トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
出張所に戻った二人は、「やはぎ」及び警備班の到着の知らせを伝えられるが早いか。
クイナを聞き知った事柄を伝え、そして自分等の考えを意見具申。
今の事態、状況に対して自分等が助けになれることが何かないか。そしてその行動の許可を出張所を通して特動隊司令部に求めた。
もちろんというか、特動隊司令部、すなわち仙導始め主要幹部からは。すぐに大々的な行動を起こすことはできないとの返答があったが。
しかし、状況に対しての情報収集の必要性が鑑みられ。門手と呉市の二名には、帰路がてらにその『ヤガシラノヒリュウ』の生息地域の偵察行動を行うよう、許可並びに指示が降りた。
そこには二人の心内を察しての配慮もあったのだろう。
その『ヤガシラノヒリュウ』が生息地とし、また配下としている妖の部族が根城としている島は、『クリュウの島』と呼ばれるそうだ。
元より涼しく心地よい、時によっては肌寒い気候のカナタの島よりさらに北東に存在。
経緯度の関係からその気候環境は寒冷地に入り、険しい山間部で全体が成る島は雪化粧で覆われていた。
「――気持ちまで寒くなってくる景色だな」
「あぁ」
そんなクリュウの島の上空を現在、門手と呉市は――F-3A戦闘機をベースとするデバイス装備のユニット。
ファー・アウェイ02のアクィア1-2及び1-3は飛行していた。
今は眼下、島の様子が観察できる低めの高度を保ち。高めの山の頭頂部を掠めてしまいそうなまでの様相で、二機編隊で飛んでいる。
現在の行動の第一義としては、クリュウの島の地形観測を名目とするが。しかしその実には、『ヤガシラノヒリュウ』及び生贄と連れ去られた少女を探しての、索敵行動の目的が含まれる行動だ。
そんな形態で、クリュウの島の上空低空を、しばらく索敵を行いながら縫い飛んでいた二人。
「――ん?」
しかしその最中、二機編隊を組む内の呉市が。上方の空の一点に、何かの動きを見た気がした。
そして視線を、顔を上げた直後。それは確信へと変わる。
「!、目を開けッ!真上ッ!」
「ッ!!」
次には呉市は、肉声及び通信に怒声を張り上げ。それを聞くが早いか門手も事態に気づく。
そして同時、二名二機はその身を、「機首」を思いっきり上げて。併せてエンジン・モジュールを吹かして急上昇行動に転じる。
その直後。
二名二機は、上空から急降下を仕掛けて来た複数の何かの「影」とすれ違い。
その複数の影は、先まで二名が向かおうとしていた進路先の宙空を。まるで喰らい裂くかのような様で飛び抜ける姿を見せた。
「現れやがったッ!」
「ッ――「龍」だッ!」
次には上がった上方上空で、まだ上昇を伴いながらの急旋回行動に転じながら。
門手に呉市は、首に視線を振り向けて降ろし、すれ違い眼下に抜けて行った「影」を。その姿を見て捉えて発する。
それは、複数体の「龍」。
伝承や創作に見聞きするような、お手本のような姿形。大きさにあっては戦闘機の平均的な機体の大きさと比べ、、一回り大きいものから逆に小さめのものまで。
個体差が見えるそれが三体ほど。
それらは今の急降下の襲撃行動から散会、こちらに反転上昇してくる姿を見せた。
「ッ、やろうってかッ!」
「コマンドポイントッ。ファー・アウェイ02エンゲージ、繰り返すエンゲージッ!」
門手は荒げた悪態を吐き。呉市は特動隊基地の管制に、通信にて張り上げ伝え。
同時に両名は左右の別方へバンクにて散会。それぞれの方向へ急旋回を伴う降下行動を開始。
空中戦闘行動へと突入した。
「ッ」
幸いか、機動性能ではこちらに利があるようだ。
降下を伴う急旋回から機体姿勢、進行方向を変えた呉市は。
次にはその正面に、まだ旋回途中で隙を晒す一体の龍の体を、ヘッドオンし捉える。
そして自身の眼前に宙空投影で表示されたHUDに、その照準レティクルに。その龍の姿を収め捕まえ。
――「攻撃」の、射撃の意志を念じた。
瞬間。デバイス装備に備わる得物、M61A 20mmバルカン砲が唸りを上げた。
ガトリング砲の特性にて高速連続で撃ち出された多数発の20mm機関砲弾は、まさに一瞬で捕らえた龍へと叩き込まれ。
龍は次には機関砲弾の炸裂に巻かれ、その体を容易いまでに砕かれ。
そしてボロ切れのようにその体を砕かれ千切られ、儚い様で宙空を散って行った。
「一機撃墜ッ」
その様を見て、通信に報告の声を上げる呉市。
しかしその意識に動きは、すでに次へと移っている。
側方向こうの上空では門手が同じく、まさに今の瞬間に機関砲火を叩き込み。相手取っていた龍を撃墜した瞬間が見える。
しかし同時にその門手の背後から、そこを狙い喰らいつく算段か、旋回飛行にて忍び寄ろうとする別の龍の姿が見えた。
「――ッ」
そうはさせない。
呉市はすでに始めていた加速を伴う旋回進路変更で、その龍を追いかけ正面に捕らえる。
そして、その射線に門手までもを収めないように注意を払いながら、レティクルに再び敵影を照準。
――攻撃の意志を念じ。
ガトリング砲を再び唸らせ。向こうの龍に叩き込みその体を砕き散らせ、その企みを阻止した。
《――っと、すまん》
「大丈夫だ」
敵の接近には気づいていたようで、機動回避行動を始めようとしていた門手は。
しかしその前に己の背後に付こうとしていた龍が砕け散り落ち。それが呉市のおかげである事を理解し。
行動を中止、通信にて礼の声を寄越し。呉市はそれに問題ない旨を返す。
《片づけたか》
「上がって再編しよう」
次には門手は周りを見回し、襲撃者を退け片づけたことを確認。
併せて呉市は促し、二名は上昇から上空高度で合流。二機編隊を組み直す。
「いきなりだったな、ホームに入り込んだヤツには容赦なしか」
「のようだな。コマンド・ポイントへ、ファー・アウェイ02は敵を退け――」
ひとまずの状況を凌いだことに、門手は警戒は保ちつつも少し緊張をほぐしてのそんな声を零し。
呉市はそれに答え。そして管制に状況報告の通信を上げて送ろうとした。
「――ッ!!おい、あれを見ろッ!」
「!!」
しかし、次にはそれを阻むように門手が声を張り上げ。
その視線が示した方向を追い、呉市も「それ」を見る。
見えたのは眼下下方、地上の山間の真上を飛ぶ、多数の「龍」からなる飛行隊形。
そしてその中に、特に目立ち目を引く存在がある。
それは複数の、八つの龍の頭を持ち。さらには複数対の大きな翼までもを携える。
巨大な龍であった――