TASでカンストした次の人生。   作:mono-zo

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1話 野球は嫌いだ

 

前世で野球をやっていた。

 

人生は野球で、野球は人生だった。

 

 

前世の記憶というものがある。

 

前世の名前は「あ あ」。身長185センチ、体重102キロ。

両投げ両打ち、『172キロの剛速球を投げられる9割打率バッター』と言う怪物は――――野球に人生を捧げ、野球後に死亡した。

 

日本の高校を卒業して即渡米。メジャーリーガーになり、投打含めてホームラン王と防御率で十年無敗。日米戦へ招集。完璧なピッチングで勝利した後、飛行機が墜落して死亡した…………はず。

 

 

前世の人生は、誰かに操られていたかのような人生だった。

 

栄誉はあった。前人未到の記録をいくつも残せた。だけどそれは幸福というわけじゃなかったように思う。

 

成功率1%の修行を100回連続でクリアし、年に1回宝くじに当たって筋トレグッズを購入。人生で一回出会えれば運が良いとされる『野球仙人』や『野球鉄人』と毎日のように会えた。

 

伝説の必殺ボールを教わったり修行をつけてもらえたが……それらは自分の意思でやっていたわけではない。見えない何かに操られるかのように、強制されていたように思える。

 

修行はいくら痛くても、いくら苦しくても、終わることがなかった。

 

 

あまりにも苦行。あまりにも地獄。

 

 

前世の自分は何故そんなことをしたかは不明だけど、とにかく毎日苦しかった。だから野球なんて大嫌いだし、やる気が起きなかった。野球関係のものを見るのも嫌だ。

 

悪夢のようだった。ふとした瞬間にあの辛い訓練を思い出してしまう。

 

寝るとストレッチで体のどこからぶちぶち聞こえた音や痛みが蘇ってしまって、耐えられない苦行を思い出して……何度も起きてしまった。親には迷惑をかけただろう。

 

 

前世のことだ。もしくは夢。

 

なのに、ある日学校のグラウンドに転がっていたボールを見て気分が悪くなり、たかがボールだとムカついて投げてみたら……なぜか前世のように投げられた。

 

前世とは体格も違うし、ありえないはずだ。

 

この力を使えばきっと野球は出来るだろう。でも、自分から関わろうとは思わなかった。やりたくなかった。

 

世の中の殆どの人間は野球をしなくても生きていた。だから今世は一般的なサラリーマンが良い。もしくはなにか好きな仕事を見つけて、幸せな家庭を作ってみたい。

 

 

そう、思っていたのに……。

 

 

今世は貧乏だった。

 

父親は母に子どもが出来ると借金を残して蒸発。

 

母は自分を産んで懸命に働き……父の借金を返していた。

 

そんな母親が――――……仕事中に倒れた。

 

長年の過酷な労働で内臓もボロボロ、高額な治療費が必要となった。

 

 

 

野球は嫌いだが――――やるしかない。

 

 




休憩で書いていた何番煎じかもわからない野球物。休憩に書いてたのが溜まってきたので出してみようと思いました。

良いなと思えばポイントや感想よろしくお願いします。
更新のためになかなか返せてはいませんがどの作品の感想も見ています 
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