TASでカンストした次の人生。   作:mono-zo

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8話 チームメイト。

 

「よぉクソガキ。大変だな」

 

「うっせ」

 

 

吉村に絡まれてた。

 

ピッチャーとしてキャッチャーとの触れ合いは多くなる。他のキャッチャーも絡んでくるが、とりわけ吉村はズイズイ絡んでくる。

 

他のキャッチャーに比べて打率はよくないものの肩が良く、明るい性格をしているおっさんだ。

 

 

「普段から生意気にしてるから出ちゃうんだよ。敬意もて敬意」

 

「説教はもういいって」

 

「それより練習しようぜ」

 

「だっる」

 

 

開幕戦前に練習でキャッチャー二人に怪我をさせたのだけど、物怖じせずに来る。

 

練習はダルいが、ボーナスのためである。

 

前世なら一流のピッチャーとキャッチャーなら視線だけで会話みたいに晩ごはんのメニューまで理解できていたし、捕球の失敗も珍しかったのだけど……こちらではそういうことはないらしい。

 

どのキャッチャーと試しても無理だったし……いや、お給料のためには頑張ろう。

 

まずは投球練習だ。パーンといい音がして吉村のミットにボールが入った。

 

 

「球はいいんだよなぁ。言動は生意気なのに」

 

「次、右角」

 

「おけ……ってお前から見てか?!」

 

 

なんとか捕球に成功した吉村。

 

狙ったところに投げるのは練習になる。

 

前世のようにナノ単位で投げることは出来ない。酷い時は2、3センチぐらいはズレてしまう。それにこちらがストライクと思えるコースに投げても審判次第でボール扱いだ。

 

四隅に投げることは確定で各種投球フォームと変化球で投げ込んでいく。

 

 

「なんでこんなに曲がるんだよ……」

 

「変化球だからな」

 

「変化球ってだけでこんな曲がるわけ無いだろ?!」

 

「変化球だからな」

 

「……」

 

 

軽口を叩きながらも投げ込む。

 

投げ込む場所は決まっているが、キャッチャーにとって変化球は捕球しやすい角度が違う。特に手元でストレートのスピードと軌道で目の前でギュインと曲がるカットボールとストライクゾーンをまたぐほどのスライダーとカーブはとりにくそうだ。

 

 

「バッターとしても成績残してんじゃねーか」

 

「まぁね」

 

「ピッチャーなのにな」

 

「ピッチャーも打つだろ」

 

「だな、おっと」

 

 

ただ、やはり捕れないときもあるようだ。

 

吉村が悪いわけじゃなく、他のキャッチャーでもこうなる。お前ら野球鬼人あたりに稽古をつけてもらえ。捕れなきゃ岩が投げつけられるぞ。

 

 

 

⚾⚾⚾⚾⚾⚾⚾⚾

 

 

 

 

「大河、付き合ってくれてありがとな」

 

「おう」

 

「そこは「こちらこそ」とかだろ……やっぱクソガキだな」

 

「うっせ」

 

 

笑っている吉村だが、人間が出来てるんだろうな。

 

年齢や先輩という立場関係なく、相手に「ありがとう」と言える。

 

他のキャッチャーなら怒りが表情に出ることもあるのに……変な奴だ。

 

 

ランニングやバッティングのような練習もあるけど、とりあえず球団は自分にピッチャーとして機能させたいらしい。

 

サインやバッターの情報、味方のクセなんかを教わる。……あと炎上対策。

 

正直バッターやる方が覚えることが少なくて楽なんだけどな。バッターよりもピッチャーとして売り込んだから仕方ないか。

 




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