人斬り娘の転生泡泡   作:さろんぱす。

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第2話 発を開発する少女

 ――パンッ!! パンッ!! パンッ!! パンッ!!

 

 肉同士がリズミカルにぶつかり合う音が部屋に響く。

 記憶が戻ってから2週間。私は奴隷にされていた工場に居座り、我が世の春を謳歌していた。

 

「アアアアアアア、もう止めてくれぇ~~~!!!」

「アハハハハ、そんなの駄目に決まってるじゃん。ほーら、頑張れ~♪ 頑張れ~♪」

 

 訪問客の一人がベッドの上で泣き叫ぶ。

 数時間前に組への上納金がどうたらで訪れたマフィアの男である。

 彼はイケメンだったからという理由で私に捕まり、それから手足を縛られ好き放題ハメハメされていた。

 

「だ、駄目だ! もう駄目ッ!! 我慢がぁああああ!!!!」

「おっ、イッちゃう? もうイッちゃうの?? アハハハハッハ!!!」

 

 私は()()()()()()()()()()()拘束している男に跨り激しく腰を振る。

 前後左右に、あるいは斜めから無限を描くように。

 もちろんどちらも素っ裸で何も身に着けていない。

 いや男の股間の槍にはビヨンと伸びるアレを付けているが。

 

「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”」

「おっ、震えてきた! もう少し!! もう少し!!」

 

 そうしているとついに限界が迫ってきた。

 よだれを垂らしながらガクガクと振るえ始めた男。

 

 私は手に持ったナイフを握りしめながら、その瞬間を待ち続け――

 

「ア”ア”ア”ア”ア”……、アッ…………」

 

 そして男がイった瞬間に――その首を刎ねた。

 同時にビヨビヨ越しに中へ広がる熱。切断面から血潮が吹き出し、ビクンビクンと魚のように跳ねる男が更に腰を突き上げる。

 

「ンギモチイィイイイイイイイ!!!!」

 

 私は頭の中が真っ白になっていた。

 目の奥がチカチカと激しく点滅し、意識が何度も飛びまくる。

 交わり中に斬る事で性欲と斬欲を同時に満たす。

 これは私が「ニャンニャン中に斬ったらもっと気持ちよくなるなんじゃね?」と思いついて開発した、新しい性交方法である。

 

「首絞めックスならぬ、首刎ねックス……。こいつぁキクぜ!!!」

 

 何となくまた処女のまま死ぬのはヤだなー、

 なんて思いからやってみたが正解だった。初めては痛いだけだった。だが2回目で慣れ、3回目でハマった。そして最後はご覧の有様である。

 

「こんな快楽知らなかったなんて……人生損してる!!!」

 

 私は大きく息を吐き出しながら、気だるい体を動かし死体から離れた。

 興味本位で男の槍からビヨビヨを外してみれば、中から血の混じった白い粘体がドロリと溢れてくる。

 どうやら男は赤玉を出しちゃってたみたいだ。まぁ軽く二桁は逝ってたからなぁ。どんまい!!

 

「次は薬とか使ってみようかな? 首刎ねキメックス……うわっ、更に意識ぶっ飛びそう」

 

 私は次の快楽に心をはせる。

 想像しただけでも股奥がキュンキュンしてくる。

 ああ神様、いるのであれば私を転生させてくれてありがとう!!

 アーメンアーメン!! 私の人生にもっと幸あれ!!!!

 

「そろそろココを出よっかな~。どこも死体で臭いが酷いし。いちおう燃やしてから行こう」

 

 初日に斬ったのが5人。追加で斬ったマフィアが3人。もはやこの工場は死体でいっぱいだ。

 なので念のために燃やしておいた方が良いだろう。元より私は奴隷――いないも同然の存在――だったので、工場ごと燃やせば私を知る人はいなくなるはず。

 

 私はシャワーを浴びお金をリュックに突っ込むと、ガソリンを撒き火を付けてから工場を去った。

 

 

 

 ★★★

 

 

 

「よーし、体はほぼ回復した。自殺するほどボロボロだったのに念ってすごい!」

 

 町外れの煉瓦工場を炎上させてから更に1間後。

 私は安宿の一室で肉体の回復に努めていた。

 必要な栄養を取り精巧を閉じて寝る。それだけで見る見る肉体が再生していった。

 工場に居座ってた時も回復につとめていたが、合わせて3週間でほぼ全回復だ。やはり念はすごい。

 それとも噂通りハンター世界の空気にはプロテインが含まれているのか? 回復が早すぎて逆にびびりそう。

 

「髪も肌も顔も綺麗になった。よかった、一生お化けな見た目だったらどうしようかと思った~」

 

 もはや記憶が戻ったばかりのガリガリお化けは何処にもいない。

 肩口まである白髪はサラサラで艶があり、健康的な肌は水々しく張りがある。

 ガリガリだった体も女性らしくふっくらとしてきている。

 

「しかも前の私より格段に可愛いっていうね。ちょっと複雑かも」

 

 容姿についてもかなり可愛いと思う。眼もぱっちりしてるし造形も良い。

 このまま成長すれば簡単に男を釣り出せるようになるだろう。人斬りも捗りそう。

 

 もちろん念の訓練も並行でやっている。

 精孔を閉じオーラを漏らさないようにする『絶』は回復の為に最優先で覚えた。

 続けて通常以上のオーラを練る『練』もすぐ出来るようになった。

 

 どうやら私には念能力の才能があるらしい。

 もしかして2回死んでるからかな? 前世は親に斬り殺され、今世は自殺(未遂)だ。

 生命の核心を掴んでいても不思議ではない。黒い火花だって飛ばせそう。

 あるいは生まれた時から『纏』を出来ていたのが実質的な修行になってたのか。どれにしろ私としてはラッキー。

 

 そして今日から遂に『発』の開発である。

 

「――練!!」

 

 狭い部屋の中でコップに水を入れ葉っぱを浮かべる。

 手でコップを包むようにして大量のオーラを練り上げる。

 ハンター世界における由緒正しい念の系統判別方法である。

 

「おっ、小さな金属片? っぽいの出てきた」

 

 そのまま少し待つと、コップの中に不純物が出現した。

 私のオーラが具現化系に属している証拠だ。

 

「水見式によると私の系統は『具現化系』。となると前世の剣術を活かす為にも具現化するのは『太刀』一択かな。まぁ個人的には強化系が望みだったんだけど。こればっかりはしょうがないか」

 

 念の系統は6種類に分かれる。

 そのうち最も戦闘に適しているのが強化系だ。

 攻撃力・防御力・回復力を強化して戦う。単純故に悩む必要がなく、まじで戦闘では隙がない。

 

 対して最もピーキーなのが私の具現化系である。

 名前の通りオーラの物質化を得意とする系統だ。

 一見便利そうだが、現物を買って持てばよくね? というオチが常に付いて回る。なかなか難しい系統である。

 

 私はやれやれと首を振って練を止めた。

 格闘技や剣術を修めているのであれば強化系が最高だったのになー。

 余計なことを考えず覚えた技を振るうだけで良いから。

 強化された虎口拳ならヒソカにワンチャンあったんじゃないかなって。

 

「とは言え武器使いにとって『絶対に武器が無くならない』というのはすごい安心感だけど」

 

 この世界にはM字開脚で担がれて刀を没収される盗賊だっているのだ。

 それに例え現物があっても何処にでも持ち込めるわけではないし、戦闘中に無くすことだってありえる。

 そういう意味では何処でも武器を持てる具現化系は便利だ。

 

「まっ、ここで悩んでもしょうがない。どうせ系統は変えれないし? それなら早く具現化できるようにならないとね!!」

 

 私は坐禅を組み瞼を閉じて意識を集中する。

 実は具現化したい太刀はもう決めているのだ。

 イメージするのは一振りの刀。

 夜のような漆黒の刀身にピンク色の桜が咲く大太刀を想像する。

 

「確か名前は――たまのをの絶佳麗斬刀(ぜっかれいざんとう)

 

 それはモンスターハ◯ターというゲームにて愛用していた武器。

 泡狐竜というモンスターの素材で作られ、カッコよさと美しさを併せ持った、あらゆる武器の中でもっとも心引かれた太刀である。

 

「フフフ。まさか人斬り衝動をごまかす為にやってたゲームの武器を使えるなんて。それに好きな武器が作れるなら、やっぱ格好良いのが良い。念は思いの力、心が籠るほど質が上がったはず。つまりお気に入りほど強い」

 

 そしてお気に入りの太刀で人を斬った時、私の心はどれほど高騰するのか。

 想像しただでも涎が溢れそうになってしまう。このままだと下もビショビショになりそう。

 

「フヒヒヒヒ、楽しみだな~」

 

 それからニヤける顔を抑えつつ、私はイメージ修行に没頭した。

 朝も昼も晩も夜も刀のことだけを考える。まるで恋人を待つ乙女のように。

 

「ああ~~、早く貴方に会いたい。舐めて触ってスリスリして。一緒の布団で一晩でも二晩でも語り会いたい……」

 

 そうした日々を過ごしている内に、段々と太刀の夢を見るようになってきた。

 更にしばらくすると、夢の中で太刀を手に取れるようになった。

 夢で見て触りたくって、起きたら忘れないように写生しながら自慰。

 

 一日24時間、起きてる時も寝てる時も。ただそれだけを考え続ける。

 

 そうして夢の中で私の股と刀の柄がニャンニャンし始めた翌日。

 

 ――寝床で目覚めた私の手の中には、桜が咲いた美しい太刀が握られていた。

 

「キタァーーーーーーーー!!!!」

 

 興奮した私は寝ていた毛布を蹴飛ばし飛び出した。

 宿の裏庭に移動して、具現化された太刀を眺める。

 

「うわっ、ながーい!!!」

 

 全長約2mの大太刀である。

 刃長5尺(150cm)、柄長1尺7寸(51cm)。

 ここまで長いともはや野太刀や斬馬刀の類だろう。

 

 厚さも1寸(3cm)、幅も7寸(21cm)と広い。まるで折れる気がしない。

 重量は推定40kg超え。長く、分厚く、ずっしりと重い。まさにモンスターを狩るための武器だ。

 

 そして何よりも――

 

「――美しい。なんて綺麗な大太刀なの。しゅき♥」

 

 私は太刀にホッペをスリスリしペロペロと舌を這わせる。

 なまめかしく輝く刃、黒い刀身にピンク色の桜が舞う姿はまさに夜桜。

 

 グヘヘヘヘヘ、余りにも美しすぎて思わずIQが低下しちゃう。

 

「これを何時でも取り出して人斬れるってマジで? 具現化系って最高じゃん!!」

 

 ゲームの武器を取り出せるってマジ最高。

 残った問題は私がこの太刀を上手く使えるかどうかだが。

 前世の実家は大太刀を専門にしていたし、太刀を振るうための知識は習得済み。

 というか私がロマン派で5尺刀(全長150cmの刀)ばかり練習してた。

 

 ならばこれから修行し直せば良いだけだ。

 それにこの世界には念があり肉体を強化できる。

 だから大丈夫だ。多分。きっと。なんとかなーれ。

 

「まずは試しに素振りしてみるか。さーて、どんなもんかなっと」

 

 私は軽く深呼吸すると、柄をしっかり握り両手を頭上へ掲げた。

 そのまま軽く肘を曲げ、腰を落として足を前後に開く。

 剣術における基本型の一つ、上段の構えである。

 

 最後に目を閉じ体を覆うオーラを強く意識してから、全身全霊で太刀を振り下ろす。

 

「――イヤァーーーー!!!」

 

 どこかで聞いたようなシャウトを発する。

 太刀からの返事は宙を切るヒュンという小気味良い音。

 

「…………」

 

 目を開くと刃先は地面スレスレでピタリと止まっていた。

 土との隙間はおよそ一寸(3cm)。

 うん、大体イメージ通りだ。体が前につんのめることもなかった。

 

 私はさらに続けて別の型を試していく。

 切り上げ、袈裟斬り、突き出し、薙ぎ払い、踏み込み斬り。

 下段後方に構えてからの抜き打ち、連続袈裟、回転斬り。

 最後はもちろんカッコよく頭の上でぐるぐる。ロマンを回す。

 

 どれも問題なし。イメージ通りに刃が走り、イメージ通りにピタリと止まる。

 

「……いけるじゃん!! 肉体をオーラで強化すれば割と余裕っぽい?」

 

 14歳の少女がアホほど重い長大な太刀を振り回す。前世ならまず有りない光景だろう。

 だが念によってオーラを纏えばそれも可能になる。なってしまう。ココはそういう世界なのだ。

 

「つまりロマン万歳!! よし、次は特殊能力の方も試しておこう」

 

 ロマンの成功にテンションあげあげな私は、続けて付与した特殊能力の実験に移った。

 

 具現化系はオーラを物質化する能力だ。

 しかしただ道具を具現化するだけではなく、特殊な能力を付与することが出来る。

 これこそが具現化系の肝。って原作で誰かが言ってた。

 

「まずは〈制約と誓約〉の『シャボン玉作り』を行ってと」

 

 私は事前に用意してあったシャボン液を吹き棒につけてフーっと吹いた。

 フワフワと大量のシャボン球が空宙に浮かぶ。なかなか風流な光景だ。

 そのまま10分ほどシャボン玉を作り続ける。童心に還ったみたいでちょっと楽しい。

 

「これぐらいで準備は十分かな? それじゃ――泡狐竜の色泡、発動!!」

 

 事前準備を終えた私は心の中でスイッチを入れる。

 すぐに【たまのをの絶佳麗斬刀】からマジックのようにブクブクと泡が溢れ空中に浮かんだ。

 

 刀身から溢れた泡は2種。

 色は緑・赤のニ色で、大きさはどちらも手のひらと同じぐらい。

 ふわふわと周囲に浮いたまま、その場から動かない。

 

「では緑の泡から試してみよう。癒す緑泡/ヒールグリーン」

 

 さてココからがテストの本番である。

 私はまず刃で軽く腕に傷を作った。

 それから血の出ている場所を緑の泡に触れさせる。

 すると腕全体を包み込むように温かな力が広がった。

 すぐに血が止まり、腕の傷があっという間に塞がっていく。

 

 ……成功だ。

 緑の泡は自己治癒能力を強化し、自らの傷を癒す効果を持つ。

 クラピカみたいにバキバキの腕を一瞬で直すのは無理だが、軽い怪我ならご覧のように治せる。

 今のところはこれで十分だろう。必要なら重ね掛けすればいい。

 

「おっ、綺麗に治った。OKOK。んじゃ次は赤い泡の方。滾る赤泡/パワーレッド」

 

 私は続いて赤い泡へ左手でタッチ。

 瞬間、今度は全身に熱が広がっていく。

 内側から無理やり力を引き出されているような感覚。

 

 試しに太刀を振るってみれば、体感で3割増しぐらいの速さだった。

 これが赤い泡の効果、追加でオーラを引き出すことによる一時的パワーアップだ。

 強化倍率はそれほど高くないが、イザという時には頼れる一撃になるだろう。

 

「ふーむ、どっちの泡も十分使えそう。良い感じ」

 

 怪我を治療する為の緑の泡。癒す緑泡/ヒール・グリーン

 戦闘力を強化する為の赤い泡。滾る赤泡/パワー・レッド

 

 どれも(ゲームで)この太刀の素材である泡狐竜が備えていた能力である。

 今回はせっかくなので、それらを特殊能力として搭載させてもらった。

 

「まぁどう控えめに言っても『現物の刀を持って強化系でやれ』って感じだけど。でもそんなの関係ねぇ。私はこの手で直接斬るぞ!!」

 

 確か原作だと具現化系はハメの方が得意とか言ってた気がする。

 でもしょうが無い、だって私はこの手で斬りたいのだから。

 ていうかそもそもハメ技とか難しいこと考えるの無理だし。

 

「いちおう斬った相手を麻痺させるだとか、ゲームの練気ゲージみたいに切れ味が上がるだとか、そういう能力も考えてはみたけども」

 

 でも余り意味はないように思えたのだ。

 なぜなら大太刀は基本的に一撃必殺だから。

 大太刀に斬られれば大抵は致命傷であり、その後に麻痺させても無駄ではなかろうか?

 これがナイフのように手数を優先する武器なら、麻痺でも良かったのだろうけど。

 

 そんな訳で自己バフ&回復な効果にしたという訳である。

 大太刀を具現化し、自己を強化して斬る。傷を負っても治療可能。

 これなら強化系とも戦えるはずだ。少なくとも一方的にやられることはないはず。

 

「あと何より『シンプル』なのが良い。シンプルイズベスト……ごちゃごちゃ考える前に斬るべし……!!!!」

 

 以上が具現化した【たまのをの絶佳麗斬刀(ぜっかれいざんとう)】及び特殊能力である。

 ほぼ全部モ◯ハンからのパクリ。でもとても気に入っている。

 だって泡を浮かばせながら大太刀を振るうって、すごい雅で格好良さそうじゃん?

 

 私はグヘヘヘヘといやらしい笑みを浮かべた。

 どうやら最強の能力が完成してしまったようだ。

 見た目、性能、そして使い手。どれも負ける要素がない。

 

 私は具現化した太刀の能力に満足すると、内側の熱を吐き出すように刀を振り続けた。




R-17.9タグ付けたし大丈夫なはず(たぶん)
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