TASでカンストした次の人生。   作:mono-zo

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15話 ナイツの投手陣。

 

試合は3日のうち2日は出ている。

 

同じチームとは3日連続で試合があるけど、そのうち2日は先発で投げ、大体7回ぐらいで降ろされる。残り1日は抑えで投げることもある。3日続けて投げるぐらい余裕だし、先発で完投しても良いのだけどうちのボロボロな投手陣の調整のためらしい。

 

打率も良いのでセンターかライトに回されるのも慣れてきた。

 

 

淡々と投げてボーナスを稼いでいく。

 

 

吉村以外とも組むことはあるけど、吉村が一番捕球がうまい。他のキャッチャーだと一試合に2回以上はこぼす。

 

監督と話はした。どうやら監督も選手としての現場判断は大事だってことで、打たれそうな時はちゃんとサインを出し合えと言ってもらえた。

 

打たれそうなシーンにのみ、自分が嫌な顔をしていたのがカメラに写っていたらしい。……そんな嫌な顔をしていたのだろうか。サインも独自で作り直してサインでもたつく時間も短くなった。球団の分析力って凄いものである。

 

 

ただ、チームとしては良い雰囲気ではない。

 

 

理由は2つ。

 

 

一つは投手陣の成績があまり良くないこと。

 

特にマークが良くない。

 

162キロの速球はいいんだけど、ストライクにならない。コントロールが良くなくて押し出しとデッドボールがそれなりに多い。ベンチに帰ってくると不機嫌を隠そうともしないから空気は悪い。

 

富西は球速は出ないけど変化球はある。普通に打たれて普通に投げる。悪くはないけどピンチになると崩れがち。

 

リハビリから帰ってきた一条は結構良い玉を投げるけど3-4回で交代する。そして最年少の自分に対して高圧的、パシリに使おうとしてくるので「便所の水でも飲んでろクソが」と紳士的に返答。喧嘩になりそうになった。

 

人間性のよろしくない一条は自分に対してのみ面倒なだけなので問題ないが、マークがなぁ……デッドボール連続で乱闘騒ぎも起こしたし、チームの雰囲気が悪くなる。

 

 

「なんでケントはそんなにコントロールがいいんだ?」

 

「んー、練習かな」

 

 

投手はブルペンでは一緒に肩を作ることがある。

 

富西ならちらちらこちらを見てくるだけ、一条なら文句を言うかたまに事故を装ってボールを当てようとするか転がしてくる。マークは結構仲良く話す。自分前世はアメリカに結構いたし英語は楽勝である

 

マークと話す時はもう日本語よりも英語のほうが多い。

 

 

「そうか、日本に来てからボールが上手く入らなくてな」

 

「球が違うしね」

 

「なんかアドバイスくれよケント、飴やるからさぁ」

 

「的確にできるかはわからないけど飴はくれ」

 

「おう、上手くいったら肉も奢る」

 

 

キャッチャーから返されたボールを持ったまま、マークを見る。

 

マークもわかったようで軽口を叩かずに投げた。

 

 

「どうだ?」

 

「んー、右腓腹筋と左広背筋に問題があるように思う」

 

「右……なんて?」

 

「ふくらはぎだよ」

 

「それどこ?」

 

 

英語で話してるはずなのに通じていない。

 

 

「自分が思うにだけどこれがマークの投げ方だよね」

 

 

一球投げる。投げ方だけはトレースできた。

 

 

「お、おう」

 

「右投げでオーバースロー、スリークオーター気味だよね。投げる時に蹴る右足に力が入りすぎで、体を回す……表現が難しいな。左の腕の振りをコンパクトにして体幹、左の広背筋に意識すればコントロールは良くなると思う」

 

「……天才様の意見だ。試してみるよ。投げるから指示してくれ」

 

 

マークは大人なのに子供の意見も聞く。この辺は吉村と同じだな。

 

スパンスパンと投げていくマークの左にまわってここだここだと指摘していく。

 

右足の外側、踏み込みに力を入れすぎ。左腕、振りすぎ、左の広背筋で安定させる。

 

見込みによれば指導によって1.8キロはスピードは落ちる。だけどコントロールは取り戻せるはず。

 

 

「うん、練習は何日か必要と思うけど、94マイルぐらいならかなり安定すると思う」

 

「やってみる」

 

 

数球、投げてストライクゾーンギリギリ。

 

野球仙人にはこういう、身体の使い方を体の芯に教え込まれたからな。人に指導できるレベルにならないと生き残れなかった。ぅ゙っ仙人様、褒美って……鍼は、鍼をするのには日本では免許が必要デデデデデ!!!!???

 

 

「おぉ!?全然チゲーわ!」

 

 

前世でハリネズミにされたのを思い出した。鍼は人体を貫通させて良いものじゃないと思うんだ。……「神秘の力が開花する」とか理由のわからないことを言いながら細い針を投げて追いかけてくる仙人を思い出してしまった。

 

 

「お前は俺のピッチングコーチだな!!ケント、ありがとよ!!」

 

 

いつの間にかマークが近づいてきていたようだ。

 

上手くいったようで喜色が見て取れる。

 

 

「わかったわかった。抱きつくな持ち上げるなヒゲを当てるな!?」

 

 

マークは試合に出て得意の速球で活躍した。

 

変化球はまだぶれているけど、得意の速球にコントロールが戻ったのが見て取れる。

 

ごきげんなマークに連れられて帰りに焼肉食べ放題を奢ってもらった。やったぜ。

 




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