打つのは楽しい。なにせ本気で勝負になる。
相手ピッチャーも「新人」かつ「最年少投手」を相手に勝負するのかとファンたちに問われて本気の対戦が成立する。
ピッチャーののプライドと意地からして逃げは許されないんだろうな。
1球目から決め球で戦ってくれることもあるし、ストレス解消になる。
だけど試合は負けることが多い。俺2ランとソロホームラン打ったよ俺?6回無失点で抑えたよ??何で7-9で負けてるの……。
最弱の称号は伊達じゃない。
試合が4日続いても2日しか投げさせてもらえないし、打席に立たせてもらえない。チームは負ける。
果ては……リトルリーグホームランだ。
投げた球がこぼれてバッター走る、おぉっと、一塁受け取れない、ボールを見失ったぁ!!走る走る!何とツーベースを蹴ったぞ!間に合うのかぁ!!?三塁取れない!大きく外れたボールが転がっていくぅぅ!!
メジャー初失点がこれだ。耳に残ってしまった。
叫んだ後、ベンチに帰って――――なんというか力が抜けた。
こんなクソなチームで頑張る必要はあるのか?
勝てない。でも仕事だ。金のためだ。
自分の勝負じゃなくて全体のプラスを考えるのも仕事のうちか……じゃあ、そうだな。
そこで思いついたのは立て直しだ。自分だけが打って守っても意味がない。
だから――――打たせることにしよう。
バッターと対峙すれば相手の狙い玉はわかる。
だがあえてそこに乗りつつも……ズラす。
変化のタイミング、変化量、球速。ミリ単位で調整できなければ野球星人ロボMark IIIにを出し抜けなかった。それと同じだ。
同じ球種でも変化タイミングを変えれば狙いは大きくズレる
相手の狙い玉で球速が遅く変化の量が少なければ普通に打たれるが、バッターの打つ力量の少しだけ上を投げる。
勝負を楽しめないが、これで外野も仕事するだろう。
――――おら、お前ら働け。
「体調不良か?」
「いや、絶好調」
野手のもとに飛んでいくボール。いつもと違って打たせるスタイルだ。
ただフィールドマネージャーからすれば異変に見えるんだろうな。
「そうか?」
「どうだクソガキ!俺等に礼はあるか?」
「はん?ふざけ……ありがとうございます。これからもイイシゴトニキタイシマスヨ?ククク」
ふざけやがってクソどもが。
まぁここから2回同じように打たせてアウトを重ねると流石にざわめきが広がった。
なんでいつもクソガキオコサマ言ってる観客までざわめいてんだ?
「さっきから打たれまくってるがどうした!守ってるからいいものの……やはり具合が――――」
「ちげーよ、わざと打たせてんだよ」
「な、なにぃ!?」
「『打たせてとる』のスタイルだ。故障とかじゃねーから、次一回は打たせないように投げてみせるから」
「……これが『クソガキ』か。まぁいい、打たれれば成績として残ることも忘れるな」
「へーい、これでこのチームの奴らも気合い入れてくれれば良いんだけど」
たまに打たせてもらえば本気の勝負ができる。こうやって投げるのはチームのためだ。
じーさんに相談しても仕事は楽なことばかりじゃない、やりたい仕事もあればやりたくない頭を下げる仕事もあると教わった。効率を考えて仕事をする人もいれば自分の休息を考えて仕事する人もいる。
嫌な仕事の中にも楽しみを見出したり、誰かが仕事しやすいようにしたりなんてのもあるらしい。…………なるほど。
自分が投げて守っている間に突っ立ってるだけじゃ連携も緊張感もない。
ここは俺が大人になってやろう。
さて、ここからがたーのーしーみー(*´ω`*)
きつい描写や鬱展開が続くのも僕のクセ、ヒロイン精神崩壊されたり、主人公の全部持っていかれたりとかは色々言われたなぁ……