トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記   作:えぴっくにごつ

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Task36:「分隊」

 場所は、その戦車小隊より「先」へ。

 そこは特別活動区から見て東へ、それなりに遠く離れた土地地域。

 なだらかな丘や傾斜で成り、所々に草木の茂みや雑木林が生い茂り、それぞれの要素が組み重なって景色を構成している。

 

 その中を、往来で自然にできた轍に沿って進む、景色に不釣り合いな武骨な姿様子が――車輛の隊形車列があった。

 

 各種のソフトスキン車輛から軽装甲車輛まで、10輛程で構成されるそれは。

 特別活動隊の主力。機動群 機動行動隊の、その第1機動中隊 第1小隊のものだ。

 

「――そろそろか?」

 

 その小隊隊形を構成する車輛の内の一輛、ハーケィ装甲車の中の助手席で。一人の少女がそんな声を零した。

 

 外見年齢は19歳程。そう高めではない身長ながらも、スラっとした印象を受ける美少女。

 その凛とした端麗な顔は、ショートカットに整えられたロゼッタ色の頭髪で飾られ。

 スタイリッシュながらも適度に豊かな凹凸を携えたそのボディは、しかし陸自の普通科の形態に準ずる、武骨な戦闘装備に装具を纏い装着している。

 

 存住(あすみ) 隊員。

 その所属は特別活動隊 隊司令部の偵察狙撃班であり。現在は第1小隊の増強応援のために同行している身。

 そしてそんな存住はまた、男性からの性転換者。

 

 今の美少女姿は、その装備火器であり足元に今に立てて控えている、M110狙撃銃を「着装」してのものだ。

 ちなみにM110は自衛隊装備には無い装備火器であり、特動隊の発足に併せて採用導入されたものだ。

 

 彼女(彼)のその経歴経緯を紐解けば。

 一度陸上自衛隊を任期満了除隊した身だが。特別活動区及び隊の発足に伴い、適した人材と見られて白羽の矢を立てられ呼び戻された一人だ。

 そのため現在は特別活動隊の職員隊員という身分であり、自衛官及び自衛隊員ではない。

 

 そんな存住が今に零したのは、「目的地」への接近を、車内から見える景色から察してのもの。

 第1小隊は現在、ある事態に対応するために行動を進めていた。

 

 

 事の発端は昨日。

 

 第1小隊は元々は大陸のより遠地を偵察調査するために、数日前に基地を発しそれを進めていたのだが。

 その途中で見つけた村に、交流と可能ならば補給を目当てに立ち寄った。

 

 小隊は村の人々から少し驚かれながらも、特別活動隊及び地球日本の噂はすでに届いていたようで。それが話を早くしたこともあって、立ち寄りの事情を説明したところ村の人々は小隊を受け入れてくれた。

 そして小隊は村にて一時の休息の場を借り。併せて村と、互いに欲する物品物資などの交換交渉を行っていたのだが。

 

 そこに事は舞い込む。

 

 村に元より到着予定であった、商隊のキャラバンが間もなく到着したのだが。

 そのキャラバンの人々は何か血相を変え、まるで何かから逃れるかの様相で村に飛び込んで来た。そしてそのキャラバン隊に人々の多くが、少なからず傷ついていたのだ。

 

 困惑狼狽の最中にあったキャラバンの人々を落ち着かせ、なんとか事情を聞き出した所によると。

 キャラバンは村に辿り着く前まで、村よりまたしばらく行ったところにある、ミフェンという名の町に立ち寄り逗留していたというのだが。

 

 そのミフェンの町が突如、「襲撃」を受けたのだという。

 

 そのミフェンの町を襲撃したのは、何かしらの武装組織であるらしい。

 キャラバンの人々は襲撃の混乱の最中で、助け連れ出せる限り者をなんとか連れてからがら脱出して来たため。その詳しくを確認することはできなかったというが。

 逃れて来た人々の内の何人かが、村に居合せた特動隊小隊の姿を見た時。彼ら彼女らは驚き、そして小隊の持つ火器装備や車輛を見てこう伝えた。

 

 「「あいつら」も同じものを持ち使っていた」、と。

 

 混乱の中で見たものであり、確証には至るものではないが。

 その町を襲撃した武装集団は、特動隊のものとは少し形態は違ったらしいが、「銃火器」と思われる武器を扱い。

 また逃れて来た人々は同時に、「地を這う鉄の化け物」が居たなどという証言も口にした。

 

 この事態を深刻なものと見て、第1小隊は特別活動隊司令部にこれを報告。

 そして司令部も同様に、事態を深刻と見る見解を示した。

 

 先日のシンムの国の例に見えるように、この異世界にも銃火器の技術に、それを運用する文明組織の存在はすでに確認されている。

 その武装組織とやらがどういった規模に形態で、いかなる勢力の所属なのかは皆目不明だが。

 得られた証言から、銃火器に車輛などを有する存在である可能性は極めて現実的なものであり。

 そしてそれがそのミフェンの町を、罪無きコミュニティを襲撃しているというのであれば、これを放って置くことはできなかった。

 

 かくして、特動隊司令部はこの地域に増強応援部隊の派遣を決定。

 そして先んじての事態状況調査のための、第1小隊にはそのミフェンの町への偵察調査の指示が降りた。

 

 

 その目的地と定まったミフェンの町に。

 地図にて前もって確認していた周辺地形と、今の経過時間に車内から見える景色の変化から。

 それに近づいたことを察して零されたのが、今の存住の一声。

 

《イクサ01より各車各隊、地図だと間もなくだ》

 

 その存住の推察の一声を、正解だと明かすかのように。次には各員の身に着ける通信装備に声が入り聞こえる。

 それは第1小隊の小隊長からのもの。

 

《ここより念のため各隊は降車、隊形展開して進む」

 

 そして続けて寄越されたのは、これよりの行動の形を伝える言葉。

 次にはその指示に応じる形で、今に乗車するハーケィ装甲車が車内にそのエンジン音の変化を伝え。そしてハーケィは緩やかに停止した。

 

「やれやれ、目的地の手前から運動か」

 

 そんな、車輛移動で楽をできる時間はここまでとする指示と、それを伝える車輛の停車の感覚に。

 存住は静かな声色で、そんな微かな倦怠感の混じる色のボヤきを零す。

 

「「あーちん」は相変わらず気怠げ系~、こんなん準備運動未満っしょっ?」

 

 そんな存住に、次に背後から飛んで来て寄越されたのは、何か崩れた言葉使いでのそんな声。

 それに存住がチラと視線を向けて見えたのは、後席に座る今の声の主。

 ギャル、ギャル美少女だ。

 

 歳は20歳程か。

 そのキマったお手本のようなギャル美少女顔を、一部を結い上げた長く美麗な金髪で飾っている。

 女子としては少し高めのその身体は、陸自普通科のものである迷彩戦闘服と武骨な装備装具に包まれているが。しかしその上からでも、バストの分盛り上がった防弾ベストの全面など、彼女の豊満なプロポーションが垣間見える。

 

 藍晴(あいはる) 陸士長。

 陸自の普通科連隊より派遣され、特動隊 機動行動隊に所属している陸自隊員。

 快活さを併せ持つ、元気っ娘ギャル。

 陸自と言う組織に似合わぬギャルっぷりだが、意外や彼女にあっては元よりの女性であり、その容姿形は元よりのもの。

 

 支援火器射手であり、担当する火器は7.62mm機関銃 M240B。

 性別は変わらぬが「着装」者であり、その恩恵を得て汎用機関銃を扱う隊員。

 

 ちなみに存住とは特動隊が発足、本格始動してから出会い見知った間柄であり。まだそこまで長くを過ごした間柄では無いのだが。

 元よりの性格と、しかし併せてどうにも存住を気に入ったらしいところもあってか、藍晴はグイグイ絡んで来て。

 存住からすれば、妙に近くなれなれしく接して来る女といった印象であった。

 

「動物みたいに落ち着きなく動きたがる、キミと一緒にするな」

「あっ、ひっどくないーっ?」

 

 そんな藍晴に、存住は早くも遠慮は無くなっており。

 今の藍晴からの揶揄いの言葉に、しかし存住は淡々とした色でそんな容赦の無い言葉を返すが。

 しかし藍晴はそれに本気で怒るではなく、冗談交じりに膨れっ面を見せて返す。

 

「無駄口を叩かないで。遭遇があるとすれば多分近い、意識を切り替えて」

 

 そんな二人のやり取りに、忠告の言葉が飛び来て割り入る。

 声の主は、運転席から皆に振り向く姿を見せる女性。

 できるキャリアウーマンといった様相の美人の彼女は、今に存住が同行している第1分隊の分隊長だ。

 階級は二曹で、また元よりの女性。

 

「降りたら高機動車の皆とすぐに合流、隊形展開する。行くよ」

 

 二曹はここよりの、降車後の動きを伝え指示すると。

 次には自身の火器、カービンタイプの派生型20式5.56mm小銃を寄せ取ると。

 自らが預かり担っていた運転席を先んじて降り、外へ繰り出して行く。

 

 併せて、藍晴と同じくの後席にて、しかしここまで静かに座していた対戦車火器射手の隊員が。

 また男性からの性転換者である、物静かでクールそうな美少女の身姿の隊員が。

 二曹に続くように、無駄を嫌うような気配を見せながら手早く降車していった。

 

「さておき仕事だ。行くか」

「ミッションスタートっしょっ」

 

 そして存住は端的に意識を切り替える声を零し。藍晴も弾む色で、気合を入れる声を上げると。

 それぞれ続き、扉を開け放って車外へと降車、繰り出した。




現実の自衛隊では未採用の武器から、架空の武器まで遠慮なく出します。
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