雄英高校の敷地内を走る専用の大型バス。車内はまるでこれから遠足に向かうかのような、特有のざわめきと高揚感に包まれていた。
委員長として音頭をとって指示をしていた飯田くんが項垂れている以外は平和そのものの車内。
座席に対面で腰掛ける1-Aの生徒たちは、これからの訓練への期待と緊張を胸に、それぞれ互いの「個性」についての雑談に花を咲かせている。
「私思ったことを何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」
「あ!? ハイ!? 蛙吹さん!! 」
「梅雨ちゃんと呼んで。
あなたの個性、オールマイトに似てる」
ドキ――ッ! って感じで緑谷くんがびっくりしてキョドる。
「そそそそそうかな!? いやでもぼくはあのそのえっと」
「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねぇぞ。似て非なるあれだぜ」
切島くんのフォロー。まぁフォローというかなんというかだけど。
でも言ってることはそうだよね。シンプルな超パワーって点は同じに見えるけど、使うたび体をぶっ壊す個性をオールマイトの力と同一とは思わないよね。梅雨ちゃんの観察力やべぇって思うべきなのかな?
「しかし増強型のシンプルな個性はいいな! 派手で出来ることが多い! 俺の『硬化』は対人じゃ強えけど、いかんせん地味なんだよなー」
「僕はすごくかっこいいと思うよ! プロでも十分通用する個性だよ! 」
「プロなー! しかしやっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ?! 」
「派手で強いって言ったらやっぱ轟と爆豪だな」
「ケッ」
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなさそ」
「んだとコラ出すわ! 」
「梅雨ちゃん、それ言っちゃだめだよ」
「ごめんなさい。私思ったことなんでも言っちゃうの」
「そういえば瞬もインパクトはでけぇよな……」
「お、僕の話題きた? 」
「『変身』の個性、いいよな! 変身ヒーローってそれだけでテンション上がる感じあるし」
「でっしょー! しかも実はね! 僕が変身できるのってあの姿だけじゃないんだよなー」
「嘘マジ?! あの姿になるのが個性なんじゃないの? 」
「あの姿? 」
「そういえば緑谷は保健室言ってたから、瞬の変身した姿見てないんだ」
「僕らも見てないけどね」
「なんていうか、言っちゃアレだけど、大分……その……」
「怪物みたい……でしょ? 気にしてないから平気だよー! 他の変身も似たような怪人っぽい見た目だし」
「で、でもあれだ! あれはあれでカッコいいよな! 」
「ふっふっふ! あれは僕的には大分ゆるキャラめいた形だと思ってるよ。そういう動きも研究して、ヒーローになった後も子供と触れ合っても泣かれないように学んでいるのさ! 」
「ヒーローになった後のことまで考えてるなんてすごい! 」
「ありがとう緑谷くん。緑谷くんにも僕の変身した姿をそのうち見せるから、期待しててね! 」
そうやって個性話で盛り上がっていたら前方からギロリと眼光鋭く相澤先生。
「もう着くぞ。いい加減にしとけよ……」
「「「「「ハイ!!」」」」」
◆
「すっげーーーー!! USJかよ!!? 」
バスが到着したのは、広大な敷地に建てられた巨大な演習施設──「USJ(ウソの災害や事故ルーム)」だった。
施設内は幾つものエリアに分かれており、水難事故を想定した巨大なプールゾーン、崖や土砂崩れを再現した土砂エリアなどなど、あらゆる災害現場が人工的に作り出されている。
そんな広大な演習場の中央で、僕たちを出迎えたのは、宇宙服のような独特のボリュームあるコスチュームに身を包んだ災害救助で活躍するのプロヒーロー「13号」先生だった。
「うわあ! 13号だ! レスキューで大活躍の紳士的なヒーロー!」
「わー! 私好きなの13号! 」
緑谷くんとお茶子ちゃんが目を輝かせて大興奮している。
そんな二人やクラスメイトたちを前に、13号は一歩前へ出ると、独特の落ち着いた語り口で自身の個性『ブラックホール』について語り始めた。どんなものでも吸い込んで塵にしてしまう強大な力──。
「私の個性は、簡単に人を殺せる力です」
先ほどまでの賑やかな雰囲気が一変し、13号の静かだが重みのある言葉に、生徒たちの表情が引き締まる。
「超人社会は個性の使用を資格性にし、厳しく規制することで、一見成り立っているように見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”も個々が持っていることを忘れないでください」
「君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。救けるためにあるのだと心得て帰ってください」
熱弁をふるう13号の言葉に、緑谷をはじめとする生徒たちは真剣な表情で深く深くうなずいていた。「力は人を助けるために使うもの」。そのヒーロー的倫理観に、誰もが心を打たれているようだった。
「以上! ご清聴ありがとうございました」
「ステキー! 」
「ブラボー!! ブラーボー!! 」
みんなが心を打たれる中、僕はというと……
(感動! いい台詞だよねいい演説だよね! 素晴らしい! マジでめちゃくちゃいい台詞……なんだけど、僕には当てはまらないかな。僕の力は僕が楽しむためにあるんだよ)
「よし、そんじゃあまずは──」
相澤先生が授業の開始を宣言しようとした、まさにその時だった。
ズズズ……と、黒い異空間が噴水のあたりに出現する。
すごい違和感だ。僕のハイドープ能力も空間のねじれに反応している。
施設の中央、噴水が設置された広場の空間が、不気味な紫色と黒色の渦を巻いて歪み始めたのだ。
「……? 何だ、ありゃ。もう訓練が始まったパターン? 」
誰かが呑気に呟く。しかし、相澤先生の顔色が劇的に変わった。
「ひと固まりになって動くな! 13号、生徒を守れ!」
相澤先生が一喝し、首に巻きつけた捕縛布を手にして瞬時に黄色いゴーグルを装着する。
渦巻く黒いモヤの奥から、ゾロゾロと這い出てくる無数の影。その中心には、全身に不気味な「手」を纏った細身の男──死柄木弔と、怪しく黄色い眼光を光らせる黒いモヤの男──黒霧の姿があった。
「本物の――
戦慄する生徒たち。
一瞬にして演習場内に充満する、本物の殺気と非日常。
「13号、避難を誘導しろ! 奴らは俺が喰い止める!」
「イレイザーヘッド! 一人でそんな大人数を相手にするなんて無茶です!」
「一芸だけじゃヒーローは務まらん」
相澤先生はそう言い残すやいなや、階段を蹴って数十人ものヴィランが群がる階下へと飛び込んでいった。
『イレイザーヘッド』の圧倒的な集団戦。相手の個性を次々と『抹消』し、合理的な無駄のない体術と捕縛布の動きでヴィランの大群を叩きのめしていく。
まさに一騎当千。縦横無尽の活躍はこれぞヒーローの面目躍如といった感じ。
いや、すごいな……。僕は、メモリなしであの動き出来る気がしないよ……。個性有りならできるかな? ほら、アクセルワールドの作中にあったみたいに、戦闘の要所要所で時間を止めて、刹那の見切りを実行する的な。
はるか昔のネタ過ぎて記憶曖昧だけど、確かそんな裏ワザがあった気がする。
僕も時間停止を秒単位で繰り返して攻撃全部見切って回避したり反撃したりすれば、同じことできるかな?
「すごい……先生一人で……!」
「感心している場合じゃない、出入口へ走るんだ!」
13号の促しにより、1-Aの生徒たちはパニックになりかけながらも出入口のゲートへと一斉に走り出した。だが──。
「はじめまして、我々はヴィラン連合。不躾ながら……平和の象徴オールマイトに、息絶えていただくために参上いたしました」
ゲートの直前、空間が黒く歪み、立ち昇った黒いモヤの中から黒霧が立ちはだかった。
「なっ……いつの間に!?」
「逃がさんぞ、ヒヨッコ共」
爆豪と切島が反射的に飛び出し、黒霧に向かって強力な爆破と硬化した拳を叩き込む。だが、気体で構成された黒霧の本体には攻撃が滑り抜け、何の手応えも与えられない。
「危険ですね……散らばってもらいます!」
次の瞬間、黒霧の体が巨大な闇のドームとなって一気に膨れ上がり、1-Aの生徒たち全体を丸ごと飲み込んだ。
◆
僕はどさっ、と険しい岩肌の上に投げ出された。
視界を覆っていた不快なワープの闇が晴れると、そこは吹き荒ぶ風とゴツゴツとした岩山、そして大規模な崩落が起きたかのような凄惨な光景が広がる──「土砂エリア」だった。
「んー、転送されたか……」
揺れる頭を押さえながら立ち上がり、周囲を見渡す。
少し遠くには、冷徹な瞳で周囲を警戒している轟くんの姿。そこからも少し離れたところには見えないが、全裸の美少女――葉隠透ちゃんの姿があった。僕は高台にいるから気付いたけど、二人は多分気づいてないな。
透ちゃんは透明だからバレてない。
轟くんは雑魚敵に囲まれている。
「おいおいおい! ガキが一人かよ! 運がねぇな!」
「ヒーロー候補生さまだそうだぜ! 殺しはしねぇが、痛い目見てもらうぜヒヨッコ! 」
ぞろぞろとどこからか(多分彼らも転送されたのかな)粗暴な笑みを浮かべた数十人のヴィランたちがゾロゾロと這い出てきた。刃物を振りかざす者、体を異形化させて拳を鳴らす者。じわじわと包囲網を狭め、轟くんを追い詰める。
とはいえ、彼に焦りは一切見られない。
この程度の敵なら大した問題じゃないと彼もわかっているんだろう。
あれは見るべきものもなさそうだなと判断して、僕はこの機会を逃さず有効利用しようと考える。
時間停止。
今回は観衆もいないし、ノーモーションで実行。
『インビジブル! 』
インビジブルメモリを起動。
メモリが宙を舞い、時間停止を解除するころには、僕は透明のインビジブルドーパントへの変身を完了していた。
こんな修羅場で透明になって何をするつもりかって?
そんなの……痴漢に決まってるでしょ!
「動くな」
「――え? 」
はい。透明になった僕はこっそりこそこそ透ちゃんに近づいて、彼女を後ろから拘束。恫喝を実行しました。
「大人しくしていれば乱暴なことはしない」
「え? 嘘、透明の
「奇遇だな。俺と同じ個性の奴が偶然この場にいるなんて思ってもみなかったが、これも運命ってやつなのかね」
「っ! 放して…‥! 」
ちなみに声は変えているので問題ないです。作中でも何回かあったように、ドーパントになって声って変えられるんだよね。
「しかもこんなカワイ子ちゃんだなんてな……」
「ひっ……いやっ……! 」
無造作に透ちゃんのほどよくたわわな胸を揉む。
やわこいわ~。もみもみ。
「やだっ! やめてっっ! 」
「おお、こわいこわい」
先端のぷっくり可愛い乳首をつねってみる。
「ひいゃっっ!? 」
反応が変わったな。エッチな気分になっちゃったのかな?
コリコリしたり、もみもみしたりする。
たのしー!
調子に乗って、お股の方まで指を伸ばす。
「いや……いや……いやぁ……もうやめて……っ」
大分湿ってた。うーん、エッチ!
ヒーローもとい、ヒロインはエッチな体と相場が決まっているからね!
犯されて感じるとかヒーローにあるまじきだぞ透ちゃん!
「濡れてるな、ずいぶんいやらしい体じゃないか、ヒーロー」
「違う……違うもん……私エッチなんかじゃ……」
言い訳を聞かず、湿った穴の中に指を突っ込む。
「ひぃ……っ?! 」
あったかい……。ここに突っ込んだら気持ちいだろうな……。
でも今はドーパントの姿だから突っ込むものもないんだよな……!
僕が過剰適合者なら……! おのれ~~!
しゃあない。
今は透ちゃんのエッチな体を楽しませてもらうとしますかね~♪
「ああぁあんっっ……!! 」
感想、評価、誤字報告ありがとうございます!