トランス・デバイス TSメカ娘戦闘団の異世界冒険開拓記   作:えぴっくにごつ

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Task8:「アラート、スクランブル」

 基地中に響き渡った警報の音。

 基地内で用いられる警報はいくつかの種類が設けられており、その使い分けによって大まかに発生した事態の種類が分かるようにされている。

 

 鳴らされ響いた警報は、その内の「救助出動態勢」を伝えるもの。

 地域近隣から基地へ何らかの救助要請が入り、それへの対応行動を訴えるものだ。

 

 

「――ッ」

 

 仙導は今も響く警報を聞きながら、基地内を駆ける。今に目指すは航空ハンガー。

 状況によっては隊長として作戦指揮所に入る場合もあるが。緊急事態への即応の観点から、仙導含む飛行要員は第一にはハンガーに集合する定めとなっていた。

 

「ミシキさん!」

「チョコかッ」

 

 そのハンガーを目指し駆ける途中で、同じく警報を聞きつけて駆けて来た航軌院と遭遇合流。

 

 二人は揃ってハンガーを目指し駆け。

 そして間もなく、航空機及びデバイスを格納し整備運用するための。また、当基地においてはアラートハンガーも兼ねるハンガー施設へと到着した。

 

「ッ!」

「っとぉ」

 

 二人は立て続けに、間違えばぶつかるかと思う勢いでハンガーの出入り口をくぐり、広いハンガー空間へと出る。

 

「状態ッは?」

 

 そしてその中で、鎮座して翼を休める己が愛機。

 今は性転換姿を除く「着装」状態の大部分を解いていたことから。元機体の姿となっているF-EA戦闘機の機体姿を認めながら。

 ハンガー内の整備要員に向けて尋ねる声を張り上げる。

 

「機はオール・スタンバイッ。後はご自身が着装してもらえば飛べますッ」

 

 それに、一番近くに居た整備要員の隊員が。慌ただしく自身の仕事に動きながらも、そう機体・デバイスの準備は完璧である旨を答える。

 

「了解ッ」

「ありがと!」

 

 それを聞き答えながら仙導と航機院は、ハンガーに踏み込んでからの続く動きで、並んで駐機するそれぞれ自身のF-EA機の元に辿り着き。そのコックピットの側面胴体に半ばぶつかる勢いで手を着く。

 元の戦闘機の運用の形ならば、これよりタラップを駆けあがってコックピットに収まる所だが。

 今の二人にあっては、ここは大きく異なった。

 

 二人がそれぞれの〝愛機〟に手を着いた瞬間――「着装」の現象が発現を見せた。

 

 それぞれのF-EA機体は、その巨体を青白い幻想的な発光の発現で包み。そしてそのシルエットはみるみる驚くべき変貌を見せる。

 発光に包まれながら、まるで解けてばらけるように形を変え。仙導と航軌院のそれぞれの身体へ収束するF-EA。

 そして収束が完了して発光が収まった頃には、それぞれの機は「デバイス」の形態へと形を変え。

 仙導、航軌院の両名の身体への着装を完了していた。

 

「――ふッ」

 

 着装を完了、俗的に言えば「戦闘機メカ娘」の姿へとなった二人。

 内の仙導は、その状態に異常がないことを体感感覚でまず確認し。小さく息を鳴らし吐く。

 

「同調良好ッ!」

「各部ヨシッ!」

 

 同時に周囲に配置した整備員等の要員から、伝える声が届く。

 一部の隊員は何らかのタブレット機器を手にし、それに目を落としながら声を張り上げる。それは「デバイス」の同調、着装のシンクロ率を数値化する装置をもって。それの異常が無いかを伝えるもの。

 また、同時に着装されたデバイスを直接目視し確認した隊員からも、異常が無い旨が張り上げられる。

 「着装」の現象技術からその運用形態を大きく変じた航空運用だが。しかし整備員等からの密な補佐は未だに不可欠だ。

 

 また同時に仙導と航軌院も、自身の眼前に宙空投影されたHUDでステータスを確認し。異常無しを確認する。

 

「異常ナシ、確かに――コマンド・ポイント聞こえるか?ファー・アウェイ ユニット、プライム1-0及びアクィア1-1は着装、出撃準備ヨシッ。状況詳細知らせ」

 

 各員からの状態の報告に、それを確かに確認したことを答え。

 次には仙導はデバイスに備わる通信機能にて、基地の作戦指揮所へ、そのオペレーターへと呼びかけ。

 自身等の出撃準備完了と、併せて状況の詳細を求める言葉を上げる。

 

《プライム1-0、了解です。入電内容は救助要請、基地より北東に在るコミュニティからです》

 

 それに作戦指揮所、コントロールから了解の返答があり。

 併せてまずの緊急事態の内容の要点が伝えられ来る。

 

「北東、確かフェイオンの集落だな?」

《そうです。集落より、害意ある集団に襲われているとの緊急救助要請を受信。離陸後は該当方位、070に進路を取って下さい》

 

 その知らされた情報から、そのコミュニティとは仙導も知る集落であることが分かり、仙導はその旨を返し。

 コンロトールはそれを肯定し、また集落に起こった事態の詳細を知らせ。そして出撃後に取るべき進路方位を伝える。

 

 この異世界のコミュニティと交流交易を持つようなり。

 特動隊はそれらのコミュニティとの連絡、通信手段を設け。そして相互協力の一環として、不測の事態の際にはそれらの救援援助に駆け付けられる体制を築いていた。

 

《先導さん、くれぐれも無茶はしないでください》

 

 そこへ続ける形で割り込まれたのは、あどけない声色でのしかし何か渋い声。

 それが敷浪の声であることは容易に分かった。

 

 補足すると、敷浪は外交省からの派遣員・連絡員としてなどの都合から、また特動隊ないでの序列関係から。

 異世界のコミュニティに関わる事態には(ほとんどがそうだが)、作戦指揮所入りすることとなっていた。

 

 その敷浪からの忠告の言葉。

 今回にあってはバディ、二機編隊を組んでの定められた形での、要項を満たしての出撃のため。敷浪もそれを止めることは無いが。

 しかしそれとして、また何かの不測の事態の際には無茶をしかねない仙導に、釘を刺すそれであった。

 

「了解です」

 

 それに淡々と答える仙導。

 正直ホントに無茶しないよう努めてくれるか怪しいそれ。通信の向こうで敷浪がまた苦い顔を浮かべている様が容易に想像できた。

 

 そんな色々の背景の含まれた両者のやり取りも、しかし実際には一言を交わし合うのみで完了とされ。

 

「――ファー・アウェイ両機、これより出撃するッ」

 

 出撃の知らせを凛と透る声で通信に、併せて周りに上げ。

 そして同時に仙導その脚は、その身体は動きを始めた。

 

 踵に装備されたランディングギアを用い、スケートの要領で身体を動かし進み。開け放たれたハンガー扉を仙導が、続いて航軌院が潜り抜ける。

 その際、出撃を見届ける誘導員の敬礼を受け。それぞれも敬礼を返す。

 

 タキシングでハンガーからエプロン空間へと順に出る二人。そしてここからの手順がまた、従来までの戦闘機のスクランブル出撃の形と異なる。

 ほぼ零距離の短距離離陸を可能とする、デバイス装備の今の二人に長距離の滑走は必要ない。

 

 ハンガーからを起点に発着エリアには、スクランブル機が緊急発進する際の導となる短距離離陸ラインが描かれ敷かれている。

 

 そのラインの導きに従い、そのライン上に進入する二人。

 その瞬間、それぞれが備えるエンジンモジュールがバーナーを吹かす。

 

 そして次の瞬間。

 仙導は、続いて航軌院も。

 その脚に履くデバイスの、そのつま先で地面を思いっきり蹴って飛び出す形の超短距離滑走で。

 まるでカタパルトによる射出にも似た形に勢いで、宙空へと飛び出し飛び立った。

 

 斜め隊形を組むツインで飛び立った二人。

 その二人の身体は宙に飛び上がると同時に、一気にその速度を上げ。

 基地真上を斜めに横切りながら、高度を上げて離陸していく。

 

 そしてまたすぐに、基地の敷地上空を飛び出て離れた所で。

 仙導と航軌院は二機編隊の隊形を保ったまま。先に指定された方位へ、鋭い旋回軌道を描いて進路変更。

 

 助けを求める声が上がった、受け取ったその集落へと向かうべく。

 基地の上空より向こうの大空へ、エンジンを吹かして飛び向かって行った。

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