「ねえスグぴっぴ?アテシたち付き合ったじゃん?」
「うん、そうだな」
「だから……いわタイプ育てて♡」
アテシがそうかわいくお願いすると、スグぴっぴは気まずそうにゆっくり目を逸らした。こ、こいつ……!!
「なんでぇ!?アテシがあんなにいわタイプについて布教したのに!」
「いや、いわタイプが好きなスズカは素敵だけど……その、おれが実際にいわタイプを使うのは別かなって…」
「ヤダヤダ〜〜!!せっかくだからスグぴっぴにもいわタイプ育ててほしい〜〜!!」
ちなみに今のスグぴっぴの手持ちはカミツオロチ、オオタチ、ニョロボン、メガヤンマ。全体的にほのおに弱いからいわタイプ育てていいと思うの!!
「なんだいお2人さん、ラブラブでやんすねえ」
「あ、カキツバタパイセン」
「カキツバタ先輩、こんにちは」
「あいよこんにちは。そんでどうしたんだい?リーグ部でも話題の熱々カップルがケンカなんて」
「ケンカじゃないです、ただ…」
「聞いてよパイセン!!スグぴっぴがいわタイプ育てるのイヤって言うの!ひどくない!?」
「え〜?男子サイテー」
「先輩も男子だべ……」
カキツバタパイセンは色々アテシたちの話を聞いて、少し考えるとあからさまにポンって手を叩いた。
「なーるほど。つまりスグリはいわタイプの弱さにばっかり目が行くってことだねい?」
「まあ、そうなるかな……?」
「だったら、強くてデカくてかっこいいいわポケモンを教えてやるよ。あとでポーラスクエアに来てくれや」
パイセンはサムズアップをして去っていった。こういう時はカッコよく見えるよパイセン!!
さて、パイセンの言うとおりポーラスクエアに来たわけですが。
「……カキツバタパイセンいないね?」
「んだな、もしかして忘れられてる?」
「そんなことしない……と思うけど」
「おーい、お2人さん。待たせたねい」
カキツバタパイセンがゆるーく声をかけてくる。そんなパイセンの後ろには……ば、バンギラス様だあぁぁ!!ウソウソ、あのいわ使いなら誰もが憧れるバンギラス様!!かくとうタイプが4倍弱点だけどそんなこと微塵も感じさせない逞しさとかっこよさ!!圧倒的わざ範囲と物理耐久による最強っぷり!!まさかこの目で拝めるなんて〜〜♡♡ガラルだといるにはいるけどめちゃ強いからアテシは手持ちに入れられてないのよね。
「わやじゃ!す、すごいかっこいい……」
「だろぃ?こいつはバンギラス、かた〜い防御とたか〜い攻撃が特徴のポケモンだぜぃ」
「すごいすごい!カキツバタパイセンどこでこの子捕まえたの!?」
「キャニオンエリアの洞窟に最近住むようになったんだよねぃ。ドラゴンタイプじゃねーけど優秀だから手持ちに入れようと思って育ててるんだぜ」
「そうなんだ〜、すっごいカッコいい……♡」
「さてここからが本題。スグリ、こいつと戦ってみないかい?」
「え、おれが?」
「おう。実際に戦ってみりゃあ強さもわかるってもんだ」
カキツバタパイセンの計らいで、スグぴっぴとパイセンの勝負が始まった。お互い手持ちは1匹。パイセンはバンギラス、スグぴっぴはカミツオロチ。がんばれパイセン、いわタイプのすごいとこ見せたげて!!
「それじゃあバンギラス、頼むぜぃ」
「けっぱれ、カミツオロチ……え?」
お互いポケモンを繰り出してバトルスタート。バンギラスが出た瞬間、フィールドに砂嵐が吹き荒れた。そうそう、バンギラスはこうでなくっちゃ!
「そう驚くこたぁないぜ、バンギラスの特性は『すなおこし』。バトル場に出た時に砂嵐を発生させる」
「そっか、そういう特性もあるんだ……ちょっと視界さ悪いけど、カミツオロチ、リーフストーム!」
「おっ、範囲攻撃は悪くないねぃ。だが……火力が足りねえな!?」
高威力なリーフストームが命中しても、バンギラスはピンピンしてる。さっすがバンギ様!!
「あれ、あんまり効いてない……!?」
「おっと、授業はちゃんと聞かなきゃダメだぜい。砂嵐の効果は……いわポケモンの特防を上げる!」
「そうか、だから威力があまり出てなかったんだ……」
「もちろんバンギラスの耐久自体高いってのもあるけどな。さあてスグリ、こいつを突破できるかな?」
「うぅ、けっぱれおれ!スズカも見てるんだ…!」
「バンギラス様頑張ってー♡」
「おれの応援してくれないの!?」
「ごめんねスグぴっぴ、アテシ今回ばかりはバンギ様の味方!」
「そ、そんなあ……」
そもそも今回はスグぴっぴにいわタイプの素晴らしさを布教するためのものだし?ここでバンギ様に勝ってもらうのが1番いいんじゃないんですかね?アテシはそう思います。
「いや、ここで勝ってスズカにかっこいいとこ見せる!カミツオロチ、にほんばれ!!」
「ほーう、ちゃんと天候変化技は持ってたか」
「カミツオロチ、みずあめボム!」
「土台から崩せ、じしん!!」
カミツオロチは動きが遅い上たくさんのオロチュが上部に集まってるポケモンだから根元が弱い。グラついちゃってみずあめボムが外れた!
「カミツオロチ、しっかり!」
「キシャ……」
「畳みかけろバンギラス、かみくだく!!」
「カミツオロチ耐えて!」
おっと、ダメだよスグぴっぴ。バンギラス様の攻撃を甘く見ちゃ。最低でも「リフレクター」か「てっぺき」は積まなきゃ……ね!
カミツオロチは耐えるかー。でももうフラフラっしょ?
「わやじゃ!ど、どうしよう……」
「おいおいこんなもんか?スグリ、お前のエースは!」
「!! いや、まだだ!!カミツオロチ……きまぐレーザーいっぱい!!」
カミツオロチが四方八方にレーザーを打ち出す。そのうちひとつがバンギラスに当たって……
「今だ、本気のきまぐレーザー!!」
「!!」
ウソでしょ、気まぐれなオロチュたちがスグぴっぴの言うとおりにした!?たくさんのレーザーがバンギラス様に当たる……でも倒れてない、さすが!!
「へえ、やるねい。信頼でオロチュたちの本気を……
「ほんとは隠しておくつもりだったけど…おれ、負けたくねえから!」
「いいじゃないの、そういう熱いの嫌いじゃないぜ」
なんか……最近スグぴっぴ変わったかも。前は負けても勝負が楽しければいい、みたいな感じだったのに……最近はなんかこう、負けたくないって気持ち?闘志?がギラギラしてる…やだ、かっこいい……
「だがまだバンギラスは立ってるぜ、ロックブラストだ!」
「カミツオロチ、みずあめボムで打ち消して!」
「おいおい、そんなのアリか!」
打ち出されるロックブラストを、オロチュたちそれぞれが出すみずあめボムで相殺していく。すごい、本来カミツオロチは結構扱いがむずいポケモンなのに……スグぴっぴ、完全に使いこなしてる!!
「だったら正面突破しかないなぁ……バンギラス、すてみタックル!!」
「ならおれも正面から打ち破る!カミツオロチ、エナジーボール!!」
バンギラス様の体と、カミツオロチの技がぶつかり合う。その、結果は……
「……カミツオロチ戦闘不能!勝者・カキツバタ!!」
「うう、負けちまった……」
「そんなことないぜい、スグリ。オイラはたいそう驚いた!」
「な、何に?」
「お前の強さにだよ。前はバトルも気持ちも弱かったが……今となっちゃあ立派なトレーナーだ!カミツオロチの本気をいつでも引き出せるようにする…それがどれだけ難しいか、オイラも曲がりなりに知ってるんでね」
「へへ……」
「やっぱりアレかい?愛しの彼女ができてカッコいいとこ見せたくなったのかい?」
「え、いやまあ、ちが…くないけど……」
「スグぴっぴ〜〜!!」
アテシは思わずスグぴっぴに速攻ハグ!!まさかバンギラス様と正面でやり合ってここまで渡り合えるなんて〜〜!!
「す、スズカ……」
「めちゃカッコよかったよスグぴっぴ!カミツオロチも!いつの間にあんなレベルアップしてたの〜〜?」
「にへへ……アカマツとかと一緒に特訓さしてたから…」
「それにしてもだよ!も〜〜アテシの彼氏カッコよすぎ!!」
それからポケモンを回復させて、パイセンとお話タイム。
「それで?スグリ、バンギラスはどうだった?」
「うん、すごく強かったしカッコよかった……」
「うんうん、それで?」
「そ、育ててみたいかな、って……」
「マジ!?本当に!?」
「OK、そういうことならオイラに任せとけい。こいつを持ってけ」
カキツバタパイセンがスグぴっぴに手渡したのはタマゴ。こ、これってもしかしなくっても……!!
「バンギラスの進化前……ヨーギラスのタマゴだぜ。育てるのは大変だぞ?」
「うん、おれけっぱる!スズカも手伝ってくれる……?」
「もちのろん!スグぴっぴがバンギラス使いになるの手伝うから!」
「バンギラス使いはちょっと違うかな……」
こうしてアテシはカキツバタパイセンの協力のもと、スグぴっぴにいわポケモン…バンギラスのタマゴを育てさせることに成功したのでした!まずは第一歩だぜ〜〜!!
カキツバタ
スグリ&スズカのカップルをからかいつつ見守っている。スグリが健康に成長していっているのを喜んでいる。