鬼さまとスグリのすれ違い 作:魔王ハルト
アニポケのオーガポン?
ゲームのオーガポンじゃない全くの別個体だねアレは。
ナヴィたちと強制的に関わらせて仲良くさせるための口実と設定作り、初めましてのナヴィたちに平気で素顔晒して笑ってる、ゼイユとの思い出が消されてる。
オポオポ・・・何より鳴き声が違う。
テラス池に用があるリコたちと少し関わらせて接点を持たせて、祭りで再会してナヴィたちと仲良くなる流れならまだ納得出来た。ミラコラ回の時も思ったけど最近のアニポケって・・・おっと、これ以上は言えませんな。
おめんがすべて揃い、恐れ穴の前で喜びを分かち合っていたそのとき、一度はどこかへ去ってしまっていたスグリが再びこちらへと戻ってきた。
彼の表情はどこか張り詰めており、その口から告げられたのはオーガポンにとって思いもよらない言葉だった。
「……みんなで村に…来てほしいんだ」
その言葉を聞いた瞬間、オーガポンの小さな身体は反射的にビクリと強張った。
村……それは、かつて自分と大好きなあの人を冷遇し追い払い、「悪い鬼」として何百年もの間、忌み嫌い続けてきた人間たちが集まる場所。
オーガポンにとって、キタカミの里の村は恐怖と拒絶の象徴でしかなかった。
(むら……? いやだ、行きたくない……)
オーガポンは怯えたようにアオイの足元へとしがみつき、激しく首を横に振った。
また村の人間たちに石を投げつけられるかもしれない、冷たい目を向けられるかもしれない。恐怖が胸を支配し、その場から一歩も動きたくなかった。
しかしスグリの瞳はこれまでにないほど真っ直ぐだった。
自分を怖がらせていたこれまでの不気味な訪問者としての姿ではなく、何かを必死に伝えようとする真剣な少年の目。そして何よりもアオイが「大丈夫だよ、一緒に行こう」と優しく手を引いてくれた。
アオイたちがついていてくれるなら、きっと大丈夫。
オーガポンは恐怖を押し殺しスグリをそしてアオイたちを信じて、生まれて初めて自らの足で人間の暮らす村へと向かう決意をした。
そうして辿り着いた村でオーガポンを待っていたのは予想していた拒絶の言葉ではなかった。
「すまなかった……! 俺たちは、ずっと大きな勘違いをしていたんだ……!」
「今までともっこを英雄として扱い、鬼さまに酷いことを言って本当にごめんなさい……!」
村の人間たちが代わる代わるオーガポンの前に進み出ては深く頭を下げ、涙を流しながら謝罪の言葉を口にしていった。
彼らの目にあるのは恐怖ではなく、申し訳なさと言葉にできないほどの謝罪だった。
なぜ、あれほど頑なに自分を「悪い鬼」だと信じ込んでいた村人たちが、これほどまでに変わったのか。
その理由は、すぐに分かった。
スグリが一人で村中を走り回り、おじいさんやおばあさん、大人から子供まで全員にともっこが悪者でオーガポンがともっこの被害者だったのだという真実を必死に説得して回ってくれていたのだ。
自分の知らないところで、あの男の子が自分のためにそこまでしてくれていた。
その事実を知ったときオーガポンの胸に、じわりと温かいものが広がっていった。これまでの恐怖や不信感が彼の必死な行動によって、すうっと溶けていくのを感じていた。
(スグリ……ワタシのために、みんなにお話してくれたんだ……。ありがとう……!)
オーガポンはスグリに向かって、小さくペコリと頭を下げた。
言葉にはできなくても、彼のおかげで何百年も続いていた暗い誤解の歴史が、ようやく終わりを迎えたのだという感謝の気持ちは本物だった。村の人々に囲まれ、祝福と謝罪の温かい光の中に包まれながらオーガポンは自分の隣に立つ三人の人間たちを改めてそれぞれの視線で見つめていた。
まず、ゼイユ。
最初は怖かったけれど、ともっこたちとの戦いを経て、自分を本当の家族のように気遣い、守ってくれた。
ぶっきらぼうだけど、誰よりも情が厚くて頼りになる。
(ゼイユは……もう、信頼できる大切な仲間だぽに!)
次にアオイ。
お祭りの夜に初めて出会ったときから、自分のおめんを世界で一番に褒めてくれた。素顔を見られても、優しい顔でおめんを返そうとしてくれた。ともっこたちから命がけで自分を救い出し、おめんを全部取り戻してくれた、かけがえのない存在。
アオイの横顔を見つめるだけで、オーガポンの胸はきゅんとして、言い表せないほどの愛おしさで満たされる。
(アオイは……ワタシが世界で一番、大好きな人間だぽに! これからもずっと、ずーっと一緒にいたいぽに……!)
そして、スグリ。
何度も恐れ穴に来て怖かったし、おめんを取り戻すときも一緒に行ってくれなくて、何を考えているか分からなかった。3人の中でほとんど話してないし関わりは少ないけど自分のために村人を説得してくれた。
(スグリは……………………良い人間だぽに!)
三人の人間たちに対するオーガポンの心のなかの、それぞれの明確な位置づけ。ゼイユへの信頼。スグリへの「良い子」という感謝。
そしてアオイへの「大好きな人間、これからも一緒にいたい」という、他の誰とも違う、圧倒的で特別な愛着。
この、オーガポンにとっては純粋で素直な感情のグラデーションこそが、皮肉にも隣で静かに拳を握りしめていたスグリの心を決定的に崩壊させる引き金になろうとは、この時のオーガポンはまだ知る由もなかった。
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村人たちから謝罪と感謝を受け、スグリへの不信感が「良い子」という感謝へと変わったあの輝かしい記憶。
そして、アオイに対して抱いた「世界で一番大好きで、ずっと一緒にいたい」という、他の誰にも代えがたい特別な感情。
それらすべての過去がオーガポンの眩い回想の幕引きとともに、今目の前にある残酷な現実へと一気に収束していく。
「ぽに……」
オーガポンは、ハッと我に返ったように小さく声を漏らした。
視界に映るのは、あの時、自分のために村中を走り回って誤解を解いてくれた、優しいはずの「良い子」――スグリの姿だ。
だが、今のスグリから放たれている空気は村で真実を語っていたときのそれとは完全に異なっていた。前髪の隙間から覗くその瞳は、暗い情念の炎で赤々と燃え上がっており、ギリッと奥歯を噛み締める音がこちらまで聞こえてきそうなほどに歪んでいる。
「俺だって……! 俺だってずっと、オーガポンと一緒にいたいって思ってたのに……!!」
恐れ穴の岩壁を震わせたスグリの叫び声の残響が、夕暮れの冷たい山風に溶けて消えていく。
オーガポンは、スグリのその張り裂けそうな本心を耳にしても、彼に駆け寄ることはしなかった。なぜなら、どれほど彼が自分のことを想ってくれていたとしても、オーガポンの心の最優先事項は自分を絶望から救い出してくれた「大好きなアオイ」で満たされていたからだ。
オーガポンはさらにアオイの服の裾を強く握りしめ、怯えと拒絶の入り混じった視線でスグリを見つめ返す。
そのオーガポンの態度――スグリを明確に「外側の存在」として線引きし、アオイだけを心の拠り所にしているその冷厳な事実がスグリの理性の最後の一線を完全に叩き割った。
「……アオイ」
スグリの声から、先ほどまでの泣き出しそうな震えが消えた。
代わりに宿ったのは低く、冷徹で逃げ場のないほどのドロドロとした執念だった。彼はゆっくりと顔を上げ、アオイの瞳を真っ直ぐに射抜く。その目は、これまでアオイに向けていた「気弱な友達」のそれでは決してなかった。
「俺さ、ずっとアオイみたいになりたかった。強くて、カッコよくて、みんなに好かれて……。でもアオイは……鬼さままで俺の一番欲しかった憧れまで全部持ってっちゃうんだね」
スグリは自嘲気味に、しかし確実に敵意を孕んだ笑みをその薄い唇に浮かべる。そして腰のベルトに手を伸ばし、一つのモンスターボールを強く掴み取った。
「スグリ、あんた何を言って……! オーガポンちゃんがアオイと一緒に行きたいのを邪魔するなんて――」
ゼイユが慌てて二人の間に割って入ろうと足を動かす。
しかし、スグリが放った圧倒的な威圧感と覚悟の前に言葉を最後まで紡ぐことができず、息を呑んで立ち止まってしまった。スグリの視線はゼイユなど最初から存在しないかのようにアオイだけに固定されている。
「アオイ、俺と勝負して」
スグリはモンスターボールをアオイの目の前へと突き出した。その拳は、怒りと悔しさで細かく震えている。
「これで……勝負で勝った方がオーガポンと一緒にいる。……文句、ないよね?」
夕闇が迫る恐れ穴の前で、かつての友であり、キタカミの里で共に過ごしてきた少年が最愛のポケモンを賭けた果てしないバトルの挑戦状を叩きつけてきた。アオイの後ろではオーガポンが不安そうにアオイを見上げ、その返事を待っている。
AIに聞いたオーガポン視点
ゼイユ→信頼出来る仲間
アオイ→最愛のパートナー、相棒
スグリ→知り合いw
流石にオーガポンの口から「スグリは知り合いだぽに!」と言わせるのは状況的に少しだけ無理があるから、良い人間にしました。
でも大抵の人間が言う「良い人間だね」は言い換えれば「どうでもいい人間だね」なんだよね。つまりオーガポンも……おっと、これもこれ以上は言えませんな。