BLEACH 『伊豆事変』   作:春囃子風

2 / 3

前回、グリムジョーと遭遇した伊織と耕平。

今回からグリムジョーが常識人ツッコみ枠に変貌していきます。こんなのグリムジョーじゃない!!と思う方はご注意下さい。

では、アルコールを摂取して頭を空っぽにして読んでいただけると幸いです。

次話は明日投稿予定です。

今作の設定作のリンクを後書きに貼っておきますので、良かったらどうぞ。



The New Insanity――『水』の国

 

伊織いおり耕平こうへいはグリムジョーに自身達に起きた出来事を一から順に説明していた。が、崖から落ちた辺りでグリムジョーが声を上げる。

 

「待て」

 

「「?」」

 

「なんでてめぇらのダチはセメント持ってんだ」

 

「「俺たちを埋めた後、野犬に掘り返されたりしないようにするためだが?」」

 

「………なんで自分自身で関節外せんだ」

 

「「縄抜けのためだが?」」

 

「…………ローションってなんだ?」

 

「潤滑油だな」

 

「ああ。滑らかにする」

 

「……………なんでその潤滑油を撒いてんだ!!」

 

「逃走防止だろ」

 

「他に何がある?」

 

「俺に聞くんじゃねぇ!!」

 

グリムジョーは大声を出し、額を押さえながらため息をつく。

 

「はぁ。てか、それは本当にダチか?」

 

「醜くて童貞臭い奴らだが友達だ」

 

「ああ、女に意地汚くてクソ野郎しか居ないが友達だ」

 

「…………ダチか?それ?」

 

「「間違いない」」

 

「……てめぇら、そいつらに殺されかけたんだろ?」

 

「まあな」

 

「なら敵じゃねぇのか?」

 

「何を言っている」

 

「友達だから殺し合うんだろ」

 

「…………その理屈なら俺の周りダチだらけじゃねぇか」

 

グリムジョーは黒崎一護くろさきいちごや今は亡き十刃エスパーダ達を思い浮かべる。そんなグリムジョーに耕平が優しく微笑みながら言葉を発し、伊織がうんうんと頷く。

 

「良かったじゃないか」

 

「友達は大切にしろよ」

 

「てめぇらに言われたくねぇ!!」

 

叫んだグリムジョーは頭をかきながら伊織達に続きを促す。

 

「で、崖から落ちた後は?」

 

「分からん」

 

「気付いたらここにいた」

 

「…………てめぇら、それ死んだんじゃねぇのか?」

 

「「いや、それはない」」

 

「……なんで言い切れんだ」

 

「確認した」

 

「どうやって……」

 

「「殴り合った」」

 

「………………は?」

 

グリムジョーは何度目だろうか。伊織と耕平が言った言葉をまたしても一瞬理解出来なかった。そんなグリムジョーにはお構いなしに伊織と耕平は言い放つ。

 

「痛かったな」

 

「血も出たな」

 

「だから生きている」

 

「間違いない」

 

「…………………死んでても殴られれば痛てぇぞ」

 

「「…………」」

 

グリムジョーの答えに固まる二人。そして顔を見合わせ話し合う。

 

「…………耕平」

 

「…………なんだ、北原きたはら

 

「死んでも殴られれば痛いらしい」

 

「新発見だな」

 

「「……………」」

 

「「俺たち、殴り損じゃね?」」

 

「そこじゃねぇだろ!!」

 

グリムジョーがまた二人にツッコむ。が、そこでふと、違和感を覚えグリムジョーが二人を再度観察する。

 

「……いや、待て」

 

「「?」」

 

「てめぇら魂魄じゃねぇな」

 

「「コンパク?」」

 

「生きた人間のまま虚圏ウェコムンドに来やがったのか?」

 

「「つまり?」」

 

「死んでねぇ」

 

「だそうだ北原」

 

「ああ。俺たちの検証は正しかった」

 

「検証方法は何一つ正しくねぇ!!………で?崖から落ちた時、何か変なもん見なかったか?」

 

「変なもの?」

 

「黒い裂け目とか穴とかだ」

 

「「…………」」

 

「そういえば」

 

「落下先が妙に真っ黒だった気がするな」

 

「それだ。黒腔ガルガンダに落ちたんだろ」

 

「ガルガンダ?」

 

「現世とこの砂漠『虚圏ウェコムンド』を繋ぐ道みてぇなもんだ」

 

「なるほど」

 

「それなら辻褄が合う」

 

「…………」

 

納得する伊織と耕平。しかし、グリムジョーが否定する。

 

「いや合わねぇ」

 

「「?」」

 

「なんでただの人間が生身で黒腔ガルガンダ抜けてんだ?」

 

(普通は霊圧を持たない人間が黒腔ガルガンダに落ちれば消滅する。だが、この馬鹿共は生きて虚圏ウェコムンドにいやがる)

 

そこでグリムジョーはあることを思い出す。そう、最初に二人を見つけた理由。霊圧とは違う謎の気配。

 

「……そういや」

 

「?」

 

「俺がてめぇらを見つけた時に感じた妙な気配は何だ?」

 

「気配?」

 

グリムジョーが鼻を鳴らす。

 

「……まだするな」

 

二人を見る。そして、手にしている三本の瓶が目に入る。

 

「その瓶、寄越せ」

 

「断る」

 

「即答すんな!!」

 

「遭難時の貴重な『水』だぞ」

 

「水?」

 

「仕方ない。一本だけだぞ」

 

グリムジョーが瓶を受け取り、臭いを嗅ぐ。

 

「…………」

 

もう一度嗅ぐ。

 

「…………」

 

二人を見る。

 

「てめぇら、これ飲んだのか?」

 

「「水分補給にな」」

 

「これ酒じゃねぇか!!なんで服は持ってねぇのにこんなもん持ってんだ!?」

 

「「?」」

 

「なんで不思議そうな顔してんだ!!」

 

「日本で『水』が常にあるのは普通だろ?」

 

「ああ。海外だと飲み水を手に入れるのも大変らしいからな」

 

「パラオはそうでも無かったが『水』を手に入れる機会は少なかったな」

 

「そうだったな」

 

「…………」

 

「取り敢えず、グリムジョー。開けてしまったのなら気化する前に飲んだ方が良いだろ」

 

「そうだな。その『水』はとても繊細なんだ」

 

「……俺は飲まねぇぞ」

 

「「食わず嫌いか?子供だな」」

 

「こんな危険物飲めるか!!」

 

「「『水』は飲み物だろ?」」

 

そう言って二人は一本目と同じように半分ずつ飲み干し瓶を空にした。そんな、二人を見ていたグリムジョーがポツリと呟く。

 

「………てめぇらホロウより人間じゃねえ」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。