ポケットモンスター 夜明けの鐘/日暮れの笛 作:おにぎりナマズ
よろしくお願いします。
『ポケットモンスター』
縮めて『ポケモン』
「その資料の上に乗らないでよ〜」
この世界には、何千種類ものポケモンがいるのだろう…
ここでいう『この世界』っていうのは、俺が今生きている世界のことだ。
そして今、目の前にいる生物こそが…ポケモンなのだろう。
「『ゴクー』じゃない!早く準備しないとみんな来ちゃうでしょ!」
「リラちゃん!おっはー!
もうみんな着いたからポケモンくださーい!」
俺の後ろから勢いよく赤い髪を揺らして、研究所へ飛び込んだリズがそのままリラちゃんへ駆け寄る。
「えっ!…おはよう!来るの早くない!?
もうっゴクリン!そこからはやく…ってどいてくれてる、何がしたかったのこの子は…」
カノンは床に散らばっていた資料を拾い集め、リラちゃんに手渡しながら挨拶をしていた。
「おはようございます
はい、リラちゃんこれ下に落ちてた資料ですよ一応まとめましたが確認しておいてくださいね」
「リラちゃん…おはよう
ゴクリン…朝から楽しそうだね、おはよう」
青い髪のノクタは、いつの間にか寝転がり、ゴクリンと同じ目線で挨拶を交わしていた。
「リラちゃんおはよう
研究所で見ると博士って雰囲気がするから、いつものだらけモードとえらい違いだな」
(リラちゃんいっつもゴクリンにちょっかいをかけられてるけど、信頼の証だよなぁ…
俺にもいよいよポケモンが貰えるんだよなぁ…実感無いよ)
ポケモンが好きなだけの俺が転生した先が、ここ『レゾナ地方』だ。
……うん、聞いた事がない。
ゲームやアニメで見かけなかっただけで、本当はあったのかもしれないけど、少なくとも俺の知らない地方だ。
そして目の前でゴクリンと資料の引っ張り合いをしていたのが『リラ博士』。
俺を拾ってくれた孤児院を営む夫婦の娘さんだ。
リラちゃんの親がやってる孤児院で育てられた同い年の4人で、相棒になる最初のポケモンを貰いに来た。
前世でいう『御三家』ってやつだ。
ここで疑問が出ると思うんだ、なんで4人で御三家を貰いに来てるのか?って
俺たちの希望がちょうど被らなかったってだけ。
俺の場合は好きなポケモンがこの『レゾナ地方』にいれば、相棒にしたいという要望をリラちゃんが叶えてくれたんだけどね。
この地方で暮らしてたらいるだろうとは思ってたけどな。
リラちゃんは気を取り直すようにパンッと手を叩いた。
「はい!…それじゃあ全員揃ってるみたいだし説明を始めるからちゃんと聞いてね。
今からみんなにはそれぞれ初めてのポケモンを選んでもらう事になります。」
そう言いながらリラちゃんは4個のモンスターボールからポケモンを出した。
「どくとかげポケモン、ヤトウモリ
かまくさポケモン、カリキリ
ヒトデナシポケモン、ヒドイデ
最後は…レントがどうしてもっていうから捕まえたんだから…ささやきポケモン、ゴニョニョ」
リズはヤトウモリに一直線に走っていき
「なんか、ほのおタイプに見えないっすね?」と持ち上げたりして観察している。
カノンはカリキリの前で屈みながら
「これからよろしくお願いしますね?」と挨拶を交わす。
ノクタはヒドイデの前まで匍匐前進していき
「わたしならあなたを強く育てられるよ」と自分をポケモンに売り込んでいた。
ふとリラちゃんが俺の方を見る。
いつもならリズと同じくらいに騒いでいる俺が、ゴニョニョの前で黙り込んでいたからだろう。
「どうしたのレント?…もしかして別の子が良いとか言わないでしょうね?ダメよ!もう草むらで何時間もかけてポケモンを探すなんてしたく無いんだからね!」
「リラちゃんそこは『またレントの為にポケモン捕まえて来るわね』って言ってほしい所なんだけどなー
…いや……こうお願いしてたポケモンがいざ目の前にいると思うと嬉しくてどうすれば良いのかなって…」
リラちゃんは呆れたように笑って
「そんなの欲しかったポケモンが今から自分の相棒になるんだって喜んだら良いのよ、ほらゴニョニョもレントがどうするのか待ってるわよ」
俺はひとつ息を吐いて、気持ちを切り替えた。
大好きなポケモンを相棒にして、一緒に旅をする。
そんなこと、一度でも想像しなかったわけが無い。
なのに、いざ本当に自分の前にいると、嬉しさに頭が追いつかなかった。
ゴニョニョの前で膝をつき、俺は手を差し出した。
「俺はレントって言うんだ、これから一緒に色々な旅をして一緒に強くなって行けたらなと思ってる、俺の相棒になってくれるか?」
…あれ?そういえばゴニョニョってこんなにピンク色だったか?
そんな事を考えていると、ゴニョニョの体が震え出し……
「ぅえっ!なに?なに?」
目を覚まし、周囲を見回すとゴニョニョだけがポツンと立っていて、みんなは気絶していた。
リラちゃんのスマホロトムがこちらへ飛んできてゴニョニョの図鑑説明を見せる。
(人やポケモンの感情にとても敏感で、捕まえるのは困難。
自分の感情を伝えようとすると普段は出さない大声を上げるため、音量の調節が苦手……?)
(それじゃあさっきの手を差し出した時に何か伝えようとして鳴いたって事か…)
「何を伝えたかったんだろうなぁ
まあ、初対面だし不安だったのかもなぁ……」
(いや、それより…何かを伝えようとするたびに毎度毎度気絶してられないぞ)
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