色々あったけど……とりあえずじーさんは頼りになる人っぽかった。
まだお互いにどう接したら良いのかお互いにわからないしギクシャクしている。
景子ねーさんのことは「孫がもう一人いたとは……」とか勘違いしていたけどそっちは母方の従姉妹であって孫ではない。
「困ったことがあったら何でも連絡してほしい。力になるから」
「困ってないことは相談しちゃだめ?」
兵庫で過ごして若干ジョークを学んだ自分。「困ってないことは何も相談しちゃだめなんかーい」と言いそうになった。
「何でも!何時でも何でも相談してほしい!儂は健人君のじーさんだからな!」
「健人でいいよ。じーさん」
嬉しそうなじーさん。
償うという気は本気らしく、母の元に行って謝罪したり休暇中は何かと顔を出してきた。
球団に戻るのにもお土産だとなにやら大量に色々もらった。貰った登山リュックの出番である。
……聞けば何でも教えてくれるじーさんだし、またなにか相談することにしよう。
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とても濃い休暇だったけど、終わったら仕事だ。
バットの一つ、球の一つを見るだけで嫌な気持ちになる。苦しかったことを思い出してしまう。
じーさんは会社をやっているとかでうちの借金も返済すると約束してもらえた。母さんの治療費も出してくれる。
なら、野球を続ける意味はなんだろうか?
野球は自分にとって嫌なことだ。最近マシになってきたが、それでもまだ嫌悪感は拭いきれない。
なら、なんでまだ野球をするんだ?
………………『契約』だ。契約が残っている。契約してお金をもらって、そのお金を治療に当てようとしていたし、ここで辞めるのはお金の問題もある。それに借金の総額は知らないけどじーさんが払い切れるとは限らない。
お金のためにも、野球しないと。
体の不調はこれまで無視していたけど成長痛と筋肉痛は少しはしていた。
おかげで試合では…………ちょっと良くない立ち上がりをしてしまった。
「大河、大丈夫か?」
先発でマウンドに立って1人目、フォアボールで歩かせてしまった。
吉村が心配そうにタイムをかけた。心配のし過ぎだろう。
「休み過ぎて肩が軽すぎる。制球が上手くいかない」
練習ではここまで悪くなかったんだけどな。
「……具合が悪いんじゃなくてよかったわ。ギリギリ狙うより余裕持って少し内に投げよう」
「おっけ」
どのフォームで投げてもコントロールが効かなかった。
でもギリギリを狙わずに投げればすぐに制球も落ち着いて抑えられた。
「クソガキ、大丈夫か?休みボケか?」
ベンチに帰るとおっさんに声をかけられた。
「休み過ぎて肩が軽い。今日は全部投げさせて」
「……あぁん??ははは!わかった!お前の球次第だ!」
ボールに触れると嫌な思いはする。だけど、仕事だ。
どうせやるなら、ボーナスが貰えるように好成績を残したい。そのためにはいつもの状態に戻したい。
マウンドに立って相手と対峙する。相手の打てなさそうなコースに本気で投げる。
いつもよりも球速が出る。思い切り投げて――――166キロ、今世の最速記録だな。
何度本気で投げても165キロが限界っぽかったけど少し伸びたな。アンダースローも159キロ出せた。
大事なのは球速ではなく打ち取れたかどうかのはずなのに、応援や歓声に気分も良くなる。
野球は嫌いだ。それは確かだけど――――野球でやる「勝負」は嫌いじゃない。
モヤモヤしていたはずなのに、いつの間にか無心に勝負に集中するとあっという間に試合は終わった。
最後まで投げて、最初の1回の1人以外、誰も塁に出さなかった。
――――……一球一球の勝負が心地よかった。このまま次の試合もしたいぐらいだ。
全体のお直しもそろそろしないと、「以前とぜんぜん違うやんけ作者どうなってんだ(# ゚Д゚)ゴルァ」って声が聞こえてきそうですが(;´Д`)ユルシテ……ユルシテ……。