TASでカンストした次の人生。   作:mono-zo

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16話 思うように行かない心地よさ。

 

試合にもっと出して欲しい。

 

お金のためというのもあるけどそれよりも対戦が楽しくなってきた。

 

前世は何でも勝ってきた。いつの間にか勝敗は勝利しか無く、当たり前になっていた。

 

だけど今は負けることもある。

 

ホームランできないことなんて普通にあって、バッターの心理が読み取れても打たれることがある。『力を尽くした上で、負ける』のだ。

 

 

そうすると――――楽しくなってきた。

 

 

負けは悔しい。だからこそ勝利は嬉しい。

 

練習の苦痛はしんどい。だからこそ試合で結果が出せれば最高の気分になった。

 

 

「大河……好きなだけ食っていいとは言ったが、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫」

 

 

食事も美味しくてたまらない。

 

お店を借り切って焼肉を好きに食べているけど、どの選手よりも食べている。

 

 

「石焼ビビンバ1つと壺漬けハラミ4つとシマチョウ4つとセンマイと……肉全部4つずつお願いします」

 

「そ、そんなに食えるのか?」

 

「足りなかったらおかわりする」

 

「成長期か……」

 

 

サクッと歯ごたえの良い厚切り牛タン。噛めばぐっと良い味のするハラミ。

 

焼肉は飲み物かもしれない。吉村が次々に焼いてくれる。

 

前世はプロテインと漢方を高校入ってから死ぬまでジャリジャリ食べてたし、今世は極貧だったこともあって贅沢はできなかった。

 

今なら焼肉だろうとしゃぶしゃぶだろうとステーキだろうと好きなだけ食べていいと言われる。しかも球団持ち、人の金で食べる肉サイコー!!

 

野球博士には燃料バカ食いタイプ高成長型と診断されたことがあるが、たくさん食べるけど成長効率が良かったそうな、おかげで成長痛もする。

 

背中が痛いって言うとメディカルスタッフが焦ってたけど、うん、これは健康な証拠である。

 

しかしなんで前世の俺は食べると失神しそうなクソ不味い漢方をどか食いしていたんだろうか……。

 

 

「それだけ食べてよく投球に差し支えないよな」

 

「問題ないし」

 

 

意味不明な野球能力をしているこのボディだ。カロリーなんて問題ない。

 

むしろ野草やパンの耳を食べていた頃よりもスタミナがみなぎってきている気がする。

 

ただ食べる分の料理の写真を撮ってアプリに保存しているが毎回食べすぎと警告されてしまう。一日3万キロカロリーなんてぺろりだ。

 

むしろ体がもっと栄養を求めている気までする。

 

 

「この後軽くトレーニング行くけど大河は?」

 

「『スーパー全力疾走』30分、『鬼の一万本素振り』、それに『全力入魂投球』を100球するけど?」

 

「俺は俺でやるわ。クククっ」

 

「わらっ、うなよっ……ぷふっ」

 

 

高橋と吉村が笑った。

 

なにかおかしかっただろうか?野球仙人の最強トレーニングメニュー改造3号なんだけどな。

 

手の皮は分厚くなってきたし、足にもマメができている。たまに疲労感だって感じるが……だからこそ勝った時は嬉しくもある。

 

野球なんて見るのも嫌いだったはずなんだけど、この生活も悪くない。

 

 

次の日の試合は2本ヒットを打たれた。でもホームラン2回打ったから俺の勝ち!

 




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