ーーside 材木座義輝ーー
材木座は戸塚と同じ様にテニス壁打ち組の仲間。
虐げられし弱者は傷を舐め合うように仲良くなるのだ。
自称ラノベ作家。
ラノベ読みとして、未来の作家様には是非ともラノベ界を盛り上げて貰いたい物だが、材木座の書いた作品はラノベとはまだまだ呼べないレベルだった。
とはいえ努力は感じる。
俺はラノベが好きだが、ラノベを書こうとは思わないし、たぶん無理だろう。材木座のように情熱があるやつは羨ましい。
もう少しまともな作品を書けるようになったら、雪ノ下にも見してやっていい。雪ノ下も今では立派なラノベ読みになっている。
ーーside 葉山隼人ーー
戸塚のテニス特訓の数日後。
葉山が奉仕部に来た。
どうやら俺のクラスでチェーンメールが流行っているらしく、どうにかして欲しいということだ。
メールの内容は葉山グループ3人の誹謗中傷。それだけならほっとけばいい話なんだが、話を進めるとどうやら犯人はその3人の誰かのようだ。
葉山グループ男子4人。職場見学3人1組でハブられる1人を見つけるデスゲームが始まったのだ。安い絆である。
奉仕部としての結論は、グループの長である葉山が責任を負ってハブられる1人になり、グループの絆は葉山自身で再構築するということになった。
班決め当日。
葉山は俺と組む物だと思っていたらしいが、俺は戸塚と材木座と組むので拒否。
結果、葉山がクラスで1人余った。
最終的には葉山が旧葉山グループに特例として4人目として入り、新葉山グループとして職場見学に行く事になった。
とんだ茶番である。
ーーside 川崎沙希ーー
休日。
家で雪ノ下とダラダラしていると、小町から相談を受けた。
小町の友達の姉が俺のクラスの人間で、そいつが夜の街でバイトしてるんだとか。散財するわけでもなく、バイトを辞めるように弟が話すが聞く耳持たないらしい。
奉仕部は土日祝日休みのホワイト企業だが、妹様の頼みならば仕方ない。姉は家にいるということなので、その日のうちに川崎の家に突撃することにした。
突然の訪問者にツンツンした態度の川崎(姉)だったが、夜中に無断バイトというバレたら退学にされてもおかしくない状況を諭すと、観念して事情を話し始めた。塾代の為ということらしい。
良いタイミングでパチンコの爆死報告をしてきた平塚先生を呼び出し事情を説明すると、成績次第では紹介等で塾費用を一部免除ないし全額免除する制度があるから相談しろとのこと。総武高校は家計に優しい高校なのだ。
川崎は平塚先生の事を尊敬の眼差しで見ていた。
パチンコの事は平塚先生の名誉の為に黙っておいてやろう。
ーーside 雪ノ下陽乃ーー
どうやら去年俺が助けた犬は由比ヶ浜の犬らしく、由比ヶ浜が言っていた恩人は俺のことだったらしい。
事故のおかげで雪ノ下と出会えたようなものなので、由比ヶ浜には気にしないように伝えた。運命とは不思議なものだ。雪ノ下も出会った頃は無愛想だったし、違う形で出会っていたらこうはならなかっただろうしな。
今日は久々に1人で買い物に来た。
雪ノ下には見せられないちょっとエッチなラノベを買ったり、禁止されているマッ缶を買ったり、やりたい放題だ。
ぽん。と、肩を叩かれたので振り向く。
「君、雪乃ちゃんの彼氏の比企谷くんだよね?初めまして♪雪乃ちゃんの姉の陽乃です♪よろしくね?」
「…………」
「え?なんで無視??雪乃ちゃんから私のこと聞いてない?言ってないことはないと思うんだけどなぁ〜雪乃ちゃんって私のこと好きだし。」
急に話しかけてきた不審者を頭から足先まで見る。
「おっ?私の事を見てるな〜?良いよ良いよ、好きなだけ見なさい。」
確かに顔は似てる。面影はある。
しかし胸が違う。デカすぎる。雪ノ下の親族ではないな。
つまり、雪ノ下の姉を騙る不審者だ。
即断即決。俺はダッシュで逃げた。
不審者は追いかけてくるが、千葉は俺のホームだ。
階段や曲がり角を駆使して不審者を撒いた。
その日の夜。雪ノ下に姉を騙る不審者の存在を伝えると、本当に姉だったらしい。しかし、雪ノ下は気にする必要が無いと言っていた。雪ノ下がそういうなら気にしないでおこう。どうせ会うとしてもまだまだ先の話だろうし。