トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記   作:えぴっくにごつ

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Task21:「不時着現場戦闘苛烈」

「――ッぅ――」

 

 視界が、揺れてぼやけている。

 不時着の際に、軽い脳震盪を起こしたか。生図は心地の悪い倦怠感を覚えながら、しかし自身が引き続きミニガンに掴まりもたれかかっている事に気づく。

 

「――生図、生図分かるかッ?」

 

 そこへ、自身の肩に強く掴むように手が置かれる感覚を感じ。同時に自身に呼び掛ける声を聞く。

 それを切っ掛けに、生図の意識は徐々に回復。

 完全ではないが物事を認識でまでになった所で振り向けば、そこには今の声の主、一尉の姿が見えた。

 

 そして同時に耳が、回復した意識が捕らえたのは。周囲から響き届く多数の張り上げ声と、銃声だ。

 

「生きて……ます?」

 

 それを認識しつつ。生図はまだ自分でも自身の身体の状態が不明なことから、そんなあやふやな返事で一尉に返す。

 

「外傷は無いようだが、痛みは?」

「ッ……多分、無いかと……」

 

 それに一尉からは、彼女(彼)から見た生図の状態が伝えられ。併せて当人の感覚を尋ねる旨が掛けられる。

 それに生図は、自身の身体に少なくとも大きな痛みは無く。そして五体満足であることを感覚で確認して答える。

 

「ヨシッ、なら引き続ミニガンで外を援護するんだッ。敵はそこかしこから湧いて出てきてるッ」

 

 その回答を受けた一尉は、ならばと生図に指示を与え。そして自身は外での戦いに加わるためだろう、身を翻して貨物室を後ろのカーゴドアから飛び出して行った。

 

「ッ」

 

 それを見送ったのも一瞬、生図は乗降ドアの開放部から外の景色を見る。

 場所は山間の一点、浅い擦り鉢状の地形の中心。CH-47Jの機体はそこに落ち、雪に覆われた地面に沈んでいる。

 

 そして周囲の向こうにワラワラと現れて見えるは、武装した屈強な鬼たち。おそらく聞かされていたヤガシラのなんとやらの配下たち。

 

 それを相手取り、臨時戦闘捜索救難隊の各班各員は、墜落した機体を中心に周囲に遮蔽配置し展開。

 各火器を操り銃声を響かせ、苛烈な応戦戦闘を行っていた。

 

 次にはその各員を援護すべく、生図はミニガンに取り付き直し、操り照準を定め。

 トリガーに力を込めてそれを唸らせ、向こうに銃火を向け叩き込み始めた。

 

 狙うは向こうに見える、擦り鉢地形の稜線。

 射線が味方に重ならぬように注意しながら、稜線を越えて湧いて出て来る鬼たちを、銃火にて薙ぎ浚えるように砕いて沈める。

 

「ッ……!」

 

 細かく照準を変え、射線を左右に流す形で往復させ。稜線より現れる鬼たちを崩し沈め、外で戦う味方への援護を行う生図だが。

 扱うミニガンがその挙動に異常を訴えたのは間もなく。

 

 そしてそれを感じた次には、ミニガンは嫌な音を立てて射撃を止め。続いて砲身の回転が虚しく力無く停止。

 おそらく墜落の衝撃影響でどこかに支障をきたしていたのだろう。それが今に明確な故障の様を伝え、その動作を停止した。

 

「あぁ、チクショウッ」

 

 その事実に悪態を吐きながらも、ならばと次に取れる行動に移るべく。

 生図はミニガンを離れ、機内の近くに落ちていた自身のMINIMI Mk.3を拾い取り。

 数名の負傷者と、それの看護をする隊員の居る貨物室内を抜けて駆け。機体後部のカーゴドアから外へと踏み繰り出した。

 

「――」

 

 飛び出した瞬間、視界、景色が広がる。

 墜落した機体を中心に各方向に、各隊各班は地形を利用して遮蔽配置。

 現れ向かってくる鬼たちを相手に、防衛戦闘行動を繰り広げている。

 

 生図はその中でも、先にミニガンを向けていた一方向が。そこの稜線が今も敵の出現が一番活発だと見て判断。

 それを正面とできる近くの岩場を次には認め。そこに先に遮蔽展開していた隊員等の元へ、割り入り飛び込み遮蔽した。

 

 見れば、敵である鬼たちが持ち扱う武器は、火縄銃に手持ち大筒などの古風な火器。

 しかしそれらの威力は侮る事はできず、近場各所を掠め。炸裂で煽り、こちらの隊各班各員を脅かす。

 

 だがそれに臆することなく、こちらの各班各員もまた。果敢に苛烈に銃火を上げ響かせて応戦、戦闘行動を行っていた。

 

「生図ッ、動けるんだなッ?」

「回復しましたッ。ミニガンは破損、もう使えませんッ」

 

 その場には、陣頭指揮を執りつつ自身も戦闘行動を行う一尉の姿もあった。

 その一尉から、現れ合流した生図に尋ねる声が飛び。生図はそれに自身の回復復帰と、そしてミニガンが破損停止した旨を伝える。

 

「仕方がないッ、貴様は軽機で正面に弾幕を展開しろッ」

「了ッ」

 

 報告を受けた一尉は、ならばと分隊支援火器の担当である生図に行動を指示。

 併せての動きで次には向こう正面に自身の20式小銃を突き出し向け、発砲。迫っていた一体の鬼をヘッドショットにて撃ち退ける姿を見せる。

 その一尉に生図は答え、次には急く動きで、遮蔽の岩場に自身のMINIMI Mk.3を据え置き構える。

 

「ッー――」

 

 そして、大雑把に目星、照準を着け――発砲。

 軽機を撃ち唸らせ。向こうの稜線に、それを越えて迫る鬼たちの隊形に向けて掃射の銃火を撃ち込み始めた。

 

 鬼の何体かにばらまいた銃火は諸に命中。屠り沈め、そうでなくとも負傷を追わせてその動きを止める。

 それを見つつも、生図は軽機を微調整にて動かしその射撃方向を変えながら。掃射銃火を絶やさず薙ぐように向け注ぎ、鬼たちを屠り沈め、あるいはその頭上に近くを掠めて脅かす。

 

「いい調子だぞッ、そのまま続けろ生図ッ」

 

 それに掛かる一尉の声。

 その掃射射撃の支援を受けながら。一尉に近くに配置する数名各員も、それぞれの射撃攻撃を的確に遂行。

 掃射を逃れた鬼たちを、しかし逃さず次に次にと撃ち仕留め沈め。

 

 さらには擲弾のアンダーバレルランチャー装備の隊員が、固まる己たちの元へそれを撃ち込み。

 上がった炸裂がその鬼たちを襲い包み、巻き上げ死傷させる。

 

 不測の状況下でも各員は果敢に苛烈に戦い。迫る鬼たちの側に、間もなく怯みの色が見え始めた。

 

 しかし、その瞬間であった。

 

「ッ!」

 

 生図等の頭上真上に、グァ、と何かが「飛来」して影が差す。

 生図に一尉ら数名は、見上げた視線でその正体を見る。

 

 それは、龍。

 大きさにして中型輸送機程度の体を持つ竜が一体。そして背後にはそれを護衛するように伴う小型の龍が二体程。

 

 「敵の上空支援」、その襲来。

 出現したそれらを見て、そんな表現が生図の脳裏に浮かんだのも束の間。

 

 その中型の龍は顎をかっ開き、そしてその喉奥に発光を、何らかのエネルギーの生成を見せる。

 その詳細は不明だが、何かの大きな「攻撃」の前触れであることは、嫌でも理解できた。

 

「ッ――退避ッ!!」

 

 一尉が叫ぶ。

 しかし生図は、直感でそれが間に合わないことを理解。

 

「ッゥォ!!」

 

 ならば、と。

 生図はギリッ、と奥歯を強く噛みしめ。同時にその愛らしいギャル顔にしかし剣幕を作り。

 同時にMINIMI Mk.3を龍へと着き向ける。

 

 逃げるのが間に合わぬならば――真っ向からの勝負に賭けようとした。

 

 だが――。

 

 ――爆炎と、爆音が。

 

 真上頭上に滞空していた龍を、大きく巻いて包み。そして劈く音色で上がったのは瞬間だ。

 

「――ッ!?」

 

 起こったそれに、生図が目を剥いたのも一瞬。

 直後には今度は、連続的に唸る音が響き聞こえ。そして中型の龍の背後に控えていた小型の龍たちがまた、その体を強く打たれるように仰け反り、千切り砕け。

 次には中小の龍たちは、揃ってその砕け千切れた体を地面に墜として沈んだ。

 

「これ――ッ!」

 

 突然の起こりに、生図があっけに取られていたのも一瞬。

 次には今の起こりを成した「存在等」が、威勢の良い音を伴い参上する。

 

 劈く轟音を響かせ、頭上低空を高速で立て続けに飛び抜けた、二つの蒼き色彩のシルエット。

 それを視線で追い、一旦の離脱から上昇していくそれ等を見れば。

 それが、戦闘機ベースのデバイスを纏う少女たちであることが分かる。

 

《――ファー・アウェイ01よりトリーズナー隊、すまない遅くなったッ》

 

 そして次には各員の着ける通信装備に、そんな声が上がり聞こえる。

 その声は、他ならぬ仙導のもの。

 

 いまに参上し、生図等の危機を救ったのは仙導と航軌院のバディ。

 F-EA戦闘機デバイスの編隊だ。

 

 詳細には。

 仙導が、抱え装備して来た04式空対空誘導弾 AAM-5を中型龍に撃ち叩き込み。

 続く航軌院が、小型の龍たちにGAU-22/A ガトリング砲の砲火を叩き込み。

 脅威から生図等を救って見せたのだ。

 

《こちらもちょっかいを掛けられ空戦中だった、そちらの状況状態を知りたいッ》

 

 続けての通信にて、その仙導等がここまであった状態と。こちらの状況状態を尋ねる言葉が、少し急く色で寄越される。

 

 そこで一度生図が地上に目を戻せば。

 散発的な発砲音が聞こえ、少しの戦闘はまだ続いているが。

 しかしこちらの苛烈な応戦と、こちらに航空支援が到着して龍が落とされたことの影響が大きかったか。

 鬼たちは状況が不利と察し、戦意を崩した色で引き下がって行く姿を見せていた。

 

「いえ、ナイスな参上でした仙導隊長ッ。こちらは掠り傷――とはいえませんが、犠牲者は幸いナシ。主力は行動可能、細かくは確認して再度知らせます」

 

 そんな仙導からの通信に、答え返すのは一尉の声。

 急く色の仙導を安心させるように、まずはそんな礼の言葉を向け。併せてこちらが無傷ではないものの、深刻な状態には無いこと知らせる。

 

 次には仙導と航軌院の二機編隊は、反転から戻って来て、地上のこちらを援護するために頭上低めの高度で旋回軌道に入る。

 

 そんな尖りながらも可憐な姿を見せる、戦闘機デバイス少女二人に。

 地上の隊員各員等は、それを歓迎し。そしてこちらが大事無い事を伝えてやるように、腕を翳して、歓声を上げて向ける。

 

「はァッ――」

 

 生図もそんな上空の仙導等の姿を眺めながら。

 ひとまず一応落ち着いた状況に、吐息交じりの端的な声を吐いた。

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