界のものとは違う空。
その澄み渡る異界の空の一点に。しかし、それを侵略侵食するまでの禍々しい歪な存在があった。
それは、巨大な竜だ。
詳細には、炎のように揺らめく『漆黒』をその巨体に帯びて纏う――『闇竜』。
本来は、のどかな光景が眼下に広がっている穏やかなこの空に、現れるはずの無い存在。
しかし今、禍々しい巨体は悠々と。そして澄み渡る空をその纏う漆黒で蝕んでしまいそうな様で飛んでいる。
その姿に様子には何か、「何者」かの存在を探し待っているかのような色が見えた。
――その「何者」かは、直後に現れた。
大空を切り裂かんまでの、劈く轟音を携えて。
闇竜より遥か遠方の上空に見えたのは、小さな点。
しかしそれは恐るべき速さで近づき、次第にその姿を明確にする。
鳥、竜――否。
それは、自然界には存在しない「翼」。
異質な飛行体。
その飛行体はその恐るべき速度で瞬く間に、闇竜の目の前へと飛び至り。
そして唸らせる空気を切り裂くような音を、しかし置き去りにして。まさに一瞬で闇竜とすれ違う。
《――警告するッ。そちらは日本国の特別活動区の空域に接近している、ただちに反転せよッ》
そして、ほぼ同時の次にその飛行体から。
不思議に響く音声で、そんな「警告」の言葉が発されて闇竜へと寄越される。
その警告の音声と同時進行で、一度すれ違い去った向こうから、キレのある軌道を描いて旋回反転し、闇竜に追い付いて来る飛行体。
闇竜からは、その飛行体の詳細な姿が見える。
それは、機械の翼と推力を携える。
一人の「少女」であった――
現れた、機械の翼と推力を携える少女。
その髪色から、その身体に着ける翼や推進機などの「装備」まで。その主たるを青色を基調として彩る可憐なその少女は。
その名を、
その仙導は、つい今程に闇竜とすれ違ったのも束の間。
尖るまでの旋回行動でその「身体」を旋回反転させ。
そして携える推進機――ジェットエンジンを吹かし、闇竜へと追い付いてその後側へと位置して並ぶ。
「繰り返す、そちらは日本国の「特別活動区」の空域に接近している。ただちに引き返されたしッ」
そして次に仙導が発したのは再びの「警告」の言葉。
それは闇竜を侵入者と、「領空侵犯」を侵そうとしている存在と見てのもの。
その仙導の発した言葉は、彼女の今の身体に、その纏う「装備」に付随する音声装置の効果によって。
不思議な音色の音声へと拡張され、空気を伝わって闇竜へと向けられる。
「ッー、耳を貸さないか?」
二度目の警告を送り、そこからは少し闇竜の動向を伺いながら。
闇竜の企み、腹積もりを、口を鳴らすと併せて推察する仙導。
しかし、次には。
闇竜はその巨体を側方へ傾け、大きくバンク。
そして悠々と余裕のある旋回行動で、その頭、飛行方向を真逆の方へと向け。これまで辿り来た方向へと戻り始めた。
去り行く闇竜のその背には、臆し怯えるといった色はまったく伺えず。
そこにはまるで、「見たいものは見れた」とでも言うような、満足した色を表すような気配が見て取れた。
「回頭したか――物見雄山か?まったくッ」
そんな闇竜の姿を、仙導は自身もまた旋回滞空行動に入りながら、向こうに見て見送りつつ。
微かな溜息交じりに、闇竜の堂々たる去り姿からそんな勘ぐる言葉を紡ぎ。併せて呆れからの一声を零す。
「しかし――レーダーに掛かってから、ここまでのレスポンスが段違いだったな。やはり「この身体」は凄い」
そして次には、少しの安堵の色を見せつつ。
併せて仙導が零したの、自身の姿身体に軽く目を降ろしながらのそんな言葉。
「「女になる」という部分に限っては、未だに良く分からないが」
そしてさらに次には呆れと微かな困惑混じりに、何かの事柄についてか、そんな言及の言葉を零した仙導。
《――プライム1-0へ、こちらコマンド・ポイント。隊長聞こえますかッ?》
そんな所へ次に割り込むように届いたのは。仙導が身に着ける「装備」の、その内の通信機能からの音声。
「ッ――1-0だ。「お客さん」は引き上げた、領空領域への脅威ナシ」
それに仙導は「おっと」という反応と併せて、まず自分に当てられたものであるコールサインを答え返し。
さらに併せて状況を。今に領空侵犯を侵す危険のあった闇竜が、引き返した旨を伝える。
《それはお見事――ですが、一人で飛び出して行ったから敷浪さんがお冠ですよ》
その仙導の伝えた言葉に、通信の向こうからの音声はその結果を評する言葉を寄越し。
しかし併せて、そんな「悪い知らせ」を抱き合わせで返して来た。
「緊急と見たからな、やれやれだ」
そんな通信の向こうからの「悪い知らせ」に。しかし仙導は慌て焦るでもなく、微かな倦怠感を混ぜた色のそんな言葉を零して返す。
《お早いお帰りを。アイドル隊長が飛び出して行ったから、皆ヒヤヒヤしながら無事の帰還を待ってます》
「はァ、「中身オッサン」を揶揄うな」
また次には通信の向こうからの、微かに揶揄うような色でのそんな言葉が寄越され。
それに仙導が返したのは、何かそんなワードを含めての返答。
「これより帰投する――」
そして、これより帰路に着く旨を通信に上げて伝えると。
仙導は機械の翼や推進機などの「装備」を纏うその身を、余裕のある緩やかな行動で旋回。
仙導 未式は――
可憐な美少女の体に、しかし35歳の男性の精神を持つ、「正体はオジサン」であるのその人は。
帰るべき場所へ戻るべく、その帰路へと着いた――