トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
「――効果はッ?」
門手と呉市等に、ヤガシラノヒリュウの上空真上を飛び抜けたシルエット。
F-EA戦闘機のデバイスユニット――他ならぬ、仙導は。
旋回軌道に入りながらも、今に飛び抜けた後方眼下を振り向き。その「攻撃の効果」の程を伺いながら零す。
今しがたにヤガシラノヒリュウを襲い包んだ爆炎、それは先導が成したもの。
仙導が「地上からの誘導」に従い、進入から投下した数発のMk.82航空爆弾が。宙空に身を置くヤガシラノヒリュウの巨体に、殴り打つ形での命中から炸裂。
その慣性に、そして爆発炸裂の暴力で、ヤガシラノヒリュウに一撃を加えたのだ。
《ファー・アウェイ01へ、当該脅威は未だ健在。さらなら航空火力投射の必要を認む》
その攻撃の効果を伺い視線を降ろしていた仙導の耳に、しかし届いたのは。
地上の航空誘導員からの、「敵」は健在でありさらなる航空火力投射の必要性を伝える言葉。
その言葉の通り、旋回中の身から見える眼下には。今の一撃のダメージからか、その巨体を打ちうねりながらも、未だに動くヤガシラノヒリュウの巨体が見えた。
「01、 プライム1-0了解。再進入し再び投射する」
その要請の通信に仙導は了解の旨と、続けての動きを伝える言葉で答える。
「チョコ」
《オッケーっ!》
次には仙導は「バディ」に伝える声を向け。
ちょうどそこへ、上空にて仙導を援護フォローしていた形から、戻り合流した航軌院から。通信にて弾む声での応答が返る。
そして二名二機、その二機編隊は。再びヤガシラノヒリュウに向けての攻撃進入のために。
尖る旋回軌道を見せた。
「――硬いねェ」
一方、場所に位置は地上の。
門手に呉市、そしてヤガシラノヒリュウが居る位置から側方向こうへ。
その一帯、低い丘地形の、その稜線上の一点。
そこに、航空支援隊の終末誘導員である天始の。屈む姿勢で誘導機器を構え覗きながらの、そんな声を零す姿があった。
またその背後には、通信担当の空士の姿もある。
今先の門手と呉市等の危機のタイミングに、しかしそれを阻止し救うべく。航空爆撃をヤガシラノヒリュウの巨体へと導いたのは、その天始等。
戦闘捜索救難行動をここまで続け進めて来た、天始等を含む戦闘捜索班は、その先に門手と呉市等の危機の場を遭遇発見。
その危機を認め、早急に航空支援を要請。そしてそのために航空誘導を実施。
「爆撃の一撃」を呼び、それにてヤガシラノヒリュウに一撃を浴びせ、門手と呉市の窮地を救ったのだ。
「ファー・アウェイ01へ、当該脅威は未だ健在。さらなら航空火力投射の必要を認む」
しかし向こうに見えるヤガシラノヒリュウの巨体は、ダメージからか身を打ちうねる動きを見せながらも、未だに健在。
今程の天始の一声は、その頑丈さを見て呆れ交じりに零したもの。
そして脅威は未だ健在と認め、その背後で空士は通信機にて、上空の仙導等に続けての要請を送り向けている。
「――周りの有象無象を、抑え沈黙させる必要がある」
そんな天始等の近くで、別のそんな言葉が上がる。
それは臨時戦闘捜索救難隊の隊長の一尉のもの。
一尉はその場に膝立ちの姿勢で構え、眼下周囲のすり鉢状の地形に散らばる敵の数々を観測しながら。その無力化の必要性を見ての言葉を紡いだ。
「各隊各員、展開ッ。自由に戦闘しろッ!」
そして示す手振りと併せて、一尉はその透る声で大きく張り上げる。
その直後。
丘の稜線を越えて、次に、次に。立て続けに。
戦闘捜索班、いやだけでなく。追い付き合流した臨時戦闘捜索救難隊の空自隊員等が出現。
地面を踏んで駆け、一帯へ散会から展開。
そして各装備火器、火力を唸らせ響かせ。
周囲に散り配置した龍に鬼たちを相手に、苛烈な戦闘行動を開始した。
現れ展開し、ヤガシラノヒリュウとその配下たちに対して戦闘行動を開始したのは。
臨時戦闘捜索救難隊、その主力である戦闘小隊を主とする各隊各員だ。
各員は丘の傾斜地を駆け下りながら散会展開。すり鉢状の地形に散る龍に鬼たちを
相手に、各個戦闘行動を見せ始め。
各員の苛烈な銃火銃声が、いくつも上がり始める。
「ッォ」
その一点一ヵ所に、生図の姿があった。
彼(彼女)は適当な窪地を遮蔽個所にして身を隠し、そしてそこからMINIMI Mk.3を突き出し構え。
向こうに見える雑木林の周りに居る鬼たちの隊伍から、その近場を飛ぶ小型の龍などに向けて。我武者羅に機関銃火を撃ち向けている。
「ッ」
しかしその途中で、生図は「動き」を視界の端に捉え見る。
それはその巨体から、嫌でも視界に映っていたヤガシラノヒリュウ。
それが大きな翼の羽ばたきを伴う、その巨体をうねらせる動きを見せ。生図はそれを何らかの事前動作かと見て、意識に警戒を走らせる。
しかし、それは無用とでも言うように。
直後、そのヤガシラノヒリュウの巨体を、再び大きな爆炎が巻いて包み襲った。
「ぬォッ」
ここまで伝わり来たそれの衝撃に、思わず声を零す生図。
そのまた直後の瞬間、そんな生図の真上低空を掠めるかのような距離感に勢いで。
仙導の姿が、そのデバイス装備のシルエットが飛び抜けた。
今のは、再進入からの仙導による再びの航空爆撃だ。
そしてまだ続くと言うように、間髪入れずに今度は向こうの雑木林で爆炎が立て続けに並び上がり。
そこに散り配置していた鬼たちの隊伍が焼き、千切り巻き上げられる光景が見える。
そしてその真上低空を高速で飛び抜けて行ったのは、その爆炎、爆撃の体現の主である航軌院。仙導に続いての進入したその彼女の姿だ。
《まだ健在だ、残敵も確認。さらに再進入から投射の必要性を認む》
《了解、再度再進入する、しばし待て》
そこへしかし押すように、通信には航空支援隊からの立て続けての要請が上がる。
それに冷静さは崩しはしないものの、少し急く色で回答を返す仙導の声がまた上がる。
《――ファー・アウェイユニット、及び地上のトリーズナー隊。こちらはストラトス04、そちらの地点に間もなく着する、目標を指定願いたい》
そんな所へ、しかし次にはさらに通信が割り入る。
「ッ?」
そして地上の生図の耳に届いたのは、今に一度飛び去った仙導等のエンジン音と、入れ違うように近づき大きくなり聞こえる別の轟く音。
そして直後。頭上上空、少し高めの高度を。
仙導に航軌院とも、門手と呉市のバディとも違う、二機編隊の戦闘機ベースのデバイスユニットが。
しかしシルエットから、門手に呉市等と同じくのF-3Aをベースとするものだと分かるそれが。
空気を切り裂くまでの劈く音を立てて飛び抜けた。
明かせばそれこそ、確立されたばかりの「航空応援体制」の元。
日本本国よりはるばるやって来た、応援のために二機編隊。
「はァッ、盛大だなッ」
そんな、大盤振る舞いなまでの様子光景に。生図はそれを見上げながら、呆れ混じりの感嘆の声を零す。
そしてそんな頼もしい数々の姿を上空頭上に感じながらも、次にはまた地上の戦闘に意識を戻し、自身の火器を再び唸らせる生図。
そのまた直後、そんな生図始め地上の各隊各員の戦闘の姿を、賑やかし飾るかのように。
向こう側方の背景でまた、航空支援の爆撃が描く爆炎が立て続けに上がった。