撮影が終わって、日曜日の夕方。
景子ねーさんも自分も体力の限界だった。
CM撮影とは過酷だった。商品持って宣伝するだけならまだしも、よくわからないストーリーが入るとマジで意味がわかんない。合成でどうにかなるそうだけど……じゃあ着替えなくても良かったんじゃ。
景子ねーさんは接待やら球団とのお話で完全に燃え尽きている。景子ねーさんはこれから球団の送迎で山口まで帰って明日には仕事だ。
どこの球団が良いか、いくつかに絞られた。
いくつかのきつい条件を提示したところ半数のチームは難色を示した。
「なんで飛行機がだめなのよ」
「さぁ?」
「……まぁ無理を言っても仕方ないか。先帰るから……真那、悪いけどお願いね」
「任されました!」
大川さんは結構ミーハーなようで自分のマネージャーのような立場が楽しいらしい。撮影中に名刺を交換したり、芸能人からサインを貰っていた。そして自分がお返しにサインするという不思議な流れを繰り返した。
景子ねーさんは先に帰るが、大川さんとじーさんが残ってくれるようだ。もう撮影も終わったし一人でいいとは思うんだけど色々駄目らしい。
それよりも暗くなってきたのに直接自分に会いたいと待っている人が残っているそうだ。それもスカウトやGMではなく伊賀社長の古い友人で球団のオーナーらしい。
ただ、景子ねーさんはその球団に難色を示していた。
マイアミロイアルナイツ。6年間メジャー球団最弱と駄目な方で有名なチームだ。
メジャー球団は永久ライセンスをもつためマイナー落ちすることはない。だけどあまりにも弱いためマイナーリーグと交代したほうが良いんじゃないかと言われるほどだ。
「条件、うちなら全部飲むよ」
「おっさん誰?」
突然英語で話しかけられた。
太っていて白いスーツにサングラスのおっさんだ。暗くなってきたのにサングラスはちょっと不審すぎる。
「君のことは良く聞いている。ロイヤルナイツのオーナー、ウィリアム・プレストン・K・デュースン。よろしく……今の慣例じゃいくつか飲みにくい条件があったし、詳細を詰めなきゃいけないけど――――あれを考えたのは君かい?」
手を差し出されたので握手した。肉厚な手だな。
「あぁうん」
「気に入ったよ!僕も以前からそうするべきだと思ってたんだ!」
「どうも」
テンションの高いおっさんである。歳はじーさんと同じぐらいか?
条件はいくつかきつい部分がある。
飛行機ではなく車を球団が用意し、運転手も手配すること。そして病気や私的理由以外で事故などの遅延が発生しても責任を自分がが負うことはない。
事故防止で複数台の移動になるだろうし、それだけでも結構な費用がかかるだろう。
「それにうちは僕がいない間にケチな球団になっちゃっててね。スカウトに使う飛行機代だってケチってたくらいだ。外国の若手なんて少ししかいない」
「つまり?」
「君に使える金額は大きいってことさ」
「わかった」
「それはそれとして君の実力をこの目で見せてくれないか?」
顔は笑っているが、このおっさんの目は笑ってない。
本気で見定めにきたか。
キャッチャーもいないし、本気で投げて見せる。
アンダースローでめいいっぱい。CMの疲れを吹き飛ばすように。
「Oh……」
「何キロでてた?」
「100マイル、160キロだよ」
「おー、新記録だ」
この後、是非契約したいとご機嫌なおっさんだったが、条件を照らし合わせて、そこから検討すると話して…………契約しちゃったんだよなぁ。
条件は良い、今は球団の立て直しもあるけどオーナーはこれからちゃんと球団にもお金を使うと約束した。
それを聞いても『数年間最弱のチーム』というのは……不安が残るなぁ。
話を分割した結果、テンポが悪く……そのうちしれっと話の順番しれっと差し替えるかもです。
もう3万UA!ありがとうございます(∩´∀`)∩