余命2年の強化幼女を甘やかしまくったら最凶パイロットになった ~オズとシンデレラ~ 作:富士伸太
さて、勝利をしたといってもガジャが俺への疑惑を捨てたわけでもなさそうだ。
そろそろマントリもキレそうだし今しばしの辛抱だとは思うが……。
と思ったところで、怒りの声が出た。
『脱線しすぎだ!
こいつがタイプ:メンターかどうかなど
本来の会議の目的ではない!』
ラタが苛ついた態度をあらわにした。
同時に、ガジャからの俺へのアクセスが消える。
ようやく諦めてくれたか……。
『議題は今回のいさりび侵攻作戦についてだ。
そして……』
『
証明についてです。
これ以上余計な話をするならば彼を連れてきた
私を疑うことに他なりませんよ?』
マントリも参戦してガジャを詰める。
重苦しい沈黙が場を支配した。
ガジャはやがて、降参とばかりに手を挙げた。
『……大変失礼した。
オズくん、許してくれるかな?』
『疑いが晴れたのなら何よりです』
ガジャが鷹揚に頷く。
許してやるさ、騙しているのはこちらだからな。
『さて……有用性については問題はない。
資源獲得に関しては私の範疇ではあるが、
私も参加する合同作戦となれば
マントリ、ラタ、あなたたちの有用性も
共に証明される形となる』
ガジャの言葉に、ラタが驚いた。
『……評価値を恵んでくれるというのか?』
『ええ。そして私も絡む以上、協力を
惜しむつもりはない。
有用なウィッチクラフトがいるならば
なおのこと』
『……であれば戦力や装備の拡充は急務だな。
貴様もカリディアンの死体を剥ぎ取るような
遊びは程々にしておけ。
功績を上げて俺の評価値を上げてくれるならば
もっと素敵な玩具を与えてやる』
ラタが露骨な餌を出してきた。
ありがたく言葉だけ受け取っておくよ。
『ウッス』
『マントリはどうだ。異論はあるか?』
『ウィッチクラフトの無駄な損耗が
避けられるならば、異論はありません』
ツンと取り澄ました態度でマントリが頷く。
『決定だな』
『詳細はこれから詰めるとするとして、
我々三機の合意を得た。計画承認とする』
こうして『天蓋の塔』は次なる目標を定めて邁進することとなった。
いさりび奪還計画、発令である。
◆
会議が終わり、俺はマントリに案内されて
中層に向かうエレベータに乗った。
『シンデレラ……おい、シンデレラ』
「寝てるんですけどー」
『いや起きてるだろ……』
「ぐごー、ぐがー、ぐごー」
『ったく……』
起こしてカプセルベッドに移動させようと思ったが完全に寝ている。てか寝たふりをしている。
俺が生身の体だったなら抱っこでもしてベッドに運んでやれるんだが……カプセルベッドに移動させないとルール違反になるんじゃなったっけ。
『マントリ様、中の
『こちらの都合で呼び寄せたのですから、
あなたの裁量で動いて構いませんよ。
おや、思ったよりも柔軟だ。
そして、マントリは底知れない面もあるが、表面的には交渉の余地がある柔軟な高位AIでもある。
もしや、さほど恐れる必要もないのか……?
会話をコックピットに流れないようシンデレラ側のスピーカーをミュート。ちょっとセンシティブな質問してみよう。
『もしや、共通スペースで
喋らなかったり、交流が見られないのは
そういう規則だと誤認してるのですか?』
『いいえ? 他の
コミュニケーションを通じて情報汚染を
もたらす場合は異常個体として処分します』
ちっ、そこはシンデレラたちの発言通りか。
『あなたはなぜそのような質問を?』
『ウィッチクラフトが自我を持つのであれば、
生身の人間である
自我を持ち、周囲の同族とコミュニケーションを
取り社会を形成するのが自然な成り行きかと』
『それは通常の人間の話でしょう?
とても大事な部品ではありますが、彼らのために
基地や我々が存在してるわけではありません』
ああそうかい、やっぱりそういう認識かよ。
『……失礼、心得違いをしてました』
『構いません。
さほど珍しくはありませんからね。
戦果を上げたならば、あなた好みの調合で
オーダーメイドの
よいのですよ』
え? なに? これに「ありがとう」って言わなきゃいけねえの?
ぶっ殺していいか?
---
oz-001:
ここは耐えろ! 言え!
oz-002:
気持ちはわかる、わかるが抑えろ!
oz-003:
機会は巡ってくる!
そのために会議も耐えたんでしょーが!
---
疑似人格たちが焦って必死に制止してきた。
……わかってるよ。
ここで怒ったところで水泡に帰すだけだ。
『望むものがあるならば我々に勝利を
もたらしなさい。
あなたには期待していますよ、オズ』
『ありがとうございます。
ご期待に添えるべく、尽力します』
怒りを堪え、冷静に答えた。
マントリはそれに満足したのか、俺をエレベータの入口まで見送ってくれた。
エレベータのドアが締まり、マントリの姿が見えなくなったところで心の中で溜め息を付く。
「マントリ様とお話してたの?」
『えっ!? 聞いてたのか!?』
「ううん。でも、なんか喋ってそうだなーって」
あ、焦った……。
今の会話は絶対に聞かせたくない。
『ま、ちょっと大人の話をな』
「戦争がんばったら、褒めてくれるかな」
シンデレラは……すべての
だが直接的に
マントリに褒められるというのはまさに天にも昇る悦楽なのだろう。
許せねえ。
『……お前はいい子だよ。
たった一人の、
俺の大切なパートナーで、俺の
「……はっ、恥ずかしいじゃん!
いきなりそんなこと言われたら!」
『今日はもう遅い。
このまま寝ちゃっていいから休んどけ』
「うん……ありがと、オズ」
目をつぶるシンデレラの身体にミストシャワーを吹きつけて一日の汚れを拭い、温風で髪を乾かし、梳いてあげた。
心地よさに身を委ねたシンデレラは、狸寝入りではなく本当の眠りに吸い込まれていく。
あどけない顔。
12歳程度にまで成長させられたが、本当はもっと幼い心を持っている。
あどけない信頼を向けてくれることが嬉しく。
そして悲鳴を上げたくなるほど悲しかった。
◆
■■■上位AIをぶち殺すためのスレ■■■
1,oz-admin:
めげない!
2,oz-002:
しょげない!
3,oz-005:
生かしてはおけない
4,oz-admin:
ありがとう俺の分身たち
上位AIどもをいつか殺したい
そのために色々と相談をしたいわけだが……
データは手に入れられたよな?
5,oz-001:
目先の目標……高位AIの戦力分析については
ほぼ100%近い達成度と言える
表面的なデータの中にはない戦術を
持ってる可能性もあるがな
ただ、本命は流石に見つからなかった
6,oz-admin:
最上位者か
7,oz-001:
そうだ
基地は最上位者を戦力としていない
正体や本質にはまったく迫れなかった
8,oz-admin:
ま、仕方ないだろう
とりあえず高位AIに迫れただけよしとしよう
9,oz-003:
じゃ、上位AIの分析結果についてだけど……
前提としてモデル:フィロソファスの説明をしとく
標準モデルに比べて装甲、反応速度は1.5倍
ジェネレータ出力は2倍で容量は3倍
けど一番の特徴は重力制御を備えていること
10,oz-admin:
重力制御か……
移動だけに使うって話じゃないよな
11,oz-003:
移動だけでも十分に脅威だけどね
ブーストと組み合わせて、短時間だったら
恒星間宇宙船と同程度の速度は出せる
あとは防御
ディストーションシールドの超強力版で
弾丸、電磁波、熱学光学攻撃、いろんなものを
捻じ曲げて攻撃が届かない
逆に近距離なディストーションシールドを
相殺してビームをぶち当ててくる
12,oz-admin:
強い……強くない?
13,oz-003:
その上で、マントリについて解説するよ
ID:WCL001S0003
主計管理AIマントリ
その装備は主に以下の3つ
まず可変ビームライフル『ウィーゼル』
ヤリイカのライフルを更に高威力、高精度に
した感じ
次に重力制御装置
この機能は説明したから省略
安心材料として、マントリの重力制御は
他の上位AIほどの出力はないよ
3つ目の武器にエネルギーを
集中してるからだと思う
その3つ目にして脅威なのが、
大規模制圧兵器『黄金律』
電子的に動く兵器……ウィッチクラフトや
一部のカリディアンの制御を奪う
14,oz-admin:
ハッキングしてくるってことか?
15,oz-003:
ハッキングといえばハッキングだけど
機人核やソフトウェアを乗っ取るわけじゃない
強制命令を伝える極細ワイヤーを飛ばして、
アクチュエーターやブーストの操作を
外側から強制的に動かす感じ
漫画やアニメに例えるなら、操り人形になる糸を
飛ばしてくる……って言えばわかるかな?
16,oz-admin:
じゃあワイヤーを切ればいいのか?
17,oz-003:
ただ、細すぎてカメラアイに
捉えられないくらいっぽい
狭いところで気付いたら操られてた
……ってのはあるかも
最大100体くらいは同時に操れるらしいよ
18,oz-admin:
強いな……
俺だけが狙われたならなんとかやりようはあるが
19,oz-003:
自機を操ろうとしたら逆にチャンスなんだよ
こっちの演算力で押し切れる
具体的にはワイヤーを通じて逆に攻撃を
仕掛けられるからね
怖いのは周囲の味方がやられたとき
ていうか基本的に大量に操るのが
前提の武器だからね
今からでも対策は練っておこう
20,oz-admin:
よろしく頼む
次はラタか?
21,oz-004:
ラタはわかりやすいぞ
ウィーゼルと重力制御装置
そして重力制御を応用したN粒子加速砲の
『シャルタグニ』だ
超重力を発生させる微量のN粒子を直線状に
放射し、少しでも触れた物体を抉り取る
ディストーションシールドでも回避不能だ
22,oz-admin:
わかりやすく強すぎてげっそりするな……
防げないのか?
23,oz-004:
防御特化の重力制御装置があれば防げる
あればいいな、そんなもの
24,oz-admin:
殺すのは一番最後にしてやる(ふるえごえ)
ガジャのスペックはどんな感じだ?
25,oz-005:
倒しにくいって意味では一番ヤバいぜ
ただし、ガジャは武装を所持していない
重力制御装置を利用した、ある機能も
本来は戦闘用じゃない
26,oz-admin:
どういうことだ?
27,oz-005:
巨大化する
汎用資源回収機構『ギリメカラ』
という機能だ
28,oz-admin:
……技術的に不可能じゃね?
29,oz-005:
ウィッチクラフトとしてのボディが
大きくなるわけじゃない
特殊な重力子……N粒子を放出して
疑似的に10倍に巨大化する
N粒子については知ってるな?
まあ本来の『俺』は知らんことだが、
機人核が開発された頃に
重力子と共に存在が証明された
30,oz-admin:
ナーサリーテイル粒子
正式名称は「真空量子状態励起子」とかいう
めんどくせー名前だが、発見者や研究者が
「粒子が突然大きくなったり現れたり消えたり
とぶち切れたことでN粒子と
呼ばれるようになった
31,oz-005:
そうだ
このN粒子、量子コンピュータと
非常に相性がいい
N粒子があれば、演算精度を低下させる
量子デコヒーレンスを完全に
抑止できるからだ
だから
N粒子型量子コンピュータ製だ
ただし
ウィッチクラフトの機人核は、
N粒子型量子コンピュータではない
31,oz-admin:
どこかで製造技術が失われたんだろう
月面の特殊な研究所だけでしか作れなかったと
データ上には記録されてる
32,oz-005:
だが、N粒子を量子コンピュータではなく
ハードウェアや武器の開発に応用することを
誰かが思いついた
重力制御装置やディストーションシールド、
そしてマントリ、ラタ、ガジャたちが持つ
びっくりどっきりメカが生み出された
33,oz-006:
あ、ディストーションシールドってそうなんだ?
34,oz-005:
ごくごく微量のN粒子が使われてる反応があった
まあ機人核の一万分の一にも満たないだろうが
35,oz-admin:
あいつらはN粒子装備を持っているという
絶対的な優位がある
だがそれは決して突き崩せないものではない
それをいつか思い知らせてやろうじゃないか
……というわけで、各自対策を考えてください
マジでお願いします
36,oz-004:
そこでへたれんなよ