そろそろ毎日投稿してたR-18の小説が一旦完結するから、よければ見て見て。
『レディィィィィイ!! START!! 』
生徒のアリーナ席で僕は腕を組みながら対峙する二人を静かに見つめていた。
(んー……緑谷くんvs透ちゃん、か)
原作の展開(緑谷vs心操)とは異なり、僕らのチームがランクインしたことで心操くんが予選落ちし、生まれた新たな対戦カードだ。
(ぶっちゃけ身体能力に大きな差はない。緑谷くんはまだ暴発させずに個性を扱えないし、透ちゃんもコスチュームじゃないからどこにいるかバレバレ。地味な格闘戦になるかな? )
試合開始の号令とともに、動き出したのは透ちゃん。
僕以外の人からは透ちゃんの体操着だけがその場から素早く動き出したように見えるだろう。
「な……!? 」
緑谷くんが驚く。
僕も驚く。
『葉隠の服が地に落ちる?! 早着替えかよ! 完全ロスト!! 』
そう。走り出したと同時に脱ぎだした透ちゃんは、ほんの数秒で全裸になった。
相変わらずすげぇよ、その思いきりっぷり。年頃の女の子だっていう辞任を忘れてない?
「なぁ、葉隠のやつ、今さ……ぜん――」
「それ以上言うな峰田! 流石にアウトだぞそれは!! 」
うむ。全裸である。
緑谷くんが焦ってる理由の何割かもそれだろうね。
脱ぎっぷりが男らしすぎるでしょ、透ちゃん。
ちなみに僕の目には透ちゃんの全裸がはっきり映ってます。全裸でゆっくり緑谷くんに近づいてるね。
ぷるんぷるんのおっぱいもキュートなお尻も何もかもくっきり見えている。
あそこまで堂々と全裸だとエロくないね。
……ごめん嘘。エロいわ。今立ち上がれないわ。
クラスメイトの美少女の全裸は何回見ても破壊力えぐいわ。
それはさておき、緑谷くんが構えをとり、視線を周囲に巡らせる。
透ちゃんの『透明化』――まじで見えないから。しかも本気で勝ちにきてるから、普段の快活さも鳴りを潜めて無音でじりじり迫ってる。
(なるほど……不意打ちで背中に飛びつき、そのまま一気にリング外へ押し出す作戦か。フィジカルで緑谷くんに正面から勝つのは難しいという判断かな。戦術としては悪くない)
「(もらったーっ! 場外へ一直線! )」
透ちゃんが緑谷くんの右後方から跳びかかり、腕をつかんで体制を崩して場外に投げようとする!
しかし――
「――だっ! 」
緑谷くんは慌てることなく、踏ん張った脚に力を集中。倒れず、逆に掴まれた位置から想像して透ちゃんの腕を掴んだ!
「きゃっ!?」
投げ飛ばそうとした透ちゃんの方が、無理な態勢にされてそのまま後ろへ弾き飛ばされた。
「透明でも、僕に攻撃する瞬間は感触でどこにいるかわかる! ならその瞬間に全神経を集中して! 」
緑谷くんに弾かれた透ちゃんがそのままとっとっと、となって、踏ん張り切れずに場外……!
「あうっ! あ、場外~~! 」
『葉隠、場外! 一回戦は緑谷の勝利ーーーッ!! 』
「うわあああん! 対策されてた〜〜っ! 」
投げられた態勢のままじたばたして悔しがる透ちゃん。
緑谷くんのほうは、「勝った……! 」って感じで勝利を嚙み締めてるね。
ここは脱ぎ散らかされた透ちゃんの体操服とかを持って駆け寄る場面だろうに……。そうしたら、合法的に女子の体温の残った衣服に触れるのに、残念だなぁ。
僕ならそうする。
ともあれこれで第一回戦は終了。予想通りと言えば予想通りな展開だったね。
もし万が一透ちゃんが勝ってたら、轟くんのオリジンがアレするところだったよ。
負けてくれてありがとう、と思いながら続く第二回戦前に席を立つ。
「瞬くん? もう行くん? 」
「うん、次の次は僕だからね。早めに準備しとこうかなって」
かわいそうだけど一瞬で終わるだろうからね。
『お待たせしました!! 続きましては~~こいつらだ! 』
『優秀! 優秀なのに拭いきれぬその地味さは何だ! ヒーロー科 瀬呂範太!! 』
「ひでぇ」
『
『3位・1位と強すぎるよ君! 同じくヒーロー科 轟焦凍!! 』
プレゼントマイク先生の号令で試合が始まる。
僕は選手入場口の奥からそれを見ていた。
冷たい目だね轟くん。
確かエンデヴァーに絡まれてイラついてるんだっけ? まぁこの時期のエンデヴァーはね、ちょっと擁護のしようがないからね。
「いやー、相手が轟じゃ流石にきついけどさ! 俺だって見せ場作らねえとな! 」
瀬呂くんは苦笑いを浮かべつつも、射出姿勢を整えて構えた。
試合開始と同時に、瀬呂くんが動いた。両肘から勢いよく射出されたテープが、一直線に轟くんの体を拘束する!
「つって負ける気もねーー! 」
間髪入れずにテープを引っ張り、轟くんの体を場外に投げ飛ばそうとする瀬呂くん。鮮やかな先制攻撃に実況席からも観客席からからも「おおっ!」と歓声が上がった。
『場外狙いの早技!! この選択はコレ最善じゃねぇか?! 正直やっちまえ瀬呂ーー!! 』
だけど、次の瞬間――
――パキィィィィィン……
スタジアム全体が二重の意味で凍り付いた。
轟くんがぽつりとつぶやいた瞬間、巨大な氷の山脈が爆発的な速度で発生したのだ。
天を突くほどの巨大な氷柱がグラウンドを埋め尽くし、天井の太陽の光を遮ってスタジアム全体を極寒の氷点下へと叩き落とす。
「やりすぎだろ……」
誰ともなく吐き出された言葉はこれを見たみんなの総意だったのかもしれない。
「………………瀬呂くん……動ける? 」
自分も半分凍っちゃったミッドナイト先生が瀬呂くんに一応問いかける。
氷の地表部分、半身を氷漬けにされ、身動き一つ取れなくなった瀬呂くんの姿があった。
「動けるわけないでしょ……痛えぇ……」
「瀬呂くん行動不能! 」
――「どんまーい……」
――「どーんまい」
――「どーんまい」
――「どーんまい」
――「どーんまい」
どんまいコールが会場で繰り返し唱えられる。うん、実際見てわかる。これはどんまいって言いたくなるわ。
「すまねぇ……やりすぎた」
轟くんは氷に左手を当て、ゆっくりと炎の熱で溶かし始めながらボソリと呟いた。父親であるエンデヴァーへの怒り、そして自分自身の苛立ちを吐き出すような、圧倒的で暴力的な勝利。
「ドンマイ……! ドンマイ瀬呂ーっ!」
観客席から自然発生的に湧き起こる慰めのコール。
「轟くん二回戦進出!! 」
『ステージを乾かして次の対決!! 』
プレゼント・マイクの叫びとともに、入場口から歩いていく。
「変幻自在! 多彩な能力で相手を翻弄……瞬静一ーーーッ!! 」
「対するは、スパーキングキルングボーイ! 上鳴電気ーーーッ!! 」
観客の拍手の中、ステージに上がってきた上鳴くん。
だが、その表情はいつもの軽薄なノリとは程遠かった。緊張しているのか冷や汗をかきながら対面のこちらを睨んでいる。
「よろしくね、上鳴くん。お互い全力を尽くそう」
僕が自然な笑顔でそう言うと、上鳴くんはそれを突っぱねるように激しく威嚇してきた。
「悪ィけど、こっちはマジだからな……倒させてもらうぜ瞬……! 」
上鳴くんから滅茶苦茶戦意を感じる……。
いつも軽めの上鳴くんらしからぬ感じだ。
「いけーー! 上鳴ーー! オイラが応援してるぞーー! 」
峰田くんの応援がこっちまで届く。
ああ、なるほど……。お昼に「僕って美少女の幼馴染が三人いるんだよねー。お弁当も作ってもらっちゃったりしてさー」って感じに見せびらかしたのが、あれか。嫉妬されちゃった系か。
多分峰田くんに発破かけられた感じかな? そうでなくても対戦相手だからやる気ではあっただろうけど、嫉妬パワーでマジぶっ倒すモード突入?
まぁ、別にいいな。本気で来てくれたら僕の強さが際立つし、そっちの方がいい。
そんな風に考えてる間にプレゼントマイク先生の号令。試合開始。
「最初っから全力だ!! 」
さっきの瀬呂くん同様に、あるいは轟くん同様に、開始と同時の速攻! それでいて逃げ場もない全方位放電!
対策がなきゃ、これ確殺よね。電撃で痺れさせられたら人体の構造上、どうしようもないもの。
僕? 対策はもちろんあるよ。
僕の方もすでに準備は済ませてある。
パフォーマンスの一環で続けている変身の動さ(指パッチン)。
それと同時に発動させるのは「時間停止」。
すべてが静止した世界で、今回使うのはコレ。
「ジュエル! 」
『上鳴、試合開始と同時の速攻! 容赦ない電撃が無防備な瞬を襲う! おいおい二戦連続で一瞬で決着か?! 』
「へっ! 個性発動前にキメれば勝負は――」
「惜しかったね、上鳴くん。発想は良かった。でも残念。僕の個性の方が早い」
『瞬、健在!! そしてなんだアレは! ゴージャス!! イレイザーヘッド! お前あれ知ってる? 』
『知らん』
僕が姿とノーダメージっぷりをアピールするため、軽くステップを踏んだりターンしてみたりする。
「おいおい嘘だろ、効いてないのかよ?! 」
「僕は美しいダイア。ダイアの価値ってわかる? 美しく決して傷つかないこと! 」
決めポーズ……! 観客が歓声に沸く。
オーディエンスは盛り上げていかないとね。
「防御特化ってことかよ……! 」
「さぁどうする? 」
「やるだけやってやるよ――! 」
自棄になったように、上鳴くんはもう一度放電!
まぁ実際そうするしかないよね。ジュエルドーパントの見た目は見るからに硬そう(実際硬い)だし重そう(実際重い)だし、仮に個性ではなく近接戦闘を選択しても勝ち目はないからね。
「残念! 」
僕は迸る稲妻に対して、バリアーを設置。
ジュエルドーパントの能力の一つ。宝石の微粒子を結晶化させてできる障壁による防御。
『バリア?! うっそだろオイ! そんなのもできるのかよッ! 』
電撃を防ぎ、それだけじゃない。
本来、このバリアーは受けた攻撃をそのまま相手に返すこともできるわけだけど、それしても上鳴くんはダメージにならないだろうし、ちょっと趣向を変えて……。
「ショータイム! 」
障壁にしていた微粒子を、帯電したまま形態変化。
そんでもって、上空に放出する!
調整して、ステージ上空で解放!
蓄積した電気が粒子と反応してキラキラ輝く。
アホになりかけてる上鳴くんも、実況の二人も、観客たちも、みんながその輝きに魅せられる。
イメージ的にはアニポケのポケモンコンテストでよく見る感じのやつ。
うーん、昼だからイマイチだな。75点といったところかな?
さてと、
「悪いけど、ここまでかな? 」
「ウェ? ――っと……ぐぅ」
「まだやる? 」
「ぐぅ……! ……まいった! 」
「上鳴くん降参! 瞬くんの勝利! 」
ミッドナイト先生の声とともに、歓声が爆発する。
いままで地味だったり圧倒的だったりした対戦だったからか、派手できらびやかな僕らの戦闘はオーディエンスの期待に応えた見ごたえのある試合だったっぽい。
もうちょっと苦戦を演出してもよかったけど、それだと負けかねなかったからね。
電撃はさ、やばいって。
「くっそ! 負けたー! 」
「お疲れ、いやー危なかった」
「嫌味かよ! 手も足も出なかったっつーの! 」
「いやいや、実はちゃんと効いてたんだよ。電撃で痺れて動けなかったから、降参宣言されなかったらやばかったね」
「嘘だろー……まじかよ……! 」
もちろん嘘。
ジュエルドーパントは絶縁性も抜群で、電気なんてノーダメージだったけど、こう言っておくのが後々意味を持つかもしれないからね。
あと単純に、圧倒しすぎて苦手意識持たれるのヤだし。
「二回戦進出! 瞬くん! 」
緑谷くんブツブツコーナー
「上鳴くんの個性も強力だったけど、瞬くんの『変身』……やっぱり強い。変身した姿によって能力が変わる。瞬くんはまるでいくつも個性を持っているようなものなんだ。一つ一つの姿にそれぞれ対策を立てる? でも今彼が変身した姿も初めて見るもの……一体いくつの姿に変身できるんだろう。上鳴くんの攻撃は一瞬だった。あの一瞬で変身できるんだから、変身する前に彼を倒すのは現実的じゃない。変身と変身の間を狙って……うーん……」