ワンダラーズレコード 魔法少女まどか☆マギカ逆編 作:レンコン W01
時系列的には、叛逆の物語直後となっております。
私には二つの死の記憶がある。
一つは、戦いの記憶だ。
輝きと後悔だけの世界で悪を裁いて、裁いて、裁いて、裁いて、裁いていった。初めの内は、満足していた。ただ徐々に虚しいだけになって行き、そしていつしか、悪も善も見えなくなった。
ただ、ようやく私を裁いてくれる光が来た。それは私の光、私の理想、ただ一人呪いの前に立つ藍色の魔法少女────
彼女はたった一丁の自動拳銃を構える。私も腰に下げた刀を抜いた。
その後は、まるで舞踏会のようだった。私は何度も刀を振り続ける。それを彼女は紙一重でかわし続けた。さらには合間を縫って、私の仮面に銃弾を放つ。その威力は膨大で、たった一撃で仮面は割れ、私は大きくのけぞった。
けれど私は三発目で見切り、心臓へ放たれた一発を刀で切り防いだ。そして徐々にその藍色の衣装は赤く染まっていく。閉幕は近い。
最後、私は横薙ぎの一閃を放った。しかし理想は目の前から消えている。彼女は振り切った刀の側面に立っていた。
──あぁ。わかっていたとも、そう来ることは。
刀を登りきり、近距離から仮面の向こうへと弾丸を放つ計画なのだろう。けれど、そんなことはさせない。
理想が刀身の根本まで来たところで、私は彼女の足元へびっしりと刃を発生させた。さすがの彼女も、足を貫かれて苦悶の表情を浮かべる。そのまま理想は、膝を下ろしてしまった。
私は最速で彼女を攻撃するため、刀を持たない左手を伸ばした。ただその瞬間、刀にとてつもない衝撃が撃ち下ろされる。彼女は立てなくなったのではない。刀に銃口をピッタリと着けて銃弾を浴びせたのだ。
刀にヒビが入る。私は攻撃しようとするが、そんな隙を与えず私の理想はもう一度トリガーを弾いた。発射された弾丸は、遂に私の刀を貫き、その刀身を砕く。
気づいたときには、すでに彼女は伸ばしていた左手から上へと駆け上っている。そして私の目の前へ辿り着き、銃を構えた。
一発の銃声が空間で鳴り響いた────けれどそれが私を貫くことは無かった。私は彼女がトリガーを弾く寸前、刀を手放し右手で彼女のことを殴り飛ばしたからだ。
壁に埋もれた私の理想は、すでに全身血塗れだった。 そしてそれが最後の一発だと、私は知っていた。
あぁ──殺さなくてわ。私は彼女のことを殺さなければ。そして彼女の輝きを、光を、永遠のものに──────
そうして手を伸ばした瞬間、彼女は私に優しい笑みを浮かべていた。見間違えかと思って、私は顔を近づける。けれど私の理想は、皮肉も憎悪も含まないひたすらに暖かい微笑みを持って、私を見ていた。
──違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う、違う!!
貴方が私にするべき顔はそんなものではない!貴方が私に向けるべき目はそんなものでは合ってはならない!
だって貴方は、私の──────
そして彼女は、眼前に迫った私の顔に手を伸ばし、頬を撫でた。
そこで決着は着いた。彼女の手から白い光が溢れ出し、私を消滅させたのだ──
◇ ◇ ◇
もう一つは、静寂な記憶だ。
理想に、決意に、希望に、力に、人間に──信じた物と救った物の全てに裏切られ、私の魂は摩耗していた。
ただ誰も居ない場所を求めて、歩みを続ける。世界の全てが嫌だった。人間の生み出す全てに嫌悪した。しかし遂には足は砕け、どこだかもわからない場所で倒れ込んでしまう。そして決まりごとのように、私の濁りきったソウルジェムが目の前に転がり込んだ。
私は死ぬんだ。そんな運命を受け入れようとも、抗おうとも考えたが、もうそんな精神力は無かった。心から全てを呪った。
けれど、私のもとへ鐘の音と共に女神が降りてきた。
「もういい……もういいんだよ。あなたは誰も呪わなくてもいい。わたしが全部受け止めてあげる──」
そうして私は救われた。円環の理──鹿目まどかによって。
一ヶ月前にまどマギを初めてみた作品に心を囚われた者です。廻天を見て、なぜだかどうしても書いてみたくなって、今こうして書いています。よろしくお願いします。