無個性は個性をつくる   作:匿名希望

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第33話 占拠

「これを聞いてから行きましょう」

 

「私もです!」

 

そう決めて。

 

私たちは研究員の説明を待った。

 

レセプションは。

 

もう始まっている。

 

ただ。

 

目の前には。

 

個性発現と装備制御の同期失敗例が並んでいる。

 

こちらの方が興味深い。

 

説明が始まる。

 

試験装置。

 

入力。

 

遅延。

 

失敗原因。

 

改善案。

 

研究員の話を聞きながら。

 

私は表示されているログを見る。

 

発目さんは試作機の方を見る。

 

いつも通り。

 

その途中だった。

 

警報が鳴った。

 

◇ ◇ ◇

 

音。

 

赤い表示。

 

研究員が話を止める。

 

施設内の照明が切り替わる。

 

壁面端末。

 

一斉に。

 

警戒表示。

 

続いて。

 

案内音声。

 

島全域のセキュリティシステムが。

 

緊急モードへ移行したことを告げる。

 

「訓練ですか?」

 

発目さんが聞く。

 

「聞いてない」

 

研究員が答える。

 

その直後。

 

廊下の先で。

 

重い音。

 

防火シャッターではない。

 

もっと厚い。

 

セキュリティ用の隔壁が。

 

区画を閉じた。

 

別方向も。

 

閉鎖。

 

端末。

 

通信切断。

 

携帯端末。

 

圏外。

 

施設内ネットワーク。

 

外部接続不可。

 

「訓練ではなさそうですね」

 

私は言う。

 

研究員が。

 

近くの認証端末を操作する。

 

反応。

 

拒否。

 

もう一度。

 

拒否。

 

「管理権限が……」

 

表示を見る。

 

通常の非常停止ではない。

 

現地の研究者が。

 

自分の区画を解除できない。

 

より上位の権限から。

 

島全体が制御されている。

 

「故障ですか?」

 

発目さん。

 

「故障なら、もう少し壊れ方が不規則だと思います」

 

私は答える。

 

電力。

 

動いている。

 

照明。

 

動いている。

 

隔壁。

 

正常に閉鎖。

 

端末。

 

正常に認証を拒否。

 

通信。

 

意図的に遮断。

 

システムは。

 

壊れているようには見えない。

 

正しく動いて。

 

こちらを閉じ込めている。

 

「誰かが操作していますね」

 

研究員の顔が変わった。

 

◇ ◇ ◇

 

館内放送。

 

普段の案内とは違う。

 

島の住民。

 

来場者。

 

全員へ。

 

現在地で待機するよう指示。

 

外へ出ない。

 

抵抗しない。

 

セキュリティシステムに従う。

 

言葉だけなら。

 

緊急避難にも聞こえる。

 

ただ。

 

研究員が。

 

低い声で言った。

 

「こんな運用はしない」

 

「そうですか」

 

「区画管理者まで締め出す緊急モードなんて、普通は中央からの侵害を想定してない」

 

中央。

 

私は。

 

前日に聞いた説明を思い出す。

 

この島。

 

研究施設。

 

製造施設。

 

居住区。

 

通信。

 

警備。

 

かなりのものが。

 

統合管理されている。

 

標準化。

 

集中管理。

 

大規模運用。

 

便利。

 

そして。

 

上を取られた場合。

 

影響範囲も大きい。

 

「中央システムを取られた可能性が高いですね」

 

「たぶん」

 

研究員が答える。

 

発目さんが。

 

目を輝かせた。

 

「セキュリティシステムってどんな構造なんですか?」

 

今そこなのか。

 

「発目さん」

 

「はい?」

 

「事件中です」

 

「でも構造分からないと直せなくないですか?」

 

それは。

 

正しい。

 

◇ ◇ ◇

 

まず。

 

現状確認。

 

私たちは。

 

レセプション会場にはいない。

 

研究展示を見ていたから。

 

公開研究区画側。

 

周囲にいるのは。

 

研究者。

 

技術者。

 

見学者。

 

ヒーローは。

 

少ない。

 

むしろ。

 

有力なヒーローほど。

 

レセプションへ行っている可能性が高い。

 

それが。

 

良いか悪いかは。

 

まだ分からない。

 

正面の隔壁。

 

閉鎖。

 

非常口。

 

同じ。

 

エレベーター。

 

停止。

 

通信。

 

遮断。

 

研究員用の内部端末。

 

権限失効。

 

外へ出る手段が。

 

普通にはない。

 

私は。

 

持ってきた荷物を見る。

 

端末。

 

小型測定機。

 

それだけ。

 

体育祭の時のような。

 

二十五個の装備はない。

 

光操作ベルトもない。

 

個性兵もいない。

 

海外の研究施設へ。

 

自分の秘密装備を大量に持ってくる必要がなかったから。

 

今となっては。

 

少し不便。

 

ただ。

 

何もないわけではない。

 

ここは。

 

研究施設。

 

周囲に。

 

機械が大量にある。

 

◇ ◇ ◇

 

「この区画の設備は使えますか?」

 

私が研究員へ聞く。

 

「研究用?」

 

「はい」

 

「ローカル機器なら。中央認証が必要なものは駄目だと思う」

 

「十分です」

 

発目さんも。

 

すぐ周囲を見る。

 

「工具は?」

 

「工作区画なら隣にある」

 

「行けます?」

 

「内部扉は――」

 

操作。

 

開く。

 

島全体を閉じる隔壁と。

 

研究区画内の普通の扉。

 

全部が同じ権限ではないらしい。

 

「行けます!」

 

発目さんが先に動く。

 

私は。

 

研究員を見る。

 

「中央へ直接繋がる必要はありません。まず、この区画から見える情報だけ確認します」

 

「何するつもり?」

 

「状況把握です」

 

犯人。

 

人数。

 

目的。

 

分からない。

 

レセプション側。

 

どうなっているか。

 

分からない。

 

島全体が。

 

本当に同じ状態か。

 

それも。

 

今のところ放送だけ。

 

知らないものを。

 

決めつけない。

 

まず。

 

見る。

 

◇ ◇ ◇

 

隣の工作区画。

 

公開展示用とはいえ。

 

設備は多い。

 

診断端末。

 

センサー。

 

配線工具。

 

簡易加工機。

 

回路評価装置。

 

試作用通信モジュール。

 

発目さんが。

 

棚を見る。

 

「使っていいんですか!?」

 

「緊急時だからな」

 

研究員が言う。

 

「壊すなよ」

 

「善処します!」

 

不安な返事だった。

 

私は。

 

島の中央ネットワークへ。

 

正面から接続しようとはしない。

 

管理権限。

 

ない。

 

下手に触れば。

 

侵入検知へ引っかかる。

 

欲しいのは。

 

この区画へ届いている。

 

制御信号。

 

隔壁。

 

照明。

 

監視。

 

警備システム。

 

その通信状態。

 

ローカル側から。

 

受け取っているものだけを見る。

 

「ここ、保守端子ありますね」

 

発目さんが言う。

 

「ありますね」

 

壁面制御盤。

 

通常なら。

 

設備保守用。

 

私は診断端末を接続する。

 

認証。

 

研究員。

 

通る。

 

ただし。

 

区画外への操作権限。

 

なし。

 

問題ない。

 

操作は。

 

まだ要らない。

 

ログ。

 

見る。

 

警報前。

 

通常。

 

時刻。

 

切替。

 

中央から。

 

緊急権限。

 

一斉に降りている。

 

「全区画同時?」

 

研究員。

 

「少なくとも、この系統では」

 

私は応える。

 

個別侵入。

 

ではない。

 

中央を取って。

 

下へ命令を流した。

 

発目さんが。

 

別の表示を見る。

 

「警備ロボットも動いてます!」

 

「位置は?」

 

「ここから見える範囲だけですけど」

 

複数。

 

通路。

 

出口。

 

主要交差点。

 

待機。

 

巡回ではない。

 

封鎖配置。

 

人間が外へ出るのを。

 

止める形。

 

「セキュリティをそのまま使っていますね」

 

敵が。

 

自分で大量の戦力を持ち込む必要はない。

 

島の警備を奪えばいい。

 

効率的。

 

◇ ◇ ◇

 

映像。

 

研究区画内の監視カメラ。

 

見える。

 

それより外。

 

拒否。

 

「中央カメラの映像は取れないんですか?」

 

発目さん。

 

「権限がない」

 

研究員が答える。

 

「物理的に繋がってるなら――」

 

「発目さん」

 

「はい」

 

「今は壊さない方がいいです」

 

「まだ壊してません!」

 

まだ。

 

私は。

 

公開展示の機材を見る。

 

昨日。

 

光学計測。

 

個性連動制御。

 

姿勢検知。

 

複数センサー。

 

そのままでは。

 

監視用ではない。

 

ただ。

 

センサーは。

 

センサー。

 

用途を変えれば。

 

周囲を見ることはできる。

 

廊下へ出られないなら。

 

隔壁の向こうを。

 

別の方法で見る。

 

「壁の構造図はありますか?」

 

「公開区画ならある」

 

研究員が表示。

 

配線。

 

配管。

 

保守経路。

 

空調。

 

隔壁。

 

壁自体を壊す必要はない。

 

細い保守ダクト。

 

通っている。

 

「ここ」

 

私は指す。

 

「センサーだけ通せますね」

 

発目さん。

 

すぐ分かる。

 

「細いやつ作れます!」

 

「お願いします」

 

「任せてください!」

 

こういう時。

 

発目さんは。

 

速い。

 

◇ ◇ ◇

 

小型。

 

カメラ。

 

音声。

 

距離センサー。

 

それだけ。

 

飛行させる必要もない。

 

保守ダクト内部を。

 

自走。

 

構造は。

 

単純でいい。

 

部品。

 

公開研究区画。

 

試作用モーター。

 

カメラ。

 

制御基板。

 

電源。

 

発目さんが組む。

 

私は。

 

保守ダクトの経路を確認。

 

必要な寸法。

 

通信。

 

中央網を使えば。

 

遮断される可能性。

 

だから。

 

ローカル。

 

短距離。

 

壁越し。

 

中継。

 

研究区画内だけ。

 

「十七分です!」

 

発目さんが言う。

 

「速いですね」

 

「もっと部品揃ってたら十分でできます!」

 

十分でも。

 

十分速い。

 

小型機。

 

見た目は。

 

綺麗ではない。

 

配線も。

 

一部露出。

 

でも。

 

動く。

 

発目さんらしい。

 

「行ってこい、ベイビー!」

 

投入。

 

ダクト内。

 

前進。

 

映像。

 

正常。

 

◇ ◇ ◇

 

最初の隔壁の向こう。

 

廊下。

 

無人。

 

次。

 

交差点。

 

警備ロボット。

 

二体。

 

待機。

 

その先。

 

人影。

 

研究者。

 

壁際。

 

動かず待機。

 

ロボットが監視。

 

少なくとも。

 

無差別攻撃ではない。

 

外出制限。

 

拘束。

 

「撃たれてませんね」

 

発目さん。

 

「はい」

 

敵の目的が。

 

今のところ。

 

大量殺傷ではない可能性。

 

ただ。

 

安心はできない。

 

ロボット。

 

本来の警備装置。

 

誰かが。

 

命令を書き換えたのではなく。

 

中央権限から。

 

正規機能を使っている。

 

その方が厄介。

 

正面から。

 

島の防御システムと戦う意味はない。

 

◇ ◇ ◇

 

もう少し。

 

偵察機を進める。

 

上階方面。

 

閉鎖。

 

レセプション側へ向かう経路。

 

複数の隔壁。

 

さらに。

 

通信信号。

 

こちらでは。

 

細かい内容まで取れない。

 

ただ。

 

中央のトラフィック量が。

 

変わっている。

 

一部。

 

警備制御。

 

一部。

 

監視。

 

そして。

 

別の系統。

 

「これは?」

 

発目さんが聞く。

 

研究員が画面へ寄る。

 

「研究区画の管理網だ」

 

「警備と別ですか?」

 

「完全には別じゃない。島の中央管理を経由する部分がある」

 

私は。

 

ログを見る。

 

異常発生後。

 

通常なら。

 

この時間に動かないはずの。

 

研究管理系アクセス。

 

複数。

 

中央塔側から。

 

発生している。

 

「何か探していますね」

 

「分かるの?」

 

「アクセス量だけです。内容は見えません」

 

保管データ。

 

研究資産。

 

機密。

 

どれか。

 

敵が。

 

島を占拠して。

 

何かを取りに来た。

 

可能性。

 

かなり高い。

 

ただ。

 

何か。

 

までは分からない。

 

◇ ◇ ◇

 

館内放送が。

 

もう一度。

 

流れる。

 

待機。

 

抵抗禁止。

 

安全を保証。

 

その中で。

 

中央塔。

 

レセプション。

 

研究者二名の移送。

 

断片的な監視ログ。

 

全部を繋げる。

 

目的。

 

人質を取ること自体ではない。

 

何か。

 

中央塔にある研究物。

 

あるいは。

 

研究者にしか開けないもの。

 

「研究データ狙いですかね」

 

発目さんが言う。

 

「可能性は高いですね」

 

「何の?」

 

「そこは分かりません」

 

I・アイランド。

 

研究。

 

多すぎる。

 

一つに絞れない。

 

◇ ◇ ◇

 

別の表示。

 

突如。

 

監視系に。

 

大きな負荷。

 

何かが。

 

上階を移動している。

 

複数。

 

人。

 

セキュリティシステムが。

 

区画封鎖を。

 

段階的に変更。

 

「誰か動いてますね」

 

私は言う。

 

研究員が。

 

「犯人?」

 

「分かりません。ただ、警備側が追っています」

 

偵察機。

 

別経路。

 

音。

 

遠い。

 

衝撃。

 

一回。

 

次。

 

複数。

 

個性か。

 

機械か。

 

判別不能。

 

その後。

 

上層方向。

 

警備システム。

 

隔壁閉鎖。

 

エレベーター動作。

 

何者かの移動へ。

 

対応している。

 

私は。

 

雄英のヒーロー科生徒を思い出す。

 

島にいる。

 

レセプションへ。

 

全員が。

 

時間通り着いていたとは限らない。

 

爆豪さん。

 

特に。

 

迷っていても。

 

不思議ではない。

 

誰が動いているか。

 

確認できない。

 

だから。

 

任せる。

 

戦闘は。

 

ヒーロー科。

 

あるいは。

 

島のヒーロー。

 

私の仕事ではない。

 

私たちは。

 

こちらで。

 

状況を把握する。

 

◇ ◇ ◇

 

「中央システムへ入りませんか?」

 

発目さんが。

 

当然のように聞く。

 

「正面からは無理です」

 

「裏から!」

 

「それを探しています」

 

研究員が。

 

少し顔をしかめる。

 

「おい」

 

「緊急事態ですので」

 

私は答える。

 

「島全体を制御されている状態で、正規権限だけ待っても解除できない可能性があります」

 

「だからって学生が――」

 

「では、正規の復旧担当へ連絡できますか?」

 

沈黙。

 

通信。

 

遮断。

 

中央。

 

敵。

 

「……できない」

 

「なら、やれる範囲だけやります」

 

全部。

 

奪い返す。

 

必要はない。

 

中央塔の最上位制御へ。

 

私が先に到達する必要もない。

 

ヒーロー科生徒が。

 

何をしているか。

 

私は知らない。

 

でも。

 

誰かが上へ向かっている。

 

なら。

 

そちらはそちら。

 

こちらは。

 

別経路。

 

研究網。

 

敵が。

 

何をしているのかを見る。

 

それでいい。

 

◇ ◇ ◇

 

I・アイランドのネットワークは。

 

単純ではない。

 

当然。

 

一般展示。

 

研究。

 

製造。

 

警備。

 

電力。

 

通信。

 

全部を。

 

一枚の網へ載せるほど雑ではない。

 

でも。

 

完全独立でもない。

 

中央管理。

 

認証。

 

監査。

 

ログ。

 

そこでは繋がる。

 

侵入者は。

 

中央を取った。

 

だから。

 

多くの場所へ。

 

正規命令として触れる。

 

逆に。

 

こちらから中央へ戻る経路も。

 

物理的には存在する。

 

私は。

 

研究員用端末。

 

保守端末。

 

公開試験設備。

 

三つを繋ぐ。

 

権限。

 

足りない。

 

なら。

 

権限を取りに行くのではない。

 

既に許可されている通信だけを。

 

辿る。

 

研究装置が。

 

中央へ。

 

定期的に状態を送る。

 

監査。

 

時刻同期。

 

機器識別。

 

その戻り。

 

ごく小さい。

 

でも。

 

ある。

 

「何してるんです?」

 

発目さん。

 

「中央がこの端末へ返している情報を見ています」

 

「入るんじゃなくて?」

 

「今はまだ」

 

ここで。

 

無理に侵入すれば。

 

敵側へ。

 

別のアクセスがあると知らせる。

 

状況を知らない間は。

 

情報を与えない方がいい。

 

まず。

 

読む。

 

◇ ◇ ◇

 

数分。

 

中央側。

 

管理応答。

 

研究システム。

 

通常。

 

一部。

 

違う。

 

特定区画。

 

アクセス。

 

封鎖解除。

 

再封鎖。

 

認証。

 

高位。

 

保管領域。

 

私は。

 

研究員へ聞く。

 

「この識別番号は?」

 

表示する。

 

研究員の表情が。

 

変わる。

 

「公開研究じゃない」

 

「何の区画ですか?」

 

「保管」

 

「データ?」

 

「研究成果も。試作品も。危険度の高いものは、普通の研究室に置かない」

 

なるほど。

 

敵。

 

そこへ。

 

向かっている。

 

「アクセス内容までは?」

 

「この端末じゃ無理だ」

 

「別の研究端末なら?」

 

「権限が――」

 

「権限ではなく、経路です」

 

研究員が。

 

少し考える。

 

それから。

 

別区画を指した。

 

「解析室なら、研究保管系と監査ログを共有してる」

 

「行けますか?」

 

「区画内通路なら」

 

「行きましょう」

 

発目さんが。

 

工具をまとめる。

 

「ベイビーも!」

 

「回収してください」

 

「もちろんです!」

 

◇ ◇ ◇

 

移動。

 

外の通路ではない。

 

研究区画内部。

 

閉鎖されていない範囲。

 

途中。

 

隔壁。

 

一枚。

 

内部認証。

 

研究員。

 

通る。

 

解析室。

 

端末。

 

複数。

 

高性能。

 

昨日まで。

 

見学対象だったもの。

 

今は。

 

別の用途で使う。

 

皮肉。

 

ではない。

 

機械は。

 

用途が変わっただけ。

 

私は座る。

 

研究員。

 

ローカル認証。

 

監査データ。

 

開く。

 

敵が使っている。

 

最上位権限そのものは。

 

見えない。

 

でも。

 

何へ触れたか。

 

痕跡がある。

 

保管区画。

 

番号。

 

研究プロジェクト。

 

名前。

 

一部。

 

伏せられている。

 

機密。

 

当然。

 

「読めませんね」

 

発目さん。

 

「通常なら」

 

私は答える。

 

通常なら。

 

そこで終わる。

 

権限がない。

 

見ない。

 

でも。

 

今。

 

その機密研究を。

 

占拠犯が取りに行っている。

 

それなら。

 

何を狙っているか。

 

知る価値がある。

 

これは。

 

正規の見学ではない。

 

私は。

 

端末の構造を見る。

 

監査情報。

 

研究データ管理。

 

別。

 

でも。

 

識別子は共通。

 

ID。

 

そこから。

 

保管先。

 

通信先。

 

呼び出し履歴。

 

辿れる。

 

「空木さん」

 

発目さんが。

 

私を見る。

 

「これ」

 

声が少し低い。

 

画面。

 

新しいアクセス。

 

中央塔上層。

 

保管領域。

 

データ読み出し。

 

試作品管理。

 

同時。

 

動いている。

 

「何か出していますね」

 

私は言う。

 

犯人の目的。

 

かなり近い。

 

まだ。

 

中身は見えない。

 

ただ。

 

ここまで来れば。

 

次に調べる場所は。

 

決まっている。

 

研究員が。

 

「それ以上は機密だぞ」

 

「そうですね」

 

本来なら。

 

見ない。

 

でも。

 

今は。

 

機密そのものが。

 

犯人の手に渡ろうとしている。

 

私は。

 

画面へ手を置く。

 

完全な設計図を。

 

盗むつもりはない。

 

興味のない研究なら。

 

見る理由もない。

 

必要なのは。

 

何を奪おうとしているか。

 

その目的。

 

作動。

 

危険性。

 

そこだけ。

 

「少し調べます」

 

私は言った。

 

画面の奥で。

 

機密研究へのアクセスが。

 

続いていた。

 

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