自分がいない間、ナイツはボロ負けしていたそうだ。
マークが頑張ってくれていたものの、全体的によろしくなかったそうな。
「帰ってきてくれてうれしいぜ、こいつら辛気臭くていけねぇ」
試合後、本日出番のなかったマークに飴とグミをもらった。マークはいつも何かの菓子を持っている気がする。
それと知らない選手もいた。
「君がマークの言っていたケント・タイガーだね。噂はうちのテレビに届いてるよ。チームメイトのカーターだ。よろしく」
「でけぇ!」
マークも大きいがカーターはもっと大きい。自分とは30センチぐらいは違いそうだ。
「ははは!ありがとう。小さくても君の方がよっぽど大きな貢献をしてるさ。英語うまいね」
「ありがとう」
カーターはアメリカで野球をしていて、それなりに将来を期待されていたそうだ。
しかし一度のスライディングで事故が起きて、大腿骨にボルトが入った。
選手生命も危うい中、仲の良いマークと相談して日本に来たらしい。前にナイツから声がかかっていたらしくダメ元で相談したら契約できたそうだ。
4年契約で今年は出場できるかはわからないけど、若手ナンバーワンだった成績を期待されているらしい。
「僕は日本大好きでね。飯のうまさに忍者。安全に礼儀正しさ。サイコーだね!」
カーターは面白いやつで熱心に日本の漫画やアニメをおすすめされた。
ちなみにカーターは18歳で球団で2番目に若く、197センチもある。自分が最後に測ったときは164センチだったから……33センチも差がある。
まだ大腿骨にボルトは入ったままで軽い練習程度しか出来ないが、東京の病院で専門の先生に診てもらったあと兵庫ドラゴンナイツと神奈川パイレーツとの試合を見に来たのだとか。
治療が上手く行けばシーズン終盤には試合にでも出れるかもしれないそうな。
打率も4割を超えていたそうだし、この身長なのに機敏に動くのが得意だったらしく、元の守備位置であるセカンドを守ってくれればかなり心強い。
「飯食いに行こう飯!」
マークとカーターと話しているとうちの主砲甲本がご機嫌に声をかけてきた。
療養中の試合は仕事と思ってスマホで見ていたけど、ある意味一番残念だった人だ。
「奢りなら」
「おー、じゃあ食べ放題だな!」
「主砲様の奢りだ!皆に声かけようぜ!」
「馬鹿いうな、俺が奢るのは大河の分だけだ!後、うちの主砲はこの大河だ!」
甲本はチームが不調の中、逆に打って守って走ってと素晴らしい働きだった。
打率3割6分、OPSも.965。打者として超一流。
ただバカスカ打たれて……点は取ってるのに負けるばかり。ストレスがたまっていたのだろうな。自分が戻ってきてからはほぼ守りきって今日で二日目、抑え切ってベンチに戻る度に俺よりもご機嫌になっていた。
「やっぱ勝ってこそよ!打ってもとっても、負けちゃおもんねーしな!!オラ行くぞ!!」
なんか肩車されてそのまま飯食いに行くことになった。
おかしい、たまに思うのだが同僚のはずなのに――――子供扱いされてる気がする。
だいたいホームでの試合ならうちのチーム出身で飲食店をやってる店や馴染みの店に食べに行くことが多いが今日は他球団での試合かつ昼からのデイゲームだった。
神奈川は美味しいお店が多いらしいし、知らない店に行くのは楽しみだ。
とはいえ、個室で皆入れるお店を予約してから行くのがいつもなのだが……なんか「新しい店探そーぜ」とか言ってうろついた結果、何故か焼肉ではなく目についたラーメン屋でチャレンジメニューを食べることになった。
楽勝過ぎて別のラーメンもおかわりした。
神奈川のチームは神奈川パイレーツ
いま出てるのは兵庫ドラゴンナイツ、大阪ロッコーズ、北海道エナガーズ、鹿児島エイリアンバスターズ、神奈川パイレーツだったかな。
チーム名や人物名適当です。なにか被っていたとしてもこれは創作です。