契約について熾烈な条件交渉がされたがなんとかユニフォームを着ることが出来た。
契約金は安いが、その分勝利や成功ごとのボーナス事項は多めにした。
奪三振回数や勝利回数、防御率も対象だ。ピッチャーとしての能力しか見せてないし、打者としての能力を甘く見たのかホームラン数や打率盗塁数によるボーナスも設定した。
とにかく契約金は能力にしては安いけど、母さんの治療費は手に入った。
衣食住に野球の道具なんかは球団持ちである。
ただでさえ貧乏なのだ。ここは抑える必要があった。
「あんた何やってんのよ」
「景子ねーさん、今日はありがとうね」
「『ありがとうね』じゃ……ねーのよぉぉ??!」
ただ、契約には保護者の立ち会いが必要だった。
景子ねーさんは従姉妹だ。
なんでも伯母さんとその娘である景子ねーさんは仲が悪く、喧嘩しては景子ねーさんの面倒を母さんがしていたそうだ。
伯母さんと母さんの仲も悪いし、母さんが入院したため、自分の保護者に景子ねーさんが名乗り出てくれた。
まだ社会人2年目の景子ねーさんには申し訳ないけど時間を作ってもらって……球団の偉い人と食事を食べたり契約に付き合ってもらった。
「高校はどうすんのよ」
「行かない。母さんにもちゃんとしたことなら良いって許可はもらったし」
「ちゃんと……プロ野球は立派だけどさ、なんか違う。こう、なんか違うって!!」
「立派だなんて……へへっ」
「褒めてないわ!大体、野球できるの?そもそも兵庫の監督さんがなんで山口まで来るのよ」
「それはこう、頑張った」
「説明なさい!!」
アイアンクローを喰らいつつ説明した。
食べさせてもらったステーキが美味しかったから良いじゃんと思う。
あと鹿児島のイベントにまで行かなくてもよくなった。兵庫までも遠かったけど鹿児島も遠い。
「とにかくこれで母さんの治療費は確保できた」
「なんて説明すればいいのよ……。大学まで健人を行かせるって約束したばっかりなのに」
「まぁまぁ、あ、母さんにはそのうち自分から話すから心配しないでね」
「まぁ、それなら」
「じゃあキャンプ行ってくる。母さんのことはよろしくね」
「わかったわ。私もお世話になったし、早く治ればいいのにね」
「ね」
契約と保護者はどうにか出来たし、後は……野球をするだけだ。
ほんとはボールを触るのも嫌だ。
でも、自分の嫌と言う感情を抑えさえすれば、母さんの治療費は稼げる。
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開幕戦、嘲るような様子の相手のチームだったけど、捻り潰してやった。
まだ前世ほどは投げられないけど、それでもなぜか人並み以上には投げられる。仕事はした。
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