広島オイスターズとの試合の次、またロッコーズとの試合になった。
「いてこませー!」
「クソガキぶっ潰せー!!」
「大人の意地見せろー!!!」
「なんでこうも元気なんだろうか」
「関西で争ってるからな。伝統みたいなもんだってよ」
「高橋はどこ出身?」
「東京。こっち来てビビったわ」
聞いてみると関西のチームは昔から対抗していて仲が悪い。
大阪ロッコーズは兵庫の三木市にある金属加工の工場が発祥、なんやかんやがあって本社は大阪、生産工場が兵庫にあるそうだ。そのため社名からロッコーズになったはずなのだが……ロッコーズの経営陣は「六甲連山は俺達のもの」となぜか言っているそうだ。
そうすると兵庫のチームは面白くない。そこでライバル視して競っていて……そこに「醜い争いどすなぁ」と京都の方から聞こえてくる。
東西での競い合いも盛り上がるが、この関西での争いも見どころになっているそうだ。
「まぁ、あんま本気にすんなよ。一種のパフォーマンスよ」
「だけどめっちゃボロカスに言われてるんだけど」
「ファンは盛り上がってそういうこともある。まぁ経済的には近いチームで争ってると盛り上がる、らしい。なんか前にそう聞いた」
「へー」
対立して盛り上がることによる経済効果があるらしい。
東京出身の高橋は若干引いているように見える。
マークに目をやると肩をすくめられた。外国人のマークにはもっとわからない話題だったっぽい。マークは日本語もまだ怪しいもんね。
「クソガキー!調子に乗んなー!!」
まぁお陰で良いこともある。
大体のチームとは対戦して、そろそろ警戒されつつある。
打てないこともあるが打率七割、うち半数がホームランである。
大人のメンツにかけてか勝負してくれることも多いけど、敬遠はしないまでもストライクゾーンから離れたコースに投げてくることが増えた。
打ちたくて振ってしまうこともあるけど、なかなか無理なフォームで長打は難しい。
大人のメンツとやらで勝負はしたい。だけど数字を見ると勝負をしていい相手でもない。
まだ敬遠はされないまでも、ボール球ばかりでは打ちにくくてたまらない。
しかしだ。
「ストラィークッ!!」
外角高めにカットボール。見送って……思わず口元が緩む
「どうだクソガキー!」
「西園寺ぃー!俺達がついてるぞー!!!」
「行けー!!」
ファンからの野次は自分の応援するチームの勝利が見たいからであり、期待ありきだ。
更にここは相手のホーム、ピッチャーは声援に押されて――――勝負する気だ。
次、ストライクゾーンから落ちるフォーク、ボールだし見逃す。
次、気合の入ったストレート。だけど明らかにボール。見逃す。
「手も足も出てね―ぞ!」
「やれー!!」
「気合い入れろー!!!」
それにしても、声援がうるさいな。
西圓寺の気合が高まっているのが見て取れる。
内角高めから……フォーク。体を開いて――――振り抜く。
「…………ファール!」
惜しい、三塁線上に大きく飛び、黄色いファウルポールのやや左に落ちた。
打席に戻り、呼吸を整える。
西園寺の狙いはおそらく低めへのストレート。だけど焦ったのか外れた。……中央高めのストレート。打ちごろの球。
今度こそ文句なしのスイングが球を捉えた。
「アウトォー!」
バットが折れ、ヘロヘロのピッチャー返し。あっさり捕られてアウトになった。
「どうだクソガキ!」
「良いぞ西圓寺!!」
「でかした!!」
確実にホームランにするつもりだった。なのにバットが折れてアウト。
野次はうるさいけど……これだから勝負は面白い。
小説のお仕事や対応で更新遅れました。エタってないよ!w