ネフェルピトー! 異世界で王をお救いなさい!   作:SUAPF→NFLPT

3 / 25
ピトー! 有象無象などより王を優先しなさいピトー!

 

食事を終えたボクは、逃げ去った男の後をつけ街を目指していたのだが…

一筋縄ではいかなかった。

 

彼はちょくちょく身を隠しては、待ち伏せの様な行動をとった。

ボクが後を付けてくるのを予想している。

或いは気付いているか。

 

まあボクは常時、円で周りを警戒する事が出来るから、待ち伏せなんて無意味だけど。

 

しかし力量差を目の当たりにしてなお、こういった行動を取れるのは素直に感心したが、同時に

 

(フツーすぐに報告へ帰ったりするんじゃないニャ?)

 

と、僅かな苛立ちを覚えたものだ。

 

特に半日近くもその場を動かなくなった時は参った。

 

簡易テントで休んでいるみたいだ。

人間には休息が必要みたいだが、ボクには必要がない。

 

それで余計に苛立つ。

 

(もう自力で探索した方がいいね…)

 

痺れを切らしたボクは、男を追うのを止めて自力探索へと切り替えた。

 

 

 

 

実は、ピトーの気まぐれは、男と彼女自身を救っていた。

男は尾行に気付いていて、時間稼ぎと誘引を同時に行っていたのだ。

 

このまま続けていたら、無駄な時間を食った挙げ句、兵士の集団との相対もあり得た。

 

つまりピトーは、厄介事を回避した形となったのである。

 

 

 

 

 

 

ーーボクの円の範囲は、不定形だけど半径2キロメートルにも及ぶ。

それ程の範囲を精密なレーダーがカバーしている。

 

だけど、そんな破格な性能も、広大な森からすればごく僅かな範囲でしかない。

 

たまに魔獣を感知したりするが、言語が通じない存在ばかりで成果なし。

 

この森の中だと人間、或いは獣人を見付け、尋問するのは中々に難しいミッションだ。

 

そう思っていると、ようやく不毛な旅が終わりを告げた。

 

(よし、森が切れて、道がある…)

 

森が途切れ、整備された道がある。

 

これを辿れば、少なくとも道を整備する様な知性を持つ、生き物の居る場所に辿り着けるかも。

 

嬉しいけど、課題も頭をもたげている。

 

もし、集落なりを見付けたとしてだ。

先程の人間の話から、ボクの様な獣人扱いは、歓迎されていないみたいだし。

 

のこのこ出て行けばトラブルになるんじゃないのかな。

 

(じゃあいっそ現地人を捕まえて、ボクの念人形で操って探索させるとか…うーん、でもにゃあ…)

 

まだこの大陸についてはまるで知らないし、興味もある。

まずは自分の目で見て、触り感じたいと思うのだ。

 

それに、さっきやり合った人間の力量から判断するに、簡単にやられる事も無いだろう。

 

うん、素直に進んで行こう。

 

 

 

 

 

 

ーーピトーより数キロ先、街道関所

 

城壁の様な関所の手狭な執務室…とも言えぬ場所で、兵士らはいつもの様に愚痴を零していた。

 

「ったく、ここんとこ腹立つくれぇ平和だなァ。関所勤務なんざ暇過ぎて俺にゃあ糞仕事もいいトコだ」

 

「全くその通りさ。評価もされなけりゃ給料も安いもの」

 

「しかもここってヒラパラ大峡森も近くて、危ねえじゃん? 俺達の腕がいいから何とかなってはいるけど…ねぇ?」

 

傍らには、酒筒も転がっている。

 

彼らが言う様に、魔獣襲撃もよくある最前の関所であるのは事実だ。

それでもここ数日は実に平和で、暇過ぎて飲まなくてはやってられないのもあった。

 

その日も「今日も異常無しだ馬鹿野郎」で終わる予定だった。

 

だがそこに、久し振りの事件が飛び込んだ。

 

「ん? んー…お、おいおい、アレ見ろよ! 獣人野郎じゃねーのアレ!」

 

と、1人が森側の道に目をやった時、見たままを言った。

 

「獣人? この時世に迷い獣人なんて…あらホント、珍しいわね」

 

「へぇ、いいねいいねぇ、すっげぇ可愛い子ちゃんじゃん!」

 

「は? お前、獣人に興奮するとか変わった趣味してんなァ…まあガワは人間っぽくて美人だとは思うけどよォ?」

 

「いやいやあの手の猫獣人は、人と大して変わらないって言うしさ、ひっ捕まえて連れて帰っちゃダメ?」

 

「ダメよ。馬鹿言ってないで仕事をしましょ」

 

「そーそー、出てくるやつぁ見つけ次第駆除しろって、上からのお達しだろーが」

 

久々の仕事に気合いの入る彼らの前に、悠々と姿を現したのは…ネフェルピトーだった。

 

見上げる程の、城門が如き関所の壁。

閉ざされた扉は分厚く、重量は五トンにもなる。

 

(まあ、ボクの前には意味ない代物だけれど)

 

と思うピトーの前に、3人の兵士が躍り出た。

 

「止まりな! 分かるか、動くな野良獣人さんよォ!」

 

「ああキミ、ちょっと聞くんだけど、この先に街はある?」

 

余裕たっぷりに、呑気な質問で返すピトー。

彼女はずっと前から、この兵士らの存在を確認していた。

 

「余裕綽々、気に入らないねぇ…従う意志無しでいいかしら」

 

「だな。やっちまうかァ」

 

「オッケー! 燃えてしまいなさい」

 

質問の返答代わりに放たれたのは、拳大の火…火炎球だった。

 

(これは…念? の火の玉かにゃ?)

 

その、唐突に現れた火の玉は、ピトーの興味を強くひいた。

 

何が燃えているのか?

何故正確に、こちらを目掛けて飛んできているのか?

威力は?

熱さは?

 

(見たことの無い力…試してみるか)

 

だから、余裕でかわせた一発を、敢えて掌に受けてみた。

もちろん、念によるガードを施していたつもりだった。

 

が、受けたダメージは、看過できるものではなかった。

 

「ッ!?」

 

火の玉を受けた場所は、表皮だけとはいえ完全に焦げ付いていた。

更に、思わず仰け反る程の衝撃もあった。

何よりも、

 

(念のガードをすり抜けた?)

 

火の玉が、直撃していたこと。

完全に無防備な所に打ち込まれたかのようだった。

 

(ふうん…じゃあコレって、念じゃないみたいだニャ)

 

何とも調べ甲斐のある現象。

ピトーの目が、細く、鋭く獲物を睨め付けた。

 

「獣人野郎を休ませるンじゃねェぞ!」

 

「分かってるよ。イチイチ命令すんな」

 

直後に、続けざま放たれた火球。火球。火球。

それをも彼女は、じっくりと観察した。

 

(何もないところから発生している訳じゃない。オーラ擬きが、いきなり火の玉に変化している…一般的な燃焼現象じゃあない、しかもあの火の玉、ある程度の操作も出来るみたいだねぇ)

 

観察をしつつ、引き付け回避を繰り返している内にも、ある程度の特性は理解した。

 

「すばしっこい奴が! ならコイツでどうよォ!!」

 

1人が、更に大きなオーラを纏う。

それは火の玉でなく、巨大な火炎の輪へと変化した。

 

(形も結構自由自在なのかニャ? 中々面白かったけれど!)

 

そんな必殺の技も、本気を出したピトーに触れる事は出来なかったし、その姿は彼らの目にも写る事が無かった。

 

(遅過ぎる…)

 

「うっ!?」

「げっ!?」

 

2人が同時に倒れた。

気絶させられたのだ。

 

そしてピトーは最後の1人の前に立っている。

 

「聞こえなかったみたいだから、もう一度だけ言うけど」

 

「あ、え、は……は?」

 

「この先に街はあるの?」

 

「この獣人野ろーー」

 

余計な口をきこうとした、男の左腕は砕けた。

ガードをする暇さえなく…いつ殴られたのかさえ、彼には分からなかった。

 

「次は右手かニャ? この先に街なんかはある?」

 

「ひ、あ、ありまァァす!!」

 

結局、男は質問に答えた後、気絶させられた。

 

 

 

 

 

【関所兵士役1・・・レオル(ハギャ)】

【関所兵士役2・・・ザザン】

【関所兵士役3・・・ヂートゥ】

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。