TASでカンストした次の人生。   作:mono-zo

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7話 好きなことと嫌いなこと。

 

試合内容自体はうまくいったと思う。

 

今の自分が出来る完璧な投球が出来た。

 

打つ気満々だったバッターには申し訳ないけど、コントロール重視でストライクゾーンギリギリに投げ込めた。自分の判定ではストライクだったけど二度ほどボール扱いされたのはちょっと微妙。もう少し内側を狙うべきか……。

 

ただ、サインってのが難しい。左右投球フォーム、投げる変化球、投げる位置。これらをキャッチャーと意思疎通する必要がある。多分何回か自分のキャッチャーの吉村も間違えた。

 

一球外せだの、顔面近くから変化する縦スラはやめろだのとうざい。

 

投げることよりもどこにどう投げるかの意思疎通が大変だったな。

 

最終的に七回無失点でマウンドを降りることになった。そのまま続けても良かったけど勝ち試合だし他のピッチャーの仕上がりも見たいとのこと。

 

ボテボテの当たりを2本出してしまったし完璧とは言えないけど3ストライクでのアウトを5回とったし、打者としてもホームラン2本。ボーナスにも反映するし万々歳だ。

 

 

ただ試合自体は問題なく勝てたけど――――問題はその後だった。

 

 

活躍した選手にマイクを向けられるヒーローインタビュー。

 

あまりこういう機会もなくて緊張した。ただ、監督は「正直に答えてこい」と言った。

 

 

「初のグラウンドでの投球、緊張しましたか?」

 

「いえ、全く」

 

 

むしろマイクを向けられたり注目される方が緊張して足元がふわふわしている気がする。

 

この質問だけで一試合分よりも疲れる。

 

 

「初試合でここまでの成績は他に類を見ないですが、投打で活躍した感想をお願いします」

 

「楽勝でした」

 

 

ほんの少し、インタビュアーさんの顔が引きつった気がする。

 

楽勝は楽勝だった。そもそも打たせなければ野球は勝てる。何本か打たれたけど。

 

 

「プロ野球での初試合、大河選手にとってどの選手が印象的だったでしょうか?」

 

「え、まだ名前覚えて無くて……そもそも印象的だった選手とかいなくて」

 

 

うん、チームメイトの名前も怪しい。なんなら練習した相手でも怪しいぐらいだ。

 

何ならキャッチャー吉村かな。危ない部分もあったけどこぼしても塁には出さなかったし。

 

明確に顔をひきつらせたインタビュアーさん。

 

 

「…………好きなことと嫌いなことはなんでしょうか?」

 

「好きなとこは食べることです。肉でも野菜でも、美味しいものが好きです」

 

「なるほど?」

 

 

なんか質問もおかしいけど、答え方もおかしかったかもしれない。

 

後は嫌いなことだったな。

 

 

「嫌いなことは野球です」

 

「……は?どういうことでしょう」

 

「――――見るのもやるのも嫌いです」

 

 

インタビュアーさんが隠すこともなく困った顔をしていた。

 

他にもいくつか質問されて答えた。正直に話しただけなんだけど、たったこれだけで騒ぎになって……説教された。

 

監督いわく「野球選手としてあるまじき発言」で「こんな回答したやつは今までにいない」だとか。いや、言われた通り正直に答えただけなんだが?

 

そして、なぜか……自分は世間から「クソガキ」認定されているようだ。

 

 

…………ナンデ?

 




よかったら感想や評価などよろしくお願いします!

たまにハーメルンの作品を読んでるのですが、なぜか読んじゃう野球物。
ちなみに作者はキャッチボール程度しかしたことがありません!……授業でやったかな。
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