無個性は個性をつくる   作:匿名希望

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第82話 専用品が必要ですね

「対象らしき人影を確認しました」

 

観測型から報告。

 

私は右側の画面を見る。

 

上空からの映像。

 

道路から外れた林の中。

 

木々の隙間を、一人の人間が移動している。

 

遠い。

 

顔までは見えない。

 

だが。

 

身体の一部が露出している。

 

黒い服。

 

移動速度。

 

最後に死柄木を確認した位置からの距離。

 

「もう少し寄ってください」

 

「承知しました」

 

観測型が高度を落とす。

 

映像が拡大される。

 

枝が何度も視界を遮る。

 

その隙間。

 

白い髪。

 

損傷した身体。

 

「死柄木ですね」

 

公安担当者が椅子から立ち上がった。

 

「見つけたのか!」

 

「はい」

 

ようやく。

 

追跡が戻った。

 

◇ ◇ ◇

 

「現場部隊へ位置を送れ!」

 

公安側が動く。

 

座標。

 

移動方向。

 

速度。

 

周辺地形。

 

観測型から入る情報が、そのまま指揮系統へ流される。

 

「空木君、そのまま追えるか?」

 

「やってみます」

 

できるとは言わない。

 

今使っているのは普通の観測型。

 

戦場全体を見る目的で作った個体だ。

 

追跡専用ではない。

 

ただ。

 

対象を視界へ収めている間なら追える。

 

「距離を維持してください。近づきすぎる必要はありません」

 

「承知しました」

 

観測型が死柄木の後ろを飛ぶ。

 

少し高い位置。

 

死柄木自身は徒歩ではない。

 

地面を蹴り。

 

何らかの移動系個性も混ぜながら。

 

短い距離を高速で移動している。

 

完全な速度は病院戦域にいた時より落ちている。

 

身体の完成度が十分ではないこと。

 

オールマイトたちに受けた損傷。

 

戦闘そのものの消耗。

 

理由はいくつか考えられる。

 

それでも普通の人間より遥かに速い。

 

◇ ◇ ◇

 

「死柄木、北東方向へ移動!」

 

「包囲班を回せ!」

 

「近隣警察にも共有!」

 

指揮所の空気が変わる。

 

見失った最大標的が。

 

もう一度見つかった。

 

それだけで。

 

戦闘がまだ終わっていない状態へ戻る。

 

私は観測型の位置だけを見る。

 

「少し右へ」

 

「承知しました」

 

木。

 

建物。

 

高低差。

 

死柄木が何度も遮蔽物を使う。

 

そのたびに観測型も角度を変える。

 

追跡専用でなくても。

 

飛べる。

 

上から見られる。

 

人間より長時間動ける。

 

条件が良ければ、十分使える。

 

少なくとも今は。

 

◇ ◇ ◇

 

「応援が到達するまで何分だ?」

 

「最短班で――」

 

公安側が計算する。

 

その数字を聞く。

 

間に合うかは微妙。

 

死柄木が同じ方向へ進み続ける保証もない。

 

さらに。

 

敵側には死柄木以外の逃走者もいる。

 

全戦力を一か所へ集めることはできない。

 

「観測型をもう一体回せるか?」

 

「回せます」

 

私は別の個体を選択する。

 

今追っている一体から少し離れた位置。

 

高い場所。

 

「先行して進行方向の外側へ回ってください」

 

「承知しました」

 

一体で後ろから追う。

 

もう一体で前方側を見る。

 

二方向。

 

これなら見失いにくくなる。

 

「最初からそうしておけばよかったんじゃないか?」

 

公安担当者が言う。

 

「戦場観測用として配置していたので」

 

今までの目的が違う。

 

さらに言えば。

 

二体使えば完全に追えるわけでもない。

 

「追跡専用なら配置も性能も変えます」

 

「例えば?」

 

「今はまだ必要ありません」

 

設計を始める時に考えればいい。

 

現状は。

 

目の前の死柄木を見失わない方が先だった。

 

◇ ◇ ◇

 

死柄木が道路へ出る。

 

速度が上がる。

 

観測型も追う。

 

上空。

 

少し後方。

 

「対象継続捕捉」

 

映像は安定している。

 

公安側の地図にも現在位置が更新される。

 

一分。

 

二分。

 

追跡が続く。

 

「このままなら――」

 

公安担当者が言いかける。

 

死柄木が。

 

突然止まった。

 

「停止しました」

 

私も画面を見る。

 

理由は不明。

 

身体を休めるためか。

 

進路を変えるためか。

 

それとも。

 

何かに気づいたのか。

 

死柄木が顔を上げた。

 

こちらを見る。

 

正確には。

 

観測型を。

 

◇ ◇ ◇

 

「気づかれましたね」

 

「離せ!」

 

公安担当者が言う。

 

「上昇してください」

 

「承知しました」

 

観測型が高度を上げる。

 

死柄木も動いた。

 

地面を蹴る。

 

急加速。

 

「追ってくるぞ!」

 

「そうですね」

 

観測型の方が上。

 

死柄木は地上。

 

普通なら距離を取れる。

 

ただ。

 

相手が何を持っているか全部は分からない。

 

死柄木には複数の個性がある。

 

観測していない機能まで勝手に想定することはできない。

 

だから。

 

距離を広げる。

 

それだけ。

 

「二体目は接近しないでください。視認だけ維持」

 

「承知しました」

 

前方側の個体はまだ見つかっていない。

 

なら。

 

一体目を囮として切り捨てても。

 

追跡は続けられる可能性がある。

 

◇ ◇ ◇

 

死柄木が地面へ触れた。

 

一瞬。

 

何も起きない。

 

次。

 

足元の地面が崩れる。

 

『崩壊』。

 

「高度を上げてください」

 

観測型は既に飛んでいる。

 

地面から伝播する『崩壊』なら、それだけでは届かない。

 

そのはずだった。

 

死柄木が瓦礫を掴む。

 

投げる。

 

速い。

 

観測型が回避。

 

一つ目。

 

避ける。

 

二つ目。

 

翼へ命中。

 

「右飛行器官損傷」

 

高度が落ちる。

 

すぐに再構築開始。

 

人工肉体が戻る。

 

飛行機能も復旧。

 

「まだ動けるのか」

 

公安担当者が言う。

 

「この程度なら」

 

頭部だけ。

 

腕だけ。

 

翼だけ。

 

そういう壊れ方なら問題ない。

 

限定した『創造』で身体を直せる。

 

個性兵は人間ではない。

 

人間なら致命傷になる場所を壊されても、それだけで終わる構造にはしていない。

 

「追跡継続」

 

「承知しました」

 

観測型が再上昇する。

 

◇ ◇ ◇

 

死柄木がこちらを見る。

 

映像越しでも分かる。

 

一度壊した。

 

直った。

 

それを見た。

 

次の攻撃。

 

また瓦礫。

 

今度は胴体へ命中。

 

外装が大きく壊れる。

 

観測型が揺れる。

 

それでも。

 

「再構築中」

 

止まらない。

 

共有も生きている。

 

公安担当者が言う。

 

「丈夫だな」

 

「壊れ方の問題です」

 

全身が残っている。

 

再構築機能が残っている。

 

材料もある。

 

なら直せる。

 

逆に。

 

全部なくなれば直せない。

 

当然のことだった。

 

死柄木がまた地面へ降りる。

 

今度は逃げない。

 

こちらを待っているようにも見える。

 

「距離を取らせます」

 

「その方がいい」

 

観測型が旋回する。

 

追跡対象から離れる。

 

それでも映像からは外さない。

 

ここで逃げれば。

 

また場所が分からなくなる。

 

そのため。

 

完全には離れられない。

 

追跡用として作っていない欠点が。

 

そのまま出ている。

 

◇ ◇ ◇

 

「二体目は?」

 

「対象を別角度から捕捉しています」

 

まだ大丈夫。

 

一体目が壊れても。

 

二体目がある。

 

公安側にも位置は出ている。

 

現場の包囲部隊も近づいている。

 

少し維持できれば。

 

追いつける可能性はある。

 

死柄木が動いた。

 

観測型も追う。

 

再び。

 

距離が縮まる。

 

「近すぎるぞ」

 

「対象の速度が上がっています」

 

こちらの個体は戦場観測用。

 

高速追跡特化ではない。

 

死柄木の方が速い。

 

一気に距離を詰められる。

 

「回避優先」

 

観測型が方向を変える。

 

死柄木が跳ぶ。

 

高い。

 

視界いっぱいに身体が入る。

 

「接触されます」

 

次の瞬間。

 

観測型が死柄木の手に掴まれた。

 

◇ ◇ ◇

 

映像が激しく揺れる。

 

「離脱!」

 

個性兵が身体を捻る。

 

逃げようとする。

 

死柄木の指。

 

接触。

 

『崩壊』。

 

最初に外装が崩れた。

 

次。

 

内部。

 

翼。

 

胴体。

 

頭部。

 

一部ではない。

 

触れた場所から。

 

全身へ。

 

一気に広がる。

 

「身体再構築を――」

 

個性兵が実行しようとする。

 

崩れる方が速い。

 

再構築した部分も。

 

そのまま壊れる。

 

「全身損壊率――」

 

報告が途中で切れた。

 

映像が消える。

 

共有。

 

停止。

 

反応。

 

なし。

 

完全破壊。

 

◇ ◇ ◇

 

「やられた」

 

公安担当者が言う。

 

「はい」

 

通常の損傷とは違う。

 

頭。

 

翼。

 

胴体。

 

どこかが残る壊れ方ではない。

 

個体全体。

 

再構築するための機能も。

 

人工個性も。

 

OSも。

 

まとめて消えている。

 

「これは再生しないのか?」

 

「無理ですね」

 

完全になくなっている。

 

再構築する側が存在しない。

 

「『崩壊』なら個性兵も完全破壊できます」

 

今回の戦場でも既に一体失っている。

 

分かっていたこと。

 

追跡個体でも同じだった。

 

◇ ◇ ◇

 

「もう一体いるだろ!」

 

公安担当者が二体目の映像へ目を向ける。

 

そちらは高い位置。

 

まだ死柄木から距離がある。

 

「対象を――」

 

映像が死柄木を映す。

 

こちらを見ていた。

 

二体目にも。

 

気づいている。

 

「離脱させます」

 

「追跡は!?」

 

「この距離だと同じことになります」

 

死柄木が一体目をどう倒したか。

 

こちらも見ていた。

 

相手も。

 

二体目がいることに気づいたなら。

 

次も狙う。

 

「高度上昇。距離を取ってください」

 

「承知しました」

 

観測型が上昇する。

 

死柄木が進路を変える。

 

建物の多い区域。

 

上から見えにくい場所へ。

 

「遮蔽に入ります」

 

建物。

 

屋根。

 

道路。

 

死柄木の姿が消える。

 

観測型が角度を変える。

 

見えない。

 

反対へ回る。

 

いない。

 

「対象視認途絶」

 

高度を下げる。

 

探す。

 

周辺。

 

道路。

 

建物の間。

 

裏側。

 

「見つけてください」

 

「捜索します」

 

それでも。

 

もう。

 

姿はなかった。

 

◇ ◇ ◇

 

「位置は?」

 

公安担当者が聞く。

 

「最後の確認地点まではあります」

 

「その先は?」

 

「分かりません」

 

追跡途絶。

 

現場部隊へ最後の位置を送る。

 

周辺を捜索。

 

封鎖。

 

だが。

 

死柄木には移動系の個性もある。

 

こちらが見失っている時間が長くなるほど。

 

捜索範囲は広がる。

 

「もう一度観測型を増やせないか?」

 

「増やせます」

 

ただし。

 

「同じものを増やしても、同じ問題が出ます」

 

見つければ近づく必要がある。

 

近づけば発見される。

 

発見されれば。

 

死柄木なら破壊できる。

 

一体を壊されたら次。

 

次も壊されたらまた次。

 

数を増やせば多少は延ばせる。

 

でも。

 

追跡専用としては効率が悪い。

 

◇ ◇ ◇

 

私は破壊される直前の映像を戻した。

 

死柄木。

 

接触。

 

崩壊。

 

観測型消失。

 

「普通の攻撃なら問題なかったんですが」

 

翼を壊されても。

 

胴体を壊されても。

 

直せる。

 

そこは想定通り。

 

問題は。

 

全身を一度に消されたこと。

 

「『崩壊』無効を入れればいいんじゃないか?」

 

公安担当者が言う。

 

「解析が終われば、それもできます」

 

直前に回収した死柄木の血液。

 

『崩壊』の個性因子候補。

 

解析は進めている。

 

対策個性も作れる可能性が高い。

 

ただ。

 

それだけでは足りない。

 

「追跡機なら、そもそも発見されない方がいいです」

 

壊されない。

 

それは重要。

 

でも。

 

相手に監視されていると気づかれる時点で。

 

追跡対象の行動が変わる。

 

遮蔽物へ入る。

 

こちらを攻撃する。

 

囮を使う。

 

逃げ方を変える。

 

追跡機としては良くない。

 

「観測型をそのまま使ったのが問題ですね」

 

「戦場では役に立ってただろ」

 

「役割が違いますから」

 

戦場では。

 

高い位置。

 

複数個体。

 

広範囲。

 

映像共有。

 

目立っても問題ない。

 

むしろ。

 

壊されたなら戦場の敵位置が分かる。

 

だが。

 

逃げる一人を長時間追うなら。

 

必要なものが違う。

 

◇ ◇ ◇

 

私は設計メモを開く。

 

必要条件。

 

一つ目。

 

高高度。

 

地上から簡単に見つからない位置。

 

二つ目。

 

遠距離観測。

 

対象へ近づかなくても詳細を見られること。

 

三つ目。

 

隠密。

 

視覚だけではない。

 

音。

 

熱。

 

通信。

 

可能な限り存在を悟られにくくする。

 

四つ目。

 

長時間活動。

 

数時間で終わる追跡とは限らない。

 

五つ目。

 

複数。

 

一体だけでは駄目。

 

「一体壊されたら終わる構造も良くないですね」

 

「また何百体も作るのか?」

 

「そこまではいりません」

 

複数の追跡型を。

 

対象へ距離を取って配置する。

 

一体が失われても。

 

別の一体が引き継ぐ。

 

さらに。

 

「補充もできるようにします」

 

ワープ。

 

座標さえ分かっていれば。

 

追跡中の個体の近くへ新しい個体を送れる。

 

一体を何時間も無理に使う必要はない。

 

交代。

 

補充。

 

冗長化。

 

「なるほど」

 

公安担当者が画面を見る。

 

最後に死柄木が消えた場所。

 

そこにはもう誰も映っていない。

 

◇ ◇ ◇

 

「悔しくないのか?」

 

突然。

 

公安担当者が言った。

 

「何がですか?」

 

「あと少しだったんだぞ。見つけてた。包囲もできそうだった。それを目の前で潰された」

 

「そうですね」

 

失敗ではある。

 

追跡対象を見つけた。

 

追った。

 

個性兵を破壊された。

 

見失った。

 

結果だけなら分かりやすい。

 

「次に同じ方法を使わなければいいだけです」

 

失った観測型一体は作り直せる。

 

死者も出ていない。

 

得た情報もある。

 

普通の観測型では。

 

死柄木のような相手を長時間追跡するには不足。

 

なら。

 

「専用品が必要ですね」

 

それで終わる。

 

◇ ◇ ◇

 

追跡型の設計項目を保存する。

 

高高度。

 

長時間。

 

隠密。

 

遠距離。

 

複数観測。

 

自動引き継ぎ。

 

リアルタイム共有。

 

ワープ補充。

 

さらに。

 

『崩壊』対策。

 

こちらは血液試料の解析結果次第。

 

全部を一度に完成させる必要はない。

 

次に使うまでに作ればいい。

 

「通常観測型は戦場処理へ戻します」

 

「死柄木はもう追わないのか?」

 

「今見えていませんから」

 

闇雲に飛ばしても。

 

見つかる保証はない。

 

見つけたとしても。

 

同じ構造ならまた同じ問題が起きる。

 

「地上側の捜索は警察とヒーローへ任せます」

 

「分かった」

 

公安担当者が頷く。

 

◇ ◇ ◇

 

戦場側の画面へ戻る。

 

救助は続いている。

 

ただ。

 

最初に比べればかなり落ち着いた。

 

重傷者の治療。

 

倒壊建物の探索。

 

火災。

 

瓦礫。

 

捕縛者の移送。

 

死者の確認。

 

一つずつ。

 

広域『崩壊』があった割には。

 

生存者は多い。

 

医療型のおかげで。

 

助かった後に重い後遺症を残す人間もかなり減る。

 

ギガントマキアも捕まった。

 

殻木も。

 

Mr.コンプレスも。

 

リ・デストロ。

 

外典。

 

トランペット。

 

その他多数。

 

戦力だけを見れば。

 

ヒーロー側の成果は大きい。

 

それでも。

 

最大標的の死柄木は逃げた。

 

◇ ◇ ◇

 

その日のうちに。

 

既に外では戦況が報じられ始めていた。

 

指揮所の端にあるモニター。

 

ニュース。

 

速報。

 

記者会見前の情報。

 

現場映像。

 

遠くから撮られたオールマイトの姿も流れている。

 

復帰したオールマイト。

 

エンデヴァー。

 

多数のプロヒーロー。

 

警察。

 

そして公開されている範囲では詳細不明の支援戦力。

 

それだけの戦力が集まった。

 

だからこそ。

 

結果だけを見る人間の反応も早かった。

 

『死柄木弔、逃走』

 

画面の文字。

 

その下。

 

解説者。

 

記者。

 

SNS上の反応。

 

公安担当者が一つを見る。

 

「……始まったな」

 

私はそちらを見る。

 

『オールマイトまでいたのに、なぜ逃した』

 

似た内容が並んでいる。

 

『あれだけの戦力を投入して取り逃がしたのか』

 

『次にまた同じ被害が出たらどうする』

 

『本当に作戦成功と言えるのか』

 

戦場全体の結果を見れば。

 

成功した部分は多い。

 

被害も抑えている。

 

多数を捕縛。

 

大量の負傷者も治療できる。

 

ただ。

 

一般の人が細かな戦況を全部知っているわけではない。

 

広域『崩壊』を起こした死柄木が逃げた。

 

そこは分かりやすい。

 

「気になるか?」

 

公安担当者が聞く。

 

「何がですか?」

 

「批判」

 

「特には」

 

私個人が作戦責任者として公表されているわけでもない。

 

仮にされていたとしても。

 

追跡に失敗した事実が変わるわけではない。

 

必要なのは。

 

次に失敗しないこと。

 

「普通の観測型を追跡に使ったのは、性能不足でした」

 

それが今回の問題。

 

なら。

 

次は。

 

追跡するために作る。

 

◇ ◇ ◇

 

私は工廠型へ新しい設計枠を作った。

 

まだ製造はしない。

 

まず。

 

条件を整理する。

 

戦場全体を見る個体ではなく。

 

一人を。

 

遠くから。

 

気づかれず。

 

長時間。

 

逃がさず追うための個体。

 

今回壊された観測型の記録も。

 

全部使う。

 

失敗した方法は。

 

使えないという意味ではない。

 

何を変えるべきか分かったということだ。

 

画面では。

 

まだ死柄木逃走の速報が続いていた。

 

私はそれを横へ小さくする。

 

代わりに。

 

新しい設計画面を開いた。

 

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