トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
「ッ!?」
突然、機の近くに起こりを感じた爆音に。その爆発の影響であろう機の振動に。
搭乗する各員は驚愕し、生図もそれに漏れずに目を剥く。
「ッ――掴まれッ!いきなりの歓迎だぞッ!」
そんな貨物室の各員へ、コックピットから機長の声で。今は着装状態でないため、男性である彼の声で。
今の爆発振動が「敵」からのものである事を明かし、併せて忠告する言葉が寄越される。
「対空火器かッ!?」
「いやッ、もうチト古めかしい古風な大砲のようだが――当たれば只じゃ済まんぞ!」
次に貨物室より一尉が飛ばした、敵の攻撃の正体詳細を推察し尋ねる声に。
しかし機長からは、そんなように答える返事が返って来る。
次にはそんなやり取りをも阻むように、機の近くで二度目、三度目と連続的に爆発炸裂が巻き起こり。
その衝撃がまた機体を揺らし、そして飛散した「弾」の破片であろうものが機を叩く。
その影響で、貨物室内で隊員の内の何名かが姿勢を崩し。各員は慌て近場の物を掴んで掴まる。
「ッ――生図ッ、ドアガンに付けッ!」
その最中で、一尉から生図を指名してそんな指示が飛び来る。
「ッ、了ッ」
受けたそれに生図は反射で返答。その次には半ば倒れていた身体をそのまま動かし向け。
コックピットのすぐ後ろ右側に設けられる機の乗降ドアの、そこに設置されている「得物」に、しがみ付くように取り付いた。
それは、M134。
いわゆるミニガンの名称で知られる、7.62mm口径のガトリング砲。
本来の空自の装備には無いものであり。
それは名目書類上は自衛隊組織ではない特動隊から、「借りる」形で持ち込まれ装備された此度の経緯をもつ。
そのミニガンのグリップを掴んで取り付くと同時に、生図は乗降ドアの開口部から望める向こう眼下に広がる景色を見る。
広がるは、雪化粧で彩られた連なる山々で成る地上。
しかし生図は次には流した視線で、その景色の中の所々に、その美麗な景色に不釣り合いな物々しいものを認める。
連なる山々の表面、その所々には洞窟の入り口のような穴と、それに伴う足場のようなものが見える。
そのそれぞれの上に動き見えたのは、亜人種。事前に聞いていた所では、こちらの世界で『鬼』の意で呼ばれ、まさにその通りな姿形をする屈強な者たちと。
そして武骨な大筒、「大砲」だ。
現代的なものではなく、遠目にもまるで戦国時代などに作られ活躍した物のような印象を受けるそれ。
それをもって構築された、各「火点」から。
CH-47J機を狙い、砲火が上がり寄越されている。
その弾は原始的だが炸裂効果を有するようで、次にはまた飛び来た一つが機の近くで炸裂。
鈍い衝撃を伝えた。
「ッ――!」
それ等を流した視線で認め、創意工夫を凝らしたであろう山々各所のその火点陣地に、呆れ交じりの驚きを覚えたのも一瞬。
次には取り付いたミニガンを操り、事前の砲身の予備回転をさせながら旋回、地上のその一つに雑把に狙いをつけると。
生図はそのトリガーに当てた指に力を込めた。
――ミニガンが、操り主の意志を反映して唸り響いた。
独特な、境目も聞き分けられない程の連続する射撃音と併せて吐き出された、無数の7.62mm弾は。
次の瞬間には、機の一番近く眼下に位置していた敵の大筒火点に、「死の雨」となって降り注ぎ。
火点の場に居た屈強な鬼たちを、しかし容易く縫い貫いて肉片へと変え。
大筒を操る者を無くし排除、火点を無力化した。
「次だ――次をッ」
しかしその一つの無力化に安堵すること無く、生図はミニガンを続け操り攻撃掃射を続ける。
照準を移し変え、次の敵火点を。それを無力化すればまた次を。
流すような動きで確実に潰し、機の眼下近くのいくつかの敵火点を排除してのける。
しかし、敵の火点はまた周囲の山々にいくつも存在するようで。そしてその攻撃の苛烈さは増し。
またいくつかの大筒からの攻撃砲撃が、機の近くで炸裂を生み、機を揺さぶる。
「どんだけこさえたんだ、チクショウッ」
揺れる機内で、それに対する隊員の誰かからの悪態の声が上がる。
「ダメだッ、想定以上に敵の火点網が厚いッ!着陸予定地点まで行くのは現実的じゃ無いッ!」
「ッー、やむを得ないかッ」
次にはコックピットから機長のそう訴える声が張り上がり、それに一尉も返すように苦い声を上げ。
プランの変更をせざるを得ない空気が走る。
しかし。
直後瞬間、CH-47J機を。
今までとは明確に違う、大きく直接的な衝撃が襲った。
「ッ!――おァ!?」
そして次に、起こったその「現象」、それが与えた感覚に。生図始め機内の何名かが驚愕の声を上げる。
機体が、ガクンと振動するような大きな動きを感じると同時。機内貨物室の皆、各員の身体がグァと浮かび上がったのだ。
それは、機体が一瞬自由落下したことによる影響現象。
それが機内に無重力状態を生み、各員を見舞ったのだ。
「掴まれェーーッ!!」
次には、コックピットから機長の怒号の如き声での忠告が飛び来る。
「後部エンジンにアラート、出力大幅低下ッ!」
「ッ、ローターが止まるッ!」
そして、立て続けに聞こえるコックピットからの機長と副機長の張り上げ声。そしてけたたましい警報音。
聞こえる声に警報音から、敵の大筒からの砲撃が機のエンジンに命中し。動力を失ったのだろう事は容易に分かった。
「ッォ――!?」
その間にも、最早攻撃か損傷かどれの影響か判別がつかないが、再び機体が大きく振動。
貨物室内で生図に各員は揺らされ、満員電車どころではない騒ぎで振り乱される。
「前部も停止しろ、安定が優先だッ――不時着するぞ、備えろォッ!」
そしてそんな中へ寄越されたのは、機長からの知らせ訴える言葉。
「ッ――!」
それを聞き、生図は我武者羅の様相で。扱っていたミニガンのグリップを頼りしがみ付く。
その際、乗降ドアの開放部からわずかに見えた外に。先まで眼下に見えていたはずの山々の頭頂部が、高く頭上に見えたことから。
生図は地上がすぐ近くであることを瞬間に察し。
そして。
「降ろすぞッ!踏ん張れッ!!――」
次に響き届いた、機長の警告の怒鳴り声を聞いた直後。
生図を、各員全員を、機体を。
叩きつけるような、凄まじい衝撃が襲った――