TASでカンストした次の人生。   作:mono-zo

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48話 クレア・ミラー?

 

白おじは立て直しと本気で考えているみたいだし、調整も考えると無理に出場する必要はない。

 

 

ただ問題がある。

 

 

「ボール!」

 

 

今のはストライクだろう。左右の幅はどの身長の選手でも変わらない。

 

チャレンジを要求すると判定は覆り、ストライクになった。

 

……キャッチャーが審判となにか話して、キャッチャーがベンチに戻っていった。交代だ。

 

 

――――……またか。

 

 

何度加減して投げようかと言ってもキャッチャーは限界になるまで捕球する。

 

自分の球種の中には使えない球種がある。

 

ナックルボールだ。回転をかけずに投げることでどこに曲がるか分からない。そもそも捕りにくいのもあるけど、自分のナックルボールは変化しない場合160キロまで出て安定するのは153-158キロ。自己ベストのストレートが165キロだからそこそこ落ちる。が……キャッチャー的に「ピッチャーの投げられる球の中で捕れない球があるのは屈辱」らしい。

 

そもそもこの謎ナックル、速度が落ちなさすぎて自分でも意味がわからん。

 

ナックルボールは最高速のストレートから20-30キロ落ちるのが当たり前らしい。野球仙人に訓練を受けたキャッチャーじゃないと捕れないボールである。こぼしても何ら不思議ではない。吉村は諦めたし、ダネルでもこぼしていた。

 

ナイツのキャッチャー陣全員は自分の使えない球種を知って意地になっているかもしれない。だからって限界までやられるのも、本番の試合で何度も交代されるのもかなり困る。

 

球団が自分をピッチャーで出そうとしているのはわかるけど、ピッチャーとしての働きが難しい。

 

 

第三の吉村はここにはいない。

 

 

試合の途中でキャッチャーの交代も多い。

 

純粋に気持ち悪い。文句を言ってくるでもなく、改善点を話し合うわけでもない。軽い謝罪はしてもそれでいてこちらと目を合わせようとしない。彼らのプレイは妨害ではなく本気だとわかるし謝罪も感謝も伝えてくるが、どこか一線引いていて俺を見ていない。

 

自分が交代でベンチに戻っても気まずそうな連中。

 

 

「――――何なんだクソがっ!!」

 

 

いつも手入れしている日本時代からの大切なグローブだが――――……無失点での交代なのに初めてベンチで投げてしまった。

 

 

 

 

⚾⚾⚾⚾⚾⚾⚾⚾

 

 

 

仕方なく練習する。

 

相手がいなくては練習できないということはない。

 

 

鬼の一万本素振りを終え、全力入魂投球を続ける。

 

 

キャッチャーは無しだ。

 

ブルペンキャッチャーが受け取ろうと声をかけてくることもあるが怪我させるのも申し訳ないし、試合で捕ってもらえないと意味がない。

 

なぜか選手のキャッチャーから睨まれているのも見たことがあるしね。

 

 

「すごい球を投げますね」

 

 

球団のボールガールっぽい女の子が手伝ってくれる。

 

籠にボールを入れて持ってきてくれる彼女は年齢は同じぐらいだろうか…………身長は負けてるな。

 

今は無心で投げたい気分だ。

 

 

「ありがとう」

 

 

 

それから無心で投げ続けていた。誰もいないベースに向かってボールを思い切り。

 

 

一時間は投げ続けただろうか、汗で目に染みて集中が切れた。

 

したたる汗を袖で拭うとタオルと水が渡された。

 

苛ついていたはずなのに全力を出し切った疲労感が心地良い。

 

 

「クレアよ。クレア・ミラー。クラブハウス・アテンダントよ」

 

「大河健人です。違った。ケント・タイガです」

 

 

汗を拭って水を飲み、差し出される手に対して手を差し出そうとしたが汚れている事もあって少し躊躇うも彼女に手を取られて握手した。

 

クラブハウス・アテンダントってことはサポートスタッフか用具係の人か……彼女は何を専門にしているかは知らないが、たまに見かけることはあった。

 

野球は何をするにしたって男性が多いのに珍しい。泥で汚れるし汗臭いし。

 

 

「ボールありがとう、ピッチャーやってます」

 

「ふ、ふふ、はははははは!……し、失礼。知ってるわよ、貴方有名だもの、ふふふ」

 

 

笑われてしまった。なにかおかしかっただろうか。

 

堪えられないように明るく笑う、自分よりは背の高い女性。

 

 

「なにか困ってることはないかしら?」

 

「ここの選手のクソみたいな対応かな。こんな訳のわからない対応されたのは初めてだよ」

 

「あー……それは理由があってね」

 

 

言葉が詰まったようなミラーさんだが、周囲に人がいないことを確認してから教えてくれた。

 

球団のピッチングコーチですら遠巻きだもんね、やっぱ異常だよこれ。

 

 

この球団の自分に対する空気の理由を聞くと…………驚愕の事実が判明した。

 




たくさんの感想ありがとうございます。

スパムか嫌がらせのようですね。別作が書籍化してからたまにこういう事があって、単純な悪口や「おもんない」「もうここで切るわ」とかコメントが来たり「初めまして、突然のお願いですがハーメルンというサイトの〇〇という作品に最低評価をつけてくれませんか?」などと意味のわからないことを言われたり……作家が早死する理由の一端を知れました。

読者の皆様、クリエイターには優しくしていただけると幸いです。

たくさんの反応、改めてありがとうございます!

※このあとがきもしばらくしてから整理することにします。


感想件数112→153……(*´ω`*)あったけぇや
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