「ねね、なんか話題になってない?」
「ん?」
「多分健人君のことだと思うけど」
「……??」
大川さんに見せられたスマホにはたしかに自分の名前があった。
前世にはなかった「ウィンターリーグ」。そこに自分が参加するのかというニュースだった。
そもそもウィンターリーグとはなんぞと調べてみると10月から12月頃、ドミニカ、プエルトリコ、メキシコ、ベネズエラなど中南米では日本のクライマックスシーズンのような状態になるらしい。
面白いことに同じ国のチームで戦って、一番強いチームが代表をするという日本の高校野球のようなシステムではない。なんと「負かせたチームから選手を借りることが出来る」らしい。アメリカから助っ人選手を呼ぶこともあるそうだ。
2月の初め頃に中南米では大盛り上がりで中南米それぞれの国が激突する。
一応契約はさっさと済ませているため自分の所属はマイアミロイヤルナイツの下部リーグであるマイアミジャックスとなっている。
メジャーでは25歳ルールが有るためマイナーで力を見せないとメジャーに昇格が出来ない。そのため登竜門のように現在はマイナー契約となる。
そのため……「一応自分はマイナーで契約がある」「そのためドミニカの提携チームに参加は可能」「出るのかタイガー!」と好き勝手に囃し立てられているっぽい。
仕事してる白おじに話を聞きに行くと参加する必要はないらしい。
大金を払うのに自分のチームで活躍してもらわないといけないし、ウィンターリーグの終盤の時期はメジャーのキャンプが始まる頃と被るのだという。
「出たいの?」
「うーん、調整っていうか、自分とマイアミの契約って力を見せたほうが契約金も上げられるかなって」
メジャーリーガーもマイナー選手も、自分の性能の証明や調整のために中南米のチームに参加することはよくあるらしい
「……そういう見方もあるか。無理しないなら良いよ。コミッショナーと運営側の許可があればだけど」
「いいの?」
理論上可能というだけで、まだ参加できる許可がおりるのかはわからない。
「良いよ良いよ。こっちとしてもかのケント・タイガーの力が本物だって証明できれば契約面でも待遇でも文句は減るはずだし助かるってもんさ」
「あ、やっぱり文句はあるんだ」
「当然だよ。失礼だけど遠い極東で1年活躍した選手がいる。それは映像でしか見たことがないってなればね。君の活躍は知っていても自国の誰と比較していいかわからない、いわゆる遠い国の出来事なんだよ」
「――――なるほど」
白おじはオーナーとしてマイアミロイヤルナイツのために自分を雇おうとしている。
とはいえ、前年基本契約400万円の出来高契約の自分には『いくらの価値をつけるのか』という点でロイヤルナイツ側で論争があってもおかしくない。最低年数と最低金額は決めているけどどれだけ増やせるかは自分の評価次第だ。
もしもウィンターリーグで活躍しても条件のままなら、それはそれで白おじの度量が測れるというものだ。
「証明したいのはわかるよ。力を証明してもらえればうちの球団も儲けられそうだし、広告的にもありといえばありだ。…………でも、くれぐれも無理はしないようにね。立場上、怪我でもされたら私は君を本契約無しで投げ出さなきゃならなくなるからね」
白おじは朗らかに見えるが結構リアリストな部分があるのかもしれない。
自分では「参加する」か「参加しない」かでは、参加する方のメリットが大きいように思える。
自分の性能を球団に証明できれば今後の契約金も上げられるだろう。マイアミロイヤルナイツでなくても別の球団が評価すればマイアミロイヤルナイツも動かざるをえない。
「じゃあ参加できたら活躍してくるから契約金上げてね」
「…………無理しそうだし参加させたくないけど、選手の意思が一番だよね。目をつぶったままペダルを踏み込んでる気分だよ」
自分では勝算もあるように思える。なにせ野球だ。
「じゃあそのままアクセル全開で空を飛ばないと」
「君は飛行機が苦手だよね」
「そうだった。はははっ」
「怖いよ、何この子……賭ける相手間違ったかな」
⚾⚾⚾⚾⚾⚾⚾⚾
「ストラーィク!バッターアウト!!」
そして、ドミニカのチームで投げている。
素直にメジャーで投げると思ったかな。
日間総合6位、日間オリ4位( / > ω < ) / ア リ ガ ト ー !!!!!