トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記   作:えぴっくにごつ

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Task9:「参上、翼と力を携えし少女」

 スクランブルにて出撃、基地を飛び立った仙導と航軌院。

 今はその救援要請のあった集落へと進路を向け、地上を観測できる程度の高度を保ち、二機編隊隊形を組んで飛行している。

 

 その救援要請のあったのは、『フェイオン』という名称の集落。

 日本が、特動隊が異世界の地で活動を始めてから早い段階で接触。それ以来交流を持つ集落であり。

 距離としては基地からいくらか離れたところにあるが。しかし戦闘機ベースのデバイスを装備する今の仙導等ならば、到着までは要しても数分だ。

 

「――見えた」

 

 次には、仙導は眼下に広がる大地の一点にそのフェイオンの村を見つけた。

 周囲を恵まれた環境に囲まれたコミュニティ。村、集落を名乗るがその規模はなかなかに大きなものであり、接近に伴いその大きさに栄える様子がよく見えてくる。

 

「行くぞ」

《了っ!》

 

 それを認めると同時、仙導が発しそして航軌院が答え。

 二機両名は集落を目指し飛行しながらの降下へと転じた。

 

 

 

 場所はそのフェイオンの村の、主な出入り口である正面門へ。

 その門の前では、「対峙」の光景があった。

 

 片方は、数名の『少女たち』。

 その少女たちは、明かせば村の自警団の者たち。

 そしてその姿はいずれも「着装」を、こちらの世界では『変化』、『加護』などとも呼ばれるそれを成してのもの。

 武器を取り、その「力」を纏い身体を変えた姿。

 そしてやはりその内には、性転換を伴い性別を少女へと変えた、本来は男性である者も含まれた。

 

 一方その自警団の少女たちを囲うは、多数の屈強な巨体。

 緑色の肌を持つ亜人、オークと呼ばれる異世界の種族の者たちだ。

 

 オークの集団は、遠方よりやって来た流れ者の荒くれ者たち。

 糧を求めて村へと現れ。集落を囲い武器をちらつかせ、村からの収奪を企てた。

 しかし、

 

「――ぐォ!?」

 

 その囲うオークの内の一体が、今まさにその巨体が吹っ飛び、背後の地面に叩きつけられ倒れる。

 そして周りでは、その起こりに狼狽えるオークたちの様子がまた見える。

 

「――ふっ」

 

 今の一連の出来事を成したのは、オークたちと対峙する自警団の少女たちの内の。

 その組む陣形の一番前に立つ、小柄な姿の女の子だ。

 

 その外見年齢、容姿に体躯は十歳にも満たなく見える幼いと言えるもの。

 

 可憐ながらも幼い造りのその顔立ちは、ツーサイドアップに結われた金髪で飾られている。

 その身体は凹凸の極めて少ない年相応のもの、言ってしまえばロリータボディ。

 格好はそのロリータボディに、まるでワンピースタイプのスクール水着を思わせる純白のスーツを纏い。

 また白色のニーソックスを履き、グローブやブーツを着ける姿。

 

 そしてしかし、そんな際どい格好で包む幼い姿身体に反して。その細腕に持ち支えられているのは、今まさに薙がれた直後の気配が見える、不釣り合いな長大な長槍。

 それこそ、今にオークの一体を薙ぎ撃ち飛ばして見せた得物。

 

「下卑た企みは諦め、立ち去ることだ!この村長、ウォーファの名に懸けて村に手出しはさせん!」

 

 そして次にはその幼女は。

 あどけなさを帯びながらも同時に透る声色で、そう宣告の声をオークたちに向けて発した。

 

 そう、そのウォーファと名乗った幼女こそ、このフェイオンの村の村長。

 そしてその幼女姿は「着装」にて変じたものであり、その正体は御年60歳が近づく男性。

 

 そのウォーファは村の危機に、自ら自警団を率いて出て。襲撃者であるオークたちを相手に立ち回っていたのだ。

 

「ぐ……!」

「やろォ……!」

 

 そんな宣告を向けられた対するオークたちは、苦々しい色を見せて声を漏らしながら、怯みたじろぐ姿を見せる。

 見ればその周りには、気絶して地面に沈み倒れたオークたちの体が転がっている。

 それは全て、ウォーファを中心とする自警団によって無力化されたものであった。

 

 そのウォーファたちの思わぬ強さを前に。当初襲撃の成功を楽観視していたオークたちは、しかしその戦意に意欲を崩し怪しくしかけていた。

 

「――てめェらァ、ビビってんじゃねェエ」

 

 しかし、そんなオークたちに向けて背後から、一際特徴的な重低音が響き届いたのは直後。

 そして次には狼狽えるオークたちの間が割れ、その存在は姿を現した。

 

 重鈍だが威圧感のある歩みで出て来たのは、周りのオークたちよりもさらに一回り大きく体躯に優れ、そして厳つい容姿を持つオークだ。

 

「か、頭……!」

 

 その一際大きいオークの登場に、周りのオークたちから困惑交じりの、しかし縋るような声が上がる。

 その一際巨体であるオークこそ、村へ襲撃を企てたオークの一団の頭であった。

 

「チィ、手間かけさせやがってェ」

 

 その頭オークは次には周りに一度視線を走らせ、倒され地面で気絶している配下たちを見て、忌々しそうな一声を発する。

 

「可愛らしいガワしてやがるが、「中身」は手練れみてぇだなァ?」

 

 そして次にはその視線を目の前向こうのウォーファに向けると。少し嘲る色を混ぜながらそんな言葉を向けた。

 

 頭オークも「着装」の術の存在するこの異世界の住人。

 優美なまでに立ち回り、己が配下を伸して見せた目の前の幼女、ウォーファが。その姿身体を「元のもの」より変じた者であることは簡単に見抜いて見せた。

 

「貴様が頭か?悪い事は言わない、配下を引き連れて立ち去ることだ!でなければ容赦はしない!」

 

 そんな頭オークに向けて、ウォーファは再び警告・宣告の言葉を向ける。

 

「グククっ、怖ェチビっ子だァ」

 

 しかし、その宣告を受けた頭オーク返したのは嘲るような一声。

 

「オレ様としちゃァ「コレ」は妙でお気に召さねぇんだが……お強いチビっ子には、ちょいと同じ形でお相手しねェとなァ」

 

 そして続けて何かそんな言葉を紡ぐと。頭オークは担ぎ背負っていた巨大なハルバードを掴み繰り出すと。

 次にはまるで、景気づけのように大きく振るい薙いだ。

 そして、それと同時、

 

 頭オークのその巨体が、唐突に眩く発光。その輪郭が幻想的な光に包まれた。

 

「!」

 

 それに驚き目を剥くウォーファたち。

 そこからそう長い時間は掛からずにその発光現象は終わり。光が収まったその場所には、また一つの姿が現れる。

 

「――グクっ」

 

 そこに現れ立っていたのは――緑色の肌を携える、長身の亜人の美女だ。

 

 その顔立ちは端麗だが、気丈そうな色を同時に見せるもの。八重歯の覗くその妖しい口からは、似合わぬ下卑た笑いが漏らされる。

 そんな顔立ちは、美麗な長い白銀の髪で飾られている。

 

 その身体は、鍛え上げられ筋肉を宿しながらも、同時に豊満な乳房に尻肉太腿を備え、腰にはくびれを作る美麗なもの。

 そしてそんな身体を飾るのは、本当に申し訳程度の防具を付随するのみの、かなり際どいマイクロビキニアーマー。

 

 その亜人の美女の正体は、頭オーク。

 その「着装」により変貌した姿であった。

 

「ッ、『ご加護』か……!」

 

 その事実をウォーファもすぐに理解し、そして彼らの表現で零し表す。

 そして併せてその顔をより険しくし、身構えるウォーファ始め自警団員たち。

 「着装」による強化の影響もあってだろう。元より脅威と見えた頭オークに、さらなる強力な気配を感じての警戒のそれだ。

 

「――!」

 

 そしてしかし次には、ウォーファは地面を踏み切り飛び出していた。

 

 「着装」を遂げてその身体を強化させた頭オークを、大きな脅威と見たウォーファは。先手を仕掛けそれの早急な無力化を目論んだのだ。

 そのウォーファの小柄な幼女の身体は、一瞬の内に頭オークの目の前にまで踏み込み。

 そしてその長槍をダイナミックに頭上で振るい、頭オークに打撃を与えるべく薙ぎ放った。

 だが、

 

「っぅ!?」

 

 薙ぎ放った長槍は、しかし次にはガクンと思わぬ運動の停止をウォーファに伝え。ウォーファに驚愕を与える。

 見れば、放った長槍の先端はしかし頭オークを打撃する前に。頭オークの女体となりながらも健在な屈強な腕に、捕まえ止められていたのだ。

 

「な……!? この……!」

 

 驚愕しながらも、長槍を握るその幼女の身体の細腕に力を込め、抵抗を試みるウォーファだが。

 双方「着装」を得た上での、その腕力の優位は頭オーク側に上がり。掴み捕まえられる長槍はびくともしない。

 

「くぅ……っ!、ぐぁっ……!?」

 

 そして次には、そのウォーファから鈍い悲鳴が上がった。

 頭オークのその腕が伸ばし突き込まれ、ウォーファの首回りを掴み捕まえ。その小柄を宙に持ち上げたのだ。

 

「村長っ!」

 

 状況から、自警団員たちから焦燥の声が上がる。

 

「やったぜ!」

「さっすが頭っ!」

 

 一方のオークたちからは、ここまで苦渋を舐めさせられた相手が、我らが頭により捕まえられたことに。

 沸き立ち、歓喜の声や野次が上がる。

 

「イタズラもここまでだなァ。さて、悪い子にはオシオキが必要だよなァ?」

「くぅぁ……!」

 

 その中で頭オークは、その元の厳つい物より変じた端麗な顔に、しかし妖しくも下卑た笑みを作りながら。

 下劣な企みを言葉にしてウォーファに向ける。

 

 方やウォーファは、頭オークの腕にぶら下げられるその小柄を必死に動かし藻掻くが。逃れることが叶う様子は無い。

 

「へへェ」

 

 そして頭オークはその脳裏に浮かべる下卑た企みを実行に移すべく。

 その艶めかしい唇に妖しい舌なめずりを這わせ。

 そして、その腕でウォーファを「侵略」しようとした。

 

 

 ――ドゥンッ!

 

 

 と。

 異質な、鈍くも響く音が割り入ったのは瞬間。

 

「ガァっ!?」

 

 そして頭オークから鈍い悲鳴が上がったのは同時。

 見れば、ウォーファを「侵略」しようとした頭オークのその腕は。何かに強烈に打たれたように弾かれ退いている。

 

「っ……!」

 

 それに伴いウォーファの身体は頭オークの腕から解放され。その小柄はポサリと地面に落ちる。

 

「え……?――!」

 

 思わぬ事態にウォーファも驚きをそのあどけない顔に見せるが。しかし次にはウォーファは、さらなる状況の変化の知らせをその耳に聞く。

 

 それは、キィィ――と。

 空気を切り裂くかのような異質音。

 

 そしてウォーファ始め場の皆が、その音を辿り視線を向ければ。その向こうの上方から――「シルエット」が。

 自ら生み出す揚力にて降下速度を殺しながら、上空よりフワリと降りて来て現れる存在が見えた。

 

 降下の動きを伴って場に参上したのは、機械の装備に身を包んだ少女。

 

「――うまく入った」

 

 それこそ、他ならぬ仙導であった――

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