トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
二人が見つけ見たもの。それは、多数の龍が形成する飛行隊形。
そしてその隊形の中心に見えるのは、ジャンボジェット機と同じか、それを越える程と見える巨体を持つ。
さらには複数、八つの頭と。複数対の翼を持つ巨大な龍だ。
「――あれかッ?」
「ヤガシラノヒリュウ――ッ!」
多数の龍、配下であろうそれを従え、山間の宙空を堂々と飛行する巨大なそれ。
それは、二人が出張所にて見た巻物資料に描かれていたままの姿形。
それが『ヤガシラノヒリュウ』であろうことは疑いようが無かった。
そして当然か、向こうもこちらの存在にすでに気づいているようだ。
その配下であろう龍たちが、次々に飛行隊形を上昇にて離れて旋回。迎撃行動だろう、こちらへと飛び向かってくる姿見えた。
「羽付きのヤマタノオロチ――本丸を見つけちまったなッ!」
「コマンド・ポイントッ、こちらは該当の脅威存在と思しき個体と接敵ッ!さらに敵影多数、再度戦闘行動に入るッ!」
その圧巻の姿を眼下に見て、門手は皮肉交じりの悪態を吐き。
呉市は管制に、また怒声に近い急く声での知らせを張り上げる。
そしてそれと同時に、両名は再びの戦闘飛行行動へと突入した。
二名は一度、眼下を飛ぶ敵の飛行隊形から、そして上がり追って来た迎撃の龍たちから逃れる形で。加速を伴う大きな旋回軌道を取る。
先の空中戦で、飛行機動性能では自分等に利があることは分かったが。
しかし数的には敵側に利がある状況。考え無しに突っ込み、闇雲に戦闘行動を行うのは危険と判断しての行動だ。
「どうするかッ?」
敵から一旦離れ、遠巻きに見るような飛行軌道で時間を稼ぎながら。
どう戦うか、取るべき行動を講じる言葉を零す門手。
「!、おい、あれが見えるか?」
しかしその次に、呉市が何かに気づいて門手にそう声を紡ぐ。
「なんだ?どれを見てる?」
「敵の本隊のほう。中くらいの大きさの龍が、何かをぶら下げてる」
件の『ヤガシラノヒリュウ』を中心とする敵の本隊隊形は、今も山間に沿って低めの高度を、向こうもこちらから離れようとする進路で飛び進んでいる。
その隊形の内に、ヤガシラノヒリュウに続くように飛ぶ、別の中型の龍が見える。
そしてその中型の龍が胴に、腹に。何か駕籠のようなものを下げ運んでいるのが見えた。
「あれはッ――ひょっとして『お姫さん』入りか?」
「可能性はある」
次にそれを見て気づいた門手は、そんな表現でのある推察の旨を零し。
それに呉市はそう返答。
「ワンチャン、奪還できるかも」
「やる価値はある」
そして次には、二名はそれぞれのそんな言葉で、「実行」を合意。
「どう行く?」
「正面から突っ込み脅かし。できた隙を突いて回収し、離脱する」
「荒っぽくなるなッ」
続けて二人は簡易な言葉で、「その作戦」のための手順方法を交わし調整。
「行くぞッ」
そして呉市が開始の声を上げ、次には二名はその作戦行動を開始した。
進行方向を変えての大きな旋回行動を始めながら、二名はエンジン・モジュールを吹かして急加速。
その速度から二名はすぐに迎撃に追って来た龍たちを振り切り。そして龍たちの本隊隊形のほうへと追い付き、それを眼下下方に見ながら一度追い越す。
そしてそのタイミングで、二人は旋回角度をよりキツくして急旋回。
間もなく旋回を完了させ、二名二機が位置したのは。なんとその龍たちの本隊隊形の真正面。それもその頭、機首を、飛行方向を突き合わせる形でだ。
そう。門手と呉市は、ブルファイトを仕掛ける腹積もりだ。
「ぶつかるぞッ」
「かますぜェッ」
それぞれの身体を、機体姿勢を定めると同時に、景気づけの声を呉市と門手はおれぞれ張り上げる。
一方、龍たちの隊形からは、護衛と思しき龍たちが慌てた様子で前へと繰り出て来る。
さらに、今もの中心に居構える『ヤガシラノヒリュウ』は。しかしその姿様子に、何か不愉快な色を見せたように見える。
そのヤガシラノヒリュウを護り庇うため。こちらの進路を阻むように前に出て来る護衛の龍たち。
その様子は、動きは。『曲者が!』、『無礼者が!』とそんな事をこちらに向けて訴えているようにも見えた。
「人攫いが、偉そう示してんじゃねェッ!」
しかしそれに叩き返すように、門手が怒号を張り上げ。
そして次には、門手と呉市は同時に「攻撃」の意志を念じ。それぞれ備えるガトリング砲を唸らせた。
二名二機が同時に撃ち出し放った無数の20mm機関砲弾は。正面進路を阻もうとした龍たちに叩き込まれ。
その貫通に炸裂が護衛の龍たちを襲い喰らい、容赦なく砕き千切って宙空でボロ切れへと成れ果てさせ、儚く散らす。
さらに撃ち込んだ機関砲弾のいくらかは、背後のヤガシラノヒリュウにも命中弾を生む。
しかしその巨体の堅牢さは、流石に並みならぬものであるようで、その巨体に有効打は確認できず。
ヤガシラノヒリュウは不愉快を示し、そして威嚇を兼ねたものか、劈く雄叫びを唸り上げた。
「ッ!うるさッ」
「お怒りだなッ」
空気をビリビリと振動させる、恐ろしいまでの劈く雄叫び。
しかしそれを正面から受けながらも、門手と呉市はそれに端的な悪態、もしくは皮肉のみで反応。
その進路に速度を落とし変えることは無い。
そしてそんな間にも次には、二人はヤガシラノヒリュウへと急接近。
真っ向から迫って来る二人に、流石に激突を警戒してか。ヤガシラノヒリュウは身構え、そして微かにそこに戸惑う色を見せる。
そのヤガシラノヒヒリュウの懐、目と鼻の先へと。間違えば激突してしまうかと思うまでに迫った瞬間。
――急激な飛行動作で、二人は二手に割れ。ヤガシラノヒリュウの左右を高速度で飛び抜けた。
分かれ高速で飛び抜けた二人が、同時にチラと一瞬振り向けば。
本当に激突してしまうと思って身構えたと見える、そのヤガシラノヒリュウが。しかし事態をすぐには理解できずに驚き狼狽え、半ば呆けている姿が見えた。
「お前さんの相手は今度だ!」
そんなヤガシラノヒリュウに向けて、門手が揶揄うようなそんな一声を飛ばし。
そして二人は次には正面、進行方向に集中する。
二人の目的は、ヤガシラノヒリュウに続いていた中型の龍。正しくはそれが下げ運ぶ駕籠の「中身」だ。
次には、門手がまた「攻撃」の意志を念じ、備えるガトリング砲を撃ち放ち。
撃ち込まれた機関砲弾は、中型の龍の胴に叩き込まれ命中。
その大きさから中型の龍は砕け散ることこそなかったが、悲鳴を上げて宙空でうねり。深手を負ったことから飛行能力を損失、ゆっくりと降下、墜落を始める。
「回収する、援護頼むぞッ」
「もちろんッ」
そして次には呉市が、門手に任せる声を飛ばし、それの返事を聞きながら。
落ち始めた中型の龍の腹を、そこに下げ運ばれる駕籠を目指して飛び込んだ。