トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
スクランブルにて出撃、基地を飛び立った仙導と航軌院。
今はその救援要請のあった集落へと進路を向け、地上を観測できる程度の高度を保ち、二機編隊隊形を組んで飛行している。
その救援要請のあったのは、『フェイオン』という名称の集落。
日本が、特動隊が異世界の地で活動を始めてから早い段階で接触。それ以来交流を持つ集落であり。
距離としては基地からいくらか離れたところにあるが。しかし戦闘機ベースのデバイスを装備する今の仙導等ならば、到着までは要しても数分だ。
「――見えた」
次には、仙導は眼下に広がる大地の一点にそのフェイオンの村を見つけた。
周囲を恵まれた環境に囲まれたコミュニティ。村、集落を名乗るがその規模はなかなかに大きなものであり、接近に伴いその大きさに栄える様子がよく見えてくる。
「行くぞ」
《了っ!》
それを認めると同時、仙導が発しそして航軌院が答え。
二機両名は集落を目指し飛行しながらの降下へと転じた。
場所はそのフェイオンの村の、主な出入り口である正面門へ。
その門の前では、「対峙」の光景があった。
片方は、数名の『少女たち』。
その少女たちは、明かせば村の自警団の者たち。
そしてその姿はいずれも「着装」を、こちらの世界では『変化』、『加護』などとも呼ばれるそれを成してのもの。
武器を取り、その「力」を纏い身体を変えた姿。
そしてやはりその内には、性転換を伴い性別を少女へと変えた、本来は男性である者も含まれた。
一方その自警団の少女たちを囲うは、多数の屈強な巨体。
緑色の肌を持つ亜人、オークと呼ばれる異世界の種族の者たちだ。
オークの集団は、遠方よりやって来た流れ者の荒くれ者たち。
糧を求めて村へと現れ。集落を囲い武器をちらつかせ、村からの収奪を企てた。
しかし、
「――ぐォ!?」
その囲うオークの内の一体が、今まさにその巨体が吹っ飛び、背後の地面に叩きつけられ倒れる。
そして周りでは、その起こりに狼狽えるオークたちの様子がまた見える。
「――ふっ」
今の一連の出来事を成したのは、オークたちと対峙する自警団の少女たちの内の。
その組む陣形の一番前に立つ、小柄な姿の女の子だ。
その外見年齢、容姿に体躯は十歳にも満たなく見える幼いと言えるもの。
可憐ながらも幼い造りのその顔立ちは、ツーサイドアップに結われた金髪で飾られている。
その身体は凹凸の極めて少ない年相応のもの、言ってしまえばロリータボディ。
格好はそのロリータボディに、まるでワンピースタイプのスクール水着を思わせる純白のスーツを纏い。
また白色のニーソックスを履き、グローブやブーツを着ける姿。
そしてしかし、そんな際どい格好で包む幼い姿身体に反して。その細腕に持ち支えられているのは、今まさに薙がれた直後の気配が見える、不釣り合いな長大な長槍。
それこそ、今にオークの一体を薙ぎ撃ち飛ばして見せた得物。
「下卑た企みは諦め、立ち去ることだ!この村長、ウォーファの名に懸けて村に手出しはさせん!」
そして次にはその幼女は。
あどけなさを帯びながらも同時に透る声色で、そう宣告の声をオークたちに向けて発した。
そう、そのウォーファと名乗った幼女こそ、このフェイオンの村の村長。
そしてその幼女姿は「着装」にて変じたものであり、その正体は御年60歳が近づく男性。
そのウォーファは村の危機に、自ら自警団を率いて出て。襲撃者であるオークたちを相手に立ち回っていたのだ。
「ぐ……!」
「やろォ……!」
そんな宣告を向けられた対するオークたちは、苦々しい色を見せて声を漏らしながら、怯みたじろぐ姿を見せる。
見ればその周りには、気絶して地面に沈み倒れたオークたちの体が転がっている。
それは全て、ウォーファを中心とする自警団によって無力化されたものであった。
そのウォーファたちの思わぬ強さを前に。当初襲撃の成功を楽観視していたオークたちは、しかしその戦意に意欲を崩し怪しくしかけていた。
「――てめェらァ、ビビってんじゃねェエ」
しかし、そんなオークたちに向けて背後から、一際特徴的な重低音が響き届いたのは直後。
そして次には狼狽えるオークたちの間が割れ、その存在は姿を現した。
重鈍だが威圧感のある歩みで出て来たのは、周りのオークたちよりもさらに一回り大きく体躯に優れ、そして厳つい容姿を持つオークだ。
「か、頭……!」
その一際大きいオークの登場に、周りのオークたちから困惑交じりの、しかし縋るような声が上がる。
その一際巨体であるオークこそ、村へ襲撃を企てたオークの一団の頭であった。
「チィ、手間かけさせやがってェ」
その頭オークは次には周りに一度視線を走らせ、倒され地面で気絶している配下たちを見て、忌々しそうな一声を発する。
「可愛らしいガワしてやがるが、「中身」は手練れみてぇだなァ?」
そして次にはその視線を目の前向こうのウォーファに向けると。少し嘲る色を混ぜながらそんな言葉を向けた。
頭オークも「着装」の術の存在するこの異世界の住人。
優美なまでに立ち回り、己が配下を伸して見せた目の前の幼女、ウォーファが。その姿身体を「元のもの」より変じた者であることは簡単に見抜いて見せた。
「貴様が頭か?悪い事は言わない、配下を引き連れて立ち去ることだ!でなければ容赦はしない!」
そんな頭オークに向けて、ウォーファは再び警告・宣告の言葉を向ける。
「グククっ、怖ェチビっ子だァ」
しかし、その宣告を受けた頭オーク返したのは嘲るような一声。
「オレ様としちゃァ「コレ」は妙でお気に召さねぇんだが……お強いチビっ子には、ちょいと同じ形でお相手しねェとなァ」
そして続けて何かそんな言葉を紡ぐと。頭オークは担ぎ背負っていた巨大なハルバードを掴み繰り出すと。
次にはまるで、景気づけのように大きく振るい薙いだ。
そして、それと同時、
頭オークのその巨体が、唐突に眩く発光。その輪郭が幻想的な光に包まれた。
「!」
それに驚き目を剥くウォーファたち。
そこからそう長い時間は掛からずにその発光現象は終わり。光が収まったその場所には、また一つの姿が現れる。
「――グクっ」
そこに現れ立っていたのは――緑色の肌を携える、長身の亜人の美女だ。
その顔立ちは端麗だが、気丈そうな色を同時に見せるもの。八重歯の覗くその妖しい口からは、似合わぬ下卑た笑いが漏らされる。
そんな顔立ちは、美麗な長い白銀の髪で飾られている。
その身体は、鍛え上げられ筋肉を宿しながらも、同時に豊満な乳房に尻肉太腿を備え、腰にはくびれを作る美麗なもの。
そしてそんな身体を飾るのは、本当に申し訳程度の防具を付随するのみの、かなり際どいマイクロビキニアーマー。
その亜人の美女の正体は、頭オーク。
その「着装」により変貌した姿であった。
「ッ、『ご加護』か……!」
その事実をウォーファもすぐに理解し、そして彼らの表現で零し表す。
そして併せてその顔をより険しくし、身構えるウォーファ始め自警団員たち。
「着装」による強化の影響もあってだろう。元より脅威と見えた頭オークに、さらなる強力な気配を感じての警戒のそれだ。
「――!」
そしてしかし次には、ウォーファは地面を踏み切り飛び出していた。
「着装」を遂げてその身体を強化させた頭オークを、大きな脅威と見たウォーファは。先手を仕掛けそれの早急な無力化を目論んだのだ。
そのウォーファの小柄な幼女の身体は、一瞬の内に頭オークの目の前にまで踏み込み。
そしてその長槍をダイナミックに頭上で振るい、頭オークに打撃を与えるべく薙ぎ放った。
だが、
「っぅ!?」
薙ぎ放った長槍は、しかし次にはガクンと思わぬ運動の停止をウォーファに伝え。ウォーファに驚愕を与える。
見れば、放った長槍の先端はしかし頭オークを打撃する前に。頭オークの女体となりながらも健在な屈強な腕に、捕まえ止められていたのだ。
「な……!? この……!」
驚愕しながらも、長槍を握るその幼女の身体の細腕に力を込め、抵抗を試みるウォーファだが。
双方「着装」を得た上での、その腕力の優位は頭オーク側に上がり。掴み捕まえられる長槍はびくともしない。
「くぅ……っ!、ぐぁっ……!?」
そして次には、そのウォーファから鈍い悲鳴が上がった。
頭オークのその腕が伸ばし突き込まれ、ウォーファの首回りを掴み捕まえ。その小柄を宙に持ち上げたのだ。
「村長っ!」
状況から、自警団員たちから焦燥の声が上がる。
「やったぜ!」
「さっすが頭っ!」
一方のオークたちからは、ここまで苦渋を舐めさせられた相手が、我らが頭により捕まえられたことに。
沸き立ち、歓喜の声や野次が上がる。
「イタズラもここまでだなァ。さて、悪い子にはオシオキが必要だよなァ?」
「くぅぁ……!」
その中で頭オークは、その元の厳つい物より変じた端麗な顔に、しかし妖しくも下卑た笑みを作りながら。
下劣な企みを言葉にしてウォーファに向ける。
方やウォーファは、頭オークの腕にぶら下げられるその小柄を必死に動かし藻掻くが。逃れることが叶う様子は無い。
「へへェ」
そして頭オークはその脳裏に浮かべる下卑た企みを実行に移すべく。
その艶めかしい唇に妖しい舌なめずりを這わせ。
そして、その腕でウォーファを「侵略」しようとした。
――ドゥンッ!
と。
異質な、鈍くも響く音が割り入ったのは瞬間。
「ガァっ!?」
そして頭オークから鈍い悲鳴が上がったのは同時。
見れば、ウォーファを「侵略」しようとした頭オークのその腕は。何かに強烈に打たれたように弾かれ退いている。
「っ……!」
それに伴いウォーファの身体は頭オークの腕から解放され。その小柄はポサリと地面に落ちる。
「え……?――!」
思わぬ事態にウォーファも驚きをそのあどけない顔に見せるが。しかし次にはウォーファは、さらなる状況の変化の知らせをその耳に聞く。
それは、キィィ――と。
空気を切り裂くかのような異質音。
そしてウォーファ始め場の皆が、その音を辿り視線を向ければ。その向こうの上方から――「シルエット」が。
自ら生み出す揚力にて降下速度を殺しながら、上空よりフワリと降りて来て現れる存在が見えた。
降下の動きを伴って場に参上したのは、機械の装備に身を包んだ少女。
「――うまく入った」
それこそ、他ならぬ仙導であった――