トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記 作:えぴっくにごつ
情報共有の場を解散してから。
仙導は自身のために用意された隊長室に一度向かい。
出動の事後に求められる各仕事、処理に。他ぽつぽつとした隊長としての仕事を片付けた後。
遅くなってしまった昼食に向かう事とした。
「悪かったなチョコ、待ってもらってしまって」
「ううんいいよー、ミシキさんと一緒に食べたかったし」
仙導は、バディである航軌院が付き合い同行し。食事を目当てに基地内を歩んでいる。
二人はバディとなって以来、緊急出動の際に足並みを合わせる都合もあってではあるが、食事や休憩など時間をよく一緒に過ごすようになっていた。
そこには航軌院のほうが、「中身は淡々としたオッサン、見た目は美少女」な仙導を「お気に召した」といった理由もあった。
そして仙導にあっても、人懐こく元気な美少女と時間を共にすることはまんざらではなく。
出会ってまだ長くは無い間柄ながらも、互いの関係は親密なものとなって行き。
見た目の印象に反して必要以上に堅苦しいことを好まない仙導は。必要な場面以外では航軌院とタメ口で話し合い、愛称ないし下の名で呼び合うようになっていた。
そんな二人は、間もなく基地内に設けられる喫茶店に到着した。
基地内にはメインの食事の場として隊員・職員食堂があるのだが。しかしちゃんと時間を定めて開かれるその食堂の時間は、もう過ぎてしまっていたため。
隊員職員の休息の場であり、今のような食堂のカバーも兼ねる喫茶店に二人は訪れたのだ。
二人は店の中に入り、従業員を務める職員の案内を受けて席に着いた。
ちなみに今も二人は濃紺色のぴっちりスーツに、フライトジャケットを羽織るのみの姿。
ここで補足すれば、「デバイス着装」に伴う性転換は、本人が強く念じること以外で解けてしまうことは無いものであるようで。
そして「着装」した外装装備を一部外すなどしても、その身体の性転換や、また変化した衣装服装などはそのまま維持されるようであった。
これは緊急出動時などのレスポンスにも関係影響。
その都合関係から仙導等に限らず、緊急出動の可能性のある「着装者」の隊員職員は、男性にあっては性転換した者は。
今のようにその姿に格好を一部維持したまま、性転換したままで過ごすことが日常的になっていた。
今もそんな事情を表すように。
喫茶店内にぽつぽつと見える、遅めの昼食や一服の時を過ごす隊員職員の中には。
ぴっちりスーツやインナースーツ姿にジャケット類を羽織るだけの美少女の姿が、比率多めで見えた。
そしてその中には、仙導等も「元の男性時」の姿を知っている、性転換美少女がまたいくらかあった。
そんな、以前までの常識からすれば異様な。しかし「ここ」では日常的なものとなった光景の中で。
仙導と航軌院はそれを過度に気にすることなく、メニュー表にそれぞれ目を落としている。
「チョコはどうする?」
「んー、ミシキさんは?どうせならそれぞれ違うの頼んで、シェアしたいなって」
「いいぞ」
そんな算段を交わしながらも、二人はそれぞれ自分が注文する品を決め。
従業員に注文を頼み、品物が来るまでの待ちの一時に興じようとした。
「――おや、センドウさん?」
そんな所へ、しかし透る声で仙導を呼ぶ声が掛かった。
「ん?あぁ」
視線を上げた仙導は、次に見えたそこに立つ二つの姿に。しかしそれが知る顔であることに気づき、その旨の声を零す。
そこに立っていたのは、二人の少女。
尖った長い耳を持つ美少女――エルフと。
狼の耳に尻尾を持つ美少女――狼の獣人だ。
「あっ、クレスくんにフィオリちゃんっ」
「二人も昼食か?」
そんな二人の姿をまた認め、次には航軌院が弾んだ声でそんな二人のものであろう名前を紡ぎ。
併せて仙導は、そんな推察し尋ねる言葉を向けた。
二人は、この異世界に住まいし住人だ。
「あぁ、少し鍛錬に入れ込んでしまってね」
仙導の問いかけにそう答えたエルフの美少女は。
その名をクレスと言う。
外見年齢は16歳程か。
まさに絵に描いたような端麗なその美少女顔は、眩く美麗な長い金髪で飾られ。
その両側からは、この異世界に存在するエルフという存在の特徴である、尖る長い耳が覗いている。
発育豊かなそのボディを包むは、真白いレオタード衣装に手袋にニーソックス。
ぴっちりボディスーツに身を包む仙導等が言えた義理では無いが、正直目のやり場に困る姿。
そして明かせば、今に航軌院が「くん」付けをした所に見えるように、元は若い男性青年。
それが「着装」にて姿を変じた、この異世界の「着装者」だ。
「余裕がある時には、みっちりやって置きたいからね」
そのクレスに続けて快活な色で言葉を続けたのは、狼獣人の美少女。
名は、フィオリ。
年齢は18歳程。
その可憐ながらも気の強そうな顔立ちは、セミロングの灰色の頭髪に飾られ。
そしてその頭には、狼のものである同色灰色の耳が生えて主張している。
その鍛え上げられながらも同時に豊満で魅惑の女体は、大分際どいビキニ衣装と申し訳程度の系防具を纏うのみ。
そしてその尻腰部からは狼の尻尾が覗きゆらりと揺れている。
彼女にあっては元よりの女性であるが、今の姿はやはり「着装」してのもの。
そして経緯を明かせば、二人は地球日本が初期に接触した異世界の代表団の、その護衛を務めて同行していた者たちであり。
こちらの世界にて、クレスは勇者、フィオリは戦士という立場・役目を持つ者なのであるという。
それらはこの異世界にて冒険――正しくは開拓のための調査などを担う立場であり。
代表団との接触から現在にあっては。同じく冒険開拓の乗り出した特動隊の元に、異世界側コミュニティよりの連絡員兼助言人として派遣されている立場であった。
また、そんな二人と仙導等は。特動隊の異世界での活動において、それぞれの立場から接し交流する場面が何度もあり。
それを通して親しくなった間柄であった。
「迷惑でなければ、同席してもいいかい?」
「拒む理由は何もないさ」
二人の内のクレスは同席の許可を求め。仙導はそんな表現で了承。
それぞれのコンビが隣り合う席位置に形を変えて、四名はテーブルを共にすることとした。
「――聞いたよ、闇竜と相対したそうじゃないか」
クレスとフィオリもまた注文を終え。
同時に先んじて仙導等が注文して運ばれてきたポテトの山を、せっかくなので四人でシェアして摘まみ始めたところで。
クレスが切り出したのはそんな言葉。
部外者ではあるが連絡員兼助言人という立ち位置もあって、ある程度までの特動隊の情報はクレスたちにも共有されることとなっており。
そのクレスたちにも、仙導が闇竜と相対したことは届き伝わっていたようだ。
「あぁ。君たちは、その闇竜という存在について知っているのか?」
「詳細に彼らについて知っている訳ではないけど――一度、相対して少しだけ会話を交わしたことがあるよ」
切り出しに対して肯定し、併せて尋ね返した仙導に。
クレスは前置きにて断った後、そう明かす言葉を紡いだ。
それは過去に、クレスたちのパーティが難易度の高い討伐任務に挑み。からくもそれを成功させた直後のことだったそうだ。
そのタイミングで唐突に、クレスたちの前に闇竜が降り立ち現れたのだという。
唐突な、満身創痍であったクレスたちの前に現れた驚きの存在に。クレスたちは驚愕と同時に警戒したが。
その闇竜はどうにもクレスたちの討伐任務の様子を見物していたらしく。
『果敢で気持ちの良いものを見せてもらった』などと宣い伝えると。それだけ言い残して満足げに飛び去っていった。
そんなことがあったそうなのであった。
「あいつらは人を食ったような性格で、何企んでるかわかんないかんね」
その当時の体験を思い出しながら。フィオリは面白くなさそうな色で、闇竜についてそんな表現言及の言葉を紡ぐ。
「変わった人?たちなんだねー」
その聞けたクレスたちの体験に対して。
航軌院はポテトをはむはむと、その一匹狼系の見た目に反した愛らしい形で食べながら。そんなふんわりとした感想零す。
「自分が対応した時も、その闇竜から害意は感じられなかった。何か気になるものを見に来たという感じだったな」
「はは、やはり彼らのいつもの形だ」
仙導にあっては。
そのクレスたちの相対した際の闇竜の姿様子と、自身が接触した際の闇竜の姿を重ねて思いかべ。そこに共通性を見ての言葉を紡ぎ。
それにクレスは「やはり」とでも言う色で、困ったような笑いで返した。
そこで話題が区切りとなり、丁度その頃合いに合わせたかのように。席に各々が頼んだ食事が運ばれてきた。
ちなみにそれぞれが頼んだ品物を見れば。
仙導は、チリコンカンが溢れんばかりのチリコンカンドッグ
航軌院は、具材たっぷりビーフシチュー。
クレスは、ボリューミーなクラブハウスサンド。
フィオリは、ミートボールゴロゴロのミートスパゲティ
そのそれぞれが頼んだ食事を、美少女(半分は中身オジサンと青年)たちは、美味そうにそして可愛らしく頬張りつつ。
他愛のない会話に華を咲かせながら、昼食の時を過ごした。
ちなみの後の会計は、仙導がまた隊長としての変な義務感から持とうとしたが。
航軌院が「いつもそれじゃダメだよぉっ」とちょっと叱るように訴え、クレスとフィオリもそれに同意したため。
仙導が折れて割り勘となった。
食事メニューを詳細に描写するのが何気に趣味。