「ねえスグリ。スズカちゃんと……付き合ってるの?」
「……へ?」
リーグ部で宿題をこなしていたら、おれはいきなりアカマツにそう声をかけられた。え、おれとスズカが……?
「な、なんでそう思うの?」
「いや……いっつも仲良しだしさ、スグリもスズカちゃんと一緒にいる時すっごい楽しそうだから!」
「うーん、確かにスズカと一緒にいたら楽しいけど…付き合ってはないよ」
「ウソ!リーグ部の間では結構な噂だよ!?」
「ウソ!?そんな噂聞いたことない!!」
「まあスズカちゃんかわいいし強いしで結構モテるからさ。どうしても一緒にいるスグリと付き合ってるっていう噂は流れるよね」
「なんですかー?恋バナですか?」
「た、タロ先輩!」
おれたちの後ろから、タロ先輩が姿を見せた。リーグ部四天王のひとりで、フェアリータイプの使い手だ。ちなみにアカマツはタロ先輩のことが気になってるらしい。それこそリーグ部での噂だ。
「なるほど……スズカさんとスグリくんが付き合ってるっていう噂が流れてる、と。それは確かにそうですね」
「うう、なんか恥ずかしいべ……」
「うふふ、かわいい反応!でもその反応を見るに付き合ってはないんですね、残念…」
「ざ、残念?」
なんか噂になってるみたいだけど……スズカとおれが?ないない……おれみたいな弱いやつ、スズカが好きになってくれるわけないべ。おれはまあ、確かにスズカのことは……
「スグリくんはスズカさんのことどう思ってるんですか?」
「へぶっ!?」
「いやぁ、その顔見たらわかりますよ。スズカさんのこと……」
「い、いやいや!そんなことない、そんなことないです!だって、スズカはおれみたいなの…」
「ブブー!わたしは今スグリくんの話をしています!『スグリくんは』どう思ってるんですか!?」
な、なんだかタロ先輩の圧が強い。前話した時は優しかったのに……
「す、スズカのことは…」
「うんうん」
「か、かわいいし、優しいし、おれのこと褒めてくれるし……あと、おれとのバトルもしてくれるし…」
「それで、それで?」
「す、好き……なのかな?でも、それは友達として好きって意味で…」
「本当にそう言えますか?じゃあスズカさんが他の男の子と付き合っても平気だと?」
「え……」
スズカが……他の男子と付き合う?そしたら当然その男子のことが好きで付き合うわけで、いつもみたいにかわいく笑って、優しく話して、一緒にお菓子とか食べるわけで……
「……それは嫌、です」
「でしょう?それはもう、そういうことなんですよ!」
「うーん……お、おれ部屋に戻って勉強します!!」
その場から逃げるようにして、おれは自分の部屋に戻った。おれは……スズカのこと、女の子として好きなのか?今まで友達がいなかったから、スズカ…初めての友達に執着してるだけじゃないのか?
ダメだ……考えてもわかんね。何か甘いものでも…
「スグぴっぴー?いるー?」
「!! う、うん、いるよ!!」
こ、こんなタイミングでスズカが来るなんて……どうしよう、普通に話せるかな……
「お邪魔しまーす、つっても大した用事じゃないんだけど」
「ごめんな、おれがスマホロトム持ってねえから…」
「ホントにねー。ゼイユっちに愚痴ればいいじゃん」
「ねーちゃんにおれの話通じるかな……」
「まあそれはそれとして!じゃんじゃじゃーん!!」
スズカの指には、カジッチュとかりんごとかがデコされてる。でも、それよりも。スズカの満点の笑顔が、おれの目に入ってきた。なんだかすごくキラキラしてて、かわいくて。
「……かわいい」
「だしょー?スグぴっぴのカジッチュがこないだカミッチュに進化した記念!どう?アテシ絵心あるでしょー?」
「え、うん!すごくかわいい!」
「えっへへー。お菓子持ってきたから一緒に食べよ!」
「うん、おれ飲み物用意するから座ってて!」
サイコソーダを準備しながら、おれはスズカの笑顔を頭の中で反芻してた。いつもの笑顔だけど、なんだかいつもよりキラキラしてて。タロ先輩に色々言われたからか、余計にスズカの笑顔がまぶしい。
……そっか、おれ、スズカのこと好きなんだ。
ピュアな恋愛ものって難しいね
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