トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記   作:えぴっくにごつ

34 / 38
新章突入、二話程日常回です。


第3章:「バトルフィールド」
Task33:「日常の一幕 賑やかな収穫」


 ヤガシラノヒリュウに関わる一連の騒動は、それなりの大きな事件となったが。

 しかし時間に日が過ぎ進むにつれて、その騒がしさの余韻も収まりを見せ。

 

 そして特別活動隊の活動は全体としては、時に課題にぶつかることはあれども、確かなものとして進み拡大していた。

 

 

 騒動からまたいくらかの日が経過したある日。

 場所は、特動隊の拠点である特別活動区の。その一区画に設けられる「農業エリア」。

 

 そこは、

 地球の作物がこの異世界の環境でも育つかのテストを行い。

 また、この異世界にて発見された植物・作物を栽培し、そこから各種データにサンプルを取得するなど。

 そういった農業に関わる実証実験を行う区画。

 

 また同時に、今はまだ限定的ではあるが、特別活動区の自給自足体制の構築を目指し。

 そして将来的には、本国日本の食料体制の一角を担いうるまでの、大規模農園(プランテーション)の展開を視野に入れ。

 そのベースを作りノウハウを蓄積するための役割を持ち担うものであった。

 

 

「良い感じで、実って来ているな」

 

 そんな農業エリアの内の、天然日光と外気による栽培を行う、屋外の農場のスペースの一点に。

 そんな声を零す仙導の姿があった。

 

 今はデバイスのぴっちりスーツを、ツナギのように上半分だけ脱ぎ。上半身は空自隊員に指定される灰色のTシャツと同じものを着る姿。

 

 その仙導は、育ち成った植物の苗木の一つ前に立ち。そこに成った赤く瑞々しい大ぶりな果実を優しく手に取る。

 

 その作物はこの異世界にて広く生息、そしてコミュニティの市場で流通する品種であり。

 地球のトマトに似るところがあるが、しかしより甘く美味な味を持つ野菜。

 サンプル・データ取得のために栽培されたそれが、手間暇の甲斐あり、ついに大きな実をつけたのだ。

 

「これは、君たちのアドバイスのおかげだな」

 

 次には仙導は、そんな見事に生った野菜果実に感心を覚える色を見せながらも。

 近く向こうに立つ人影に目を向ける。

 

 そこに在ったのは、緑色の肌を持つ巨体。オークだ。

 それは先日に特別活動区の近くのフェイオンの村を襲おうと企み、しかし特動隊と村の自警団によって退けられたオークの部族のその頭。

 名をグィネという、その彼であった。

 

 部族を食わせ存続するために、襲撃という手段に手を染めようとしたグィネたちであったが。それは仙導等の手によって未遂に終わることとなり。

 そしてそこに彼らを引き戻す余地を見た仙導は、グィネたちを説得から特別活動区へと勧誘。

 

 そしてそれからグィネの部族は、広域に渡る特別活動隊の活動エリアの内に、特動隊の支援も受けつつ己たちの集落を拓き。

 そして支援の対価ではないが、住まう地をともにすることとなった者として。特動隊の各種活動に協力しているのであった。

 

「ハっ、むず痒いことを平気で言うぜ」

 

 そのグィネは、今に仙導が向けて来た評する言葉に、荒っぽくも皮肉を混ぜた色で返す。

 

「お世辞じゃないぞ。君たちから教えられたそれぞれの食物の特性が、適した栽培育成の助けになったと担当から聞いている」

 

 しかしそれに、そんな詳しくを述べてまた評する言葉を返す仙導。

 

 グィネたちオークの部族は、その一見から荒事をもっぱらとするように誤解されたが。

 実際には、農耕や食物栽培に関わる知識に術を豊富に持つ者たちであった。

 

 そしてその知識に術が、特動隊が行う異世界の作物栽培の大きな助けとなり。

 今に仙導が感心を覚えた、見事な実を付けた苗木も。グィネたち部族の協力の成果なのであった。

 

「まったく、その言葉そっくり返すぜ。お前さんらの持つ肥料や環境サマサマなトコがどれだけあったか」

 

 しかしそんな仙導の評する言葉に、グィネは今度は少し呆れ混じりのしかし感嘆の色でそう返す。

 

 特動隊の農業エリアとは別に、グィネたちの部族もまた己たちの拓いた集落にて、己たちの農耕を始め行っているのだが。

 そこには、

 日本本国から特動隊が持ち込んだ、化学物質に頼らないながらも良く調整配合された有機質肥料や。

 ビニールハウスの温室などが支援提供されており。

 グィネたちからすれば、それらこそ驚きに値し、彼らの農耕栽培の常識を大きく変えるものであり。

 そして大きな感謝に値するものであった。

 

「なら、互いに利となるもっとも良い形となったな。君たちを招いたのは正解だったようだ」

「ハんっ」

 

 グィネの今に返した言葉に、だが仙導はまた気どらぬ色で。そんな互いの背景から見ての評価の言葉を紡ぎ。

 グィネはそれに、「歯の浮く事を」と皮肉る様に一声を零す。

 

 両者のやり取りが一区切りした所で、近く向こうからいくつかの無邪気にはしゃぐ声が聞こえてくる。

 そこに見えるは、仙導と同じくデバイススーツを半分脱いでTシャツを着る姿格好の航軌院と。

 そして歳は下は一桁から上は成人手前程までの、男の子と女の子が混じるオークの子供たち。

 そんな子供たちと、それに混ざる航軌院が。賑やかに声を交わしながら、収穫時となった果実を採り集める光景であった。

 

 グィネは本日今にあっては特動隊から、作物の経過確認と意見を求められて特別活動区を訪れていたのだが。

 子供たちはその「グィネおじちゃん」に、お手伝い兼、特動隊に抱く好奇心から付いて来たのであった。

 

 ちなみに仙導と航軌院は、事態発生に際して備えている状態ではあるが。

 しかしメインである即応待機状態には別のバディ、今にあっては門手と呉市が入っているため。

 ある程度自由に特別活動区内を動き回れ、物事に興じられる準待機状態。

 そのため、今の収穫採取の時を一緒にしているのであった。

 

 そんな賑やかな収穫採取の時間は、皆が甲斐甲斐しく動き回っている内に間もなく夕刻を迎え。

 仙導と航軌院が、集落への帰路に就くグィネと子供たちを見送り終えた頃には。

 この世界の太陽は沈み、月が上り。多くの者は活動を休める、夜の時を迎えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。