無個性は個性をつくる   作:匿名希望

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第46話 対AFO

必要なものを、必要な時に、必要なだけ。

 

それが一番、使いやすかった。

 

自分の中の整理、終了。

 

研究補助、最新版。不要なもの、なし。重複、最小限。

 

かなり綺麗になった。

 

ただ、一つ、今のままでは問題がある。

 

私は着脱用人工個性を見る。

 

自分の意思で個性を外せる。戻せる。それ自体は完成した。

 

でも、神野で見たものは違う。

 

オール・フォー・ワン。

 

本人の意思と関係なく、個性を奪う。

 

つまり、私が自分の個性を綺麗に整理したところで、外から勝手に触られる可能性が残っている。

 

「塞いだ方がいいですね」

 

当然だった。

 

◇ ◇ ◇

 

オール・フォー・ワン本人は捕まったらしい。ニュースでも報道されている。

 

だから、今すぐ私の家へ来る可能性はない。

 

でも、関係ない。

 

既に存在することが分かった。

 

個性を強制的に外せる能力。個性を別の人間へ与えられる能力。

 

少なくとも一人、実在した。

 

なら、同系統、派生、複製、継承、その他。可能性はゼロではない。

 

一度、既知になった危険を対策しない理由はない。

 

◇ ◇ ◇

 

私はAFOによる奪取時の感覚を、もう一度分解する。

 

個性因子、認識。接触。外部干渉。身体側との接続、強制解除。因子、移動。相手側へ再接続。

 

なら、止める場所はいくつかある。

 

一番単純なのは、接続を切れなくする。

 

ただし、それだけでは困る。

 

私は自分の意思で個性を着脱したい。完全に固定したら、昨日作った技術が使えなくなる。

 

だから、必要なのは摘出不能ではない。

 

無許可摘出不能。

 

◇ ◇ ◇

 

条件。

 

私自身からの着脱命令は許可。それ以外は拒否。

 

外部から個性因子への干渉、拒否。接続解除命令、外部由来は拒否。因子本体を移動させる作用、拒否。

 

まず、これ。

 

強制摘出防止。

 

次、逆。

 

強制挿入。

 

これも必要。

 

AFOは奪うだけではなく、与えられる。

 

なら、外から知らない個性を私へ入れられる可能性もある。

 

普通なら、個性が増える。それだけかもしれない。

 

でも、何が入っているか分からない。作用も分からない。発動条件も分からない。害があるかもしれない。

 

わざわざ受け入れる理由はない。

 

外部個性因子の侵入、接続要求。私の許可がなければ拒否。

 

これで強制挿入を止める。

 

◇ ◇ ◇

 

もう一つ。

 

因子そのものへ書き込まれる可能性。

 

AFOでそこまでできるか、私は見ていない。見ていないので、できるとは言えない。

 

でも、個性因子へ外部から干渉できる。そこまでは確定。

 

なら、摘出、挿入だけを塞ぐより、外部からの構造変更そのものを拒否した方がいい。

 

因子構造の書き換え、禁止。外部因子の混入、禁止。既存個性へ別因子が入り込む、禁止。既存因子を乗っ取る、禁止。

 

ただし、また私自身、研究のために自分の個性を更新する。その時は許可が必要。

 

つまり、全部同じ。

 

外部から勝手にやらせない。自分でやる時だけ通す。

 

◇ ◇ ◇

 

設計。

 

単純ではない。

 

防御が対象個性ごとに別々に必要。それだと面倒。

 

新しい個性を入れるたび、防御も追加。効率が悪い。

 

なら、身体側全体。

 

個性因子の接続基盤。そこを守る。

 

内部個性が何個増える、減る。関係ない。

 

身体と個性因子の間。外部。そこへ一つ、防御層を置く。

 

私は人工肉体を作る。

 

試験用個性、三つ。発光、微冷却、念動。搭載。

 

次、外部から着脱用能力で強制摘出。

 

普通なら外れる。

 

防御層を入れる。

 

再試験。

 

摘出作用が接続点へ到達。

 

拒否。

 

個性は残る。

 

「いいですね」

 

次、人工個性を外から強制挿入。

 

拒否。

 

侵入、停止。身体側へ定着しない。

 

次、個性因子へ構造変更を試す。

 

変更要求、遮断。

 

元の構造、維持。

 

◇ ◇ ◇

 

自分の命令を試す。

 

防御、有効。

 

その状態で、着脱用個性を発現。

 

対象、微冷却。摘出許可。

 

防御層が、許可された内部命令を認識。通す。

 

外れる。

 

保存。

 

戻す。

 

再接続、通す。

 

正常。

 

これ、必要。

 

防御のせいで自分まで触れなくなったら、意味がない。

 

外部、拒否。内部、認証、許可。

 

それだけ。

 

◇ ◇ ◇

 

もう少し悪条件を試す。

 

複数箇所、同時干渉。

 

拒否。

 

強い出力。

 

拒否。

 

摘出と挿入、同時。

 

拒否。

 

既存因子を外へ引きながら、別因子を押し込む。

 

両方、拒否。

 

一部接続、切断。不完全摘出。

 

これが少し危ない。

 

完全に外れない。でも、接続部だけ損傷。

 

それは困る。

 

なら、防御は単純に外へ出さないだけでは足りない。

 

無許可干渉を検出した時点で、接続状態を固定。因子構造を固定。外部作用を遮断。正常状態を維持。

 

この順番を追加。

 

再試験。

 

今度は損傷なし。

 

「これなら問題ありません」

 

◇ ◇ ◇

 

自分へ入れる。

 

その前、少し考える。

 

私の中には、個性因子製造、個性因子知覚、個性兵統括、着脱、研究補助。いろいろある。

 

オール・フォー・ワンに一つ取られる。それだけでも面倒。

 

特に、人工個性製造。

 

これを取られたら、かなり困る。

 

私は、また作るための中核まで失うことになる。

 

もちろん、全部一度に取られるか、一つずつか、詳細は分からない。

 

でも、試す理由はない。

 

防御、恒久搭載。

 

生成。実装。定着。

 

◇ ◇ ◇

 

自分の個性因子を確認。

 

防御層、全体を覆う。

 

異常なし。発現への影響、なし。

 

個性因子製造、正常。知覚、正常。共有、正常。着脱、正常。

 

では、試す。

 

外部試験用個性兵を用意。

 

そちらから私へ、疑似的な強制摘出作用を発動。

 

身体、接触。

 

個性因子は認識される。

 

そこから先、進まない。

 

接続は切れない。構造は変わらない。

 

外部因子を入れようとする。

 

定着しない。

 

「大丈夫ですね」

 

解除。

 

◇ ◇ ◇

 

次、個性兵。

 

神野で、ホークス型の任務用個性を奪わせた。

 

あれは意図的な実験。だからいい。

 

でも、今後、重要な個性兵まで同じように奪われる。それは困る。

 

人工個性はいくらでも作り直せる。個性兵も作り直せる。だから、一体失うこと自体は大した問題ではない。

 

でも、敵にこちらの能力を渡す。

 

それがよくない。

 

神野で、オール・フォー・ワンは奪った個性をそのまま使えたらしい。

 

つまり、飛行、羽、遠隔操作、知覚。全部使える。

 

なら、高性能な個性兵を大量に出して奪われれば、その分、相手を強くする可能性がある。

 

「重要個体には必要ですね」

 

全個性兵へ今すぐ標準搭載。そこまでは必要ない。

 

使い捨て、試験、役割限定。いろいろある。

 

でも、失うと困る個体。中核技術を持つ個体。私の近くに常時いる個体。研究拠点を守る個体。

 

それらには防御を入れる。

 

◇ ◇ ◇

 

そこで、神野で使った人工ヒーロー試作を改めて見る。

 

ホークス型、消失。

 

残り八体。

 

身体強化。炎。繊維。変形。障壁。拘束。泡。大型飛行。

 

データは十分。

 

実戦までした。

 

救助、防御、消火、瓦礫除去、避難。どれが使えるか分かった。

 

もう、有名ヒーローを模した形で残す理由はない。

 

必要な機能を実用品へ移す。

 

◇ ◇ ◇

 

最初、クラスト型。

 

神野で研究拠点を守った。

 

かなり有用。

 

だから、そのまま発展。

 

自宅、研究拠点専用。防衛型。

 

設計。

 

必要機能。

 

多重障壁。一枚壊れれば、次を展開。衝撃を一か所で受けず、分散。建物が直接受けない。

 

飛来物、迎撃。侵入者、拘束。建物の損傷、支える。火災、区画、隔離。爆発、範囲を閉じ込める。

 

研究設備、優先保護。生活区画、保護。周辺住宅への二次被害も、必要なら抑える。

 

ただし、元のクラスト型の外見、能力構成をそのまま使う必要はない。

 

役割、拠点防衛。

 

そこだけ最適化。

 

AFO対策、因子干渉防御、搭載。

 

完成。

 

個体、起動。敷地、配置。

 

「この家と研究設備を防衛してください。周辺からの二次被害も、拠点防衛に必要な範囲で処理してください」

 

「承知しました」

 

正式、常設。

 

これで、災害、戦闘、侵入。そのたびに人工ヒーローを並べる必要はない。

 

◇ ◇ ◇

 

次、私自身。

 

神野では家から出なかった。だから、問題なかった。

 

でも、学校、外出、研究施設、移動。普通にする。

 

その時、何かある可能性はゼロではない。

 

私自身へ戦闘個性を大量に入れる。それは前にやらないと決めた。

 

必要なら、個性兵へ任せればいい。

 

なら、護衛を作る。

 

◇ ◇ ◇

 

条件。

 

常時、邪魔しない。目立たない。

 

私が研究中でも、寝ていても、別作業でも、勝手に周囲を見る。

 

攻撃が来る。防ぐ。必要なら拘束。逃走路を確保。私を移動。

 

でも、本体をどこかへ置いていく。それはよくない。

 

私から離れない方がいい。

 

なら、影を使う。

 

私の影の中。本体、収納、待機。

 

そこから複数の小型分身体を展開。

 

外から見えない。不可視。

 

視界。上、後ろ、横。死角、全部分ける。

 

本体は私から離れない。分身体は破壊されても、本体から再生成。

 

役割、監視、防御、拘束、退避補助。

 

戦うことが目的ではない。

 

私に攻撃を届かせない。

 

それでいい。

 

◇ ◇ ◇

 

人工OS。

 

命令、単純。

 

私の安全、最優先。

 

ただし、私の明示命令はさらに上。

 

私が危険な場所へ観察に行く可能性はある。

 

護衛が勝手に研究を妨害して連れ戻す。それは困る。

 

だから、自律防御はする。でも、私の命令で上書き可能。

 

当然、因子干渉防御を搭載。

 

AFOのような相手に、護衛そのものの個性を取られて消える。

 

意味がない。

 

完成。

 

個体、起動。

 

足元。影へ溶けるように本体が入る。

 

外見、変化ほぼなし。

 

共有。複数の視点が出る。

 

背後。天井付近。廊下。窓側。

 

私は椅子へ座ったまま、周囲が分かる。

 

「邪魔ではないですね」

 

なら、問題なし。

 

◇ ◇ ◇

 

人工ヒーロー試作。残りを見る。

 

身体強化型。データ保存。自己分解。

 

炎型。データ保存。自己分解。

 

繊維操作型。救助、固定。使える。でも、専用品を後で作ればいい。自己分解。

 

変形潜入型。内部探索。使える。データを残す。自己分解。

 

シンリンカムイ型を参考にした拘束救助型。データ保存。自己分解。

 

ウォッシュ型。泡、消火、除染、救助。かなり便利。でも、これも後で救助用途として作り直す。自己分解。

 

リューキュウ型。運搬、大型飛行。データ保存。自己分解。

 

一つずつ消える。

 

惜しいとは思わない。

 

また作れる。

 

必要な時に、もっと良いものを作ればいい。

 

◇ ◇ ◇

 

最後、元のクラスト型。

 

新しい拠点防衛型は、もうある。

 

旧型を残す理由はない。

 

自己分解。

 

これで、人工ヒーロー試作は全て役目を終了。

 

残ったのは、設計データ、実戦記録、救助記録、改良点。

 

そして、必要な機能を引き継いだ実用品。

 

◇ ◇ ◇

 

研究室。

 

以前より広い。

 

九体並んでいた場所が空いた。

 

家事型は普通に生活区画を管理。

 

拠点防衛型は建物を守る。

 

個人護衛型は私の影で待機。

 

私は自分の中を確認する。

 

個性因子干渉防御、正常。

 

強制摘出、拒否。強制挿入、拒否。外部因子侵入、拒否。無許可構造改変、拒否。

 

自分の着脱命令、許可。

 

必要なことはできる。

 

知らない相手に、勝手に触らせない。

 

「これでいいですね」

 

オール・フォー・ワンという個性を、私は持っていない。

 

作る必要も、今はない。

 

でも、一度見た。

 

だから、対策はできる。

 

既知の弱点を、そのまま残しておく理由はなかった。

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