此度の『デュエル・マスターズ』が始まって以来、初となるキングマスター同士の戦い。その対決は意外にも、クリーチャーワールドを侵略しに来た王国同士によるものだった。
しかも、ジャオウガに力で従えられたはずのギガンディダノスが、反旗を翻すという形で。
「【ドクバリ変怪】召喚!能力で手札を1枚捨てて、2枚引く!【コブシ童子】でプレイヤーに攻撃する時、相手の手札を1枚捨てさせる!」
捨てられたのは『死滅の大地 ヴァイストン』。大型のトリガー獣だ。小春は、シールドがブレイクされた瞬間にそれが出てきたらと思うと、少しヒヤッとした。しかし、『コブシ童子』がブレイクしたシールドは何の反応も示さず、大十郎の手札に収まった。
「ほっほ、良いのか?儂が前のターンに使った呪文は【ダーク・ライフ】。マナだけじゃなく、墓地も利用するデッキじゃぞ。墓地を肥やさせてよいのかのぅ~?」
「おっ、非紳士的行為か?煽りがなってないぜジジイ。アンタのマナゾーンのカード、コストが大きいクリーチャーばっかりじゃねえか。だったら速攻仕掛けるのは定石だろ。将棋と違って、相手が使う駒は同じじゃね~んだよ!」
確かに大十郎のマナゾーンには、『ロボネコ・フシャーン』や『ライマー・エビーフ』のような、大型かつ軽減能力を持つカードが見える。時間をかけてじっくり戦っていれば、戦況は大十郎に傾く一方だろう。
「確かに、ギガンディダノスは生と死を司る。しかし、それはマナと墓地、2つのゾーンにカードが十分に蓄えられている場合だ。お前がとった戦法、あながち間違いではないだろう」
「エラソーにふんぞり返ってんじゃねえ」
キンタックスと戦った時と同様、ジャオウガはカードの姿のまま、小春の後ろにふわふわと浮かんでいた。小春がデッキに入っていないのかと尋ねると、ジャオウガは分身となるカードが別に存在し、召喚されれば本体である自分がバトルゾーンに現れるのだと説明した。ギガンディダノスも同じ仕組みらしく、大十郎の背後ではカードの姿のまま、ふわふわと浮かんでいた。
「言うてくれるわい。【ブラキオ龍樹】をマナに置き、【ライマー・ドルイド】を召喚。山札の上から4枚を表向きにし、1枚をマナ、残りを墓地に。【大樹王 ギガンディダノス】をマナへ、残りを墓地に置くわい」
大十郎が召喚した緑色の魔法使いのようなクリーチャーが現れ、杖を振るうと山札からカードがマナと墓地に振り分けられる。
「4コストにパワー7000!?コスト論をご存知でない!」
「【ドルイド】は手札から出ると破壊される。ターンエンドじゃ」
「なんだそりゃ!テキスト確認…っ!?フシギバース!?」
突然自壊した『ドルイド』に驚きつつも、冷静にテキストを確認すると、そこには信じがたい一文が書かれていた。
フシギバース。場のクリーチャーをマナに送ることで、そのクリーチャーのコスト分だけ自身の召喚コストを軽減し、墓地から召喚できる能力だ。これが不死樹王国の生と死を司る、という謳い文句のカラクリか。
マナに送られた『ブラキオ』と『ギガンディダノス』も確認してみると、どうやらこの2体も同様の能力を持っているようだ。だが、ここで1つ疑問に思う。
(待てよ、墓地から召喚だろ?なんで【ギガンディダノス】をマナに…。ええい、考えても仕方ねえ!)
『カラフル・ダンス』のようなカードがあったとしても、わざわざ『ギガンディダノス』をマナに置く理由が分からない。プレイングミスかもしれないと思ったが、ひとまず自分のプレイを優先することにした。
「【貪の鬼 バクロ法師】を召喚!効果で私のシールドを2枚手札に加える!」
「自ら王将を差し出すようなマネを…。昨今の子どもは、実に学が乏しくていかんのう…」
「よく見よ、大十郎。我らのフシギバースのように。ジャオウガ様らにも特異な力があるのだ」
「【コブシ童子】で攻撃!手札を刈り取るぜ!」
【コブシ童子】が再び拳を振り上げ、大十郎に向かって突撃していく。能力によって、大十郎は手札から『ファッション・ナスオ』を墓地に送った。シールドが破壊された瞬間、『バクロ法師』が雄叫びをあげる。
「…!いかん!」
「【バクロ法師】の鬼タイム!シールドの総数が6枚以下の時、パワーアタッカー+7000と、T・ブレイカーを得る!これでジャストキルだぜ!!」
「それは困ったのう。Sトリガー【じゅくしていないゾンビバナナ】召喚じゃ」
「んげっ」
小春の猛攻に『ギガンディダノス』が怯むが、『コブシ童子』がブレイクしたシールドから現れたクリーチャー、『ゾンビバナナ』が宝石から放つ光線により『バクロ法師』を破壊した。
「登場時、相手クリーチャーを1体破壊じゃ。【バクロ法師】を破壊」
「ちぃ…。だが、【ドクバリ変怪】の攻撃も残ってる!いけぇっ!」
『ドクバリ変怪』が尻尾の針でシールドをブレイクする。砕けたシールドは何の反応も示さず、大十郎の手札に加わった。
「いいぞ小春。今、ヤツの墓地に厄介なフシギバースを持つクリーチャーはいない。次のターンでお前の勝ちだ」
「あっバカ!そんなこと言うとフラグになっちゃうだろ!…まっ、よっぽどのことが無い限り私らの勝ちは揺るがないけどな~っ」
すでに勝利を確信し、余裕たっぷりに高笑いするジャオウガ。それに同調するように、小春も勝ち誇っていた。対する大十郎はうつむいて表情は見えなかったが、肩を震わせている。
「…ふぅ、いかんのう。最近の若者は年長者に対する尊敬の念を忘れとる。ここらで1つ、分からせてやるとするかダノスちん」
「ほうじゃのう、やってしまうか大十郎」
「あ~ん?」
「マナをチャージして【マテン龍樹】を召喚!効果で山札の上から5枚を墓地に!」
ズン、と大地を震わせて現れたのは、巨大な建築物を背負った龍、『マテン龍樹』。
「【ゾンビバナナ】で【ドクバリ変怪】を攻撃!」
再び光線が放たれ、『ドクバリ変怪』は破壊されてしまう。
「一気に墓地を肥やしてきたか…。けど、その程度じゃあ戦況はひっくり返らない…」
「【マテン龍樹】で【コブシ童子】を攻撃!」
「はぁっ!?そいつは召喚酔いしてるだろ!!」
「マッハファイター。場に出たターンのみという制約があるが、召喚酔いを無視し、タップ・アンタップ状態を問わず、クリーチャーに攻撃できる能力だ」
「なるほど…。【勝利のガイアール・カイザー】みたいなもんか…!」
再び見たことも聞いたことも無い能力に戸惑う小春だったが、ジャオウガの説明でなんとなく理解できた。しかし、これで小春の場にいたクリーチャーは全滅した。対して大十郎の場には『ゾンビバナナ』と『マテン龍樹』の2体が残っている。墓地を急いで確認するが、やはり目立ったフシギバース持ちのクリーチャーはおらず、まだ決着はつかなさそうだ。
「墓地にいる【ビバラ龍樹】がちょっと厄介だな…。小型が全滅しちまう。まあしかし、次のターンは大型で…」
「いいや、まだだ」
「ひょ?」
「【マテン龍樹】の効果!バトルに勝った時、儂のマナと墓地を入れ替える!」
「うそぉーーーーっ!!!」
『マテン龍樹』が吠えると、大十郎のマナと墓地が入れ替わった。マナが倍以上の13枚に増える。だが、それ以上に重要なのは…。
「さあぁ、ダノスちん…。場は整えたぞぅ…!!」
「ふしゅるるる…!ようやった、ようやったぞ大十郎…」
「マジかよ…!」
『ギガンディダノス』と『ブラキオ龍樹』らが墓地へ行ってしまった。この2体が揃ってしまったら、小春の勝ち目は薄い。その前に、なんとしても決着をつける必要があった。
「ドロー!…げぇ、やっぱ前のターンに全滅しちまったのがキチぃな…。けどやるしかない…!出番だ!【鬼ヶ鬼 ジャオウガ】召喚!!」
「やむを得ん…!ギガンディダノスよ、己が再び直々に、誰が主か教えてやろう!!」
小春の背後で浮かんでいたジャオウガが炎に包まれると、その姿を消した。
すると突如、バトルゾーンに炎が噴き出し、その中央に怨念のようなものが集まっていく。やがて怨念は人の形を成し、巨大な鬼となる。鬼札王国の王、ジャオウガが降臨した。
「10マナのカードを…5マナで召喚じゃと…?」
「【ジャオウガ】の鬼タイム!シールドの総数が6枚以下の時、召喚コストを5少なくする!」
『ジャオウガ』の体を包む、炎と怨念が混ざり合ったようなオーラが噴き出し、大十郎とギガンディダノスを威圧する。
「【ジャオウガ】はスピードアタッカー!プレイヤーを攻撃!さらに効果!攻撃時に墓地から火か闇の、進化ではないクリーチャーを1体場に出す!頼むぜ【ソッコウ童子】!!」
「【ドクバリ変怪】で捨てたカードか…」
ジャオウガが左足の斧で空間を斬り裂くと、そこから鳥のような鬼のクリーチャー、『ソッコウ童子』が飛び出した。
「【ジャオウガ】でW・ブレイク!!」
「ジャアアァァッ!! 喰らえぇいッ!!」
【ジャオウガ】が右足の金棒を振り回し、シールドを破壊する。
「【ソッコウ童子】にも鬼タイムが備わっている!コイツはスピードアタッカーになるぜ!!このままダイレクト…」
『ソッコウ童子』が赤いオーラでつつまれ、本来以上の力を発揮する。大十郎に向かって突進していくが、破壊されたシールドが眩い光を放った。
「Sトリガー【死滅の大地 ヴァイストン】!こやつはタップしてバトルゾーンに出る。さらに!相手が攻撃する時、可能であれば【ヴァイストン】を攻撃せねばならない!」
「なにっ…!くそ…ターンエンドだ…」
「さぁて、やるぞ…!!」
大十郎がカードを引く手に力を込める。腕に血管が浮かび上がり、筋肉が膨れ上がっていく。腕、肩、胸と、みるみるうちに体格が変わっていった。
「な、なんだぁ…?」
「ギガンディダノスの影響だ。おそらく、奴が操っている人間どもから生命力を奪い、あの決闘者に還元しているのだ」
「それって…!?ジジイ!やめろ!そんなことすれば他の人たちが!!」
「生憎だが小娘、大十郎は百も承知。儂が老衰で弱り切った大十郎に持ち掛けた、『デュエル・マスターズ』に参加する条件…。それは、生命!寿命の延長だ!!」
「寿命の…延長…?誰かの命を奪って、自分の命にすることがか…?」
「おお、おお…!力がみなぎるわい…!小娘よ、時に人間には、死ぬべき人間とそうでない人間の2つに区分されると思わんか?儂の様に、この国の発展のために骨身を削った人間と、こやつらの様に、先人が成した偉業を平然と享受し何も考えずただただ時を浪費する者…。どうじゃ!実に良い考えじゃろう?この儂が、貴様らのような無駄な未来を代わりに使ってやるのだからな!はーっはっはっは!」
「好き放題言いやがるぜ…!」
先ほどまでの大十郎と打って変わって、筋骨隆々な男性の姿となった。大十郎の背後に浮かぶモニターのような画面には、公園で倒れていた生徒たちの姿が映し出されていた。彼らは徐々に痩せ細り、顔色もどんどん青ざめていく。
「さあぁ行くぞ…!フシギバース⑭!【ゾンビバナナ】をマナに送って…5マナで【大樹王 ギガンディダノス】を召喚じゃあぁぁーーっ!!!!」
「ジュラアアァァァーーーっ!!」
『ゾンビバナナ』の足元から巨大な蔓が伸び、その体を呑み込んだ。蔓はみるみる膨れ上がり、まるで何かが内側から胎動しているかのように蠢く。やがて中から、『マテン龍樹』や『ジャオウガ』を遥かに凌駕する巨躯を持つ、大樹の龍王『ギガンディダノス』が姿を現した。
「【ギガンディダノス】の効果!お前の手札は全てマナじゃ!クソガキ!!」
「ぐっ…!」
突如小春の足元から蔓が生え、手札を叩き落とす。普段使っているデッキなら、手札をマナに送られるのはむしろありがたい。しかし、鬼札王国は墓地も利用するため、今回ばかりはまったく嬉しくない。
「まだまだ続くぞ!フシギバース⑬!【マテン龍樹】をマナに送って、7マナで【ブラキオ龍樹】を召喚!!」
今度は『マテン龍樹』を蔓が呑み込み、同じように胎動を繰り返すと、どこか古代の恐竜を彷彿とさせるドラゴンが登場した。
「ブラキオ…どっかで聞いたことある名前かと思えば…やっぱ【ワルド・ブラッキオ】の…!」
「勘が良いな!【ブラキオ龍樹】がいる限り、お前のクリーチャーは登場時効果を使えない!さらに【ヴァイストン】はスレイヤー!【ジャオウガ】を攻撃じゃっ!」
「虫風情が、己を舐めるなよ…!!」
巨大な昆虫のようなクリーチャー、『ヴァイストン』が『ジャオウガ』目掛けて突撃していく。しかし『ジャオウガ』も簡単に攻撃を許さず、足技を使って『ヴァイストン』の攻撃をいなし、距離を保っていた『ジャオウガ』だったが、突如として周囲が暗くなった。
「…!しまった、【ギガンディダノス】の影か…ッ!!」
急いでその場から離れようとした『ジャオウガ』だったが、『ギガンディダノス』の影に気を取られた一瞬のスキを、『ヴァイストン』は見逃さなかった。翅を広げて全力で羽ばたき、背後から『ジャオウガ』に抱き着くように取り押さえた。
「ウオオーーッ」
「グハッ…!えぇい、離れろ!」
「【ギガンディダノス】様!今です!!」
「さらばです、【ジャオウガ】様…」
「しまっ…!おのれ…っ!!グゥアアァァーッ!!」
『ヴァイストン』に拘束された『ジャオウガ』は、そのまま『ギガンディダノス』に踏み潰され、両者は相打ちとなった。しかし小春の場にはまだ『ソッコウ童子』がいる。
「いいのかよ、攻撃誘導能力を持った【ヴァイストン】を破壊して。こっちにはまだ【ソッコウ童子】がいるんだぜ?」
「阿呆、彼奴のテキストを見ろ」
破壊された『ジャオウガ』だったが、再びカードに戻ると小春の背後に浮かんだ。
「はぁ?ブロッカーとか、アイツは持ってな…『自分はこのクリーチャーよりパワーが小さいクリーチャーに攻撃されない』!!?プレイヤーへの攻撃を禁止するのか!!」
「さらにパワーは50000。謝るなら今じゃぞ~、小春ちゃん…じゃったかの?」
「けっ、会話を盗み聞きした揚げ句、人の名前を気安く呼ぶんじゃねえ。こういうの、ハラスメントに該当するんだぜ!【陰陽の鬼 ヨミノ晴明】を召喚して、ターンエンド…!」
「よくぞ私を呼び出した小娘…ナニ!?ジャオウガ様は何処へ!?どういうことだ!私はジャオウガ様のお隣で力を振るえると思い貴様の召喚に応じたのだぞ!」
「ジャオウガ、あいつっていつもこうなの?」
「………あぁ」
現れたのは昔の陰陽師のような姿をした鬼。巻物を広げポーズを決めるや否や、ジャオウガの姿が見えないことに気づき、その不満を小春にぶつけた。
一方小春は精一杯強がってはみるものの、状況は圧倒的不利。あとはSトリガーに賭けるしかないが、それでも状況をひっくり返せるかどうか怪しい。小春の頬を、嫌な汗が伝った。
「さぁて、なんじゃったかな…。辞世の句を詠ませる、とかなんとかほざいておったの。誰が詠むか、今一度考えてみるとするか。7マナで【ドマンモ龍樹】を召喚!効果でマナからクリーチャーを召喚できる!【ヴァイストン】を再び召喚じゃあっ!!」
マンモスのようなドラゴンが登場しいななくと、序盤に『コブシ童子』によって捨てられた『ヴァイストン』が、今度はマナから蘇った。
「【ヨミノ晴明】…。放っておく理由はないのう。【ブラキオ龍樹】でプレイヤーを攻撃じゃ!!」
「さすがにブロックはしねえ!…来てくれ、Sトリガー…!!」
絶望的な盤面を前に、Sトリガーに一縷の望みを託す。巨大な腕翼が小春に襲い掛かり、残った3枚のシールドが攻撃を受け止めた。粉々に砕け散ったシールドだったが、小春の願いも虚しく、何の反応も示すことなく全て手札に加わった。
「こりゃちょっと…マズイか…!!」
「王手じゃの…。【ギガンディダノス】でトドメ!!」
「【ヨミノ晴明】でブロック!」
「貴様ぁ~~~っ!私を呼び出しておいて、ただの壁として扱うとは!!この決闘、負けることは絶対に許さぬ!許さぬぞぉ~~~っ!!ぎゃああああっ…」
『ギガンディダノス』が小春を踏みつぶそうと巨大な前足を持ち上げるが、『ヨミノ晴明』が突撃し爆散する。その衝撃で『ギガンディダノス』の持ち上げていた前足が弾かれた。
本来『ヨミノ晴明』には墓地のカードを山札に戻すことで破壊を耐えることができるが、枚数が足りておらずそのまま墓地へ行く。
「さてこれで…お前の場には【ソッコウ童子】が1体のみ…。そんな実質バニラの小鳥程度では、儂らに勝つことは絶対に不可能。どうじゃ?今降参すれば、小春ちゃんの命だけは助けてやるぞ。もちろん、儂の将棋教室には入ってもらうがのう」
「舐めんなよ、お前の教室っつったら何か?苗床触手プレイのやつだろ?そういうのはフィクションの世界だけにしてもらいたいもんだね。それに、お前の切札のおかげでこっちにはマナと手札があるんだ。決闘は最後までわかんねーっての」
「無駄無駄…。儂の場には攻撃を禁止する【ギガンディダノス】に、相手の出た時能力を封じる【ブラキオ龍樹】。さらに【ギガンディダノス】を除去できても、【ヴァイストン】がおり、破壊したところで次のターンにはフシギバースで復活する。八方ふさがりとはこのことじゃ」
大十郎の言う通り、状況は圧倒的に小春が不利。ここからの逆転は不可能に等しく、大十郎は勝利を確信していた。だが、小春もジャオウガも、まだ諦めていない。
「デュエマの醍醐味は逆転だ!ダイレクトアタックを喰らうその瞬間まで、私は敗北を認めないんだよ!!ドローッ!!!」
カードを引く右腕に力を込める。その際、わずかながら小春が赤と黒の薄いオーラを放っていることに、ジャオウガのみが気づいた。
(小春…。ということは、やはり貴様が…。己の目に狂いはなかった、ということか)
「来たぜ…!ジジイ!さっきは実質バニラとかどうとか、さんざん
小春が呪文を唱えると、『ソッコウ童子』の前に禍々しい瓢箪が現れ、『ソッコウ童子』が中身を飲み干した。
「このターン、【ソッコウ童子】をスレイヤーにする!さらに【鬼瓢箪】の効果で相手クリーチャーとバトルさせる!【ソッコウ童子】と【ブラキオ龍樹】をバトルだ!!」
「なにっ!!」
赤黒いオーラを纏い、狂暴化した『ソッコウ童子』が『ブラキオ龍樹』に突撃していく。ブレスや蔓の攻撃を上手く躱し、『ソッコウ童子』が特攻すると2体とも爆散した。
「ぐうぅ…。じゃが、これでお前はクリーチャーの出た時効果を使えるだけ!【ギガンディダノス】や【ヴァイストン】の回答にはなっとらんぞ!!」
「タコが。だから生命力を他人から吸収しても、毛根だけ生き返らねーんだよ!準備はいいかぁ!?【ジャオウガ】ァ!!!!」
「己を2度も呼び出すとはな!いいだろう!!その傲慢さ、気に入った!!」
「【ジャオウガ】の鬼タイム!シールドの総数が6枚以下の時、召喚コストを5下げる!!」
「無駄じゃ!【ジャオウガ】を今一度呼び出そうとも、攻撃先は【ヴァイストン】のみ!墓地から蘇生できるのも、この盤面に対する回答にはならん!お前の負けじゃ!!」
「い、否…!大十郎!これは先の【
決闘台に『ジャオウガ』のカードを叩きつけると、バトルーンにドス黒い瘴気が蔓延した。先ほど『鬼ヶ鬼 ジャオウガ』が召喚された時とは比べ物にならない量だ。
「こ、これは…!?」
「いくぜぇ!!5マナで【鬼ヶ覇王 ジャオウガ】召喚だあぁぁーーーっ!!!!」
「ジャーッハッハッハッハ!!」
突然炎が吹きあがり、瘴気と混ざり合う。炎と瘴気を真っ二つに切り分け、中から再び邪悪な鬼が君臨した。
「鬼ヶ…
「【ジャオウガ】の効果!登場時、全てのクリーチャーを…」
「ルゥオオオオオオオオッ!!」
『ジャオウガ』が両手に赤と黒のオーラを纏わせ、ゆっくりと持ち上げる。それと同時に、ジャオウガを纏っていた赤と黒のオーラが、より一層苛烈になっていった。
「破壊する!!!」
「ウォアアアアーーーーーーッ!!!!!」
「ぐああぁぁぁ…。だ、大十郎…」
「そ、そんな…【ダノス】ちんが…」
両腕を地面へ叩きつけると、2つのオーラが混ざり合ってできた紫炎が、不死樹王国のクリーチャーを焼き尽くした。唯一『ギガンディダノス』のみが、巨体故か全身を焼かれつつも、未だ原型を保っている。
「これでお前を守る壁も、シールドもすでに無い!!」
「年貢の納め時だな、ニンゲン!!ジャアァァーッ!!」
「だ、だいじゅ…ロう…!」
『ジャオウガ』がトドメを刺すべく、大十郎に向かっていくが、燃え盛る体で身を挺して大十郎を守ろうとする『ギガンディダノス』。しかし真の力を発揮した『ジャオウガ』の前では手も足も出ず、両足の金棒と斧を振るい、『ギガンディダノス』の巨体を文字通り解体していく。
「ご…あ……おの…れ…ジャ…オ………」
「さらばだ、大樹の王よ。ぜぇあああぁっ!!!」
『ジャオウガ』の一振りで『ギガンディダノス』の巨体はバラバラになり、パチパチと音を立てて完全に燃え尽きてしまった。
「ひぃえ…あ、あぁ…!!」
「命乞いもできんか、無理もない。ならば恐怖の中、敗北に打ちひしがれるがよい!!」
「【鬼ヶ覇王 ジャオウガ】はスピードアタッカー!ジジイ!このままテメェにダイレクトアタックだ!!」
「ぎゃああああああああああーーーーーーーっ!!!」
鬼の王と不死の王。デュエル・マスターズ初のキングマスターによる決戦は、鬼の王に軍配が上がった。