クレアの家で食べる料理は美味しかった。
クレアはダメな父親の存在から料理上手になったそうで素晴らしい料理の数々を食べさせてくれた。
普段から料理を買ってきて貰うこともあってしっかりチャレンジメニューサイズである。
「どこにそれだけ入ってるのかしら」
でかい肉にボウルいっぱいのサラダにポテトサラダ。
どれも素晴らしい味だった。
そして帰ってきたベンチコーチことマルコム。いつもの球団の服装だったのに玄関から入って部屋に行き、スーツで出てきた土下座しやがった。怖い。
何考えてんだと思ったが……謝罪された。
「済まなかった。心より謝罪します。ゴメンアサウィ」
微妙な日本語も混じった。
マルコムは球団において「庇わない」ことを選んだ。
庇ってしまえば他の選手はより過激に動くことも考えられたからだとか言っていたが……途中人間関係がめんどくさいと言っていたし若干の変人さと言うかまるでだめな男って感じがにじみ出ていたな。
まぁ仕方ないし許す。何ヶ月も警戒していたのが馬鹿みたいで肩が軽くなった気がする。
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いつもの試合だったはずが、良くない雰囲気になった。
セントルイスイーグルスとの対戦、相手のホームでの試合。7-3でナイツが優勢の状況だった。
セントルイスイーグルスは全米30球団の中でもトップ層に位置する中区の強豪チームだ。10月以降のシーズンに向けて負けたくない時期だ。……ロイヤルナイツとの試合、4日中3日黒星となってしまった。
ナイツは元々弱小チームだ。10年クソ雑魚としてダメな意味で君臨していたため「勝って当たり前」の先入観があるチーム相手なのに連敗。今はポストシーズンのための貯金もギリギリなこともあって苛立っていたのかもしれない。
ワンナウトランナー1,2塁の……更に点差が広がりそうな状況だった。
2ベースヒットで点差が広がったのだけど、走塁中のフランクの足が2塁手の足に引っけられた。
ビデオで見れば事故ではなくどう見たってわざとだ。フランクは足をくじいたため交代。
勿論乱闘寸前となった。相手の2塁手は退場となった。抗議に来た相手のフィールドマネージャーもだ。
9-3で嫌な空気のまま攻守交代。
「良いんだよね?」
「契約書通りでいくなら……それとも交代したい?」
「しない」
それは良いのだけど……マルコムに確認を取ってからマウントに上がる。
仕方ねぇなと言わんばかりの打つ気のないバッター相手に――――ド真ん中へのストレートを投げた。
「ス、ストライークッ!」
「は?」
多分バッターはそう言った。
球場も一瞬静かになった。湧き上がるざわめき。
空気を無視して続けてもう一球、外角低めにストレート。
「ストライークッ!!」
動かず、振りもしないバッター。
ため息を付いてから声を上げる。
「来いよっ!!」
ぱちくりして、もう意味がわからないと言わんばかりのバッター。
主審がマスクを外してマウンドに向かってきた。
ピッチャーもバッターも、声を上げるのは注意か警告が来てもおかしくはない行為だ。しかも今言ったのは思い切り挑発。
「どういうつもりだ?」
「報復はしない。これは紳士的に対戦を呼びかけただけ」
「いや……」
困惑する主審がちらりとマルコムに目を向けたがマルコムは動じていない。
「怪我させるような報復はしたくないし、しない契約をしてる。スポーツだからな。……注意?警告?」
「…………驚いたよ。一応注意はしておくけど、こんなにしたくない注意は初めてだ」
「ありがとう」
「注意してまともな礼を言われたのもね」
帰っていく主審、一言バッターと話して……プレイ再開だ。
確実に仕留めるならおちょくりスライダーで体に当たるコースからストライクゾーンに入れるが……この場面は良くないな。
カーブを選択、外角低めいっぱいまで変化する球にバッターは合わしきれず、高めに振った。
「ストライークッ!」
ちょっと口元が歪んでいる主審。これでアウトだ。
おかしな空気は残ったものの、試合は11-3でナイツが勝った。
立ち上がりが悪かったピッチャーと2回から交代したけど、ヒーローインタビューに呼ばれた。めんどくさそうだなぁ……。
クソガキによる契約が決まるか分からないきつい契約とは――――『報復死球しない』。
ストック間違えたので投稿し直しです。ミスってタイトルがヤバいことになりそうでした。すみません。