学園祭事件とその後で物語りは終わります。
あの悪魔襲撃事件のその後を語ろう。俺達は3日後、ネカネ姉さんと共に救助された。その
3日間のことはあまり語りたくない。なので話を次に移そう。救助された俺達は
ウェールズの山奥にある魔法使い達の街に移り住むことになった。それからの5年間は
魔法学校で勉強して過ごした。
村の人達のことは、聞いても教えてくれなかった。皆「大丈夫、心配ないよ」と言うだけで、
子供の俺達には教えてくれなかった。俺は子供である自分の身を呪った。
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魔法学校での勉強は基本的にスムーズに過ごせた。そりゃあ元日本人である俺にとって、英語を学ぶだけで頭の中に混乱が起きたが、それ以外は転生者という卑怯な中身を使って勉学に励むことができたのである。教師連中から言わせれば、俺は学校始まって以来の「天才」なんだと。ハハッ天才って、ワロス。精神年齢が30歳を超えている卑怯な転生でそうしているだけなのに。
それはそれとして、俺は実技において力を求めた。やはりもうあんなことは起きて
欲しくなかったからだ。そこでまずネギと真逆の方向性で力を求めようとした。原作の
ネギは基本的に攻撃魔法ばかり覚えるのだ。何も無ければこの世界でもそうだろう。
ならば俺はその逆、転移・移動・防御・回復を学べばいい。何故俺がそれらの魔法を学ぶかというと、まず転移の魔法があれば素早く逃げる、戦闘から離脱することが出来る。
次に移動、どうしても逃げられない戦いなどであれば攻撃を回避することで時間を稼ぐのだ。
そして攻撃を避けられない場合は魔法障壁を使った防御で耐える。更に更に、防御で耐えられなかった傷は治癒魔法で癒やす。これで自分の身の安全は完璧というわけだ。
高位の魔法は教師から教えてもらえないだろうから、自分で禁書庫に行って調べるしかないな。違反行為をするのは気がとがめるが、卒業研修で人一倍危険な状況に陥るのだ。それくらい許してもらおう。テンプレ的だが村人達の石化治療もしたいしな。
次はネギの意識改革か、忙しいな。でもやらなきゃ。
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「だからな? ネギ。あの出来事はお前のせいじゃないよ」
「でもムギ。僕は時々思うんだ。
「そんなこと無いって! あの出来事はお前の考えとは無縁に起きたことなんだ。だからお前が
責任を感じる必要なんてないんだよ!」
俺は自分を責めているネギを元気づけるように言葉を吐く。だがこれを言うのは今だけじゃない。これまでにも似たようなことは何度もあったのだ。その度に俺はネギのせいじゃない、
と言い続けたのだ。
「あの事件については今までも話しただろ? あの村が狙われた理由はやっぱりナギ・
スプリングフィールドだと俺は思う。公式には死んだことになっているあの男を引っ張り出す為にあの事件をおこした。俺達、あの男の子供がいる村を狙ってな。実際あの男は引っ張り
出されたんだ。俺の推論はそこまで的外れじゃないと思うぜ?」
そう、あの事件は村に居た俺達子供やナギを慕って集まった村の人々を狙ったものじゃない。
それらを攻撃することで救助に出てくるあの男が狙いで起きた事件だと思うのだ。
「むー」
ネギは俺がナギを悪く思っているのが気にくわないようだ。むくれた顔をしている。
だが俺は自分の考えを曲げるつもりはない。あの男は程度の低いクソ野郎だ。世の中に
父親と呼ばれる人々は沢山居る。だけどあのクソ野郎のように育児放棄している人は
少ない。大半の父親と呼ばれる人々は毎日働いて、頑張って、育児しているのだ。それに比べて
あの男はどうだ? 今回は助けに来たがそれだけだ。毎日の俺達の生活などは他の人が面倒を見てくれている。他の人達が集まって俺達を養ってくれているのだ。だから俺はあの男を「父親」だ
なんて認めない。俺達を生むだけ生んで他の人に預けたあの男には。俺の言いたいことは簡単だ。生むなら最後まで育てろ、面倒を見ろ。最後まで面倒を見られないなら最初から生むな、生むような「行為」をするな。ただそれだけだ。
その後も、俺はことあるごとにネギは悪くない。ネギのせいじゃない、と言い続けた。
それと自分があの男を父親と認めないことも。あの男は立派な父親なんかじゃない。育児放棄した最低のクソ野郎だ。それから
俺はそうやって繰り返し言葉を重ねることでネギの意識を改革しようとやっきになっていた。
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で、だ。時間は過ぎて魔法学校を卒業することになった。魔法学校の日々については
割愛する。修行の日々なんてそんなに聞きたいもんでもないだろ。重要なのはこれからだ。そして卒業証書が授与された。この卒業証書には卒業後に行く修行の地が書かれている。俺の予想通りなら俺達兄弟揃って日本で教師をやることになるはずだが……?
ま、まさか。別の場所で修行なんてことはないよな? 大丈夫だよな?
「そ、それじゃあネギ、いっせーのせっで修行場所を見るぞ」
「うん。いいけど、どうしたの? ムギ」
いっせーのっせ! ……A TEACHER IN JAPAN. 日本で教師を
やること。おっしゃあ! 俺は卒業証書の下で密かにガッツポーズした。やった。俺は
急いでネギの方を見た。
「日本で――先生をやること」
よっしゃあ! ネギも同じ内容だ。しゃオラァ! やったぜ!
その後は少しだけ騒ぎになった。来賓席に来ていたネカネ姉さんと同じく卒業して
ロンドンで占い師をやるアーニャが校長に抗議したのだ。10歳で先生など何かの間違いではないか? とか、ただでさえネギはチビでボケだとか酷い言われようだった。
しかし卒業証書に書いてあるなら決まったことだ。立派な魔法使いになるために頑張って
修行してきなさいとのありがたーい言葉をもらった。正直言って俺はこの修行に納得していない。もしかしたら普通の生活をする中で、魔法使いだとバレずに実社会に溶け込めるか試す為だという考え方もあるが、それなら生徒で十分だしなぁ。だが決まったことに文句を言っても仕方ない。
魔法使いのふざけた常識を変えたければ、自分が組織のトップにでもなるしかないのだ。それは
それで別の物語になってしまいそうなので勘弁してくれ。
日本で教師をやる以外の修行だと俺の持つ原作知識が役に立たないのだ。それだけなら別に構わないのだが(俺が別の修行場所で黙々と修行すれば良いだけの話だ)、日本で教師をやらないことによって危険に晒される人とかも居るのだ。なので日本で教師をやることはそれらの人を救うということでもあるのだ。救うなんてなんか偉そうだが、それに対応できるのは俺達しかいないのだ。頑張らなくては。俺は原作知識を書き留めたメモ書きを手に、一人燃えるのだった。
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日本で修行することが決まってから、まず俺が始めたのは相手先――麻帆良学園の学園長と
連絡を取ることだった。原作では色々といい加減なことをしてくれやがるこの人に即時連絡を
取らねばならなかったのだ。まず俺が確認したことは住居だ。原作では生徒であり女子中学生
である神楽坂明日菜と近衛このかの二人と同室というふざけたことをしてくれやがるので、事前に「絶対! 俺と! ネギの! 二人が住める部屋を確保して下さい!」とお願いしておいた。電話を貸してくれる魔法学校の校長や相手先の学園長が引くほどの熱意でお願いした。これで生徒と
同室などというわけの分からないことは起きないはずだ。
次に確認したのは赴任期間、最初に訪れる日にちだ。原作では麻帆良に辿り着いた当日に授業をするという非常識なことがあったのだ。それを防ぐ為に連絡を取った。まず最初に先生として授業をする日にちを確認し、次にそれに間に合う赴任期間を取った。授業を行う日にちは来年の2月中旬と決まった。なので赴任期間は余裕をみて1月下旬だ。年明け早々に日本に行くことになった。それまでネギに日本語を(不自然にならない程度に)教えなくては。
さて、やることは山積みだぞ。
魔法学校をスパッと卒業。あんまり原作開始まで長々とやっても仕方ないですからね。そして早速の原作ブレイク。明日菜達と同室になんてなりません。生徒と同室? 何の冗談ですか?
ってなもんです。そして赴任期間の調整。2月中旬に赴任するのでその前に行くことになりました。
魔法学校に通ってる間に接触するはずのカモについてはまた別の機会にでも話します。