トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
窮地に現れ、頭オークの及ぼうとしていた下卑た行いに、しかし一撃を叩き込み阻んだ存在。
それは他ならぬ仙導であった。
その装備するデバイスのエンジンモジュールが生み出す揚力で、降下の速度を殺しながら。
降着態勢でフワリと宙空を降りて来た仙導は、そのデバイスを履く足を地面に付いた。
「間に合ったようだな」
同時に視線を流して周りを見て、状況を取得掌握して一声を零す仙導。
その背後からは仙導に続いて降下して来た航軌院も現れ。航軌院にあっては仙導の背後にて、着地はせずに地面からわずかに離れた宙空で滞空。
仙導を援護する態勢に入る。
「来てくださったか……!」
そんな仙導等の現れた姿を見て、まず声を上げたのはウォーファ。
明かせば、事前に特動隊より村に供与されていた通信機器にて、基地に救援要請を発したのはウォーファ自身。
その知らせが届き、救援が来た事を理解して感謝を覚えての声だ。
「ッ゛ゥぅ……なんだァ?」
一方、頭オークにあっては。
今に撃ち弾かれた己が腕を庇い摩りながら。その端麗な顔に、キレのある目に、微かな怒りの色を作って仙導を睨む。
ここで明かし説明すれば。
今に頭オークの腕を撃ち弾き、ウォーファを下卑た企みから救ったのは、それを成したのは。
仙導が装備するデバイスに備わる火器――25mmのガトリング砲、GAU-22/Aだ。
詳細には、今に用いられたのは特殊な弾頭と減装薬を用いる非殺傷弾。
現状、特動隊は状況の初動においては非殺傷弾を用いる取り決まりとなっていた。
もちろん殺傷性能のある通常弾も同時に携帯しており、必要とされる状況となれば「本気」で戦う事も想定されているが。
「こちらは日本国、特別活動隊だ。君たちが集落への襲撃者が?悪い事は言わない、碌でもない企みは止めて引き下がるんだッ」
その睨みを見せた頭オークに。攻撃を加えられ、企みを邪魔されたことに怒りの色を見せる「彼女」に。
しかし仙導は臆することなどなく、状況にその動きから、頭オークたちが村への脅威存在なのだと判断認識。
次には自身の身分所属の名乗りと併せて、警告の言葉を発し向ける。
「ニホン――そういやァ、最近妙なヤツ等が現れ動き回ってるって噂を聞いたがァ……はァん、お前ェらがそれってトコかァ?」
そんな警告の言葉に対してしかし頭オークは。聞き留めたワードから少し考え浮かべる色を見せ、そして次にはそんな探るような言葉を寄越す。
どうにも日本の、特動隊の存在を。その噂は彼らにも届き聞き及んでいるようだ。
「グクゥ、腹を満たすために、この村から色々頂くのが目的だったが……面白ェのが現れたなァ」
そして次には、頭オークはそこでまの不機嫌そうな色を消し。
何か面白そうな、興味深いものでも見つけたような不敵な笑みを作り、そんな言葉を寄越す。
頭オークは戦いを好む気質を有すのか。それには現れた「新手」の度量に期待する色がありありと見えた。
「止めておけ、痛い目を見たくなければ引き下がるんだ。三度目の警告はしない」
そんな色を、企みを見せる頭オークに向けて。
仙導は敢えて冷淡に作った目と声色で、そう忠告の言葉を向ける。
「グククっ、大きく言うじゃねェかァ」
そんな仙導の忠告に、しかし頭オークが返すのは嘲る色での声。
「そんなら――止めて見ろやァ!」
そして、そんな言葉を張り上げ放ったのと同時の直後。
ドッ!、と。
頭オークは地面をその凄まじい脚力で思いっきり踏み、まるで射出の如きそれで飛び出した。
頭オークの身体はそこから、その巨体からは信じられぬ速さで飛び進み。まさに一瞬で仙導へと間合いを詰める。
「オォオらァっ!!」
そして間合いに入ると同時。すでに予備動作で振りかぶっていたハルバードを、仙導に向けて思いっきり振るい降ろし。
それは、地面を凄まじい強さで叩き。爆発の如き音を立てて土砂を巻き上げた。
「――!?」
だが、直後。驚愕に目を剥いたのは頭オークの方だった。
頭オークのその手に手応えは無い。叩き降ろしたハルバードは、空を切って虚しく地面のみ叩いて割っていた。
直前までそこにあったはずの仙導の身体は、しかしそこから消えていたのだ。
なら、仙導の身はどこに。
「!?」
それは、次の瞬間に頭オークの背後に生じた気配が教えた。
「――ッ」
頭オークの背後の宙空。
そこには跳躍回転の動きから回復し、しかしまだ足を地についていない仙導の身体があった。
仙導は、頭オークのハルバードの一撃が叩き降ろされる直前。
その場から真上に跳んでそれを回避。さらにそれから連続する身体の捻り・回転の動きで頭オークの背後を取ったのだ。
そして、
――ドッッ!
「ゴゥォっ……!?」
その仙導は、未だ地に付かぬその脚を。デバイスを履くその脚を薙いで繰り出し、脚撃を放った。
そしてその膝は、打撃は。背中を、隙を晒した頭オークの後ろ首に見事に入り。
頭オークに、鈍く掠れた悲鳴を上げさせた。
「コぁ……っ」
頭オークは、その身体は。その見た目に違わず決して脆弱ではない。
しかし着装したデバイスによる強化に乗せられた脚撃は、それを崩す程に強烈であり。
頭オークはその脳を揺さぶられて意識を濁し、そして失い。
次にはガクリと膝を折って崩し、そしてその巨体を大きな音を立てて地面に沈めた。
「――ふッ」
頭オークが倒れ沈んだのと一瞬の差で、仙導はその放った脚を引くと同時に地面に着地。
その手応えを感じながら。
身を、体制を整えるように、小さく一息を吐いた。