ネフェルピトー! 異世界で王をお救いなさい!   作:SUAPF

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ピトー! 有象無象などより王を優先しなさいピトー!

 

あれから、食事を終えたボクは逃げ去った男の後をつけ、人間の街に侵入しようかとも思ってたんだけど…

一筋縄ではいかなかった。

 

男はちょくちょく身を隠し、こちらの出方を伺い、待ち伏せの様な行動をとった。

どうやらボクが後を付けてくるのを予測している。

 

まあ、ボクは常時、円で周りを警戒する事が出来るから、待ち伏せなんてしてても無意味だけど。

 

しかし圧倒的な力量差を目の当たりにしてなお、こういった行動を取れるのは素直に感心するとともに、

 

(フツーはすぐ上の者に報告に帰ったりするんじゃないのかにゃ)

 

と、僅かな苛立ちを覚えたものだ。

特に半日近くもその場を動かなくなった時は痺れた。

 

簡易テントを張って休んでいる様にしか見えない。

とはいえ男、人間には休息が必要だったが、ピトーには必要がないのも余計に彼女の苛立ちを増大させた。

 

(もう自力で探索した方がいいかにゃ〜…)

 

元来の気紛れが災いしてか、根比べでは男の側に分があった。

 

だから数分後に痺れを切らしたピトーは、男を追うのを止め、彼が逃走する方向とは逆の側へと跳躍していった。

 

ここでのピトーの判断はおおむね正しかった。

 

実は男が向かっていたのは、仲間の居る兵士駐屯拠点。

その目的は、異常獣人の誘引と時間稼ぎである。

 

ピトーの予想通り、男は尾行に気付いており、恐怖と戦いながら自身の役目を忠実に遂行していた。

 

駐屯拠点の仲間にはもう、魔術による連絡が行っている。

時間も十分稼いでいた為、臨戦態勢は整えられていた。

 

このまま尾行を続けていては、兵士の集団と相対する未来があったのだ。

結果としてピトーは厄介事を回避した形となったのである。

 

 

 

 

ーーピトーの円の範囲は、不定形ながら最大で半径2キロメートルにも及ぶ。

それ程の範囲を精密なレーダーがカバーしているのだ。

 

コレは極めて破格の性能を誇っている。

だが、広大な森からすればごく僅かな範囲でしかないのも事実だ。

 

闇雲に移動していれば、たまに魔獣と思しきものを感知するが、言語を解さない存在ばかり。

 

人間、或いは獣人を見付け、尋問する…中々に難しいミッションだと思われたが…

 

(ん? 森が切れて、道がある)

 

しばらく移動したピトーの前に、整備された道が現れた。

これを辿れば、少なくとも道を作る様な、知性を持った生き物の居る場所に辿り着ける。

 

喜びと同時に、様々な課題が頭をもたげた。

 

先程の人間の話では、ボクの様な獣人扱いの存在は、歓迎されていないみたいだし。

のこのこ出て行けばトラブルになるんじゃないかな。

 

(じゃあいっそ現地人をボクの能力、念人形で操って街を探索させる…うーん、それも面倒くさいにゃあ…)

 

そもそも、さっきやり合った人間の力量から判断するに、簡単にやられる事も無いだろう。

 

そう考えた彼女は、素直に道を進んで行った。

 

純粋にこの世界には興味があるのも事実。

まずは自分の目で見て、触り、感じたいと思った。

 

 

 

 

 

ーーピトーより数キロ先、街道関所

 

城壁の様な関所の手狭な執務室…とも言えぬ場所で、彼らはいつもの様に愚痴を零していた。

 

「ったく、ここんとこ腹立つくれぇ平和だなァ。関所勤務なんざ暇過ぎて俺にゃあ糞仕事もいいトコだ」

 

「全くその通りさ。評価もされなけりゃ給料も安いもの」

 

「だけどヒラパラ大峡森も近くて、危ねえじゃん? 俺達の腕がいいから何とかなってはいるけど…ねぇ?」

 

傍らには、酒筒も転がっている。

しかし彼らの認識は、的外れとは言い難い。

 

確かに彼らは比較的危険な、魔獣襲撃もよくある最前の関所に配置されている。

腕が良い、というのも乱暴極まりないという点に目を瞑れば事実だ。

 

そしてその割に給料、手当ては安い。

これは、3人は正規兵では勝手が悪く…いわゆる性格に難有りの為、左遷同然でここにいるのが起因している。

 

 

その日も「今日も異常無しだ馬鹿野郎」で終わる予定であった。

だがそこに、久し振りの事件が飛び込んだ。

 

「ん? んー…お、おいおい、アレ見ろよ! 獣人野郎じゃねーのアレ!」

 

と、1人が森側の道に目をやった時、見たままを言った。

 

「獣人なんてこの時世に…あらホント、珍しいわね」

 

「お、いいねいいねぇ、すっげぇ可愛い子ちゃんじゃん!」

 

「は? お前、獣人に興奮するとか変わった趣味してんなァ…まあ美人だとは思うけどよォ?」

 

「いやいや人間と大して変わらないって話を聞くしさ、ひっ捕まえて連れて帰っちゃダメ?」

 

「ダメでしょ。馬鹿を言ってないで仕事よ仕事」

 

「そーそー、出てくるやつぁ見つけ次第駆除しろって、上からのお達しだろーが」

 

久々の仕事に気合いの入る、不幸な彼らの前に悠々と姿を現したのは…ネフェルピトーだった。

 

見上げる程の、城門が如き関所の壁。

閉ざされた扉はかなり分厚そうだ。

まあ、ボクの前には意味ない代物だけれど…と思うピトーの前に、3人の兵士が躍り出た。

 

「止まりな、野良獣人さんよォ!」

 

「ああキミちょっと聞くんだけど、この先に街はある?」

 

余裕たっぷりに、呑気な質問で返すピトー。

彼女は遥か前から、この兵士らの存在を確認していた。

 

「余裕綽々、気に入らないねぇ…燃えてしまいなさい」

 

質問の返答代わりに放たれたのは、拳大の火…火炎球だった。

 

(これは…念? 単純な火の玉だとしたら、何が燃えている?)

 

その、唐突に現れた火の玉は、ピトーの興味を強くひいた。

 

何が燃えているのか?

何故正確に、こちらを目掛けて飛んできているのか?

威力は?

熱さは?

 

故に、余裕でかわせたのだが、敢えて一発を掌に受けてみた。

もちろん掌には、念によるガードを施していたつもりだった。

 

だが、受けたダメージは、看過できるものではなかった。

 

「ッ!?」

 

火の玉を受けた場所は、表皮だけとはいえ完全に焦げ付いていた。

更に、思わず仰け反る程の衝撃もあった。

何よりも、

 

(念のガードをすり抜けた?)

 

火の玉が、直撃していたこと。

完全に無防備な所に打ち込まれたかのようだった。

 

(ふうん…じゃあコレって、念じゃないみたいだにゃ)

 

新たな知識。

あとは更なる理解だ。

何とも調べ甲斐のある現象じゃないか。

 

「獣人野郎を休ませるンじゃねェぞ!」

 

「分かってるよ。イチイチ命令すんな」

 

ピトーの目が、細く、鋭く獲物を睨め付けた。

 

直後に、続けざま放たれた火球。火球。火球。

それをも彼女は、じっくりと観察した。

 

(何もないところから発生している訳じゃない。オーラ擬きが、いきなり火の玉に変化している…一般的な燃焼現象じゃあない、しかもあの火の玉、ある程度の操作も出来るみたいだねぇ)

 

観察をしつつ、引き付け回避を繰り返している内にも、ある程度の特性は理解した。

 

「すばしっこい奴が! ならコイツでどうよォ!!」

 

1人が、更に大きなオーラを纏う。

それは火の玉でなく、巨大な火炎の輪へと変化した。

 

(形も結構自由自在なのかにゃ? 中々面白かったけれど!)

 

そんな必殺の技も、本気を出したピトーに触れる事は出来なかったし、その姿は彼らの目にも写る事が無かった。

 

「うっ!?」

「げっ!?」

 

2人が同時に倒れた。

そしてピトーは最後の1人の前に立っている。

 

「聞こえなかったみたいだから、もう一度だけ言うけど」

 

「あ、え、は……は?」

 

「この先に街はあるの?」

 

「この獣人野ろーー」

 

余計な口をきこうとした、男の左腕は砕けた。

ガードをする暇さえなく…いつ殴られたのかさえ、彼には分からなかった。

 

「次は右手かにゃ? この先に街なんかはある?」

 

「ひ、あ、ありまァァす!!」

 

結局、男は質問に答えた後、気絶させられた。

 

 

 

 

 

【関所兵士役1・・・レオル(ハギャ)】

【関所兵士役2・・・ザザン】

【関所兵士役3・・・ヂートゥ】

 

 

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