闘争好きな少女のアーカイブ   作:KUS

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仲間

「……何の用だソル」

「相変わらずの一匹狼か? ミハイ」

 

 アマネの演説があった翌日、俺はとある知人の下を訪れていた。

 

 勝ミハイ

 学校でも一匹狼で有名なやつで、指折りの戦車好き。

 そして腕の良い戦車乗りでもある。

 一人で動かせるように戦車を改造した上で、ヘルメット団の戦車を一方的に撃破した。

 と言えば、こいつの異常がわかるだろう。

 

「で、後ろのやつは?」

「おう、お前がソロ戦車乗りか。工藤ニア、こいつの親友。一応、技術屋やってんだよ」

「その歳で?」

「お前も変わらんやろが」

 

 ニアはそのままミハイが寄りかかっていた戦車に近寄る。

 あれは確か……学園が訓練用に使ってる戦車だったか。

 

「M2中戦車かぁ……うわっ、お前無茶な改造してるな……よく動くよこれで」

「ほっとけ。で? ソルは一体全体何のご用件でここに?」

「なぁに単純だ……

 

 

 

お前がやりたい事、それを聞きに来た」

「……そいつはまた、珍しいこって」

「昨日の演説、お前だって聞いていただろう?」

「……」

「4年後、この学園はキヴォトスの中枢に喧嘩を吹っ掛ける」

「それで?」

「俺達に着いてこい。戦車で幾らでも戦場を駆け回れるぞ。それに、腕利きの整備士付きだ」

「私は整備士じゃなくて技術屋だっつうの!」

「整備士だって技術屋の一環だろうが」

 

 M2の車内から聞こえてきたニアのツッコミを軽く受け流し、もう一度ミハイに顔を向ける。

 表情が変わらなさ過ぎて、何を考えてるのかわからんな。

 

「で、乗るか、乗らないか。選択肢は2択だ」

「……誰もが思うように生きられるキヴォトス……当然その先は、弱肉強食だ。強者がエゴを通す世界になる。ソル、お前はそれで良いのか?」

「俺は強者とやり合いたいだけだ。ただ獣のようにな。お前だって、心の奥底では闘争を求めてる。だから年がら年中トリニティとの境界沿いやブラックマーケットに戦車を走らせているんだろう?」

「……いいぜ、乗ってやるよ。誰もが自由に生きられる世界、面白そうだ」

 

 ミハイが口角をゆっくりと上げる。

 それを見た俺は、新しい同志を歓迎するように肩を組んだ。

 

***

 

「て感じで仲間になったミハイだ」

「よろしく」

「そうか……」

「ほほぅ……お主がソロタンカーか」

「よろしくね! その……ミハちゃん?」

 

 なんだこいつら。

 最初に思ったことがそれだった。

 無愛想が一人。しかも変なマスク付き。

 百鬼夜行にでもいそうな生徒が一人。

 快活娘が一人。

 

「ソル……こいつらは?」

「俺が集めた仲間だが?」

「……えらく個性的だな」

 

 快活娘が一番普通に見える。

 もう一度言う、なんだこいつら。

 

「自己紹介がまだだったね。香月リナ、好きなものはペロロ様! よろしく」

「ペロロ様? モモフレンズのあの鳥か?」

「うんそう!」

 

 あれかぁ……

 目の焦点が定まってないあれ。

 

「……お前は?」

「私か? 名は白倉アシュラという。よろしく頼むぞ勝ミハイ」

「そうか、よろしく」

「んで、そっちは?」

「皇アヤカだ」

 

 一通りの自己紹介終わり。

 こいつらも、どっかのネジが外れてんのかな……

 

***

 

「お願いします! 私を、あなたの部下にしてください!」

「……」

「えぇ……引くわーマナカちゃん」

 

 えーっと……どう反応すればいいのかな?

 私は素直にそう思った。

 目の前には、土下座する子とそれを見ている二人。

 部下にしてくださいって……

 

「はぁ……あんたら、自分の年齢考えなさいよ」

「忠誠心に年齢なぞ関係ないのです!」

 

 今マナカちゃんにツッコんだのは美川ミクルちゃん。

 私のクラスメイトで、同じ志の仲間。

 

「えっと……取り敢えず理由を聞いてもいい?」

「はい! 私は、あの演説に心が打たれました。問題児二人に振り回されるだけの人生。私だって好き放題生きたい。アマネ会長の演説はそんな私の背中を押してくれたんです!」

「……」

「あの……マナカちゃん、振り回したのは謝るから……」

 

 どうやら、立っている二人はこの子とは長い付き合いみたい。

 そしてお守りを担当しているようなものだと……

 

「ふふ……マナカちゃんは、何がしたい?」

「鬱憤晴らしと気に入らない人間をぶっ飛ばしたいです!」

「よし採用」

「ありがとうございます!」

 

 こんな真っ直ぐな子、不採用な訳がないよね!

 

「四年後、マナカちゃんが来るのを楽しみに待ってるよ!」

「はい!」

「待って待って! あたしもあたしも!」

「……ボクも」

「二人は何がしたい?」

「一杯戦いたい! 雑魚狩りでもボス戦でもいい!」

 

 この子、元気一杯だなぁ。

 それからソルちゃんとは別方向の戦闘狂。

 

「あなたは?」

「……焼きたい。建物、兵器、そして人間」

「へ?」

「人間に火炎放射を浴びせると、良い声で鳴いてくれる。だから、好き」

 

 うん。

 マナカちゃんがストレス溜まる訳だね。

 キヴォトスでもそんな感性の人中々いないよ。

 

 

 そんなこんなで、

 柴田マナカちゃんと、戦闘狂な桐橋レイナちゃん。

 それと珍しい感性持ちの焔フレイちゃんが仲間に加わった。

 ミクルちゃんが終始苦笑いしてたけど……

 

***

 

「てことがあったらしいんだよ」

「ふっふっふ……アマネの素晴らしさを良く分かってるじゃないか。その柴田マナカという少女は」

「お前と同い年だぞ一応」

 

 ここは、学園から借りた兵器工廠。

 目の前にいるのは白原シオン。

 私と同じ技術畑の人間だ。

 こいつの幼馴染のミクルは私らが作っている兵器のテストパイロットをしてもらってる。

 

「やはり、このキヴォトスにはアマネみたいな指導者が必要なのだよニア」

「さいですか」

 

 こいつはこいつで、アマネを崇拝気味だ。

 まぁ、誘ったのは私だが。

 私一人じゃ、新兵器の開発は厳しい。

 設計図は引けるし、実際に作れるが、新技術の発明は苦手なんだ。

 今作ってるやつだって、ミレニアム生が発表した論文を基に独自に手を加えている。

 この独自の部分をシオンにやってもらって、設計は私がやる。

 こんな感じの分担だった。

 因みに、シオンが来るまでに3機くらい設計してお蔵入りになってる。

 4機目の時にシオンが入って、5機目である程度形になり、これが6機目。

 

「そういや、フカのやつは?」

「四年後の勢力図をシミュレーション中だ」

「今じゃないんだな」

「フカが入らずとも問題ないレベルの人材はいるということだろうな」

 

 麻生フカ。

 私らの仲間の一人。

 あいつがやりたいことはアマネが目指す世界を見てみたいだった。

 それとは別に戦争を俯瞰して見て楽しみたいとかいう観客気分の戦争狂。

 しかもただの観客ではなく明確に応援している側を助けて、していない側を積極的に妨害するタイプだ。

 

「さて、この兵器の完成はいつになるのやら」

「基礎は出来てるし、尖らせる必要もない、一週間もありゃ、生産態勢は整うよ」

「有人操縦式の人型ロボット兵器か……戦車や火砲でも撃破出来ないことはないが、それらを機動力で圧倒する。戦争が変わるな」

「だな」

 

 そう受け答えして、私は試作品を見据えた。

 こいつの名前……

 

 MS-06A Zaku II(Type A)

 

 こいつが戦場に出る日も近い。

 戦車以上に動かす人間次第でどうにでもなる兵器の初陣がな。

 

***

 

 1ヶ月後、トリニティ総合学園:ティーパーティーテラス

 

「……」

「……」

「あ、あのぉ……」

 

 私は、ティーパーティーのパテル分派に所属している者なのですが……

 相も変わらず胃がキリキリするような光景が目の前で繰り広げられています……

 

 椅子に座っている、ティーパーティーを構成する主要3分派の首長方。

 睨み合っているのは私の上司でもあるパテル首長の桐谷ユウ様。

 家柄の格式は高くないながらも、実力だけで今の座に上ってきた叩き上げ。

 もう一人はフィリウス首長の天草カナ様。

 保身主義なのを隠そうともしないお方なのですが……第一印象に反して政治手腕はこの中でトップ。

 そして、それを見てあわあわしているサンクトゥス首長の末花ユリ様。

 

「……いつまでこんなダラダラと戦争を続ける気だ?」

「またその話題ですか。向こう側が和平に応じないのですよ?」

「そりゃあこっちが妥協しそうな気配が微塵もない和平案を送り付けたらなぁ?」

 

 またです。

 ユウ様があそこまで圧をかけながら話題に出すのはパクスとの戦争関連と相場が決まってます。

 実際、ダラダラ続けるくらいなら和平した方が軍事費も浮くので、財務の私としては嬉しいのですが……

 しかも自治区を接しているのが旧パテル自治区だからか、そこら辺全額負担になってるんですけど……

 

 ただ……

 

「それに、終わらせようとしたら軍部が黙ってませんよ?」

「着服してないか正義実現委員会に監査させようか?」

「それを私に言っても何にもならないでしょう」

 

 カナ様はそれをのらりくらりと躱す。

 保身主義のあの方の事だし、軍部や自派閥内の過激派を敵に回したくないんだろうけど……

 

「取り敢えずは、総力戦だけは避けたいですね」

「それはそうだ。最悪のケースだからな」

「軍部はどうしても予算が欲しいみたいですが……あの金食い虫共め……」

 

 ああ……カナ様から本音が漏れてる。

 そりゃそうだろう。

 あの方は保身だけど、それと同じくらい功名心がある。

 やれれば戦争を終わらせた生徒会長という称号が欲しい筈だ。

 

「圧倒的勝利かそれに相当する和平でなければ、納得はしませんよ?」

「だろうな」

「いっそのこと、攻めた方が早いのかな……」

「今更本気でやった所で、一般生徒どころかヨハネやシスターフッドも嚙みついてくるぞ。しかも、昔はともかく、今のパクスはマンモス校に並んでる。短期決戦は無理だ」

 

 やり方はともかく、お三方とも終戦したいのは伝わってくる。

 

 バンッ

 

「なんですか、騒々しい」

「申し訳ありません! 至急、報告が!」

「なんだ、言え」

 

 入ってきたのは、同僚だ。

 つまりパテルの人間である。

 パクスの動きを監視してるのも彼女だけど……一体何が……

 

「パクスが……パクスが軍を動かしました! 哨戒部隊ではありません、主力と思われます!」

「……マジか」

「どうやら、先手を取られたようですね」

「生徒会長が変わったって聞いたが……最悪な方だったか」

 

 パクスが……主力?

 やばいやばい……あそこは私達トリニティに対抗するために、軍需産業発展を最優先で進めてきた。

 今じゃ、その一部を民需に回してもお釣りがくるくらいのレベルの軍事工場を保有しているキヴォトストップの工業地帯……

 兵器の数だけなら間違いなくキヴォトス一だ……

 

「防衛部隊は?」

「搔き集めていますが数が……」

「私が指揮を執る。待機している主力を動かせ」

「は、はい!」

 

 ユウ様は席を立つと、足早にテラスを後にする。

 それを見た私は慌てて追従した。

 

***

 

「敵戦力の陣容は?」

「戦車が多数。それから航空機の編隊も確認しました。中には大型も」

「本気だな」

「それと……」

「?」

「大型の輸送トレーラーが十数台。何かを輸送しているようですが……」

「野砲か?」

「いえ、野砲は別で確認済みです」

 

 なんだ、野砲じゃない……

 何らかの新兵器であることは間違いな。

 

「私も現地に行く」

「っ……!? ダメです、危険すぎます!」

「悪いな。机の上で言い合うより、現場に出る方が性に合うんだわ。というわけでユハ、後は頼んだ」

「了解」

 

 私はユハにそう言って部屋を後にする。

 パクス軍……何を持って来たんだ?




親衛連隊の皆さん
旧版で親衛連隊に所属していたメンバー。
大きく設定が変わってるキャラはいなかったり。
今作での部隊名は別のものになる予定。

ティーパーティーの三人
特に設定は変わっていない。

モビルスーツ
旧版と設定自体は同じ。
見た目は同じだけど動力も大きさも違う。
この世界にはオーパーツMSはいないが。
ザクIは試作機で終わった。
ザクIIが量産型として出てくる。
今回出たのはA型だが、次回に出てくるのはちゃんと量産タイプ。
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