トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
仙導等飛行班に、駆け付けた臨時戦闘捜索救難隊の主力は。門手と呉市とレイノの回収という目標を成し遂げ。
CH-47J機の不時着現場へ戻り、そこで残り場を守ってた別隊と合流。
今は再編成から各調整、現状でできる動きを行いながら。
すでに手配されこちらに向かっている回収ヘリコプターの隊を待っていた。
「コンボイ90、聞こえるか?こちらの座標は発信している、それを目指して向かってくれ」
《了解トリーズナー、座標は取得確認済み。現在こちらは島を目視、近海洋上を飛行中。到着までそう掛からない》
不時着地点の一点では、隊の通信員とこちらに向かっている回収飛行隊が通信にて調整を交わす姿がある。
そして周りを見回せば、一帯には隊の各班各員が展開配置。
すでに最初のような苛烈な襲撃の気配は無かったが、今も警戒態勢が敷かれている。
「身体は大丈夫だったか?」
「幸いな」
そんな中のまた一点で、門手と呉市が声を交わす姿がある。
今程に呉市は念のため、救難員からその身体の診察を受けていたのであったが。幸いか損傷があったのは装備するデバイスのみで、呉市自身の身体には負傷は無かった。
なお仙導と航軌院のバディ、そして応援のバディは。今も不時着地点を中心に飛び、哨戒警戒行動を行っている。
「彼女は?」
「あそこだ」
その呉市は、次には自分等が救助回収したレイノの姿を探して視線を走らせる。
それに門手が一方向を示ながら答えてやる。
近く向こうの小高い岩場。その上に両膝を着いて屈む姿勢を取り、そしてその両手を組み、何かを念じるような姿を見せるレイノの体があった。
それは、祈りだ。
過去にヤガシラノヒリュウへ供物と捧げられ、先に天へと旅立った両親へ、祈りを捧げている姿であった。
「……」
彼女の大事な時間だ。今は声を掛け割り入る理由は無い。
少し苦いものをその姿に覚えながらも、そう自制する旨を浮かべる呉市。
「ん?」
そんな呉市とそして門手は、しかし次には遠方に。何か異質な音を聞き留め気づき、視線をそちらへ向ける。
そして向こう少し遠くの上空、そこに聳える山頂に近い低空高度。
そこに見えたのは、飛行する「航空機」。それも、プロペラ機の編隊だ。。
「あれが、「こっちの」か」
特動隊や自衛隊機では無いことが一目で判別できる、それの登場に。しかし門手と呉市は驚くことは無く。
少し興味を引かれる色を顔に見せながら、そんな言葉を零す。
四機で成るそのプロペラ機の編隊は、シンムの国のもの。
その軍の航空隊が保有運用するものであり、そして此度の騒動事態への対応のために、シンムの国で手配され向かってきたものだ。
その知らせは事前にこちらにも届き入っていた。
文化形態は江戸後期から明治初期の様子が見えたシンムの国であるが。その技術力に限ってはもっと進んでいるようだ。
そのプロペラ機の編隊は、徐々にこちらへ接近してきてその姿形態を明確にする。
暗緑色と濃灰色で塗り分けられたその機体は、逆ガルの主翼を持つ大型のもの。
大きな出力を持つ発動機を携える、大型戦闘機。
そしてその戦闘機の編隊はこちらへ接近する途中で、その機体姿に「発光」を見せて包んだ。
「おっ」
それの示す所に「気づき」、呉市が一声を上げた直後。
その発光が収まり次に上空に見えたのは。逆ガルの翼に発動機などの「装備(デバイス)」を携える、可憐な美少女たち。
そう、それこそシンムの国の戦闘機飛行隊が「着装」を。彼等の表現では「変術」を得た姿だ。
次にはその戦闘機少女たちの編隊は、「後の上の守りは引き受ける」と伝えてくるような様相で。不時着地点の真上をプロペラを回す轟音を響かせて飛び抜けた。
「任せろ、と」
「お言葉に甘えるとしよう」
そんなシンムの国の戦闘機編隊を見送りつつ、言葉を零す門手に呉市。
それから間もなく、その戦闘機飛行隊に続けて追い付くように。
回収のヘリコプター隊が。
空自のCH-47J(LR)の二機と、応急でガンシップ化されたUH-60Jの一機で成る編隊が到着。
それに臨時戦闘捜索救難隊の隊員各員と。今は自力飛行ができない呉市と、そしてレイノは搭乗回収され。
このクリュウの島を飛び立ち、後にした。
回収のヘリコプター編隊は隊形を組み、クリュウの島を背後向こうに見ながら、洋上上空を帰路を辿って飛行している
「……」
その隊形の最後尾を飛ぶCH-47Jの、その貨物室の後ろ。
半分開け放たれた後部カーゴドアの近くに立ち、遠ざかるクリュウの島を見つめているレイノの姿がある。
父母の逝った地に、思う所がまだ多数あるのだろう。
それを汲んでレイノにそのままにさせて置きつつも。
その隣傍には、安全の観点も含めて呉市が一緒に立っている。
そんな開放されたカーゴドアから望める、広がる絶景の光景の中に。
次には、少し遅れて島を発し、しかし追い付いて来た仙導と航軌院のF-EA戦闘機バディが見え。そして轟音を響かせてヘリコプター隊を上側方を追い抜いて行き。
一拍置いて同じ形で、呉市が、さらに応援のF-3A戦闘機デバイスのバディがまた見え。同じく轟音を届けながら、ヘリコプター隊の周りを追い抜き飛び抜けて行く。
また続けて次のタイミングで、ヘリコプター隊の下方側方、少し離れた向こうの宙空を。
二個隊程のプロペラ機の編隊が。シンムの国の急降下爆撃機の編隊、クリュウの島にまだ残る残党の掃討作戦を引き継ぐためのそれが。
入れ違い、飛び向かって行く。
「……とと様、かか様……いつの日か私も参ります」
そんな周りの動き、光景を見て感じながらも。レイノが次に零したのは、クリュウの島を見つめながらのそんな言葉。
それは先に天へと召された父母に、己もいつかその元へ行くことを誓うもの。
「――だが、それはまだ長く先だ。今を一緒に生きて歩むべき家族が、君には待っている」
「!」
しかしそのレイノに、次に向けられたのは呉市からの言葉。
それはカナタの島で待つレイノの妹、クシナの存在を示して訴えるもの。
差し出がましい事と分かっていたが、呉市はそれを訴えずにはいられなかった。
「……はい」
その言葉に、レイノは少し意表を突かれたように呉市の姿を見たが。
だが次には静かに、しかしその内に確かな色を含めて。それを受け入れる声を返した。
場所はカナタの島。
高台に設けられた公園施設にある、大海を望める展望場。
「……」
そこに、何か願い祈るような様相を見せながら、向こうの大海を望み立つ少女の姿がある。
それはクシナだ。
「……!」
そのクシナはしかし、次には自身の背後の向こうに気配を感じる。
そして振り向いたクシナが次に見たのは、その向こうに立ち、こちらを見つめる自分より少し年上と見える巫女装束の少女。
「姉、さま……?」
疑問を抱く色で声を発し向けたクシナだが。しかし心では、彼女はほぼ確信していた。
その彼女が、生き別れた姉。
レイノであると。
「……」
「!」
そのレイノは、小さくコクリと頷きを見せ。
それにクシナは目を見開く。
次には二人は、まったく同時に駆け寄り。
遠慮など無用と言う様子で、互いに強く抱き合い。
言葉よりも先に、ともに大きな泣き声を響かせ交わして。
夢にまで見たその再会を、喜び合った。