トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
現在、特別活動区の特別活動隊の基地には。
航空宇宙自衛隊より、教導指導などの目的で。ある二つの隊が派遣されてきて、一時所在していた。
一つは――〝基地警備教導隊〟。
航空宇宙自衛隊にて、対ゲリラコマンド戦などを始めとする基地警備分野を研究。及び各基地警備隊への訓練教育等を担い。
必要な際には空自自前の機動部隊としても運用される、専門部隊。
そしてもう一つ――〝航空支援隊〟。
そう呼ばれる隊。
航空宇宙自衛隊にて、空地作戦(陸上部隊との協同作戦)に際する、航空火力の統制調整を。
砕いて言えば、航空爆撃の誘導等を担う隊。
その実態は昨今まであまり表に出る事が無く、不明な部分が多い隊とされていたが。
聞き及ぶ噂によれば、同隊は同空自の救難隊や基地警備教導隊。さらには陸自の水陸機動団や特殊作戦群とも共同訓練や技術交流をしているとされており。
また、多種多様な厳しい訓練に身を投じ。身体に技術を磨き。
書類名目上は支援部隊とされているが。
その実態は特殊部隊のそれとも言える、強力な存在であった。
そんな、それぞれがそれぞれの教導指導任務等のために基地に訪れていた、その二つの隊に。
特動隊より今回の事態が伝えられ、そして協力要請が送られ。
そして両隊は、当然のことと言うように。それへの参加を表明してくれた。
かくして、航空救難作戦は始動。
そのための隊は、航空宇宙自衛隊の各隊、職種より抽出され。
数の上では基地警備教導隊、及び特別活動隊 基地警備隊を主力として小隊を編成。
それに、基地にまた所在する航空救難隊、言わずと名の知れたメディックと。
そして、航空支援隊の要員を組み込む形を取る。
この要員には空自時代の仙導との縁、義理から、参加に名乗りを上げた者も居た。
それらをもって編成された隊は、「臨時戦闘捜索救難隊」と名称された。
簡易にその編成概要を記述する。
〇臨時戦闘捜索救難隊
・隊本部及び各付き班
・戦闘小隊
・火力班
・航空誘導支援班
人員にて30名ほど。
これらの編成で成る隊は、また同じく基地を訪れていた航空救難隊 ヘリコプター空輸隊の協力を得て。
その運用機であるCH-47J(LR)にて。
編成完了とともに、基地を発し。
ファー・アウェイ02の両名両機。呉市と門手を救うべく、クリュウの島へと向かった。
臨時戦闘捜索救難隊を乗せたCH-47Jは、一度大陸沿岸の港湾基地、先のやはぎなども一時母港としているそこに立ち寄って補給給油行い。
そこからさらに飛行を続け、現在は目的のクリュウの島を目視できるまでに来た、その洋上を飛行していた。
なお現在すでに、制空、航空支援のために基地から航空飛行班も出動。先んじてクリュウの島の空域に進入し、すでに捜索行動に入っているとの報が入っている。
またこれは。基地の護りは先日着任した笹、不堂の両名に任せて、仙導がバディの航軌院を連れて自ら出動していた。
「――大変なことになったな」
その洋上を飛行するCH-47Jの機内、貨物室で立ち構え。
愛らしさを含む透る声で、しかし端的にそんなボヤきを零す隊員――美少女の姿があった。
外見年齢は、15~6歳程。
整った顔立ちには、バチッとまつ毛が主張する愛らしい瞳が映え。その顔は、ウェーブを掛けたフワッとボリューミーなツインテールを作る、黒寄りの灰色髪で飾られている。
表現すれば、お手本のような「ギャル」。
ちなみに周りからはその見た目は、「オタクに厳しそうなギャル」などとも評されている。
しかし反して、そんなギャルの美少女がその健康的な発育の身体に纏うは。
空自の運用するデジタル迷彩服(正式には作業服改の名称)に、同色彩の武骨な防弾ベスト。また同色のカバーを巻く鉄帽に、編上靴にグローブ。
そして彼女がその腕に抱え控えるは、不釣り合いな火器。5.56mm機関銃 MINIMI Mk.3だ。
そのギャル美少女は、特動隊に派遣される、航空宇宙自衛隊 基地警備隊の隊員。
補足すると、特別活動区及び基地の警備警衛は陸空共同で行われている。
そして彼にあってはやはりというか。その機関銃を「着装」したことから、そのギャル美少女に姿を変じた男性。
実年齢は27歳。
その変貌したギャル姿に反して、切れ者と評される性格人物の持ち主であり。元の男性時の容姿にあってはその色に気配の見えるもの。
そして安定した前職から、一種の興味本位で入隊して来た変わり者でもあった。
「実戦、それも敵地に臨む機会が訪れるとは」
そんな生図は、此度の作戦にも自ら立候補した内の一人だ。
今は状況事態を改めて脳裏に反芻し、そんな声を零しながらも。
その意識、及び身体は適度な緊張に包まれ。これよりの任務に臨むに足る、尖る感覚を覚えていた。
「島が見えて来たッ。間もなくだぞ、心身の準備をしろッ」
そんな所へ、貨物室内に声が響く。
それは臨時戦闘捜索救難隊の隊長を務めることとなった、基地警備教導隊からの一等空尉の指示の声。
その一尉は、生図も一度見ていた長身で強靭な男性の姿から。紫掛かったロングの黒髪が美麗な、毅然とした気配に容姿の、そしてナイスバディの長身美女に変貌した姿。
服装装備にあっては生図に類似しつつも細かくを違え。控え装備する火器は、「着装」の影響元となった20式5.56mm小銃。
その一尉の指示を受け、隊の各員は今一度それぞれ自身の装備を確認。
併せて意識呼吸を整える。
「ふッ」
生図もそれに倣い、小さく息を吐いて意識を整える。
「大丈夫かい?カワイ子ちゃん」
そんな所へ横隣りから、透りつつも何か妖艶さを含む声が掛かる。
横に立っていたのは、その声からイメージできる通りの、長く美麗な黒髪が映える端麗ながらも妖艶な美女。
しかしその装備服装は、デジタル迷彩服こそ各空自隊員と同じくしつつも。他は多種の独特固有の装備に機器を着けるもの。
そして服装の要所に付ける階級に識別から。その妖艶な美女が、航空支援隊からの「終末誘導員」の二等空尉であることが判別できた。
その名札には、
「見た目に反してクールそうに見えるが。だけど、なかなか緊張してそうだね」
「えぇ、大分」
その航空支援隊の妖艶な美女二尉、天始は。生図に向けて言葉を向けて来る。
それに、正直なところを答える生図。
「だろうね。ちなみにキミは中身メンズかい?私はそうだけど」
「自分もですよ」
併せてそんな、「着装」が普及し始めて以来、よくあるものとなった質問を向けて来る天始。
こちらの緊張している様子を見て、それを解してくれるために声を掛けてくれたものだと分かって。生図は意識することもそれを邪険にすることも無かったが。
傍から見ると、それは妖しい美女がギャルに絡んで口説いているようにも見えた。
「二尉、生図一士もそこまでとしてくれ。島の上空に入るぞ、準備ィッ」
しかしそこへ二名に注意を促し、併せて各員へ指示する声が一尉より張り上げられる。
言葉の通りCH-47Jはもう間もなく、目指すクリュウの島の上空へ入ろうとしていた。
「おっと。じゃあ、地上ではよろしく頼むよ」
促され、その指示を聞き。
天始はその妖艶な顔立ちに似合わぬ、イタズラがバレた子供のような色を見せると。
彼、いや彼女等のための準備調整があるのだろう。場を移動し、航空支援隊の要員等で集って声を交わし始める様子を見せる。
そんな様子を見送り、生図は次にはチラと近場の貨物室窓から外を見る。
島の上空に入り、捜索及び索敵のために機が高度を下げ始めたのだろう。
窓の外には連なる山の頭頂部が流れ見え始める。
――衝撃が。
爆音、炸裂音が響き。爆発が伝える衝撃と思しきそれが。
CH-47Jの機体を揺らし、搭乗する各員を驚かせたのは直後であった――
基地警備教導隊と航空支援隊を登場させて、空自の地上ユニットを活躍させたかったがために今章を優先した所があります。