わたしは剣。――無能だった少女が、異能者たちの全国大会で運命を斬るまで   作:遠野静

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後日談:『一年生混成チーム』と『二年混成チーム』2

「とはいえ、今のはちょっとうち有利すぎたな」

 

 「いや、ビル群はロビン・フッドのために用意したんだが」などと仰る山名部長。

 

「場所かえっかー。まあ『森林』でよかろ……」

 

 などと言いながら、またフィールド装置の方に向かう。

 

 ……隙に、我ら一年生チームは集まる。

 もはや開始直前の作戦会議は遅すぎると悟ったからだ。

 

「どうします……? 森林ならより六条さんも輝けると思いますけど……」

 

 一応無い頭で、冷静に話すわたし。

 それに対応するのが望月さん。

 

「あと『クサナギ』も雑にふれるよねえ」

 

「というか、なんなら終わりの魔剣でぶった斬れるでしょ」

 

 一キロ燃やす炎なんだから、と語るのは寄藤さん。

 確かに決勝では森林フィールドを真っ二つにしてたけど……。

 

「……それやると、六条さんの隠れ場所がなくならない?」

 

 と、答えるのは望月さん。冷静である。

 なんだかんだで山名部長の一番弟子は望月さんだ。

 ここは望月さんの意見に従うべきでは……。

 

「マジで頭使うからやめてほしい……僕が頭絞ってやること、あの人しれっとやるんだぜ?」

 

 などと答えている。

 そこでまとめ役代わりに戸枝さん。

 

「……ひとまずクサナギとレーヴァテインは温存。あるいは詠唱破棄で。それで何人か墜とせても、対応力的に、向こうに分があります」

 

 ……確かに。

 ていうか森林フィールドで山名部長に勝てた試しが無い…。

 

「斥候は六条さん、あと望月さんに里見さん……正面は私と佐守さんと寄藤さん……でよろしくて?」

 

 特に言うこともないのでコクリと頷く。

 

◇

 

 それぞれに開始位置についた。

 フィールドも森林に変化した。

 それから試合開始のブザーがなった。

 

「では作戦通りに。六条さんは西から、里見さんは東。望月さんは影を伸ばして」

 

 戸枝さんがもうちゃんと指揮を執っている。

 そして、その通りに移動を開始――

 

 したかと思ったら西側が爆発した!?

 

 脱落ブザーがなる……多分六条さんだ……!

 そう思っていると念話で望月さんの声が聞こえる。

 

(あー! 多分また『扇的当』だ……今度こそ『ジュワユース』のなんかだろ!)

 

 とか叫んでいる……。

 

 どうする……? いや、なら『西を捨てよう』。

 

(……みなさん。私が西側を『クサナギ』してきます)

 

(正気で言ってる? いや確かに有効か……)

 

 そう。西はもう落ちた。ならば西側こと『斬る』。

 

 ……というわけでさっさと西側に移動して。

 

「――『斐川の化身に手向けよう』」

 

 久々の完全詠唱。かの悪蛇への鎮魂歌。

 

「『わたしは、彼の尾より生まれた『出雲国の剣』、だから』――」

 

 雑草……と呼ぶには少しデカいけど。

 

「――『抜刀。クサナギ』」 

 

 ぶんとふりぬく横薙ぎで一気に『視界範囲上の剣軌道をすべて、道理を無視して両断した』。

 

 ――直後にパンって銃声がしてわたしが撃たれた。

 マジで? とか思ってるうちにもう脱落ブザー……!

 

(いってぇ……!)

 

 ついでに念話で眷属化してる望月さんも微量にダメージが入る……。

 

 これは……ヤバいのでは?

 いやもうわたし脱落したから口出しできないんだけど……!

 

 とか思ってると戸枝さんと寄藤さんの声が聞こえる。

 

(……正面、レーヴァティンで焼きます)

 

(あんた何言ってんの? またバレるでしょ)

 

(ええ。ですが……道が開けば寄藤さんの進路もできる。私は目立ちますし囮になるでしょうが、その隙に――)

 

(んっ)

 

 とか言ってる間に里見さんのほうから念話。

 

(……どうしよう。諸星さんと当たってる)

 

 諸星さん、東側なのか……。

 でも、それなら――

 

 とか思ってる間にもう次の脱落ブザー。

 里見さんのだった。

 

「考えている時間はありませんわね……やりますよ、寄藤さん、望月さん!」

 

 そう言って戸枝さんが前に出る。

 

「『世界よ、終われ。私と共に、私以外の全てを焦せ』」

 

 そして本気の詠唱。

 マジで一キロ先まで燃やすつもりだ……!

 

「『炎の剣。主役の光。大地を丸ごと焼き焦がし、私だけの春よ「こねぇよ」

 

 なんて、しれっと詠唱に割り込んだのは村田さん。

 しかも剣を振り上げている戸枝さんの手を握ってる……!?

 

「はぁ……! 『抜剣。エクスカリバー』!」

 

 それを止めるために寄藤さんが来るけど……!

 

「ぐっ……!?」

 

 今度は和弓……普通に須藤さんの弓で射抜かれた!

 これで脱落ブザーが四回目……。

 

 しかもしれっと村田さんは戸枝さんをムラマサでちゃんと刺してる……!

 

 これで脱落ブザーが五回目……!

 もう残るは望月さんだけだけど……!

 

(よし、逃げ回る……! 逃げ回れば僕は負けない!)

 

 もう当然のように格好良さを捨てて、持久勝負に挑む気だ……!

 

 だって望月さんは『吸血鬼』。

 『剣士』ではなく化生、怪物の類いである。

 

 ――故。

 

「――お前は一旦斬っときたかった」

 

 ぬるりと。

 望月さんの下から『武光奏』という化生が飛んでくる。

 

「ほい『鶴久の絶剣』――いざ化生討伐」

 

 などと言いながら望月さんを斬り捨てる化生。

 手に持つのは『聖剣デュランダル』、吸血鬼には特効だ……。

 

 最後の脱落ブザーが鳴って……結局また完封された。

 

◇

 

「ほな改善点分かるやつおるかー」

 

 また正座させられるわたし達……。

 でも今回は比較的、最適解だったような……。

 

「ああ。最適解だな。だから分かる」

 

 私だけじゃなく、他二年生陣にも、『定石なんだから定石通りに見える』とか言ってた……。

 

「うーん……やっぱりもういっそ射出装置でも用意するかなー」

 

 「現二年生は地味だから」とか呟いてる山名部長……。

 三年生、三年五指とか言われてる人達はド派手な『天災』だったからどうしようとなかったけど……。

 やっぱりこの二年生たちも狂ってないですか……?

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