スグリくんにやさしいギャル   作:三笠みくら

2 / 2
スグリくんにやさしいギャル

 

あのあとも、スズカは楽しそうにおれの話を聞いてくれる。いい子だな……あ、鬼さまのお面が…

 

 

「なにこれ、お面?なんかオシャレだねー」

 

「あ、これは…おれが憧れてる鬼さまっていうポケモンのお面なんだ…」

 

「鬼さま?初めて聞いた。どんなポケモン?」

 

「!!」

 

 

スズカ、鬼さまに興味あるんだ!!鬼さまのかっこよさ、ちゃんと語らねえと……!!

 

 

「鬼さまっていうのは、キタカミに伝わる伝承でな?名前はオーガポンって言うんだけど……とにかく、すっごい強いんだ!昔、ともっこっていう3ひきのポケモンと戦って…負けちゃったんだけど、でもともっこと相打ちになったんだべ。3ひきのポケモンに1ひきで勝つのもかっこいいんだけど、鬼さまはそのあと鬼が山にひとりで暮らしてるんだ。みんなから嫌われてもひとりで生きてるっていうのがおれからしたらすっごくかっこよくて、憧れで……」

 

「……ふーん、ね、スグぴっぴさぁ……」

 

 

あ……しまった。つい熱くなっちゃった。スイリョクタウンでも、みんなにこの話して仲間外れにされたのに…

 

 

「はっ……ご、ごめん、喋りすぎた…」

 

「すごいね!!」

 

「……え?」

 

「だってそうじゃん、それだけ熱く語れるほど好きなものがあるってかっこいいよ!アテシもいわタイプ好きだからジャンル違いだけど分かる、自分の好きを貫けるってなかなか出来ないよ!」

 

「………」

 

 

……わやじゃ。そんなふうに言ってくれる人、初めてだ。スズカはキタカミの人じゃないし、鬼さまへの偏見もないからそんなふうに言ってくれるのかな……

 

 

「よかった、そう言ってくれて……地元だとともっこが正義で鬼さまは悪者だから、みんな分かってくれなくて…」

 

「あはは、悪者だってかっこいいとこあるじゃんねー?いいじゃん、スグぴっぴが好きなら胸張って好きって言えば」

 

「そ、そうだよな!にへへ、なんか嬉しい……」

 

「それに、鬼さまについて語ってる時のスグぴっぴすごい楽しそうだったよ?目もキラキラしてて喋るのも早くなってたし…」

 

「あはは……ごめんな、興奮しちゃって」

 

「いやいや、アテシも化石ポケモンについて語りはじめたらそうなるし。アテシにいわポケモンについて語らせたらマジ時間溶けるから」

 

「そうなんだ……なんか意外」

 

 

それから。おれとスズカは代わりばんこに話を続けた。スズカのメイクの話とか、おしゃれの話とか、難しかったけど分かりやすく話してくれて、すごく楽しかった!

 

 

「あ、もうこんな時間…」

 

「ん、なんか予定あった?」

 

「うん、ねーちゃんからリーグ部に顔出せって言われてて……入るつもりないんだけど」

 

「マジで?アテシリーグ部入るよ!」

 

「え、ほんとに?」

 

「もちもち!アテシそれ目当てでブルベリ来たんだから!」

 

「じゃ、じゃあ……一緒に行く?」

 

「うん!!一緒行こっ!!」

 

 

……スズカはいい子だなぁ。笑顔もすごくかわいいし……って、なに考えてるんだ。スズカとはまだ会ったばかりで……

 

 

リーグ部にて

 

 

「あ、スグ!やっと来た、遅いのよ!」

 

「ごめん、ねーちゃん…」

 

「ねね、この人がスグぴっぴのお姉さん?」

 

「え?」

 

 

スズカがねーちゃんに近づくと、ねーちゃんが硬直した。ま、まずいべ。ねーちゃんはギャルという生き物を敵視してて……

 

 

「えっ……あ、あんた誰、何よ!!スグと知り合い?」

 

「はじめまして!アテシ、スズカって言います!スグぴっぴ……スグリくんの友達でっす!」

 

「「えっ!?」」

 

 

ねーちゃんとおれが、ほぼ同じタイミングで驚いた。ねーちゃんはもちろん、おれもびっくりしてる。え、おれとスズカが、友達?まだ今日会ったばかりなのに……

 

 

「え、何その反応。スグぴっぴアテシのこと友達って思ってなかったの?」

 

「いや、嬉しいけど!その……今日会ったばかりなのに友達って言っていいのかなって…」

 

「なーに言ってんの!時間とかは関係ないって!アテシとスグぴっぴは熱く語り合った仲っしょ?もう友達だって!」

 

「そうなんだ……にへへ、そっか、友達かぁ…」

 

「う、ウソでしょ……スグに友達が…それに、こんなギャルが!?」

 

「そうでーす。アテシたち推しがいる同士仲良くなっちゃいました!ねー?」

 

「う、うん!スズカはわやいい子なんだ。だからねーちゃん、そんな厳しい顔しないで…」

 

「ぐうう……そ、そうなのね…スグと仲良くしてくれてるのね、ありがとう…」

 

「ねーちゃんが素直にお礼言った!?」

 

「あたしをなんだと思ってるのよ!?」

 

「わぎゃーー!!」

 

 

そのあと、おれはキレたねーちゃんに追いかけ回された。日常茶飯事だけど、人前だから若干抑えてた……気がする。

 

 

「じゃあ、あんたたち2人ともリーグ部に入るのね?」

 

「もちです!アテシ、リーグ部目的で入学したんで!」

 

「うん、おれも入る!あんまり強くねえけど、戦うのは好きだから…」

 

「了解、じゃあ入部届持ってきてあげるから待ってなさい」

 

 

ねーちゃんがいなくなって、リーグ部にはおれとスズカのふたりだけ。な、なんか恥ずかしいな……

 

 

「ねー、スグぴっぴ。アテシが友達じゃいや?」

 

「えっ……そ、そんなことない!!さっきはごめん、その……おれ、地元で友達さいなかったから、友達ってあんな簡単になれるものなんだ、って思って……す、スズカが友達って言ってくれて、すごく嬉しい!」

 

「そっか、なら良かった。アテシもスグぴっぴが友達になってくれて嬉しい。」

 

「に、にへへ……」

 

 

こうして、おれのブルーベリー学園初日は終わった。スズカっていう友達ができて、リーグ部にも入って……うん、不安だけど、少し楽しみが増えた…気がする。

 




感想・評価・お気に入り登録お願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

なんかしらんけど原作壊れてたので、ヴィランデクにして王にします。(作者:ジールライ)(原作:僕のヒーローアカデミア)

TS転生してヴィラン『ジョーカー』が、見守っていたら何故か原作が壊れたので、デクを拾って『ヴィランデク』を作ろうと思います。▼ジョーカーの立ち絵が完成しました▼【挿絵表示】▼トガヒミコの立ち絵▼【挿絵表示】▼トゥワイスの立ち絵▼【挿絵表示】▼ロワ・ザ・ワールド▼【挿絵表示】▼R18▼https://syosetu.org/?mode=write_novel_…


総合評価:2469/評価:7.57/連載:9話/更新日時:2026年09月16日(水) 08:02 小説情報

お金貯まったからホロウレイダー辞めるわ(作者:イグアナ)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

将来悠々自適な生活を送るため、節約生活をしながらホロウレイダーとして活動していたイツキは、ついに貯金が目標額へと到達した。▼「お金貯まったからホロウレイダー引退するわ」▼「えっ」▼ホロウレイダーとしてのアカウントごと削除して、これからは表の人間として生きていくことにしたイツキだったが、軽いアルバイトくらいは続けることにして、ヤヌス区の六分街に店舗を構えるレン…


総合評価:16541/評価:8.66/連載:28話/更新日時:2026年09月19日(土) 20:40 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>