自分の給料総額はド派手に700万ドルとなった。内訳は契約金が624万ドル、年俸が76万ドル。700万ドルは1ドルが140円なら9億8000万円、150円なら10億5000万円。この金額で白おじはロイヤルナイツの本気さを胡散臭いまである白い歯を輝かせてアピールしまくっていた。
規模が小さくて弱い球団ほど、この予算の総額大きいということだからそう誇れることじゃないとも思うが……。いや、白おじの場合オーナーとして復帰したから関係ないか。
強い球団はFAや予算超過によってこの予算が大きく下がる。勿論同じ枠で雇っている選手がいればそれだけ使える金額は減る。
強い球団が500万ドル使えるとして弱いナイツなら予算の限界が700万ドルから800万ドルぐらいか。内情はわからないけど既に予算から契約している選手もいるかもだし。
会見では「1年契約」について引っかかってマイクを向けられたが「自分のパフォーマンスがその金額に見合うか、また球団からの待遇が正しいものか確認のためとしている。ただナイツは白おじの方針で立て直し中だから自分の出番がどれほどあるかはわからない」と素直に伝えておいた。
今日はちゃんと大人の対応である。怒られたし。
しかし自分で言ってやべーってなった。オーナーの事を「白おじ」で覚えすぎてシロオジと言ってしまった。気付いた瞬間、1試合分ぐらいの体力がこの一瞬で消えた気がする。後で覚えないと……ウィレムだったかウォルフだったかそんな名前だったはず…………。
お金はあればあるだけ良いが、それにしたって貰い過ぎだ。
ボーナスは25歳ルールとは別なので活躍次第でもっと貰える。それに金銭面以外でも球団は大きなお金を使うことになる。
日本と同じく飲食費用や道具の代金は球団持ちだし、飛行機による移動はまずNGなこともあって運転手が数人と車が数台用意されている。
ただ白おじは当然のように上限の限界で契約してきた。
「君は自分の商品価値を誤ってるようだね。日本だと400万……イェンでの契約だったっけ」
「円ね。まぁ、ボーナスで結構貰ったけど」
当時は野球の公式記録なしでキッズイベントに乗り込んだからな……。そう考えればかなり高い方だと思える。
「アメリカではスター選手に1000万ドルから2000万ドル払うことはよくあるし、5000万ドルを超える超大型契約だって出てきている。君の場合、バッティングもピッチングも既に一流の活躍が出来るだけの力があることをウィンターシーズンで証明したよね。そう考えればスター選手2人分以上の価値があるだろう。当然の金額と考えてもらいたい」
「なるほど」
「ルールの範囲内での限度があるからこの金額だけどね……ボーナスを支払うのも楽しみにしてるよ」
――――いきなり給料が10億となった。マイナーでちょっと投げたから少し減るけど。…………条件もつけたし、想定では最高で5億、安くても最低3億円だと景子ねーさんと強気で考えたのに……。メジャーの最低保証年俸がおよそ1億7000万円、日本での活躍でも考えてそれぐらいかなと考えていたのに。ウィンターリーグとカリビアンシリーズが価値を高めたようだ。アメリカでもニュースがされてたみたいだし、MVPとったし……でもちょっと足元から床が無くなった感覚までする。
しかも白おじは更に支払おうとまでしている。
「出るかどうかはマネージャー次第だから」
「うん、まぁ無理しないように……はっはっは」
ここで自分が契約したのは白おじとゼネラルマネージャーのしごとの結果で、試合を采配するのは監督であるフィールドマネージャーだ。
自分はどう使われるか分からないと伝えるも白おじに効果があったかは分からない。
こちらから白おじを裏切る気もないし、ここで何年かプレイするつもりだ。それでも、こう……白おじには外堀を埋められている気がする。
そしてこの契約金の高さが原因かは不明だが、やはりチームの数人から嫌われてる気がする。
練習ですら避けられていて声をかけないと投球すら出来ない。
キャッチャーは皆積極的に関わってこない。自分が近づくと手首をさすったりわざとらしいため息をつきやがる。
加減するからと伝えるもムッとして全力で来いとか言う。やったらやったで全員軽く痛めてたりしている。非常にめんどくさい。
本番の試合でも手を抜くことも出来ない。
アメリカは流石に選手の層が厚く、その中でもメジャーは上澄みが相手になる。
ロイヤルナイツのホームでの試合はいきなりの黒星だ。
先発から5回まで投げて交代、その後普通にチームは負けた。自分が投げている間は無失点に抑えたし負け投手ではないがチームが負けた。
相変わらずオコサマオコサマと煽られている。しかも敵側からも味方側からもである。敵はともかく味方側が自分に対して敵となっているのは納得できない。
すごく慣れない感覚がある。
日本では投手も打つのが当たり前だが世界基準ではピッチャーは緊急事態でもなければ打つことがない。投げる専門である。
日本でも数年以内にDHが取り入れられるそうだが……日本ではピッチャーが投げて打つの両方するのは当たり前だった。ドミニカでもDHに入って投げて打ってをしていた。なんならどちらでも外野で出場することもあった。
ただDH制度ではピッチャーが別の守備位置につくとその後に入ってくるピッチャーはルール上DHに任せること無く打席に立ってもらう必要がある。自分は50球の間はかなり抑えて、かつホームランを打ちまくっていたこともあってドミニカのピッチャーには殆どやらないのに打席に立ってもらうこともあった。お陰で自分は賞をたくさんもらえたが。
自分は打つことも得意だ。それなのにせっかく強そうなピッチャーが相手にいるのに投げるだけで打たせてもらえない。
ピッチャーがDHで出場してバッティングすることはできる。
だけど、今はチームの立て直し期間中である。ちゃんとDHの選手はいるし、彼らの仕上がりを見るために出してもらえなかった。
急に大金をもらって、できればそれに見合う仕事もしたい。
打たせてもらえないこともあっていつもより投げる方に力を入れた。いや、投げる対戦だけでも結構楽しいんだけれども。
白おじ マイアミロイヤルナイツのオーナー。
全身真っ白な服にやけに白い歯が特徴。10数年前マイアミロイヤルナイツのオーナーだったが手放した。その結果マイアミはクソ雑魚になるもオーナーとして返り咲いた。
兵庫ドラゴンナイツの伊賀紀彦とはアメリカの大学の同室でブラザーとなった。名乗った名前は「ウィリアム・プレストン・K・デュースン」……覚えてる人はいたかな?
コメント100来てたから返したら既に112件……更新滞るからいつも返せるわけじゃないからね!?(ありがとうございます)
それとここから数話、サクサク複数更新で行きたいところなんですが忙しくなったので1話ずつで(グヌヌ)