推しの奇妙な冒険 アクアマリンとルビーは砕けない ~幼少期編~ 作:MとPの天使
――あなたは、元警察官だとお聞きしましたが、なぜ、この事務所の警備員に?
警備員――あー。..ここの社長と、学生のころに出会って、俺が警官をやめたってゆーのを知って、俺をここで雇ってくれたんすよー。いやー、社長さんには礼しかないっすねー
――『新生B小町』については、どうお思いで?
警備員――昔、『B小町』のライブを見たことがあったんだが、それに負けないグレーの輝かしさだったぜ。特に『ルビー』と『アクア』とは、ある程度近しい仲だったからな。素直に嬉しい限りだ。.....っと。そろそろ行かねーと
「
「着いたぜ!東京!」
バァアン!
駅に降り立った仗助は、バッグを右肩にかけて、腰をグッと曲げ、片足を前に出すような独特のポーズで立ち止まる。
(なんだあいつ?)
(変なポーズとってる....)
「ママ〜。あのお兄ちゃん変なかっこしてる〜」
「しっ!指を指すんじゃありません!(小声)」
通り過ぎる人々が、ちらちらと、奇怪な動きで固まった仗助を見る。
「....さて、まずは何しよっかな〜?やっぱ最初は東京の上手いもんでも食ってみようかな~♪いや、ここは最新の服でも見てみるべきか♪施設の中で遊びに行くってのもいいな~♪」
仗助は、始めてくる東京で、浮かれに浮かれていた。
「っと、いけね。まずは、俺の住むアパートに行かねーとだよな」
そして仗助は、自分がこれからお世話になる、アパートへと向かった。
「えーと...確かここを真っすぐいって、そこから、右に曲がるんだったか?」
仗助は、この町の地図を見ながら自分のアパートを探していたが、迷い始めていた。
杜王町なら、ある程度の場所は頭に入っている。
しかし、ここは東京。
駅を出てからしばらく歩いてきたものの、初めて来る土地ということもあり、仗助の頭の中ではすでに道順がごちゃごちゃになっていた。
「すみません!ちょっといいっすか?」
「え?俺?いいですけど...」
「実は俺、今日ここに引っ越してきたばっかでして、ここなんですけれども、わかりますかね?」
仗助は、地図上の住所を指さした。
「ああ、ここですね。ちょっと待ってください....」
そのとき、青年が取り出した
「あんた....その板で、一体何してるんだ....?」
「?見りゃわかるだろ?スマホで、ここの住所を調べてんの。..おっ!見つかった!あんたのアパートは、ここから少し.....」
「......」
青年は、検索した仗助のアパートの場所を教えてくれた。
しかし、仗助は、謎の板――『スマホ』と呼んでいたもののことで、頭がいっぱいだった。
(スタンド....ってわけでもないよな。この男、この『スマホ』ってやつを、さも当たり前みてーに取り出してきやがった。まるで、これがあるのが日常の当たり前のように....ん?)
ペラッ
仗助は、何気なく自分の足元に捨てられていた新聞を拾い上げると、その[[rb:年数 > ・・]]に、目がいった。
「!?」
『2008年 5月 夕日新聞』
何せそこに書かれた年数によると、
「な、なにーーーィ!」
「!?な、なにを驚いてんだよ 」
「....あんた!ここら辺に公衆電話はないか!?」
「え?こ、ここから右に行ったところに、あったと思うが.....」
「そうか!教えてくれてありがてぇ!じゃあな!」
「お、おう.....」
ドドドド!
「何だったんだ....」
ドタドタドタドタ
仗助は、青年に教えてもらった公衆電話から、母親の朋子に電話をかけた。
ピポパポピ
トゥルルルルル〜
トゥルルルルル〜
ガチャ
「もしもし!?お袋!?」
『なによ?仗助?急に電話だなんて。..あっ!もしかして、一人になったことに、急に怖くなって、私に電話してきたんでしょー♪』
「そうじゃーねーって!おふくろ、今、西暦何年だ?」
朋子の発言に、仗助は思わず声を荒げる。
『今?今は.....
朋子は電話の向こうで、少し考え込んだ後、年数を言った。
「!?ありがとよ!お袋!じゃあな!」
『ちょっとじょうす』
ピッ!
仗助は、母親の声を最後まで聞かずに電話を切った。
(どういうことだ......!?ここ、東京I地区での西暦は2008年5月!だが、お袋のいる杜王町でも西暦は2002年4月!6年近くの差があるぞ....!?)
「とにかく!まずは承太郎さんに連絡だ!(汗)」
そうして仗助はそのまま、公衆電話で、信頼できる人材である
『なるほど......。仗助。お前のいる東京は、
「ど、どういうことっすか!?」
『仗助。落ち着いてよく聞け。お前がいるのは、
「別....世界.....?」
『そうだ。仗助、お前は杜王町から東京に行くまで間で、別世界への道に入っちまったんだ』
「ちょ、承太郎さん!何言っちゃってるんですか(汗)そんなファンタジーみたいなこと、あるわけないじゃないっすか!」
常識ではありえない事態を前に、驚いている仗助を差し置いて、承太郎は、話を続けた。
『世界によっては、時間の流れ方が違う場合がある。自分の世界では一日しか経っていないのに、別の世界では一ヶ月が経っていた.....なんてことも、ざらにあるくらいだ』
「......」
『そのため、世界によって西暦や文明の発展具合に違いが生じることもある。さらに、別の世界からやってきたものは、その世界の時間の流れから外れているため、こちらの世界の人間とは違って年を取ることはない』
「そ、そうじゃなくて!」
『仗助。お前は今、何を見ている?』
「何って...」
仗助は一度公衆電話の外へ目を向け、会話を続ける。
「...東京っスよ」
『そうだ。街が存在し、人が生活している。お前の知っている東京と、ほとんど変わらない』
「だったら――」
『だが、細部が違う』
「!」
『2008年という時間。お前が今まで一度も見たことのない道具。これらを見て、まだ「元の世界だ」と言えるか』
「.....」
承太郎の言葉に、仗助は何も反論できずに黙り込む。
『...仗助、バカみたいな話だと思っているだろうが、これが現実だ。信じられないだろうが、受け止めてくれ...』
「......わかりました。信じます。承太郎さんの言ってること」
承太郎の言葉に、仗助は、この状況を、飲み込むしかなかった。
「ていうか、承太郎さん。何でそんなに詳しいんすか?」
『俺も昔、同じようなことを経験したことがあるからな。...しかし、妙だな』
「妙って、なにがです?」
『本来世界は、そう簡単につながるもんじゃあない。そのため、別世界に行くときは、必ず、何かしらの特別な移動方法があるはずだ。世界同士をつなぐ、ホールとかな』
「ホール?」
『ああ、そうだ。仗助、東京まで移動するときに、目が大量に見えるスキマか、青い大きな穴の中を通らなかったか?』
「いや、特そんなのは.....」
『仗助、お前をその別世界につれてきた張本人がいるはずだ。そいつには注意しておけ。まだ味方かどうかもわからないんだからな。俺も、お前のいる世界に行く方法が見つかったら、すぐに合流する。おそらくすぐにわかるはずだ』
「わかりました。俺も、自分で調べられる範囲で、情報を集めてみます」
『頼んだぜ。仗助...』
ピッ
そう言って承太郎は、仗助との電話を切った。
「こいつはァ、グレートなことになったぜ.....」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
教えてくれた人の言ったことを聞いていなかったため、苦労はしたものの、なんとか、自分のアパートに着いた仗助。
本来だったら、自身の新しい住場に対して、何らかの感想を持つだろうが、今は、ここが別世界ということの驚きの方が大きすぎて、そんな気持ちにはなれなかった。
「とりあえず、テレビでもつけてみるか....。何か情報が写ってるかもしれねーしな」
ピッ
仗助は、自身の父、ジョセフ・ジョースターに買ってもらったテレビをつけた。
『B小町のみなさんで~す!』
「『B小町』?売れっ子アイドルかなんかか?」
テレビには、苺プロダクションが売り出し中のアイドル、『B小町』。そのセンターには、星野アイが写っていた。
『本日活動再開となったアイさん!』
『大丈夫?ちゃんとご飯食べてる?』
『ハイ!いっぱい食べてます!』
「両目に星.....この星野アイってやろー。元気で明るい子ってのが、すぐにわかるやつだな....」
『そうそう!ご飯といえば、こないだうちの子がー』
「
『じゃなくてウチの子猫がね!休養中に飼い始めたんだけどー 』
『へぇー』
「......」
他の人たちは、先ほどのアイの一言を、気にも留めていなかったが、仗助は、しっかりと、聞き逃さなかった。
「あの女、さっき、『うちの子』つってたよなー。見た感じ、まだ20代だろ?現役のアイドルが子持ちだなんて、流石にやべぇーんじゃあねーのか?」
アイドルのことをよく知らない仗助から見ても、アイの子持ち発言がもたらす、世間体でのやばさは、理解していた。
『では!B小町さん。パフォーマンスの準備をお願いします!』
と、番組では、アイがグループに戻る後姿が移った後に、画面が切り替わった。
苺プロダクションに所属するアイドルグループ、『B小町』。彼女、星野アイは、そこでセンターで踊り歌う存在。
しかし、周りの人間からの評価は、散々なものだった。
「知らね。興味もねー」
「量産型アイドル」
「無理にでも褒めなきゃなんねーのにどーすんの」
「どこサイドのゴリ押し?」
「苺プロだって、知らん事務所」
「地下上がりだろ」
「乳ある子いんじゃん。グラビアとかやらせれば?」
「あの子飯呼べない?Pが好きそう」
今見ている仗助だってそうだ。テレビを見ながら、「さてと、そんなことよりも、ニュースかなんかで情報を...」と考えていた。
笑顔の裏では噓と打算が隠してあり、放送のために噓を吐き、お偉い方も、アイドルではなく、数字だけを見る。アイドルだって嫌々ながら、噓を吐く。
これが、
しかし、アイがきらめく瞬間――
まるで、火に群れがる蛾のように。
吸い寄せられて羽が落ちるとわかっていても、なお止まれぬように。
そこにいるスタッフが。
お偉い方が。
プロデューサーが。
視聴者が。
彼女に――
彼、東方仗助も、例外ではなかった。
ニュース番組に切り替えようと手に持ったリモコンを落としたことにも気づかずに、彼女の、一つ一つの動きに、目を凝らすばかりだった。
「すげぇ......」
身も心も焦がされた仗助が、辛うじてだせた言葉は、たったの、この一言だけだった.....。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
仗助がテレビで星野アイを見ているとき、別の家でも――
「アイ.....アイ......」
暗い部屋の中。
「この嘘
スマホで、星野アイのライブを、雨宮吾郎を崖に落とした、黒いパーカーの男も観ていた。
「...おい」
黒いパーカーの男が振り返ると、雨宮を最初に刺した、街灯の男が立っていた。
「あれからしばらくたったが、どうだ?」
「....5、6人はもう刺してる。虫は二回、犬だか猫だかも、一度だけ刺した。そのまま死んじまったがな」
「そうか。だがもっとだ。だが、もっとだ」
街灯の男は冷たく言い放つ。
「その10倍くらいは刺しておけ。ただし、人にばれずにな」
「....お前こそ、ちゃんと調べてるんだろうな?星野アイの住所を」
「ああ。まだ見つかってはいないが、場所は絞れている。近いうちに家庭内の詳細もわかることだろう」
「そうか.....」
(....本当は、もう場所も特定している)
街灯の男は心の中でそう呟く。
(だが、今こいつに教えたところで、こちらには何の得もない。黙っておこう)
「そういうわけだからな」
街灯の男は背を向ける。
「お前も、そいつに気を取られすぎずに、役目を全うしろよ...」
「.....」
そう言った後、街灯の男は、
「......くそッ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
同じ頃。別の家では――
「Nステもう始まってるじゃん!!どうして起こしてくれなかったの!」
テレビに映る、星野アイのライブに、
「きゃーーっやばーー!」
小さな身体を必死に動かす。
「
「.......」
もう一人の赤ん坊は、
『お前もしかして、俺と同じか?』
『え.....赤ん坊がしゃべった!キモーッ』
『お前もだろ』
(つくづく思う....
彼らの名は星野アクアと星野ルビー。